久しぶりにシステムLEDライトのレビューをお送りします。
今回はAQUA SANRISE PLUSです。
■最新システムLEDライト・レビューシリーズ
昨年のMACNAで初めて現物を見ましたが、深圳のSOSHIがやってるSANRISEのシステムLEDライトAQUA SANRISE PLUSが、遂に日本上陸です。しかも日本オリジナル仕様になってやってきました! その名もMMCスペシャル!
そうです。この度エムエムシー企画がSANRISEの総代理店に決まったそうです。
SANRISEは前々から日本の代理店を探していましたが、まさかMMC企画を口説き落とすとは、なかなかの強者ですね(笑)
個人的にはMMC企画にはIllumagicの総代理店になって欲しかったのですが、Illumagicはかれこれ2年ほど日本とは距離を置いているので、まあ止むを得ませんね。そもそも新型のリリースも遅れてるみたいだし。。。
ともあれ、これでSANRISEが本格的に日本に入ってくることになった訳ですが、我々アクアリストにとって選択肢が増えることは大変ありがたいことですね。
既にMMC企画のサイトにAQUA SANRISE PLUS MMC Special専用ページがありますので、興味のある方はご覧ください。
AQUA SANRISE PLUS MMC Special 外観
外観はMACNAで見たAQUA SANRISE PLUSと同じですね。
あり? ファンカバーが格好良くなってない?
ま~とにかく薄いです! この薄さは間違いなくセールスポイントになるでしょうね。
筐体も重厚な金属製で、中華にありがちなチープさは感じられません。
写真は幅560mmのR60というモデルですが、この他にR30(幅235mm) / R45(460mm) / R90(860mm) の計4種類がラインナップされています。
AQUA SANRISE PLUS MMC Special ビーム角
MMC企画の製品ページでは特にレンズのビーム角については触れられていませんが、本家AQUA SANRISE PLUSには90°/120°の2種類のレンズが用意されていて、このうち90°レンズが日本仕様に採用されています。
ただ、上の写真の通り、90°と言っても優に120°はあります(汗)
まあその分、光の混ざりは良いですけど、放射照度には不利となります。
90°/120°レンズそれぞれのビーム角を比較するとこうなります。
120°レンズは余裕で150°オーバーです(汗)
まあ、まず使う機会はないと思うので、供給は90°レンズのみで十分ですね。
ちなみに、このレンズについて以前SANRISEの担当者と話したことがありますが、どうやら面発光のフラットなPAR分布にこだわってる感じで、それはむしろ自慢のようでした(笑)
ただ、現状はビーム角が広すぎてPAR強度不足が否めない状況なので、「もう少し光学的に煮詰めていけばPARは更に上がるよ」とは伝えてあります。今後に期待です!
SOSHIは元々電子機器メーカーなのでアクアに関してはこれからですが、今後はさらに良いアクアな出会いに恵まれて、伸びていくことを祈ってます。まずはMMC企画との出会いを果たせて好スタートでしたね♪
ちなみに、レンズが広角だから使い物にならないと言うことはありません。あくまで放射照度がビーム角で決まると言うだけで、製品のLED数や駆動電力が同じなら、光源が持つ光の量(光束・放射束)は大して変わりません。だから、発せられた光をすべてかき集めることができれば、集光レンズに迫る光量は稼げるのです。
こんな感じで、水槽外へ漏れる光をすべて水槽に収めるべく、LED照明を水面へ近接させることで、照射距離接近による放射照度アップと漏れ光の回収による放射照度アップがダブルで効いて光量はアップします。例えば、今回のSANRISEでもR30の30cm PPFDは僅か300 umol/m2/s程度ですが、距離を半分まで詰めれば15cm PPFDは軽く800オーバーです。直下PPFDだけでもそれくらい違うのですから、漏れ光の回収分まで含めるともう少し伸びるでしょうね。なので、純正のスタンドあたりを使えば水面にも近くなるし、放射照度的にはあまり不便はないでしょう。ご安心を。
AQUA SANRISE PLUS MMC Special 採用LED
AQUA SANRISE PLUSはLED素子がひとつずつ独立して脱着が可能なので、もし将来的に素子単体もオプション販売されるようなら、一応カスタマイズも可能にはなります。
ただ、現状のチャンネルはほぼカラー毎に分けてあるので、あんまり異なる波長をチャンポンすると、チャンネル分けの意味がなくなっていきますね。そして、あとで混乱して訳が判らなくなるでしょう♪笑
