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高知遠征・其の参(ホンヤドカリ篇)

潮だまり観察員 エイジ 14:36
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高知遠征、第3部です。第1部はこちら第2部はこちら

D. klaasi が居た海岸に続いて、別の磯もあちこち回りました。
やはりどの海岸でも、水辺を制するのはホンヤドカリです。
一般的に普通に見られるホンヤドカリの仲間として、海岸線ではホンヤドカリユビナガホンヤドカリ、少し磯に進むとクロシマホンヤドカリヤマトホンヤドカリ、たまにイレギュラー的にアオヒゲヒラホンヤドカリケアシホンヤドカリホシゾラホンヤドカリなどが見られました。今回は残念ながら、アカシマ系やイクビなんかは見つけられませんでした。

しかしです。
今回、僕はあまり新顔を期待してなかったのですが、なんと!しばらくぶりに磯観察歴を1種更新してしまいました♪
その名も、ヒメケアシホンヤドカリっ!!!

ヒメケアシホンヤドカリ正面

この胸の高鳴りはしばしご無沙汰でした♪
これで僕のヤドカリ磯観察歴は78種(不明種込みで84種)になりました♪

この子は干潮帯のやや先端で、水路の走る石の下に隠れてました。水深で言うと20~30cm。丘からの観察です。このような環境では、まず石をめくるとクロシマホンヤドカリの幼稚体がワラワラと多く見られ、時にヤマトホンヤドカリなんかも見られます。この時も例に漏れずそんな面々でした。
加えて今回はその中に一匹だけケアシホンヤドカリが混じってました。しかし、すぐに違和感を覚えました。それは、石をめくった際に、驚いて殻に閉じこもっていたのですが、その姿勢はいつものケアシシリーズ(ケアシ、ホシゾラ、ヨモギ)のそれとは大きく異なっていたからです。ケアシシリーズであれば正面を向いて鋏脚で蓋をする、と言う姿勢になりますが、この子は大きな体が殻に収まりきらず、横向きに窮屈そうに収まる、と言った感じでした。どちらかと言えば、その形状はイダテンヒメホンヤドカリかエビスヤドカリ系に似て見えました。

ヒメケアシホンヤドカリとケアシホンヤドカリの隠れ方の違い

そこで、そのケアシを取り上げ、シゲシゲと観察してみました。

全身に黒点が点在しない→ケアシではない
全身に白点が点在しない→ホシゾラではない
黒のリストバンドがない→ヨモギではない

消去法では、上記のいずれにも一致しません。
まさか・・・これがヒメケアシホンヤドカリ!?
さらに注意深く観察します。

ヒメケアシホンヤドカリ背面

眼柄が白く、縦にラインが入っている。。。

ヒメケアシホンヤドカリ決定~♪

おとうさーん!おかあさーん!エイジはついにやりました~♪

しかし、ペットボトルに入れてたら、酸欠で死んじゃいました(汗)
せっかく飼ってみようと思ってたのに。。。
でも、せっかくの機会なので標本写真を撮りました。

ヒメケアシホンヤドカリ標本

腹部が腐って残ってませんが、主な特徴は読み取れると思います。
まず、眼柄が白く、背面から見るとギリギリ3本の線が確認できます。これが他のケアシシリーズと大きく異なる点です。他のケアシシリーズでも、幼稚体のうちは上半面と下半面で色の濃淡があり、見る角度によっては「線」に見える場合もありますが、ヒメケアシホンヤドカリの線はどこから見ても明らかな線なのです。
次に、第一触覚も紅白のツートンで、この点でもケアシやホシゾラと異なります。ヨモギは赤と緑のツートンですし。
その他、全身に黒い点も白い点も存在せず、鋏脚もかなりスリムです。やはり総合的に見ても、ケアシと言うよりはイダテンの形質にそっくりです。色彩はまったくの別物ですけどね。

では、今回コンプリートしたケアシシリーズの写真での比較をご覧ください。

ケアシシリーズの比較

うーん。こうしてみると、ヒメケアシは益々ヒメホンヤドカリ属に見えますね。実は遺伝的にも、ホンヤドカリよりヒメホンヤドカリに近いんじゃないの?ってくらい、ケアシには見えません(笑)

今回、僕の成果はこのヒメホンヤドカリのみとなりました。
でも他のメンバーは、かなり成果があったと思います。
特に、僕でさえまだフィールドでは見たことの無い驚愕のヤドカリを見つけた方がいらっしゃいます!?恐らく、本州初記録になると思われます。すげえッ!!!
お陰で僕のヒメケアシホンヤドカリの立場が・・・(泣)
さて。それはいずれメンバーのブログで明らかになるでしょう♪
お楽しみに!

つづく。

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