スペクトロメーター事変:前夜

※この記事は多分10-15分で読めます🤔
思えば遠くへ来たもんだ…
この先どこまでゆくのやら…海援隊, 1978
↑この時エイジさん7歳🥺笑
今回は次回ネタ前夜ということで、僕のLED人生に於けるスペクトル測定器たちの歴史にざっくりと触れてみたいと思います😌
そこそこ長いので笑、長いの読みたくなーい人は途中飛ばして最後へ飛んでください☝
- 1. 序曲:自作分光器 (2009年11月)
- 2. 初体験:Science-Surplus [B&W BTC-110S] 未校正品 (2012年8月)
- 3. 本命:UPRtek MK350 (2012年9月)
- 4. 大本命:ASEQ LR1 (2013年2月)
- 5. コスパ:楢ノ木技研 ezSpectra 815V (2016年8月)
- 6. 本格的:UPRtek MK350S Advanced (2016年11月)
- 7. 失敗:Thunder Mini USB Spectrometer 未校正品 (2018年10月)
- 8. 最高峰:UPRtek PG200N (2019年12月)
- 9. 事変:もっと安価でまともなスペクトロメーターはまだか!?
序曲:自作分光器 (2009年11月)
サンゴLEDの研究を進めるにあたり、どうしても光のスペクトル分布が見たくて、ネットで調べて分光器を自作したのが2009年のこと☝

これは革命的でした✨
カーブこそ分かりませんが、どの色の光が含まれているのか見えました🧐
見える… 見えるぞ…
※後にこのスペクトル画像がドラえもん雑誌に掲載されたりして😳
そして、そのあと本格的に光のスペクトルカーブを測定するようになり…

夢だったサンゴの蛍光タンパクの発光スペクトルの測定も叶い…

数々のサンゴLEDを世に放ってきました✨
思えば遠くへ来たもんだ…
それでは、スペクトルと共に走り続けた僕が、これまで出会ってきた測定器たちをご覧ください。
初体験:Science-Surplus [B&W BTC-110S] 未校正品 (2012年8月)
話を戻して、自作分光器の後の話です。
約3年も自作分光器を使い倒した末、どうしても光のスペクトルカーブが見たくて、eBayで見つけた格安分光器に手を出しました。B&W社のBTC-110Sという分光器モジュールの中古品をScience-Surplus社が独自筐体に収めた製品で、校正品は$500、未校正品なら$200。かなり悩みましたが、お金がないので後者を選択しました🥺
付属品にはPCソフト、光ファイバー、ACアダプターが付いてました。尚、PCとの接続はRS232Cだったので、USB変換して接続しました。

届いて喜んだのもつかの間、未校正の意味の重さを知りました🥺笑
カーブが歪だったのです…

カーブのあちこちが間延びして不可解なスペクトルが表示されてました🥺
販売者から校正の方法を聞きましたが、どうも要領を得ず、そもそも分光器の仕組みを知らないので無理もありません🥺
すぐに分解しました☝笑

なるほど。ふむふむ。
でもCCDのピクセル上に集まる波長の直線性にムラが生じる理屈が分からない…🤔?
単純に波長分布が傾斜してるだけなら1つの補正係数を割り当てるだけで済みそうだけど、波長によって拡がったり縮んだりしてるのは1つの係数だけで直せるもんなのか🤔?
それって単にミラーが歪んでるだけなんじゃないのか🤔?
※この頃、波長の校正の理屈がさっぱり分からなかったのでこの考察で終了☝笑
悶々としつつも途方に暮れたので、そのまま押し入れに封印しました…🥺笑
そして、一刻も早くまともな製品をゲットしたい使命感が☝笑
Science-Surplus [B&W BTC-110S]:機能と測定項目
- PCソフト:Spectrum Studio (Windows)
- スペクトル 380-780nm ※未校正
本命:UPRtek MK350 (2012年9月)
分光器にすべきかハンディ測定器にすべきか1ヶ月悩んだ末に、このポータビリティにそそられて、ついに台湾UPRtek社のMK350を購入しました✨

