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UVA 370nm入り WBV(ワイドバンドバイオレット) LEDスポットを作ってみた

  • 2024.03.04
  • LED
UVA 370nm入り WBV(ワイドバンドバイオレット) LEDスポットを作ってみた

表題は、UVA 370nm入り WBV(ワイドバンドバイオレット) LEDスポットを作ってみた、です。

え、今さら370nmなんて、バイタルウェーブUVA370に入ってるじゃん🤔?

そう、あなた正解です☝
でも、400nmや420nm等のUV域は元より、ブルーや白色あたりの一般LED素子と370nmがブレンドされたアクアLEDスポットは、実はこれまでなかったのです☝
あ、厳密にはありましたが、UVAを通さないアクリルレンズを組み合わせていたり、その辺に疎い業者が作った商品だったので、実は実用強度がまったく出てませんでした。そもそも採用してた370nmも弱すぎてた時代でしたし…

まず予備知識として、一般的なアクアLEDスポットは、400-700nmの範囲の可視光線を出すための製品です。その前提で素材が選定されているため、それらの光線を透過させることに十分なレンズ素材として、アクリルレンズが採用されています。しかし、アクリルは390nm以下のUVAの紫外線を通しません
従って、それらの製品をベースにUVA 370nm入りのカスタマイズをおこなったとしても、レンズがUVAの波長を通さないので失敗作になります…

では、UVA 370nmを採用するにはどうすれば良いか?
その場合、主にガラスのような紫外線を透過する素材をレンズに採用する必要があります。
バイタルウェーブのUVA370が他の波長を含めないで単独の専用設計になってるのもそうした理由からです。バイタルウェーブの各モデルはアクリルレンズを採用していますが、UVA370のみがガラスレンズを採用しているのです。

そうした事情があるにも関わらず、今回僕は既製LEDスポットをベースにして、UVA 370nmを含めたワイドバンドバイオレットWBVのカスタマイズに着手しました✨
ベースはボルクスジャパンのLeDio XS071です。はい、これも漏れなくアクリルレンズ仕様です。でもでも、そんなことよりWBVの新境地に一刻も早くズッポリ浸ってみたかったのです‼笑

さあ、できました✨

超贅沢なワイドバンドバイオレットWBVで構成されたUV系LED構成
超贅沢なワイドバンドバイオレットWBVで構成されたUV系LED構成

主役の370nmは真ん中にドドーンと着陸して、385nm/405nm/420nmが2素子ずつ主役の脇を固めています✨
もちろん370nmはガラス素子ですが、今は無きLG Innotekの高出力チップを採用したLED素子なので、これ1粒で他の2素子分に匹敵する波長強度を叩き出したい気分です✨笑

さあ、いざ純正レンズと組み合わせてスペクトルを測ってみます✨

アクリルレンズによって390nm以下の波長がカットされたスペクトル
アクリルレンズによって390nm以下の波長がカットされたスペクトル

うん、やっぱりそうなるよね💦笑
370nmどころか385nmまでも跡形もなく削り取られてしまいました🥺笑
いやぁーもしかしてLeDioが三菱ケミカルVH000あたりのUV透過アクリルを使ってたら良いのになぁ…と夢見てたのですが、やはり夢に終わりました💦笑

うーん、困った…

とりあえず、深呼吸をして純正アクリルレンズの透過率を見てみましょう☝
使ったのはLinshang社のLS162 Transmission Meterという簡易測定モデルの透過率測定器です。

Linshang LS162 Transmission Meter

液晶表示の内容は、左から可視光線VIS、紫外線UV、赤外線IRです。注意点としては、可視光線は透過率表示ですが、UVとIRは遮光率表示になっているため、脳内で逆算が必要です🥺笑

さて、純正レンズの透過率を測る前にまたまた予備知識ですが、純正レンズには表面処理の未加工なクリア部分がないため、純粋な素材の透過率が測れません。光学的な集光レンズ部分は光が増幅されてしまうし、隙間のフラット部分はフロスト加工(磨りガラス)されていて、大きく減光してしまいます。なので、とりあえず状況確認の意味で、集光マックス部分とフロスト部分の2箇所を測ってみました。

上が純正レンズの集光最大位置での測定で、下がフロスト部分の測定値
上が純正レンズの集光最大位置での測定で、下がフロスト部分の測定値

あまり参考にはならなかったけど、でも待てよ、アクリルの透過率がせいぜい90%くらいと見積もっても、そこに光学的な集光効果が加わったら透過率が余裕で100%を超えても良さそうなのに、なぜ超えないのか🤔?

