ついに安価なPARメーターが現れた!?
- 2023.04.12
- LED
先日、AliExpressを眺めていたら、非常に安価なPARメーターを見つけたので、早速取り寄せてみることにしました。KUNSHAN AST Optoelectronics社のAPM092というモデルです。
実質、現状のPARメーターはApogee社の独占状態で、装置も非常に高価(国内だと約10万円)でなかなか手が出ないのが難点でしたが、もしこれが使い物になるなら革命的な商品になります。だって送料と合わせても僅か$80(約1万円)ですよ!?
4/1に注文したのですが、4/8には届きました。早い!?
早速開封して触ってみましたが、使い慣れたApogee MQ-500と大差ない値を表示しているように見えます。まじか⁉ これは使えそう✨
APM092の受光センサーの特性
まず、このAPM092に採用されている受光センサーの特性を見てみます。
え、ちょっと待って、Apogeeのフルスペクトルセンサーより特性良さそう!?
近赤外線側の特性はApogeeと大差ありませんが、UV側の特性がApogeeより厳格に400nmから立ち上がってます。Apogeeは380nmから緩やかに立ち上がるので、厳密には400-700nmを評価対象とするPPFDの測定では、380-400nmの20nm分だけ過剰な値を示しますが、APM092ならかなり高精度で400-700nmの範囲を測定できることになります。
…ってホンマかぁ?笑
APM092とMQ-500のPPFD測定比較
そこで、SPECTRAを光源としてAPM092とMQ-500のPPFD測定比較をおこないました。SPECTRAは400-700nmの範囲の波長強度をしっかり出力できる光源なので、評価光源として申し分ないはずです。
まずは、SPECTRAのフル出力時のPPFDを測定してみます。
UPRtekのスペクトロメーターPG200Nで測ったPPFDは以下の通りです。
PG200N:557.5
なお、PG200Nは波長毎のPPFDを積分して厳格な波長範囲のPPFDを算定できるため、PFD-B(青)、PFD-G(緑)、PFD-R(赤)を合計することで400-700nmの総PPFDを非常に正確に計算することができます。一方、受光センサー式のPARメーターの場合、そのセンサーの精度次第で値の正確性は良くも悪くもなります。例えば、MQ-500のセンサーは高精度ですが、旧MQ-200のセンサーはかなりアバウトなセンサー特性でした。
それでは、実際にAPM092とMQ-500の測定値を見てみましょう。
APM092:592.1 (+34.6) (+6.2%)
MQ-500:579 (+21.5) (+3.9%)
約20-30ほどの差が見られましたが、±4-6%の差なら誤差の範囲と見て良いでしょう。そもそも測定時の各センサー位置が異なるため、拾えてる光量にも若干の差がありますから、その意味でも誤差の範囲と言えます。
次に、SPECTRAのUV 400nmのみを100%にして、センサーのUV側の測定値の差を見てみましょう。
PG200Nでは、400-500nmの範囲を評価したPFD-B(青)の値は約45でした。
PG200N:44.59
そして、APM092とMQ-500の測定値は以下のようになりました。
APM092:18.62 (-25.97) (-58%)
MQ-500:58 (+13.41) (+30%)
APM092は厳格に400nm以上が測定対象なので、その分値は低くなるようです。一方、MQ-500はセンサーの特性上380-400nmの20nm分も評価されるため、その分高い値を示していると考えられます。
最後に、SPECTRAのDeepRed 660-680nmのみを100%にして、センサーの近赤外線側の測定値を比較してみましょう。
PG200Nでは、600-700nmの範囲を評価したPFD-R(赤)の値は約44でした。
PG200N:43.86
そして、APM092とMQ-500の測定値は以下のようになりました。
APM092:47.05 (+3.19) (+7.3%)
MQ-500:53 (+9.14) (+21%)
APM092の方がPG200Nの値に近くなりましたが、こちらも誤差の範囲と見て良いでしょう。両者ともきっちり深赤波長が測定できていました。
以上の結果から、APM092はApogee MQ-500と遜色ないPPFDが測定できることが解りました!
APM092の特徴
メジャーなApogee MQ-500との比較になりますが、メリットとデメリットを挙げてみます。
メリット
- とにかく安い! (MQ-500の1割程度) ← 超ありがたい‼
- 小数点表示
- ホールド機能 ← ありがたい‼
- 平均値表示
- キャリブレーション付き
- 入手性の良い単4電池×2本
デメリット
- 本体内蔵センサーなので水中測定不可
なんと、ほとんど欠点がありません!
もし、改造してセンサーが延長できたら無敵ですね✨
いずれセンサーの防水化&延長もやってみたいと思います。
あるいは、適当な防水ケースに入れれば、水槽内も測れないことはありません。複雑なレイアウトの隙間は難しいと思いますが、各サンゴの直上くらいなら問題なく沈められると思います。
特に海洋での測定には、MQ-500+防水ケースよりAPM092+防水ケースの方が扱いやすそうです。何より水没してもお財布ダメージが軽くて済みますね💦
APM092はどこで買える?
APM092は、AliExpressで「PAR Meter」を検索すれば出てきます。型番で検索しても出てこない可能性がありますが、形を見れば同じモノが見つけられると思います (※AliExpressのモデルは電源ボタンが赤いけど、実際に届いたモノは本家と同じ灰色でした)
僕はなるべく売れてる販売店から買おうと思い、たまたまGAIN EXPRESS HOLDING LIMITEDというショップから買いましたが、一週間ほどで届いたのでお勧めです✨
残念ながら、センサーが本体一体型で非防水なので水中測定はできませんが、まずはPPFD測定の入門機として、この価格は革命的だと思います。取り急ぎ照明機器の空中での評価や野外のPPFD測定ならこのまますぐ使えますからね✨
以上、お役に立てれば幸いです。
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