うおおおー‼ ボタンを押すだけでスペクトルが表示されるのだぁー✨
買って良かったー🥹
僕にとっては、まともなスペクトルが得られる初のアイテムとなりました☝笑
UPRtek MK350:機能と測定項目
- PCソフトウェア:uSpectrum (Windows/Mac)
- スペクトル 360-760nm
- 照度 lx
- 色温度 K
- 演色性 Ra
- その他割愛
しかも、巷の一般的なスペクトロメーターの測定範囲が380-780nmなのに対して、MK350は360-760nmなので、なんとUVA 370nmも測れちゃうんです✨
だから2025年現在も重宝しています❤
ひとつ難点としては、保存データを本体上で確認できない仕様なので、どんなデータを記録したのか、あとでSDカードをPCに取り込まないと分からない点🥺笑
そこで役立つのがPCソフトuSpectrumで、保存データの確認は勿論のこと、PPFDや放射照度など、本体では見えなかった項目が表示されるのです✨
実は初期の頃はPPFDや放射照度の欄は空欄またはバグった値が表示されていましたが、最新版では改善されました✨ ※PDF出力時ではまだバグあり

MK350本体には無くてuSpectrumでは表示可能な項目
- PPFD (PFD-UV/PFD-B/PFD-G/PFD-R/PFD-FR)
- 放射照度 IRR mW/m²
- 演色評価数 R1-R15
- その他割愛
従って、過去に録りためたMK350のデータXLSファイルがあれば、uSpectrumへ放り込むだけでPPFDや放射照度が得られます‼
正直これは嬉しい✨
その後、SDカード型のWiFiカード「Wing」も発売され、それを本体のSDスロットに挿入して、あとはスマホ版uSpectrumをスマホへインストールすれば、アプリ経由で測定してスマホに保存したデータであればスマホ上で見返すことができるようになりました。※本体で保存したデータをスマホで閲覧することはできません
尚、MK350でWingを使うには、MK350本体をアップデートする必要があるので手間はかかります。が、ハイテク感は得られました☝笑

但し、スマホ版アプリを使っても表示項目は本体と同じです🥺
MK350+Wingで使用できるアプリ
- スマホアプリ:uSpectrum MK350N (Android/iOS)
大本命:ASEQ LR1 (2013年2月)
一方、デスクワークで使える分光器も欲しいと思い、またまたeBayを物色していたら遂に良いの見つけました☝
カナダASEQ社のLR1という分光器で、他社と比較してもかなりお値打ち価格でした✨
本体$800、光ファイバー、コリメータ、色温度機能、その他諸々買っても10万ちょいで済みました✨ ※円高の良い時代でした笑
接続端子はUSBタイプBで、タイプAケーブルは本体に付属してました。

実は購入前からASEQ社はメールで細かく相談に乗ってくれて、特に測定レンジをどれにするか悩んでいたんですが、UVCも測りたいし蛍光タンパクも測りたいので、200-1100nmレンジの仕様を発注しました。その後も何度も利用しましたが、アフターサービスにはとても大満足です✨

ASEQ LR1 [200-1100nmモデル]:機能と測定項目
- PCソフト:ASEQ Spectra (Windows)
- スペクトル 200-1100nm
- 色温度 K ※オプション
ただ、その後日本の代理店が咬むようになり、カナダから直接買うことが出来なくなりました。
残念…🥺
コスパ:楢ノ木技研 ezSpectra 815V (2016年8月)
時は2016年、遂に安価な分光器が登場しました‼
楢ノ木技研 ezSpectra 815Vです‼
なんと5万円(当時)です✨
しかもメイドインジャパン☝

但し、裸の基板モジュールなので、自分で適当な筐体に収める必要があります。接続端子はMicro USBで、市販のケーブルでOKです。PCソフトは無償で配布されてますが、スマホなど他のプラットフォームでは使用できません。

拡散板や光ファイバー用SMA905コネクタ等はソーラボで好みのモノを調達すれば、どうせ筐体は自作なので自由に組み合わせられます。環境光測定向けに拡散板と組み合わせたり、蛍光タンパク測定向けに光ファイバー仕様にしたり、色々試しましたが大満足です✨
測定レンジの下限が340nmなので、UVA 370nmも余裕で測れます✨

