ヤドカリネタが続いております♪
昨年のことですが、オキナワアカシマホンヤドカリがようやく決着したようです。
このたびの研究(Komai, T., C.-H. Yang, J. Okuno & T.-Y. Chan, 2011)で、本種の処遇はこのようになりました。
オキナワアカシマホンヤドカリ/Pagurus pilosipes (Stimpson, 1858)
↓
オキナワアカシマホンヤドカリ/Boninpagurus pilosipes (Stimpson, 1858)
そう、ホンヤドカリ属からBoninpagurus属への帰属変更です。
また、属の和名もオキナワアカシマホンヤドカリ属と決まったそうです。
そして、さらに驚くべき事実が!?
なんと、これまでBoninpagurus sp.とされてきた不明種も、今回このオキナワアカシマホンヤドカリに分類されたのです!
・・・え?
アレが・・・コレ???
コレ
アレ
どちらも、オキナワアカシマホンヤドカリ/Boninpagurus pilosipes (Stimpson, 1858) ということに。。。
コレの方は、2003年に沖縄から数個体購入したことが有り、いずれの個体も大きく、特徴としては第一触角が全体的に褐色~ウグイス色で、黒いバンドは入りません。
一方、アレの方は、僕が最初に見つけたのは2004年の越前海岸でしたが、その後高知や南紀からも報告が続きました。いずれも小さな個体で、一番の特徴は第一触角に黒いバンドが上下2本入る点です。
この「黒いバンド」の有無こそが、この両種の安定的な特徴だったのですが。。。
それが、今回の調査で、DNA解析からも別種を裏付ける決定打が見つからず、あえなく同種と判定されたそうです。
そんなこと、あるんですねぇ。。。
ま、でも長年の混乱が解けて本当に良かったです。
当時、コレの件で相談させてもらった際、駒井先生は既に動いておられましたから、ざっと10年超の研究成果ということですもんね。
本当におめでとうございます&お疲れ様でした~。
では、引き続き次のヤドカリを宜しくお願いします(笑)
最後に、アカシマホンヤドカリシリーズの解決を祝して、本シリーズの走馬燈をどうぞ♪
クロシマホンヤドカリ/Pagurus nigrivittatus Komai, 2003
2003年以前まで、アカシマホンヤドカリ/Pagurus pilosipes (Stimpson, 1858)に混同されてきた種。
2003年の駒井先生の論文により新種として分類された。
こちらは珍しい赤い個体。
アカシマホンヤドカリ/Pagurus erythrogrammus Komai, 2003
2003年以前まで、アカシマホンヤドカリ/Pagurus pilosipes (Stimpson, 1858)と記載されてきた種。
2003年の駒井先生の論文により新種として分類された。
本種は、成熟個体は十分に赤いが、若齢個体は赤味は弱く褐色に近い。
ゴホンアカシマホンヤドカリ/Pagurus quinquelineatus Komai, 2003
2003年以前まで、アカシマホンヤドカリ/Pagurus pilosipes (Stimpson, 1858)に混同されてきた種。
2003年の駒井先生の論文により新種として分類された。
ゴホンアカシマを最初に見つけたのは2000年の南紀でした。懐かしい。。。
オキナワアカシマホンヤドカリ/Boninpagurus pilosipes (Stimpson, 1858)
2011年以前まで、オキナワアカシマホンヤドカリ/Pagurus pilosipes (Stimpson, 1858)と記載されてきた種。
2011年にオキナワアカシマホンヤドカリ属/Boninpagurus Asakura & Tachikawa, 2004へ帰属が変わり、種名をPagurus pilosipesからBoninpagurus pilosipesに変更。
また、Boninpagurus sp.もDNA解析の結果、本種に分類された。
まさかこの子がオキナワアカシマホンヤドカリになるとは。。。
沖縄アカシマホンヤドカリとは言うものの、越前海岸にたくさんいます。。。笑