紛らわしいのですが、判りやすく言うと、
過去に国内で幾度と見つかり、Calcinus anani Poupin & McLaughlin, 1998/チャイロサンゴヤドカリとされてきたヤドカリは、2009年に行われた久米島の大規模な調査KUMEJIMA 2009から実は新種であったことが判明し(過去の調査含む)、今回新たにCalcinus fuscus Malay, Komai & Chan, 2012として新種記載されました。これにより、結果的にCalcinus ananiの国内での記録はなくなりました。どうやらC. ananiは今のところフランス領ポリネシアの限産種のようです。
と言う事です。
では、この両者は一体どんなヤドカリなのか?
ネットで拾える画像を拝借して比較してみました。
Calcinus anani → decapoda.free.frより引用
Calcinus fuscus → biomar.free.frより引用 (但しC. ananiとして掲載のもの)
そっか。。。元々、見た目も結構違うんですね。。。疑いもしなかった。。。汗
今回の論文では、鋏脚の色彩やDNA解析の結果についても言及されており、ホロタイプには2009/11/19に久米島の水深66-81Mで採取されたシールド長3.2mmの雄個体が割り当てられました。
てことは、僕が以前宮古島から購入したチャイロサンゴヤドカリも怪しいな。。。
で、早速昔の写真をひっくり返してみると・・・
うむ。
やっぱりこの子もC. fuscusみたい。。。笑
と言う訳で、日本にはチャイロサンゴヤドカリは居るけど居ないことになりました(笑)
さて、和名は一体どっちのもの?
こゆこと↓
今までのヒストリー
- 1998年、Calcinus ananiがフランス領ポリネシア産から新種記載。
- 2002年、国内でも発見され「チャイロサンゴヤドカリ」の和名が付与。
Calcinus anani Poupin & McLaughlin, 1998/チャイロサンゴヤドカリ
今後のヒストリー
- 1998年、Calcinus ananiがフランス領ポリネシア産から新種記載。
- 2002年、国内でも発見され「チャイロサンゴヤドカリ」の和名が付与。
- 2012年、過去の国内のチャイロサンゴヤドカリは新種Calcinus fuscusと判明。
和名「チャイロサンゴヤドカリ」は新種Calcinus fuscusが継承。
Calcinus ananiは和名未定、国内未記録、ポリネシア限産種となる。
Calcinus fuscus Malay, Komai & Chan, 2012/チャイロサンゴヤドカリ
Calcinus anani Poupin & McLaughlin, 1998/和名未定
リファレンス
- Malay M. C., T. Komai & T.-Y. Chan, 2012.
A new cryptic species in the “Calcinus anani Poupin & McLaughlin, 1998” species complex (Decapoda: Anomura: Diogenidae): evidence from colouration and molecular genetics
Zootaxa 3367: 165-175 (2012)