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Reach the Wide Band Blue ワイドバンドブルーに辿り着いたアクアメーカー

  • 2025.06.01
  • LED
Reach the Wide Band Blue ワイドバンドブルーに辿り着いたアクアメーカー

※この記事は5分で読めます☝

先日、あるアクアメーカーのサンゴLEDに関する開発日記を見つけて感動したので、ストーリー仕立てでご紹介しようと思います☝

今から30-15年前のサンゴ飼育界隈と言えば、照明は専らメタハラ蛍光灯が主流でした。特にLED照明が登場する直前には、細いT5 蛍光管が流行ってましたね。その代表的なメーカーがATIでした。

ATIのT5蛍光管
ATIのT5蛍光管

当時T5蛍光管は各社から発売されていましたが、いずれも人間の照明用を流用したもので、 蛍光管自体も多くがOEMだったため 、スペクトルも家庭用蛍光灯と大差ありませんでした。

ATI T5蛍光管の実測スペクトル
ATI T5蛍光管の実測スペクトル

ちなみに、AquablueSpecialは人間用の白球、BluePlusは汎用のブルー管、CoralPlusはその中間のスペクトルでした。幸い、各社ともUV補完用のActinic管を提供していたのでUV域の強化は可能でしたが、シアン光を補完する蛍光管はありませんでした。参照:T5:波長欠落(2013/2/11)

とは言え、こうした蛍光灯でもそれなりの実績は得られており、ブルー蛍光やシアン蛍光のサンゴには不十分でしたが、幸いサンゴの多くはグリーン蛍光やレッド蛍光であり、それらはブルー光だけで十分色が揚がるため、ブルー主体スペクトルでも育成や色揚げに問題ないと解釈されていた時代だったのです。
特に、EcotechMarineがリリースしたLED照明Radionシリーズでは、このATIのAquablueSpecialとBluePlusを80%:20%で混合して作ったブルー主体スペクトルを「AB+」と称して、長きに渡りアクアリストへ布教してきました。

ATIのAquablueSpecialとBluePlusを8:2で混合して作ったAB+スペクトル
ATIのAquablueSpecialとBluePlusを8:2で混合して作ったAB+スペクトル


EcotechMarine Radionシリーズのスペクトル
EcotechMarine Radionシリーズのスペクトル

そうなると、各社のサンゴLEDもこのスペクトルに倣い、似たようなスペクトルの製品が巷に溢れる結果となりました。※一部のメーカーを除く(笑)
そして、ATI自身がリリースしたサンゴLED Siriusも、例に漏れずこのスペクトルとなりました…

しかし、そのブルー主体スペクトルを盲進してきた中で、あるとき真実に辿り着いたメーカーがいました。それが、そもそものブルー主体スペクトルの根源となったATIだったのです☝
僕が先日見つけたのは、2017年のATIの開発日記(英語)でした。※翻訳してご覧ください
その記事の中には、海中スペクトルの理解や、サンゴの蛍光に必要な400-490nmの波長範囲について書かれていました。そして、それを満たすフルスペクトルとして行き着いたのが、ワイドバンドブルーWBBのフルスペクトルだったのです‼

ATIの記事 (スクショ)
ATIの記事 (スクショ)

この時点ではまだシアンこそ盛り込んでませんでしたが、400nm/430nm/450nm/470nmの混合で、なかなかのワイドバンドブルーを作ることを想定していたようです✨
ここに辿り着いたのは本当に素晴らしいですね‼
記事を見る限り、恐らくドイツのHenning Wiese氏が開発に関わっている?ようですし、スペクトルに詳しい彼なら不思議はありません☝

こうして、ATIは2019年に初のサンゴLEDワイドバンドブルー機となるSTRATONを、次いで2022年にSTRATON PROをリリースしたのです✨
参照:ATIから凄いLEDがリリースされていたぞ!?(2022/10/31)

ATI STRATON
ATI STRATON
ATI STRATON PRO
ATI STRATON PRO
ATI STRATON PROのスペクトル
ATI STRATON PROのスペクトル

見てください、この素晴らしいスペクトル✨
Radionが10年に渡り盲進してきたATIのT5スペクトルを、ATI自身が打ち壊し、ワイドバンドブルーへ舵を切ったのです✨
しかも、当時は除外していたシアンも最終的に盛り込まれています‼
開発日記の時点では「UVAやシアンの必要性はまだ薄い」と書いてましたが、その後の製品化に際して恐らくシアンの必要性にも気付かれたのでしょう。ホントに素晴らしいです✨
ただ、残念ながらまだ日本では販売されておらず、PSEや電波法の問題をクリアする商社が現れない限り難しいでしょうね。PSEは販売側の責任だけど、電波法は使用者が罰せられるので、かなりハードルは高いですからね🥺

ところで、AB+を盲進してきたRadionの動向が気になりますよね。やはりATIと同じようにEcotachMarineも開眼し、きっとRadionもワイドバンドブルーへ進路変更したに違いない‼
そして、STRATON以降にリリースされたRadion G5/G6のスペクトルがこれだっ☝1. 2. 3…

ATI STRATON PROのスペクトルとRadion G5/G6のスペクトルの比較
ATI STRATON PROのスペクトルとRadion G5/G6のスペクトルの比較

ドーーーン‼
反映されてなーーーい💦
いや、G5はタイミング的に間に合わなかったとしても、せめてG6ではWBBを採用するべきだったのでは🤔?
だって、AB+の元になったATI自体がAB+を辞めたんだから…🥺

EcotechMarine Radion G5/G6のスペクトル
EcotechMarine Radion G5/G6のスペクトル

なるほど… RadionはまだまだATI蛍光灯時代のAB+を盲進していくのですね…
それでも僕は叫び続けます。サンゴとアクアリストのために、そしてRadionの未来のために☝

オマケ

その他、ATI以外にもワイドバンドブルー推しのLEDがあるのでご紹介しておきます☝

まずはillumagic X4☝

illumagic X4 SW
illumagic X4
illumagic X4 SW (SW2-SW3) スペクトル
illumagic X4 SW (SW2-SW3) スペクトル

illumagicのCozerは僕と同じUV推しなのでUVは盛り盛りです☝
ただ、シアン球は一応入ってますが、2発だけだと弱いかな🤔
今後に期待です☺️

続いて、ボルクスジャパン Grassy Core X200 Reef☝

ボルクスジャパン Grassy Core X200 Reef
ボルクスジャパン Grassy Core X200 Reef
ボルクスジャパン Grassy Core X200 Reef スペクトル
ボルクスジャパン Grassy Core X200 Reef スペクトル

Coreは価格がやや手頃なので僕もよくお勧めしていますが、実力的にも優等生で、UV域もRadionより倍以上あるし、シアン球も4発入っててそこそこの強度があります🫡

オマケのオマケでeco-lamps SPECTRA SP200☝笑

eco-lamps SPECTRA SP200
eco-lamps SPECTRA SP200
eco-lamps SPECTRA SP200 スペクトル
eco-lamps SPECTRA SP200 スペクトル

こうして見ると、なんだよシアンこれっぽっちか🤔と思われるかも知れませんが、シアン光強度ってLEDで確保するのが難しい波長なんです💦
話すと長くなりますが、まあ現時点での技術の壁ってヤツです☝笑
近い将来、ペロブスカイトでゴニョゴニョできる時代がくるんかなぁ…🤔

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