一昔前のシステムライトはチャンネル数が少なかったので素子のチャンポンは日常茶飯事、むしろ波長を補う上で不可欠でしたが、最近の製品はチャンネル数も多くなってますから、近年の波長のカスタマイズは素子チャンポンからチャンネル調光に置き換わったと言えるでしょう。要は、必要な波長はすべて揃ってるので、あとは調光さえ極めれば、素子のカスタマイズは不要なのです。
そして、本家AQUA SANRISE PLUSとの大きな違いは、採用LEDの波長です。
CH. |
AQUA SANRISE PLUS
オリジナル |
AQUA SANRISE PLUS
MMCスペシャル |
A |
White 7000-8300K |
White 6000-7000K |
B |
RoyalBlue 450-465nm |
RoyalBlue 450nm
Blue 470nm |
C |
Blue 465-485nm |
Violet 420nm |
D |
Violet 420-430nm
UV 405-410nm |
UV 400nm |
E |
Red 620-630nm |
DeepRed 660nm |
F |
Green 520-535nm |
Cyan 500nm |
細かな波長誤差はスルーするとして(笑)、EチャンネルとFチャンネルを見て下さい。
サンゴがあまり吸収しない赤630nmを クロロフィルaに有効な深赤660nmに変更し、また緑520nmを より蛍光タンパクに効果的なシアン500nmへ変更しています。
その結果が、この採用LED群です。
シアン500nmも深赤660nmも、お手本のような手堅いところを攻めてきましたね!
Lumileds RebelもOSRAM OSLONもなかなか高価ですが、品質も性能もピカイチですからね。もちろん溶接パターンがCreeとは異なるので、Rebel/OSLON共に専用パターンのLED基板を作る必要はありますが、そうした手間をかけてでも使いたいLED素子です。だから、こういうことをしっかりやるには、製造側のスキルだけではなく、発注元にも資本力が必要ってことです♪
ま、欲を言えば、白LEDと同じようにRoyalBlue 450nmにもXT-Eが欲しかったかな?
とりあえず詐欺も偽装も見当たらないので、気持ちよく太鼓判をポンっとな♪笑
ちなみに、LEDデザインは割愛しますので、製品ページでご確認ください。
AQUA SANRISE PLUS MMC Special 操作性
SANRISEの売りのひとつに、操作性があります。
特筆すべきはコレ!
コタツのように、手元で素早く安全に電気切れます(笑)
いや、冗談じゃなくて、これなかなか重要ですよ。
だって、僕も咄嗟に電気切ろうと思ったら、RadionもHydraも切り方判りません♪爆
そんな機械音痴には、コレ最高です~♪
そして、もちろん本体でも操作できます。コレもとても重要♪
だって、本体に操作系を持たない製品、結構あるのよ! RadionとかHydraとか(笑)
その点、SANRISEはちゃんと本体でも調光できます♪
もちろん、流行のスマホ+WiFiでも調光できちゃう♪
*写真のアプリは本家用なので、B/C/Dチャンネルの波長が異なります
調光に応じてスペクトルがシミュレーションできるのも良いね♪
簡単な動画も用意しました。
*動画のアプリは本家用なので、B/C/Dチャンネルの波長が異なります
AQUA SANRISE PLUS MMC Special ファン
僕は、SANRISEのファンがお気に入りです(笑)
遠心ファンていうのかな。普通のファンは前面から吸気して後方へ排気だけど、このファンは吸気を直接的に水平方向への排気に変換するので、なんか効率が良さそう♪
AQUA SANRISE PLUS MMC Special スペクトル
まずは、製品スペクトルです。
30cmモデル R30のスペクトル。
45cmモデル R45のスペクトル。
60cmモデル R60のスペクトル。
90cmモデル R90のスペクトル。
LEDデザイン的には波長比率は青系:UV系=3:2くらいなので、他社と比べてもなかなかの量のUV系素子が搭載されています。ただ、その割にUV強度が弱いのは、青系に比べてUV系の素子のランクが低いからでしょう。パッと見ただけでも波長強度差が倍以上あるのが判ります。そこがちょっと残念。。。とは言え、それでも他社と比べれば、このUV量ならRadionやHydraよりも強かったはずです・・・が、如何せん広角レンズのせいでUV以前に全体的に放射照度が低くなってしまいました。つくづく残念。。。ただ、シアン系に至っては470nmと500nmがしっかりと効いて、あくまでもスペクトル上では白LEDの欠落分を完全に補完できていました。
