今回発見されたホンヤドカリ属の新種は、今のところゴホンアカシマホンヤドカリ/Pagurus quinquelineatus Komai, 2003
に形質的に非常に酷似していることが判っています。特に僕のような素人目には、背負ってる殻が違うことと脚が極端に長いこと以外、コレと言って明確な違いが見いだせずに困っています。ま、殻と脚もそれはそれで明確な違いなのですが、出来れば模様とか色彩での違いが欲しい。「線が1本多ければゴホンだよ」的な判りやすさが♪
そこで、先日ちょうど知人からゴホンアカシマホンヤドカリを譲り受けたので、写真を撮って改めて比べてみました。上がゴホンアカシマホンヤドカリ、下が新種です。
色味の違いは撮影環境の差や個体差があるので、あまり当てにはなりません。特に新種の方は、脱皮後時間が経過したモノはコケだらけになり益々赤味を増すので、見た目は如何にもゴホンアカシマホンヤドカリ風になります。。。汗
顔つきはどうでしょう?
左がゴホンアカシマホンヤドカリ、右が新種です。
眼柄に入るシミそばかす、複眼のイヤらしさ、第一触角の色彩、口周り。。。
うーん。。。似てる。。。
別のアングルです。
新種の方は肢体がいちいち長いのは見てすぐ判ります。
が、模様とか形とか、チビとノッポの違いくらいにしか。。。笑
上から。
歩脚の縞模様が濃いか薄いか、ただそれだけの違い。。。笑
困ったなぁ。。。
でも、ふと指節を見てみると、
おおっ?
これは歩脚指節の前面(個体正面から見える面)の拡大写真ですが、左のゴホンアカシマホンヤドカリは明確に2本のラインが見えますが、右の新種は1本しか見えません!
これが識別に使えそうな種差か!?
更に詳しく見ると、両者とも内側に1本のラインと外縁に毛列が存在しますが、ゴホンアカシマホンヤドカリの方はこの毛列の生え際も色素の濃淡があるため2本目のラインとして見えるのですが、新種の方は毛列の生え際に色素の濃淡がないので内側のラインだけが1本見えている状態なのです。
この違いを種差として使えるかどうか、もう少し数をこなしていこうと思います。
その他、不明瞭ながらもこの指節の内面のトゲ列のトゲを数えてみたのですが、ゴホンアカシマホンヤドカリが12本前後に対して、新種の方はさすが脚が長いだけあって15本前後でした。ま、顕微鏡で見ないと明確な数は判りませんが、恐らくこれも種差の一つでしょう(上の写真は角度の問題で両者同じ脚の長さに写ってますが、実際は新種の方が明らかに脚はスマートで長いです)
あとは、駒井先生の論文を待ちましょう。