楢ノ木技研 ezSpectra 815V:機能と測定項目
- PCソフト:ezSpectra (Windows)
- スペクトル 340-780nm
- 照度 lx (基準値を自分で要設定)
- PPFD (基準値を自分で要設定)
- 色温度 K
- 演色性 Ra / 演色評価数 R1-R15 個別表示
- その他割愛
最も安価でまともに使えるスペクトロメーターの登場でした☝
本格的:UPRtek MK350S Advanced (2016年11月)
MK350Sは標準でWiFiによるスマホ操作が可能になり、また本体で直接PPFDが表示されるようになり、PFD-UV/RGB/FRも個別表示可能になりましたました☝ これは大きい✨✨✨
また、放射照度は表示されませんが、ピーク波長強度λpVのみ放射照度mW/m²で示されるようになりました。これも嬉しい✨
そして、演色評価数R1-R15も個別表示できるようになりました☝

何よりもMK350からの飛躍的な進化としては、保存データがすぐに本体上で表示確認できるようになった点です✨ これは嬉しすぎる😭
但し、測定レンジが380-780nmとなり、UVA 370nmが測れなくなったのが痛い💦
あと、タッチパネルの反応がイマイチです🥺💦
UPRtek MK350S Advanced:機能と測定項目
- PCソフトウェア:uSpectrum (Windows/Mac)
- スマホアプリ:uSpectrum MK350S (Android/iOS) ※Wing標準装備
- スペクトル 380-780nm
- PPFD (PFD-UV/PFD-B/PFD-G/PFD-R/PFD-FR)
- ピーク波長強度λpV mW/m²
- 照度 lx
- 色温度 K
- 演色性 Ra / 演色評価数 R1-R15 個別表示
- その他割愛
その他、保存データXLSファイルをuSpectrumへ放り込めば放射照度IRRも表示可能です。

MK350S本体には無くてuSpectrumでは表示可能な項目
- 放射照度 IRR mW/m²
- その他割愛
スマホアプリでは表示項目が選べますが、何故かPPFDがゼロになるバグ?がありました。PFD-UV/RGB/FRも同様にゼロでした。

こちらもMK350と同様、スマホ版アプリを使っても表示項目は本体と同じでした🥺
失敗:Thunder Mini USB Spectrometer 未校正品 (2018年10月)
そして時は2018年、遂に過去一安価な最安分光器をeBayで見つけました‼
フランスThunder社のMini USB Spectrometerで、本体$70、送料$30‼
ついにこんな時代が来たのかぁぁぁ✨

ところが、届いた箱を開けると、製品自体の箱はなく、ジップロックに入った本体のみで、ソフトや付属品は何もありませんでした💦
注文メールには「インボイスに記載されたURLからダウンロードできる」とあるが、そんな紙も入ってない🥺
しかも、そもそも本体がこんな状態…



とりあえず、仕方がないのでネットで散々探したら運良くソフトは見つかり、インストールして使ってみたらこの状態🥺

ナニこの2012年を彷彿させるデジャブ🥺💦
ちなみにこれは白色LEDの測定データなので、本来は450nmにブルーの起伏と、イエローに緩やかな膨らみが出てくるだけのはずのスペクトルです🥺
波長ズレは校正できるとしても、天辺のコブはなんなんだ🤔笑
販売者にメールを送ってみたけど返事がこなくて、数日後やっと返信がきたと思ったら「校正してないからURLから取説とソフトをダウンロードしてくれ」とのこと🥺
とりあえず、取説とソフトをダウンロードして、校正の手順も見てみたら、そもそもウェブカメラベースだから精度はよくないし癖があると書かれてる🥺
開けてみたら、確かにカメラ入ってた😳

3Dプリンタで作ったお手製の台座にカメラと回折格子が固定されてました。でも台座の位置は結構浮いてるし、回折格子はスロットの幅に足りてなくて、挿入して固定はされてるけど両端は脱線してました🥺笑
で、この頃は波長の校正の理屈はおよそ理解できてたので、自分なりに頑張って校正してみたら、波長ズレはほぼ改善されたけど、おかしな癖はお手上げ🥺

