Reef工房室 - マリンアクアリウムを自作しよう!
1.023worldの水槽システム
コンセプト
ナチュラル水槽・・・。
あくまでも、裏方にはそれを支えるハイテクソースがここぞとばかりに活躍し、
そして「海」は再現されます。
いくら「ナチュラル」とは言え、水槽に海水を入れただけで海になるなら誰も苦労はしません。
日照効果、水流効果、水温維持装置、水質維持装置など、
これらが上手く機能しているからこそ、「海」は今日も海としてあり続けるのです。
こんな裏方の存在に対し、何も不信感を覚える必要は全くありません。
「ナチュラル」とは、その得られる効果と再現された世界がナチュラルなのであって、
手段や方法をもナチュラルとはしていません。手段も方法も所詮は人の手によるものなのですから。
そして、ナチュラルの再現のためなら、どんな人為的手段や方法もどんどん取り入れるべきでしょう。
そしてすこしでも品質の高いリアルな海へ仕上げたいものです。
さて、ここまでは皆さんも良くご存じであり理解されているところでしょう。
私だってこのようなところを別段コンセプトとしている訳ではありません。
それでは一体、何をコンセプトと考えているかと言いますと、
あくまでも私がこだわりたいのは「リアリティ」です。この一言に尽きます。
よーするに、「水槽の中に何でもごちゃごちゃ入れたくないわのよぉっ!」って事です(笑)
幸い、多くの皆さんが取り入れられている水槽システムには「オーバーフロースタイル」があり、
これにより邪魔なもののほとんどがサンプ(水溜層)の中へ放り込む事が可能ですね。
スキマーもそうですし、ヒーターや各種モニターのセンサー類、クーラー配管、揚水ポンプ等々。
もし、これらが本水槽の中にあったらと思うと、僕だったらもうイライラして
とてもリラクゼーションとしての価値も見いだせません(笑)。
人工物は決してタンクメイトでは無いからです。
珊瑚礁にヒーターやポンプは泳いでいません!(きっぱり)
さあ、ここで問題になるのが、「水流用ポンプ」の存在です。
こればっかりはサンプに入れておく訳にはいかないのです。
サンプがユラユラしたところで、な~んにも嬉しくないのです。
これがあるべきはあくまで本水槽の中であり、生体やサンゴに対し与えなければならないのですから。
しかし・・・。
私はイヤなのです。
なんでポンプを鑑賞しなきゃならんのですか!?(笑)
そう。
「水槽の中はあくまで珊瑚礁の絶景にこだわる!」
これが私のコンセプトです。
長かったですね。すみません(苦笑)
コンセプトを満たす水槽の用意
そのために用意した水槽は、縁なしガラス水槽・コーナーBOX仕様です。 そうです。底面から独立して生えたあの三重管さえも私はイヤなのです(笑)
更に、水槽内へポンプを入れずに済む手段を遂行するためには、 水槽に対して予め施しておかねばならない、ある加工が必要です。 それが、底面吹き出し口です。ここへ、みなさんもご存じのコンパクトジェットを装着します。 勿論、水槽の角という角にこれを施します。水槽の底面には角が4つありますが、 左奥には既にコーナーBOXが控えていますから、残りの3ヶ所へ、と言う事になります。 幸い、水流コントローラーで有名な「ウェーブマスター」には3つのポンプコントロール機能 (切り替えにて4ポイント)が搭載されていますから、丁度良い計算になります。
更に、コーナーBOX内蔵の揚水パイプの向きは、対角位置にて配置した仕様となっています。 ここまでが、水槽オーダー時の特注内容です。
以上の仕様計画にて、水槽内には合計5つの水流ポイントを確保する事が出来ました。
大型水槽では、今ではごく当たり前の仕様かも知れませんが、
当時(1999年)の60cm水槽ではこの仕様はまさに画期的な贅沢仕様だったに違い有りません。
それでも珊瑚礁の水流(大きな往復流、海水全体の移動)に少しでも近づけるために、
他の部分は自作や使い回しにて出費を抑えましたが、ここだけは大枚叩きました(苦笑)。
ここは唯一「見て楽しむ部分」ですからね。
これはしかし、実際に珊瑚礁を見てきた方じゃないとなかなか理解できないかも知れません。 あのイソギンチャクの大きな揺らぎ、如何にも空間が押し流されるような海水の力、自然は偉大です・・・。 果たして人間は神になれるのか!?