これら4サイズの30cm直下のスペクトル強度(PPFD)比較がこちら。
R30はR45の半分のLED素子数しかないのでかなり控えめなPPFDとなってますが、R45以上は似たり寄ったりのPPFDとなっています。なぜか? 面発光だからです。どんなに大きいサイズになっても、むしろ端のLEDは中心から遠ざかっていくので、測定器のセンサーでは拾われません。要するに、面発光タイプのLEDライトの光量測定は、所詮センサーの真上のLED群の光しか拾えていない、ということです。
さらに、AQUA SANRISE PLUS新旧比較として、元々のオリジナルとMMCスペシャルのスペクトルも比較してみましょう。
まずは相対スペクトル。要はスペクトルバランスの比較です。
ブルー450nm主体のありがちなアクアLEDから、波長全域にリッチなスペクトルに生まれ変わりました。特に400nmと500nmと660nmの量に注目ですね。
但し、これはあくまで相対グラフなので、実際のスペクトル強度比較はこうなります。
強すぎたブルー450nmと決別し、その分400nmと500nmに均等に分配してますね。
こりゃ~相当強い戦闘力を持つLEDスペクトルデザイナーが関わってますね~♪
AQUA SANRISE PLUS MMC Special PAR分布
最後に、いつものお役立ちPAR/Wattグラフをどうぞ♪ (クリックで大画像)
AQUA SANRISE PLUS MMC Special R30 (30cm)
無断転載禁止 / Unauthorized reproduction prohibited.
Gebrauchen die Bilder ohne Genehmigung verboten.
AQUA SANRISE PLUS MMC Special R45 (45cm)
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Gebrauchen die Bilder ohne Genehmigung verboten.
AQUA SANRISE PLUS MMC Special R60 (60cm)
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AQUA SANRISE PLUS MMC Special R90 (90cm)
無断転載禁止 / Unauthorized reproduction prohibited.
Gebrauchen die Bilder ohne Genehmigung verboten.
そして、開けちゃいますよパンドラの箱、♫ぶっちゃけ他社と比べてどーなのよ比較~!
確かに、レンズのせいで直下の最大PPFD値が500台しかありませんが、PAR/Wattは決して悪くはなく、レンズさえ極めたら各社の脅威になり得るポテンシャルはあるでしょう。
但し、上のグラフは一番大きな90cmモデルで比較しました。ハンデです(笑)
ただ、これだけだとメッチャ弱く見えるので、名誉挽回グラフ(笑)も見てみましょう。
■Average PPFD on 84×60cm2 @30cm
これは、製品設置下の84×60cm2の空間全体に降り注ぐPPFDの平均値をグラフ化したモノです。これを見れば、PPFD平均値ではRazorと同等のスペクトル強度が照射されていることが判ります。
そもそもSANRISEは広角レンズ&面発光なので、点光源型製品と直下PAR強度で比較されたら分が悪いのです。それはKRも同じ。KRはレンズこそ広角ではありませんが、ボディサイズに応じた面発光構造はSANRISEと同じ。だから、平均値で比較してこそ、水槽全体に広がるPPFD分布の強さが判るという訳です。
とは言えSANRISEさん、僕としては新レンズの開発を熱望しちゃうぜぇ~?笑
ところで、こうやって各社のスペクトル眺めていると、現状の各社アクアLED製品のスペクトルは、およそ以下のように大別できることに気付きました。
- 450nm タワー型 / 450nm Tower Type
- 450nmテント型 / 450nm Tent Type
- 400-500nmウォール型 / 400-500nm Wall Type
水深に例えると、こんな感じかしら。
アッチョンブリケ♪
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