今回は、4年落ちのIllumagic M-60Cを、UVスペシャルに生まれ変わらせます♪
Illimagic M-60C → UVスペシャル計画!
- 光量(PAR) ノーマル比 170%オーバー!
- UV出力 ノーマル比 1000%オーバー!
- プリズムレンズ変更で色ムラ解消!
この当時のアクアLED製品としては、IllumagicのUV域の波長強度不足レベルは他社と大差ありませんでしたが、光量(PAR)は他社より圧倒的に弱かったことが知られています。例えば、M-60Sは 345 umol/m2/s @30cmしかありませんでした。他社はこの頃 500-600 umol/m2/s @30cmが一般的でした(当時のKRでも500オーバー)
そこで今回は、UV強化と併せて全体の光量アップも狙います。
また、Illumagic Blazeシリーズ特有の色ムラも解消してみます。
Illimagic M-60C 純正スペクトル(理論値)
まず、M-60Cの理論上のスペクトルはこんな感じです。
これは4年前に計算したものですが、当時はパープルLEDを420nmと勘違いして計算していたため、実際のUV域はこれよりさら更に弱くなることが後に判明しました。
Illimagic M-60C 純正LED素子の構成
こちらがM-60CのLEDユニットです。1ユニットあたり16素子で構成されています。
各チャンネルのLED素子とドライブはこのような構成です。
ch. | White ch. | Blue ch. | UV ch. |
---|---|---|---|
LED素子数 | 4素子 | 4×2=8素子 | 4素子 |
LED構成 | Cree XP-G CW×3 Cree XP-G NW×1 |
Cree XP-E RoyalBlue×4 Cree XP-E Blue×4 |
SemiLEDs 405nm×2 Pink LED×2 |
公称ドライブ | 3.5W | 3.5W | 1W |
今回はUVチャンネルの4素子(上画像の赤丸)をすべてUV系LED素子に換装して、UV域の波長強度の確保を目指します。また、少しでも高効率・大光量の恩恵を得るために、もちろん400+420nmデュアルチップLED素子を使用します。
●UV 405nm×2 + ピンクLED×2 → 400+420nmデュアルチップLED×4
Illimagic M-60C 純正ドライブ電流の仕様
尚、ドライブ電流の実測値はこのようになっていました。
ch. | ALL | White ch. | Blue ch. | UV ch. | |
---|---|---|---|---|---|
(1) | (2) | ||||
LED素子数 | 16素子 | 4素子 | 4素子 | 4素子 | 4素子 |
ドライブ電流 | 3322 mA | 1022 mA | 934 mA | 997 mA | 369 mA |
白チャンネル/青チャンネル共に約1000mAが流され、公称通りの3.5Wドライブと言えそうです。一方、UVチャンネルも公称通り約350mAの1Wドライブでした。
さて、この状況でUVチャンネルのLED素子を仮に全てUV系に換装したとしても、そもそもUVチャンネルは1W駆動なので光量アップ量はたかが知れています。従って、UVスペシャルを実現するためには、UVチャンネルも他のチャンネルと同様に3W駆動以上で回さないと意味がありません。ところがこの製品はこの状況で既に119Wを消費しており、純正の120Wアダプターでは既にリミットいっぱいでした。そこで、UVチャンネルのドライブ電流を増やした分だけ、他のチャンネルのドライブ電流を抑えることにしました。
●UVチャンネル 1W駆動 → UVチャンネル 3.4W駆動
●他チャンネル 3.5W駆動 → 他チャンネル 3.2W駆動
その結果がこちら。
ch. | ALL | White ch. | Blue ch. | UV ch. | |
---|---|---|---|---|---|
(1) | (2) | ||||
改造前 | 3322 mA | 1022 mA | 934 mA | 997 mA | 369 mA |
改造後 | 3358 mA | 824 mA | 807 mA | 819 mA | 908 mA |
変更% | 101.1% | 80.6% | 86.4% | 82.1% | 246.1% |
* ドライブ電流の変更方法は難易度が高いため割愛します
* 900mA流すには5W定格以上のUV素子が必要です(今回は6W定格を使用)
白チャンネルと青チャンネルを少~しずつ削り、UVチャンネルを250%にアップ♪
これでトータルドライブ電流は換装前より微妙に増えましたが、消費電力は115Wに下がりました。何故って? それがデュアルチップの高効率の恩恵なのです♪
Illimagic M-60C レンズ交換
さらに、レンズも変更します。
Illumagicの純正レンズは、せっかくの高耐性75°シリコンレンズですが、暗くちゃ意味ないので、もう少しビーム角を絞ります。お得意のプリズム60°レンズへ変更です♪
また、純正の3mm厚ガラス板も、アクリル1mm板へ変更しました。
これは元々変更するつもりはなかったのですが、交換したレンズが微妙にガラス板と干渉して組立て不能になった(汗)ため、やむなく1mmのアクリル板に変更せざるを得なくなったというオチ。。。しかし、使用したアクリル板の全光線透過率93%が功を奏して、ガラスに比べて3%程度の光量アップに♪
5000Kハロゲンランプを用いたガラスとアクリルの透過率比較がこちら。
但し、アクリルだとUVがゴッソリ減衰しちゃうので、390nm以下のLED素子を採用したい場合には不向きですね。幸い今回は最短波長が400nmだったので許容しましたけど。
●75°シリコンレンズ → 60°プリズムレンズ
●3mm厚ガラス板(透過率90%) → 1mm厚アクリル板(透過率93%)
レンズ交換の結果、ビーム角はこうなりました。
60°とは言え、拡散プリズムのお陰で実質の照射範囲は純正75°と大差ない結果に。
いや、ぶっちゃけ純正より広く照らせてます(笑)
Illimagic M-60C UVスペシャル スペクトル強度実測結果
そして、スペクトル&PAR強度の測定結果がこちら。
上が換装前、下が換装後です。
白ch青ch共に少~しドライブ電流を削ったけど、集光レンズにより逆にPARアップ!
しかも純正とは比較にならないUV域の確保!!!
これが Illumagic Blazeシリーズ 世界初UVスペシャルだぜ~!!!
具体的なPARのビフォーアフターがこちら。
PAR@30cm [umol/m2/s] |
ALL | White ch. | Blue ch. | UV ch. |
---|---|---|---|---|
ノーマル | 312 | 97.6 | 206.8 | 19.2 |
UVスペシャル | 534 | 104.2 | 265.3 | 193.0 |
アップ% | 171.2% | 106.8% | 128.3% | 1005.2% |
なんと!? 全体のPAR増加率170%越え!
そしてUV域の増加率はなんと1000%越えっ!!!曝
YOU、Illumagicの潜在パワー引き出しちゃいなYO♪
ただ、元々のPARが300台なので、さすがに500オーバーが限界ですね。
これ以上を狙うなら、ACアダプターを180Wに変更して更にドライブ電流をアップかな。
そうすれば700オーバーくらい確保出来るかも?
あ、ファンも強化しないとね。
尚、換装前の光量はLED素子×2ヶ分暗いデータになってますのでご了承ください。元々、球切れの修理もあったからです(汗)
修理自体はCree XP-E Blue×2のリフロー換装にて完了しました。
あ、そう言えば国内でのIllumagicの修理対応は先月で終了しましたね。しかし、引き継ぎの国内サービスがまだ未定なので、もし修理や改造をご希望の方は一度僕までご連絡ください。LED素子の交換くらいならなんとかなりますし、最悪、専用パーツが必要な場合でも、Illumagicから取り寄せできるか交渉してみますので。