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アクア視点のLED講座:美味しい白の話

マリンアクアリウム エイジ 04:15
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なんか、すっかりGW真っ盛り?のようで、おもてはすっかり静まりかえってるだわ。
みんな、どこへ行ってしまったのかしら。
僕はここにいるよ。。。

かと思えば、どこからともなく懐かしいメロディが。
あぁ、やっぱり。カエルの大合唱のようですよ。
ん。あれって春だっけ?

なぁんて、風流に舌鼓♪
いや、カエルは食ってない。
って、何の話だっけ。
あ、えるいぃでぃの話だわ。
みんな居ないみたいだし、暇つぶしにアクア向けLED講釈でも書き散らすんだわ。

最近、何かとアクアを賑わすLEDですけど。
でも僕らが議論すべきLEDは、あくまでアクアな世界のLED
間違っても一般照明のLED要素なんて持ち込むと、大変ややこしくなるので注意のこと。

例えば演色性。
LEDは演色性が悪いだの、蛍光灯のがマシだの、と言うのは人間の目で見た場合の話。
海洋生物はそんなもの求めてませんだわ。
光合成や代謝に必要な波長があるかどうか、それに尽きます。

疑似白色と言う呼ばれ方も、これは人間様の表現。
「白色LEDはさ、青発光と黄色の蛍光体で作った嘘の白なんだよね」
「RGB素子の白はさ、光の三原色だから、マジ白いんだよね」
だからね、これは人間様の目の都合のお話。

白く見えるかどうかが重要ではなく、生体に必要な波長を含むかどうかが重要なのです。
「光の色が何色に見えるか」と考えてしまうと、大変な間違いが起こります。

例えば、赤と青を混ぜて紫に見える光を作りました。でもそれはUVを欲する生体の要求を満たすでしょうか?
いえ。混ぜたからと言って400nmの波長にはなりません。ただの赤青光です。
例えば、赤と緑を混ぜて黄色に見える光を作りました。でもそれは黄色を欲する生体の要求を満たすでしょうか?
いえ。仮に赤650nmと緑500nmを混ぜても、あくまでもそれらを含むと言うだけの光に過ぎません。黄色の550nmの波長が湧いて出る訳ではないのです。

別の言い方をするなら、そもそも黄色の物体がなぜ黄色に見えるのかと言うと、それは太陽光の波長帯域のうち黄色の帯域を反射し、逆に他の帯域を吸収するからです。
しかし、赤と緑で作った黄色に見える光を黄色い物体に当てても、そもそも黄色の波長が含まれていない訳ですから、黄色の物体は黄色の光を反射させることができません。要するに、「黄色を主張することが出来ない」と言うことになります。

この事に気付けば、人間の都合の白色と、海洋生物の都合の白色、どちらが疑似白色なのか立場が逆転します。

RGBで作った白は各色の中間色が欠けてますから、シアンや黄色を正しく照らす(反射させる)事が出来ません。
一方、人間が言う疑似白色のLEDは、蛍光体による励起帯の両端は弱いものの、とりあえず青~赤までの波長のほぼ全域を含んでいますから、生体にとっては利用すべき波長が少なからず満遍なく存在するため、むしろ有り難い白色と言えます。
そう。生体から見れば、白色LEDの方が美味しい白色であり、RGBこそが疑似白色と言える訳です。

と言うことは、人間がRGBによる白色光を自慢げに生体に与えても、生体にしてみれば「黄色入っとらんやんけ」「わしゃ、おまえらが言う疑似白色の方がええのぉ」と言う事になりそうです。

但し、シアンや黄色を利用する生体は、海洋生物でこそ多種多様に存在(カロテノイド系光合成色素がシアン、フィコビリン系光合成色素が黄色を利用)しますが、陸生植物や水草あたりではクロロフィル光合成色素がメインなので、対象は少ないでしょう。
淡水か海水か。ここにも大きな都合の違いがありますね。
淡水なら、とりあえずクロロフィルを対象に青と赤を与える事になるので、RGBでも活躍の場がありそう。でも極端に言えば、先の例のように、青と赤で作った紫でも十分かも(笑)
ただ厳密には、クロロフィルの光合成に本当に必要な赤(600nm後半、FR等)は、一般的な赤LEDでは得られないので、やはりそれらも僅かに含む白色LEDに分がありそうです。それか、電球色LEDや橙色LEDを混ぜた方が手っ取り早いかな。

さあ、一般照明業界で議論される「白」を水槽に持ち込むのはやめましょう♪
光がどう見えるかよりも、光を受けた生体がどう主張できるのかを考えるのですっ。

光合成色素の吸収スペクトル

参考:光合成色素の利用波長帯域(ラインの色が色素色)
青~シアン帯域をカロテノイド系色素が、緑~黄色、黄色~橙帯域をフィコビリン系色素が利用しているのが判る。

光合成色素の吸収スペクトルとLEDの波長帯

参考:先の図にLED各色の出力帯域を重ねたもの
一般的な赤LEDでは、クロロフィルbは辛うじてかすめるが、クロロフィルaはカバーできていない。しかしアンバー色やオレンジ色LEDはクロロフィルaもカバーしている(白色LEDも僅かながらカバー)。またフィコビリン系色素に対しても赤LEDはフィコシアニンのみをかすめる程度だが、白LEDならばフィコシアニンもフィコエリトリンも完全にカバーできている。
よって、RGB3色による白色では、いずれの光合成色素も中途半端でしかカバーできないため、アンバーかオレンジを追加すべきである(但し、黄色LEDでは不完全)

結論:水槽用LED照明で白を実装するには、白LEDや電球色(アンバー)を用いましょう。RGBを使う場合でも、中身は青・緑・赤の素子を混在させる事と同義なので、尚のこと白かアンバーで補強しすると良いでしょう。

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コメントとトラックバック

  1. 1. つっち 2010/05/03 11:54

    RGBの場合はマイコンを使いこなせることが前提になりますね。(色を固定するなら別だけど、せっかくだもんね)
    また、各素子が要求する電力も違いますから、回路もややっこしくなりますね。

  2. 2. エイジ 2010/05/03 23:54

    太陽の移動による海中での色温度変化、要するに波長比率をそれなりに再現、と言う意味では凄く有意義だと思います。
    とは言え、実際に海中に居ると、比率の変化ってあまり感じた記憶が無いですよね。明るいか暗いかは判るんですが(汗)
    そう考えると、比率を弄るよりも、単に強弱でも良いような気もしてきます。
    人間の目で見た風景では、確かに朝焼けとか夕焼けがあるんですが。。。海中での有効性はまだ判んない。。。
    でも、鑑賞ではなく養殖と言う点では、効率よく波長をブレンドすることは重要ですね。見た目はどんな色になるのか怖いけど。。。汗

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