で、よくよく見たら、取説に出てくる白色LEDのスペクトルが既にこんなカーブ↓🥺笑

え、なんだよ、校正してもこーなのか😳?
ウェブカメラのレンズ周りに何か黄色の蛍光発光物質でも付いてるんか🤔?
でももう面倒臭いので、触るの辞めて押し入れへ…🥺笑
Thunder Mini USB Spectrometer (2018年版?):機能と測定項目
- PCソフト:Theremino Spectrometer V5.0 (Windows)
- スペクトル 340-800nm? ※未校正
ちなみに、Thunder社のサイトを見ると、現在はこの試作品質の製品はなくなり、後継機種?もまともな構造物になったように見えます🤔

ただ、もう試す気にはならないなぁ…🥺コリゴリ
値段も3倍になったし、円高も加味すると4倍になっちゃってるもん😳💦
これでまた同じウェブカメラ仕様だったら笑えない…🥺
最高峰:UPRtek PG200N (2019年12月)
そして時は2019年、UPRtekファンが待ち望んだ製品が遂にリリースされました✨
植物関係に特化したUPRtek PG200Nです✨

通常の光学データとは別にPPFD専用のメニューがあって見易く、待望の放射照度 IRRも表示できるようになりました✨
そして、以前から希望していた受光部の天面から前面への移動‼
このお陰で床置き測定ができるようになりました✨
その上、測定レンジが350-800nmとなり、UVA 370nmが完璧に測れるようになりました✨
センサーも高感度になり、精度も機能も最高峰になりました☝
正直、光の波長に携わる関係者の皆さんは、是非PG200Nを採用するべきです☝
植物のみならず、一般的な分光照度計の要件も必要十分ですし、サンゴLEDにも大活躍なんです✨
コーラルモンスターも使ってますよ☝
UPRtek PG200N:機能と測定項目
- PCソフトウェア:uSpectrum (Windows/Mac)
- スマホアプリ:uSpectrum PAR (Android/iOS)
- スペクトル 350-800nm
- 放射照度 IRR mW/m²
- PPFD (PFD-UV/PFD-B/PFD-G/PFD-R/PFD-FR)
- ピーク波長強度λpV mW/m²
- 照度 lx
- 色温度 K
- 演色性 Ra / 演色評価数 R1-R15 個別表示
- その他割愛
その他、保存データXLSファイルをuSpectrumへ放り込めば、旧機種と同様に保存データの閲覧が可能です。

PG200N本体には無くてuSpectrumでは表示可能な項目
- 主要な項目は本体ですべて表示可能
そして、PG200Nに標準装備の通信方式は、従来のWiFiからBluetoothに変更され、ネットしながら操作も出来るし、恐らく省エネにもなったんじゃないかしら🤔
ただ、表示項目は既に本体が優秀なので、アプリも特に変わりなしです🥺

UIにいくつか不満はあるものの、ハンディ機としては大満足の最優秀賞だと思います☝
その上、MK350Sは40万円近くしてたのに、これは30万円ちょい☝
ん、まー我々庶民にはまだまだ高いけど、業務で使うなら安いくらいです☝
UPRtek社は、同じ台湾のIllumagicとも交流があり、お陰で僕も色々と相談させて貰ったり、いつもお世話になっています。この場を借りてお礼申し上げます🙏
事変:もっと安価でまともなスペクトロメーターはまだか!?
なので、それはそれとして、一方で安価な製品を追い求める活動は続きます🫡
安価なPARメーターの登場で我々アクアリストが入手しやすくなって久しいですが、いつかスペクトロメーターもそうなって欲しいと常々思っています😌
昔は波長詐欺を暴く目的でしたが笑、今は業界も精錬されて波長のおかしな商品も減りましたし、今こそ気軽に買えてサンゴに必要な波長が手軽に調べられるスペクトロメーターが欲しいっ☝
どこかにないかな… まともに使えて… 手頃なお値段のヤツ…
ドーーーン☝

次回、乞うご期待✨
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