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Radion G6のスペクトル予想と検証

  • 2022.05.13
  • LED
Radion G6のスペクトル予想と検証

昨日のReefBuildersの記事で、来週初めに公式発表予定のRadion G6について、Jakeが先行して紹介してくれました。その内容が非常に興味深かったので、僕の方でも早速色々と検証してみたので紹介しておきます。来週の EcotechMarine からの公式発表待ちまでの時間つぶしにどうぞ♪

G6ではUV系LED素子が増強され、光学レンズも更にワイドに!

これは非常に素晴らしい決断だけに、リリースが急がれた理由として十分だったと感じました。EcotechMarine グッジョブ✨

まず、ついにUV素子がガッツリ増えます‼ ブラボー✨
まー僕も度々声をあげてきましたが、きっとユーザーからも切望が強かったのでしょうね。しかも395nmを新設するって最高じゃないか‼

また、レンズが更にワイドに進化するようです‼ ブラボー✨
その分、直下のPPFDは下がりますが、サンゴを全方位から光で包み込むことを優先したようです。ついにSPECTRAのVビームリフレクターが脅かされる日がくるのか⁉

そこで今回は、スペクトルの進化について掘り下げていきたいと思います。

LED素子構成を読み取ってみました

ReefBuilders で紹介された各モデルの画像を元に、LED発光面の発光色から各波長の個数をカウントして、各チャンネルのLED素子構成を読み取りました。
例えば、G6 Blueはこんな感じです。

G5との比較は以下のようになりました。

ReefBuilders の記事では、「395nmを追加した」「405nm/415nmを増やした」「430nmを倍増した」と書かれてありましたが、あくまで画像から読み取ると上記のようになり、特に405nm/415nmの増加は分かりませんでした💦
とりあえず答え合わせは来週の公式発表を見てからになりますが、それまでの暇つぶし程度に以下読み進めてください笑

とりあえずこの素子構成が正しい前提で見ていくと、G6のUV系素子の配合率は以下のようになります。

Radion G1 : UV系素子配合率 0%
Radion G2 : UV系素子配合率 19%
Radion G3 : UV系素子配合率 19%
Radion G4 : UV系素子配合率 26%
Radion G5 Pro : UV系素子配合率 12%
Radion G5 Blue : UV系素子配合率 14%
Radion G6 Pro : UV系素子配合率 18%
Radion G6 Blue : UV系素子配合率 22%

RadionはG4までは着々とUV系素子が増加していきましたが、G5になった際にLED素子総数が一気に100素子に増えたにも関わらず、UV系素子はG4と同じ数を踏襲したため、相対的にUV系素子の配合率が極端に下がってしまいました。しかし今回のG6でそれを少し取り戻す形になったようで安心しました✨

こうした仕様のフラつきは、悪く言えば製造元の迷走とも言えますが、よく見ればフットワークの軽さとも言えます。所詮作ってるのは人間ですし完璧ではありませんから、間違うこともあるし後から更なる最善策を思いつくこともあります。それを都度進化を目指して取り組んでる訳なので、ファンなら応援したいですね。作り手とユーザーが進化を共にできるのも、LEDがまだまだ伸びしろのある分野である証拠と言えるでしょう。

その前に、G5の当時の公称スペクトルと実測値との比較を見てみる

G5リリース当時、EcotechMarine が発表した公称スペクトルがこちらです。

Radion G5 公称スペクトル

そして、実際にスペクトロメーターで測定したスペクトルがこちらです。

Radion G5 実測スペクトル

それぞれの差はこんな感じです。(アッキーさんG5 Blueのスペクトルありがとう✨)

Radion G5 公称 vs 実測スペクトル比較

実測スペクトルを見る限り、Violet 430nmの波長強度が設計通り出てない印象です。また、G5 BlueのCyan 500nmも弱いですね。
とりあえずこんな背景があったことを踏まえて、以下へ読み進めてください。

