役者が揃ったので、LEDを使った簡単な蛍光実験をご紹介します。
と、その前に「蛍光」の予備知識を簡単に。
蛍光とは、吸収した光エネルギーに励起され異なる波長の光を放つ現象のことで、光源に対して必ず長波長側の光として現れます。
短波長/長波長と言うのは、光色の違い=光の波長の違いでもあり、短波長から長波長まで順に並べると、UV(近紫外線)、青、シアン、緑、黄色、橙、赤、となります。
その光色の中で、例えば青光を使って緑蛍光を得ることは出来ますが、逆に緑光を使って青蛍光を得ることはできません。必ず左側(短波長側)の光源で右側(長波長側)の蛍光を得る形になるのです。
例)
○ UV光で青蛍光
○ 青光で緑蛍光
○ 緑光で橙蛍光
× 橙光で緑蛍光
× 緑光で青蛍光
× 青光でUV蛍光
詳しくはウィキ等をご参考に。
あ。ついでに言えば、白色LEDの原理にも蛍光が用いられています。例えば、日亜で有名なYAG蛍光体による白色LEDの場合、光源はあくまでも青光を用い、その青光で黄色蛍光を励起させることで、青光+黄色光=擬似白色、と言う効果を得てます。
その他にも、黄色蛍光の代わりに緑蛍光と赤蛍光を混ぜた白色LEDもあり、そちらの方が赤成分も多く演色性は高くなります。
では本編。
まず平常時のサンゴの色彩。環境光は太陽光LEDデモ機+各青系補助ランプ。
この実験では、主にスギノキブルーとエダコモン緑・橙の蛍光具合を観察します。
蛍光実験の光源には、以下の4タイプのLEDを用います。
撮影には、蛍光の度合いが掴みやすいように、UV(近紫外線)まで良く写るCOOLPIX5000と、一般的なCCDのCOOLPIX5200を用い、それぞれを比較します。
まずはCOOLPIX5000による撮影結果です。
左列はホワイトバランスを太陽光に設定し撮ったもの、右列は蛍光色が強調されるようホワイトバランスを手動で調整し撮ったものです。但し、手動の方は強調が目的であり色味は合ってませんのであしからず。
続いてCOOLPIX5200による撮影結果。
見た目の色はCOOLPIX5200の方が近いけど、UVの反応や蛍光色の強調具合はCOOLPIX5000の方が判りやすいと思います。
以上の結果から、以下のことが判ると思います。
- このスギノキブルーは、UVでのみ青~シアン蛍光励起が見られる。
(ちなみにスギノキのシアン蛍光については過去にこことかここでも書いてます)
- このエダコモン緑は、UVやシアン光にも若干反応しているが、主に青光により緑蛍光がもっとも強く励起されている。
- このエダコモン橙は、UVや緑光にも若干反応しているが、青光や特にシアン光に橙蛍光がよく励起されている。
よって、
スギノキブルーの発色には、UV(近紫外線)も重要である。
緑蛍光や橙蛍光には、青光も大切だが、シアン光も重要である。
LEDでスギノキを飼育されている方で、ブルーの発色がいまいちだなぁとか、青光を当てても所詮演色止まりだなぁとかお悩みの方は、試しにLeDio UV等で近紫外線を補完してみると良いでしょう。なぜなら、スギノキブルーの青色は、単にフィコビリンのような水溶性色素だけではなく、上記のような青~シアン蛍光のような発色構造も持つため、それを励起するためには近紫外線照射が不可欠だからです。シアン蛍光までなら青光だけでも励起可能ですが、本当に濃ゆい青蛍光はUV励起じゃないと無理ですからね。要するに、UVを照射してこそ、本来の色彩が得られるという訳です。
LEDスポットのみで構成するなら、断然ボルクスのLeDio 27+LeDio UVがお勧めです。
ただ、シアンについてはまだ製品が存在しないため、こだわるなら自作がお勧めです。
シアンを頑張る人の例:こばやしさん。
LEDシステム照明でも、UVはまだ搭載機が少なく、シアンも皆無の状態です。
現状では、UVを搭載したMaxspect max-sとオプションのシアン素子を利用すれば、唯一UV+シアンが実現されます。また、先日ご紹介したVertex Illumina SRは、UVこそ未搭載ですが、シアン寄りの青素子を採用することでシアン帯域のカバーを実現しているので、あとはUVをLeDio等で補完するならば、こちらも選択肢に入ってくるでしょう。ただ、Vertexはまだ集光構造を持たないので、現状では波長も集光も極めつつあるmax-sに分があるかな。
あとは他のメーカーにも頑張って欲しいところ。。。
あるいは、太陽光LEDシステム照明の製品化をお待ちください(笑)
待てないせっかちさんはシアンが入った太陽光ブレンドLEDをどうぞ♪ まだ在庫あるよ。
但し、UVは入ってないので、必要なら別途LeDio等で補完してくださいまし。
あ、クリスマスプレゼントの応募もまだまだ受付中ですよ♪
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