ふと、
蛍光灯だけでも今までどれくらいのスペクトルを調べたんだろう?
と思って、過去の記事を遡ってみました。
- GIESEMANN - PowerChrome midday
- GIESEMANN - PowerChrome aquablue plus
- GIESEMANN - PowerChrome Lagoon plus
- GIESEMANN - PowerChrome actinic plus
- GIESEMANN - PowerChrome pure actinic
- ATI - Aquablue Special
- ATI - Blue plus
- ATI - Actinic
- Wave Point - Tropical Wave
- Wave Point - Sun Wave
- Wave Point - Super Blue 460 (Blue Wave)
- Wave Point - Reef Wave
- Wave Point - Coral Wave
- SFILIGOI - Ultra White
- SFILIGOI - Deep Blue
- SFILIGOI - Super Actinic Blue 03
- UV Lighting - Aquasun
- UV Lighting - 454
- UV Lighting - Super Actinic
- UV Lighting - Actinic White
- KZ - 50%-50% (CoralLight 10000K)
- KZ - New Generation (14000K)
- KZ - Fiji Purple
- KZ - Super blue (20000K)
- JBL - Solar Ultra NATUR
- JBL - Solar Ultra Marin Blue
- VITA-LITE - 5500K
- VITA-LITE - 5500K (電球型)
- 東芝 - FL20SB 青色
- 東芝 - FL20SBW 青白色
- 東芝 - FL20SF 生鮮食品用 昼白色 5000K
- 東芝 - FL20SN-SDL ネオラインデラックス 昼白色 5000K AA
- 東芝 - FL20SN-EDL 色評価用 昼白色 5000K AAA
- 東芝 - FL20SD-EDL-D65 色比較・検査用 D65 昼光色 6500K AAA
- NEC - FL20SB 青色
- NEC - FL20SN-SDL 高演色彩 昼白色 5000K AA
- Panasonic - FL20SN-EDL 高演色性 昼白色 5000K AAA
- Panasonic - FL20SN-EDL-NU 美術・博物館用 昼白色 5000K AAA
- 三菱 - FL20SN-SDL ハイデラックス 昼白色 5000K AA
- 三菱 - FL20SN-EDL-NU 色評価用 昼白色 AAA
- JEFCOM - FT5-14BK ブラックライト (360nm)
- OHM - TB-14/BLB ブラックライト (370nm)
- EXO-TERRA (GEX) - Repti Glo 10.0
- EXO-TERRA (GEX) - Repti Glo 5.0
- EXO-TERRA (GEX) - Repti Glo 2.0
- ZooMed - ReptiSun 10.0
- ZooMed - ReptiSun 5.0
- ZooMed - ReptiSun 2.0
- HERP-CRAFT (SUDO) - UV-MASTER Level 8
- HERP-CRAFT (SUDO) - UV-MASTER Level 5
- Pogona-Club - VIVARIUM GLOW Power UVB
- Pogona-Club - VIVARIUM GLOW Soft UV
- EXO-TERRA (GEX) - Repti Glo 10.0 (電球型)
- EXO-TERRA (GEX) - Repti Glo 5.0 (電球型)
- EXO-TERRA (GEX) - Repti Glo 2.0 (電球型)
- ZooMed - ReptiSun 10.0 (電球型)
- ZooMed - ReptiSun 5.0 (電球型)
- Vivaria - Repro UVB 10.0 Desert Sun (電球型)
- Vivaria - Repro UVB 5.0 Forest Sun (電球型)
- Vivaria - Repro UVB 2.0 Natural Sun (電球型)
- Kamihata - UVB Reptile (電球型)
自分で買ったモノだけで上記60種以上ありました(汗)