なれません( /_ _)/ドテッ
でもね、これが珊瑚礁から招き入れた生体達へのせめてものお持てなしになると思うのです。
そう、神が創りし万物への、神に対する挑戦なのです(笑)
水流再現のための回路
オーダーした水槽の、まずフロー管の部分に細工を加えます。
三重管では良くありがちなピストル構造を使って、水流用海水取り込み配管を設けます。
幸い、この水槽では揚水パイプはフロー管とは別に加工済みですから、このような使い方が可能になる訳です。
三重管仕様の水槽では、別途穴開けが必要という事になりますね。
仕組みとしては、水槽内へ設置した場合のポンプの働きを、水槽の外へ持ち出したような感じになります。 あくまでも「水槽内の海水を取り込み、水槽へ返す」事が必要です。 これがもし、サンプからの海水を取り込むような回路だと、 ポンプ停止時に水槽の海水が逆流し、水槽が空っぽになりますよね?(笑)。 サンプは溢れ、部屋中が海になります。 それはそれで素晴らしい(?)のですが、マンションでやると悲惨です。 くれぐれもご注意を。あ、ちなみに逆止弁を付けたからと言っても安心出来ませんよ。 ポンプ停止後しばらくは良いのですが、少しずつ漏れていきます。逆止弁の精度は100%ではないので。
あ、ちなみにこの図は実際の配管に基づいて作成していますが、逆止弁は本来、 吹き出し口の直下に配置すべきです。 実際の配管ではなかなかこの位置取りが困難であったため、敢え無くこのような回路にしたまでですから。
この写真は、現在の知人宅での水流回路の様子です。
吹き出し口の位置に合わせ、一番出力を要す右手前のウェーブポイント用には、 マグネットポンプのRMD200(31L/min 60Hz時 写真左側)を用い、 残りのポイントにはRMD150(19L/min 60Hz時 写真中央+右側)を使用しています。 これだけでトータル約70L/minあります(笑)。
肝心のサンプ-水槽間の循環用揚水ポンプには、RMD400(52L/min 60Hz時)を用い、
これと直列にクーラーを通し、
その後分岐して水槽コーナーBOXの揚水パイプへ2ポイント接続しています。
しかし、写真でも判るかも知れませんが、このポンプの設置場所に困り、
結局写真のようにキャビの右壁面へ無理矢理打ち付けてあります(笑)。
よって、更にこの高さまでの揚水用に、別の水陸両用ポンプRSD20(20L/min)を
サンプへ投げ込んで、直列に接続しています。
※ 写真左下サンプ、右下クーラー
サンプの防音処理
まぁ、これだけの海水の循環量(と言っても正味50L/min程ですが)ですから、 サンプへの滝の音も凄まじいものが予想されます(笑)。 ましてや、キャビネットではなく、タダのフレームラックですから、音は全て筒抜け状態・・・。 せっかく静かなマグネットポンプを使っていても、これでは意味がありません。 そのため、この「滝の音」を解消すべく、サンプには秘密兵器が搭載されています。
ま、イラストと写真を良くご覧ください。何となく意味が判って頂ければそれで良いです(笑) 要は、音は空気の伝達によるものなので、それを遮断したまでです。これで音はほぼ消えます♪
1.023world
懐かしいですねぇ・・・。約3年前(2004年現在)の遺影です(笑)
ライブロックの山積みの影にすっかり根と同化したコーナーBOX、 石灰藻に覆われすっかりライブ化して景色に同化した各コーナー底面のコンパクトジェット、 5ポイントの水流が織りなす渦潮により再現される複雑な流れと水面の揺らぎ1/f、 10000K 250W + スーパークール + NZ-BB450×2 + 赤玉ハロゲン + 照明タイマーが織りなす一日の日照効果、 その他、スキマー、カルシウムリアクター、蒸発分補給兼完全自動カルクワッサー、 自動微量元素添加装置、等々。
海はまたやってくるだろうか・・・(笑)