試しに、ガラスドームレンズ(集光弱め)でも試してみました。

ガラスドームレンズの測定結果
ガラスドームレンズの測定結果

うん、やはり余裕で透過率100%オーバーでした (厳密には測定器側の最大表示が100%なのでどれくらい超えたのか解らない状態)

と言う事は、このLeDio XS071の純正レンズのアクリル素材は、さほど透過率は良くないのかも知れない🤔

それは良いとしても、とにかく何か作戦が必要です。
どうやって370nmの波長を通すレンズを調達するか🤔

とりあえず、初手としてはなかなか優秀なガラス製のプリズムプレートを見つけたので、1ヶ月ほど掛かりますがアリエクから取り寄せてみました。

LeDio XS071純正アクリルレンズ(左)と、プリズムガラスプレート(右)
LeDio XS071純正アクリルレンズ(左)と、プリズムガラスプレート(右)

透過率を測ると…

プリズムガラスプレートの透過率
プリズムガラスプレートの透過率

おおおー!
プリズム処理がされてるとは言え、透過率76%強ありました‼
そしてUVAも透過率67%強が確保できてます‼
さすがガラスです✨

そして、このガラスプリズムプレートを採用する上で障壁となる構造的問題を解決するためのアルミリフレクターと組み合わせて完成したのが、冒頭のLeDio XS071改になります✨

LeDio XS071(左)とガラスレンズ仕様(右)
LeDio XS071(左)とガラスレンズ仕様(右)

ちなみにアルミリフレクターは企業秘密…
ではなく、ただのハトメです✨笑
コアな読者なら僕が2008年にもハトメを使ったことを知ってるだろう✨笑
あれから16年かぁ…

さて、気になるスペクトルは…

ワイドバンドバイオレットWBVの設計通りのスペクトルを実現
ワイドバンドバイオレットWBVの設計通りのスペクトルを実現

ドドーン!!!

370nmのピーク、385nmのピーク、405nmのピーク、420nmのピーク、それぞれ見事に出てるのが解りますか?

気になる純正アクリルレンズとのスペクトル比較です。

純正アクリルレンズとガラスレンズとのスペクトル比較
純正アクリルレンズとガラスレンズのスペクトル比較

370nmと385nmが完璧に出てくれました✨
しかも370nm×1発だけで他の波長×2発のピーク強度が出てるの凄い😳💦
やはりLGは偉大だった…

ビフォーアフターの測定データ比較です。
まずは純正アクリルレンズでのスペクトル測定結果。

純正アクリルレンズでのスペクトル測定結果
純正アクリルレンズでのスペクトル測定結果

そして、ガラス仕様でのスペクトル測定結果。

ガラス仕様でのスペクトル測定結果
ガラス仕様でのスペクトル測定結果

ひとつ気付かれましたか?
スペクトルは良いとして、PPFDがかなり弱くなって見えますよね?
そのカラクリの正体はビーム角の変化です。

LeDio XS071の純正ビーム角と、アルミリフレクターでのビーム角の比較
LeDio XS071の純正ビーム角と、アルミリフレクターでのビーム角の比較

これは特に狙った訳ではありませんが、使ったハトメの反射角の関係で、たまたまこのようなワイドビームになりました笑
純正は一極集中の狭角ビームなので直下のPPFDが高く現れていますが、今回のカスタマイズ品は光を分散して周囲にも光が拡がる優しい広角ビームになったため、直下のPPFD測定値が低くなったという訳です。

さて、この記念すべき世界初WBVワイドバンドバイオレットLEDスポット、4台も作っちゃってどうしましょうか🤔笑

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