ま、UVB蛍光灯はアクアには直接的に関係は無いけど。。。
上記スペクトルを掲載した記事のリンク集
GIESEMANN、ATI、Wave Point、SFILIGOI、UV Lighting、KZ、JBL、VITA-LITE、T8蛍光灯 (東芝/NEC/Panasonic/三菱)、ブラックライト (JEFCOM/OHM)、UVB蛍光灯 (EXO-TERRA/ZooMed/HERP-CRAFT/Pogona-Club/Vivaria/Kamihata)
アクアT5蛍光灯スペクトルグループ早見表
さすがにこれだけ調べると、アクアT5のスペクトルの規則性が嫌でも見えてきます(汗)
もはや、スペクトルの早見表が作れるレベルです♪
と言う事で、以下のようにまとめてみました。
アクアメーカー各社で、Blue系とActinic系は同一スペクトル、White系は多少の3波長のバランスの差異はあるものの、補完できる帯域はまったく同一です。また、ピンク系バルブも中身は青+赤なので、演色以外で混ぜる意味はありません。
但し、唯一Wave PointのUltra Growth Waveのように植物育成用のような660nmピークの蛍光体をブレンドしたモノもあります。なので、この球を使えば、直接的にクロロフィルaの赤側の要求に応える事が出来そうです。但し、褐虫藻のクロロフィルは喜ぶとしても、それによって光合成効率が必要以上に高まれば、特に蛍光レッドを持つサンゴあたりは、「あれ?可笑しいな?赤の波長が届く浅海域に来ちゃったかな?じゃあもう赤の波長を稼ぐための蛍光レッドは要らないかな?」と判断して、蛍光レッドを放棄しちゃう懸念もあるので、使用に際しては注意深い観察が必要です。例えば、スコリミアの蛍光レッドが後退して蛍光グリーンが占有するような場合は、サンゴをより暗い位置へ移動するか、光源の赤の波長強度を下げるなどの対処が必要です。
こうした挙動は、すべては「必然」について考察すると見えてきます。人間で言えば、外的なステロイド投与によって本来の副腎皮質からのステロイド分泌が減少してしまうようなモノです。生物が生理の均衡を維持するための適応に過ぎません。
尚、JBL Solar Ultra COLORも公称スペクトルを見る限り660nmの存在が見て取れますが、前回の調査でJBLは波長詐欺があまりに酷かったので、信用できるのかどうかは知りません。自己責任でお使いください(汗)
フラットスペクトルT8蛍光灯スペクトルグループ早見表
そして、そんな波長の欠落の多いアクアT5に、是非とも使って欲しい蛍光体構成を持つ国内のT8蛍光灯も早見表にまとめてみました。
こうした有益なスペクトルを持つT5バルブが、かつてアクア各社からリリースされてこなかった事が本当に悔やまれます。唯一期待したJBLさえ詐欺でしたし。。。
ただ、アクアT8に関しては、少ないながらも美味しいスペクトル製品があるようです。
例えば、スドーのオーシャンクリア 7800K。
このスペクトルが本当なら、フルスペクトルを謳う資格は十分にありそうです♪
ちなみにスドーにはあと数種類のフラットスペクトルバルブがありました。
スドー凄いな。。。今度測定してみよう。。。
さて、上記フラットスペクトルを持つ蛍光灯の実測スペクトルもグループ分けしました。
上から、ワイドバンドブルー、昼光色(UV 400nm+)、昼白色 5000K、です。
グループ | メーカー型番 |
---|---|
ワイドバンドブルー | 東芝 FL20SB 青色 |
NEC FL20SB 青色 | |
PRINCE FL8B 青色 | |
東芝 FL20SBW 青白色 | |
昼光色(+UV 400) | 東芝 FL20SD-EDL-D65 色比較・検査用 D65 |
NEC FL8D 昼光色 | |
東芝 FL20SF 生鮮食品用 | |
NEC FL20SN-SDL 高演色彩 | |
VITA-LITE 5500K Ra94 | |
昼白色 5000K | 三菱 FL20SN-SDL ハイデラックス |
Panasonic FL20SN-EDL 高演色性 | |
東芝 FL20SN-EDL 色評価用 | |
東芝 FL8N-EDL カラーイルミネーター用 | |
Panasonic FL20SN-EDL-NU 美術・博物館用 紫外線吸収膜付 | |
三菱 FL20SN-EDL-NU 色評価用 紫外放射吸収タイプ |
どうです? この美味しそうなスペクトルの数々。。。
せめて今、一般T8蛍光灯をお使いの方でフルスペクトルの理解を得られた方には、早速これらのフラットスペクトル蛍光灯をお試し頂きたいと思います。しかし、残念ながらT5に合うバルブはまだ無いので、それについては今後に期待して欲しいと思います。
海洋性光合成生物が持つ各色素に関する考察