G6 Blue 公称スペクトルの検証と最適化

また、ReefBuilders に載ってた G6 Blueのスペクトルを見たら、何やら不可解だったので、詳しく見てみました。すると、RoyalBlue 450nmの波長がかなり短波長側に低く、どう見ても440nmになってました💦
OSRAMのDeepBlueなら440-445nmはありがちだけど、RoyalBlueはCreeの450nmだと思うし、だったら経験上まず450nmだと思うなぁ🤔
しかも、Violet 430nmも420nmに見えるし、これ多分グラフの配置ズレなのかな🤔
という解釈の末、以下のように調整して最適化してみました。

Radion G6 Blue 公称スペクトルを調整して最適化したもの

うん、これならしっくりきます💦
こちらは来週の公式発表では答え合わせできないので、発売後に測ってみるしかありませんね🥺
逆に本当に450nm→440nmに変更してたら、それはそれで凄いことだけど、でもその場合Violetも420nmに変更したってことになるし、何よりブルーからシアンまでゴッソリ欠けてしまうので、まさかそんな変更はしないでしょう💦

LED素子構成の予想を元にRAYCALでG6スペクトルを再現して確認

つい先日、8年ぶりにリニューアルした波長計算ツールRAYCAL(元SPECTRA)を使って、G6スペクトルが計算通りに得られるか検証してみました。
RAYCALは1.023worldのトップページのココ↓からアクセスできます✨

まずは、G6で使用されているLED素子を、RAYCAL内のサンプルLEDを複製して作成していきます。例えば、400nmのデータをCSVでダウンロードして、テキストエディタで5nmズラした395nmデータを作り、RAYCALへアップロードしてmyDataへ登録、という感じで、一通りのLED素子データを作成しておきます。尚、サンプルLEDの光量は1Wドライブ時の値なので、G6は恐らく2Wドライブですから、それを約1.4倍した値を2Wドライブ時の光量として登録すると良いでしょう。ちなみに、多くの場合ビーム角は理論通りの配光になってないため、馬鹿正直に公称通りのビーム角を放り込んでも照度やPPFDは正しく出ません💦
そのため、通常は現実的な値になるようにビーム角を補正入力していくのですが、今回はとくに光強度には言及せずにスペクトルだけ検証したいので、ビーム角は無視して構いません。

では、G6 Proから。

G6 ProのLED素子構成をRAYCALに放り込んでスペクトルを検証

続いて、G6 Blue。

G6 BlueのLED素子構成をRAYCALに放り込んでスペクトルを検証

さらに、それぞれをG6 ProとG6 BlueとしてmyDataへ登録して、RAYCAL上で比較したモノがこちらになります。

RAYCALで作成したG6 ProとG6 Blueのスペクトル比較

このうち、G6 Blueのスペクトルは ReefBuilders で紹介されていたので、このRAYCALでの計算結果と比較したモノがこちらです。

G6 Blue 公称スペクトルとRAYCAL計算結果との比較

まず大前提として、G6 Blueの450nmの波長強度は32球で築かれています。一方430nmは12球なので、これらの波長間の相乗強度を無視した単純計算では、430nmの波長強度は450nmの4割弱になるはずです。しかし公称スペクトルでは430nmが450nmの6割に達する波長強度に見えるため、その時点で怪しさを感じてました💦 470nmについても同様です。
そういう意味では、RAYCALの計算結果は妥当に見えませんか🤔笑

以上、駆け足でG6の進化に触れていきましたが、UV系素子の強化にしろ、光量の均一分布を目指したレンズのワイド化にしろ、なんだか名指しで追いかけられてる気がしてこそばゆく感じたSPECTRAユーザーさんも多いのではありませんか?笑
恐らく、すでに珊瑚色管理2022をご購入いただいた方はご存知のことと思いますが、実は瓦版のラスト32号で、僕からEcotechMarineへのエールとして、「レンズは凄い良い仕上がりだし、あとはもっとスペクトルを仕上げようよ♪」的な応援メッセージを英語で綴っておりました✨笑
それが伝わったかどうかは置いといて笑、とにかくRadionユーザーにとってまたひとつ道が開けたことは本当に喜ばしく思います。G5からのアップグレードキットも出るそうですし、少なくともG5ユーザーが置いてけぼりにならなくて本当に良かったです✨

あ、珊瑚色管理2022は、1.023world BASE店でご購入頂けますよ✨笑


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