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LEDスポットを改造してUVA 370nmを入れたい場合の問題点と解決策

  • 2025.06.12
  • LED
LEDスポットを改造してUVA 370nmを入れたい場合の問題点と解決策

※この記事は7-8分で読めます☝

以前まで、LEDスポットのカスタマイズに於いては、多くの純正レンズが紫外線を通さないアクリル素材であるため、残念ながらUVA 370nmを使用することができませんでした。※入れても良いけど370nmが出てこないし、すぐにレンズが焦げる
しかし、最近のカスタマイズで何度か370nmの搭載を試してみたところ、概ね良い感じで仕上がる方法をいくつか見いだすことができました。
ひとつは、以前ご紹介したリフレクター方式で、こちらは大胆にもハトメをリフレクターに使っちゃう斬新な方法でした☝笑
これにより、ビーム角は90-100°程度となり、ワイドではありますがノーマルのLED素子のビーム角よりは少し絞ったビームとなりました。
2つ目は、アルミパイプをカットして作ったリフレクターを使用する方法で、これはパイプ径と長さがミソですが、色々試せば好みのビーム角が作り出せます✨ ※あまり追い込むとロスが大きくなりますが
3つ目は、敢えて集光せず、LED素子自体の拡散ビームのまま使用して、水槽全体を照らす超ワイドビームとして割切っちゃう方法です☝笑
これは先日の超絶ワイドバンドブルー製作で用いた方法です。
4つ目は、LED素子自体にドームガラスレンズが採用されている素子を使用する方法です。これが最も楽ちんで簡単に鋭いビーム角が得られます。今回はこちらの方法をご紹介します。

LED素子のビーム角の基礎知識

そもそもLED素子ってどんなビーム角を持っているのか🤔?
例えば、こちらはメジャーなCree社の白色LEDです。

Cree XP-G3
Cree XP-G3
一般的なLED素子のビーム角
一般的なLED素子のビーム角

しかしこのままでは対象物を強く照らす事ができず、また横から見てても眩しいので、例えばアクアリウム用LEDライトでは集光レンズを併用してビーム角を80°前後に絞っています。

集光レンズの例
集光レンズの例
集光レンズにより絞り込まれたビーム
集光レンズにより絞り込まれたビーム

これで照射方向の光強度が高まり、また横方向への拡散光が減るので眩しさが軽減されます。

そして、こちらがUVA 370nmのLED素子です。一般LEDと同様に光が周囲に拡散します。

UVA 370nmのLED素子の例
UVA 370nmのLED素子の例
白色LEDと同様のビーム角
白色LEDと同様のビーム角

しかし、この370nmに集光レンズを組み合わせても、レンズが紫外線を通さないので、大部分の光エネルギーがレンズで損失してしまいます。※そして早々にレンズが焦げます

アクリルレンズは紫外線を通さない
アクリルレンズは紫外線を通さない

僅かに通っているように見えますが、アクリルの紫外線透過率はちょうど400nmから下がり始め、340nmでは完全に0%となりますから、370nmの場合400nmに近い側は辛うじて通るので、その分が見えていることになります。素材毎の透過率については、以前の水槽のフタ選びの記事を参照してください。

集光ビームを持つLED素子もある

そこで便利なのが、元々集光ビームを持っているLED素子を使う方法です。
例えばこちらは、約60°のビーム角を持つ370nmのLED素子です。

ドームガラスレンズを搭載した370nm素子
ドームガラスレンズを搭載した370nm素子
LED素子単体で60°のビーム角を持つ
LED素子単体で60°のビーム角を持つ

このようなLED素子を使用すれば、集光レンズが不要になり、あとは透明なガラス板で封印するだけで370nm入りカスタムLEDスポットが完成します☝
ただ、LED素子のパッケージによってはビーム角にバラツキがあり、例えドームガラスレンズ採用品であっても、必ずしも60°ではないです☝笑
僕の経験上、ドームガラスレンズの土台が厚いパッケージはしっかり狭角でしたが、土台が薄いモノはビーム角が広い傾向にありました。これはドームガラスレンズとLEDチップのクリアランスがビーム角に影響するためだと考えられます。また、ドームガラスレンズとLEDチップの間にシリコンが充填されている製品も、屈折率が変わるためビーム角に影響するようです。
従って、LED素子を中華通販で調達する際は、製品画像をよく見て選定するべきですが、必ずしも画像通りのものが届かないのが中華通販なので、ある程度は博打になるでしょう🥺笑

作例:XS071改 UVA 370+400nm

生産終了からかれこれ経過したボルクスジャパンのLeDio XS071を使ったレシピをご紹介します。このスポット、レンズ部がネジ式リングで固定されていて、組み立て剛性が高いので気に入ってます。そろそろ古いのでなかなか中古品も見かけませんが、お持ちの方はジャンクでも良いのでお譲りください🙏笑

ボルクスジャパン LeDio XS071
ボルクスジャパン LeDio XS071

まず、この純正レンズはアクリル樹脂製なので、UVA 370nmは通しません。なので、同径のガラス板を用意しておきます。僕はアリエクで見つけたプリズム仕上げのガラス板がお気に入りです。

純正レンズ(左)とプリズム処理ガラス板(右)
純正レンズ(左)とプリズム処理ガラス板(右)

LED素子の実装には純正基板を再利用しても良いのですが、LED素子の脱着で2度加熱する必要があるので、経験上基板の印刷面が焦げたり、最悪はパターン剥離を起こすので、可能なら別のアルミ基板を用意されることをお勧めします。僕は手持ちのモノ(自家製)を適当に使ってます。

XS071の純正LED基板
XS071の純正LED基板
LED基板はサイズ的に収まれば何でもOK
LED基板はサイズ的に収まれば何でもOK
LED基板用のネジ穴を加工
LED基板用のネジ穴を加工
リフロー済のLED基板を搭載したところ (配線用穴も追加)
リフロー済のLED基板を搭載したところ (配線用穴も追加)
プリズム処理ガラス板をリングに接着して封印
プリズム処理ガラス板をリングに接着して封印
XS071改 UVA 370+400nm完成!
XS071改 UVA 370+400nm完成!
LED素子の60°ビームがそのまま製品に反映されます!
LED素子の60°ビームがそのまま製品に反映されます!
完成品の実測スペクトル
完成品の実測スペクトル
370nm×4素子+400nm×3素子の破壊的なUVA強度!
370nm×4素子+400nm×3素子の破壊的なUVA強度!

ピーク波長の放射強度は軽く1300mW/m²オーバー✨
UVAのPPFDも100オーバーです✨

ちなみにバイタルウェーブⅡUVA370のUV強度がこちら。

バイタルウェーブUVA370のUV強度
バイタルウェーブⅡUVA370のUV強度

ピーク波長の放射強度は700mW/m²強、UVAのPPFDが40弱です。
よって、ピーク波長強度で約2倍差、PPFDで約3倍差です!

XS071改UVAとバイタルウェーブUVA370の波長強度比較
XS071改UVAとバイタルウェーブⅡUVA370の波長強度比較

具体的な費用としては、例えばLED素子はViosysのガラス60°品が7ヶで約1万円、LED基板は適当に使うとして、ガラス板はアリエクで約1000円、リフローはクリームハンダと小型トーチがあれば可能なので、あとはXS071の中古品をフリマで3000円程でゲットできれば、15000円程でできますね✨
もちろん工賃は入ってないので、僕に委託されるなら追加1万円で承ります🙏
ちなみに、バイタルウェーブⅡUVA370が15000円程なので買った方が早いかも知れませんが、より強いモノがご希望ならカスタマイズもありです☝

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