前回はざっくりと2本の蛍光灯の組み合わせだけご紹介しましたが、より厳密にスペクトルを吟味されたい方のために、改めて海洋性光合成生物の色素に関する情報を以下にまとめておきますので参考にしてください。
まず、海洋には海藻やサンゴ等が持つ色素が多様に存在しますが、大きく分けると以下のような光合成色素、色素タンパク、蛍光タンパクに分類されます。
一口に「海洋」と言っても、水深によって届いている波長分布が異なりますが、まずは浅場から深場まで以下のような種類が確認されています。
*光合成色素は視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録(数研出版)より
*色素タンパクと蛍光タンパクはAdvanced Aquaristより
http://www.advancedaquarist.com/2006/9/aafeature
http://www.advancedaquarist.com/2006/11/aafeature2
http://www.advancedaquarist.com/2007/6/aafeature2
http://www.advancedaquarist.com/2007/7/aafeature1
http://www.advancedaquarist.com/2012/12/corals
http://www.advancedaquarist.com/2013/11/corals
これはきっと海洋全体で見ればほんのごく一部に過ぎないのでしょうが、少なくともこれだけを見ても、海中に届いている波長が下から上まで隈無く利用されている事が読み取れます。そう、可視光線400-700nmに於いて、省いて良い波長は見当たりませんね。それは、上記の色素の吸収スペクトルをすべて重ね合わせ、海中の水深スペクトルと比べてみれば、より明確に判ります。
あとは、水深を増す毎に海中に届く波長は赤から順に減衰していきますから、目的のサンゴによって当てるべき波長の帯域は制限されていく事がお判り頂けると思います。深場なら主に蛍光タンパクのために400-500nmを中心に当てたり、浅場ならトゲやハナヤサイのような色素タンパクのためにアンバー580nmを中心とした波長も盛り込んでいく、勿論それらが破綻しないように水槽内に於いてもサンゴを適切に垂直分布させる、等の考察と工夫が必要になってきます。深場のサンゴを上に配置して浅場のサンゴを下に配置してしまったら、どんなに照明を工夫しても、深場サンゴに赤が強く当たったり、浅場サンゴにアンバーが足りなかったり、どっちつかずになりますからね。
ただ、現状のT8の問題は光量の確保です。灯具のサイズから言っても、水槽の上に並べられる数は必然的に決まってきます。例えば60cmの規格水槽なら、せいぜい一般2灯式灯具を前後に2台載せるのが限界でしょう。てことは20W×4=80Wか。うーん。。。
でも水槽直置きなら水面距離10cm程度だし、ギリギリ水中照度が確保できるかな?
と言う事で、前回の2本の組み合わせ例でそれぞれ照度/PPFD/UVを測ってみました。
用途 | 20W×2灯式灯具 2本 組み合わせ |
水槽直置き10cm距離光量 | ||
---|---|---|---|---|
JIS照度 lx |
PPFD umol/m2/s |
UV(A+B) uW/cm2 |
||
一般照明 | NEC FL20SSEX-D/18-HG ×2 (3波長 昼光色 6700K) |
14,030 | 237 | 8.8 |
超浅場SPS | 東芝 FL20SB 青色 | 5,880 (11,760) |
131 (262) |
43.8 (87.6) |
東芝 FL20SF 生鮮食品用 昼白色 | ||||
浅場SPS | 東芝 FL20SB 青色 | 5,458 (10,916) |
116 (232) |
44.2 (88.4) |
NEC FL20SN-SDL 高演色彩 昼白色 | ||||
好日ソフト | NEC FL20SB 青色 | 6,172 (12,344) |
131 (262) |
24.8 (49.6) |
NEC FL20SN-SDL 高演色彩 昼白色 | ||||
深場LPS | NEC FL20SB 青色 | 6,272 (12,544) |
145 (290) |
24.3 (48.6) |
東芝 FL20SBW 青白色 |
* 上記は2灯式灯具1基(20W×2)での実測値で、括弧内は単純に2倍にした値
上記灯具を2セット水槽に直置きにするなら、各値は照度10,000lx、PPFD 200umol/m2/sをクリアしそうです。まあ、それでも暗いかなぁ。。。
浅場のソフトコーラル~深場のLPSくらいが無難かな?