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紫外線LED:渇虫藻3、新ミドリイシ状況

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前回に引き続き渇虫藻の観察と、そしてケントパパミドリイシの状況報告です。

まず、ミドリイシから離脱した渇虫藻の48時間後の様子を見てみました。
渇虫藻は相変わらず動いてませんし、やはりどんどん小さくなってるような?
しかし、その中に大量のピコピコを発見!?
これが自由期の渇虫藻なのか? (下図:候補A.)

あと、たまたま水槽のミドリイシの表面をスポイトで吸ったら、また別のピコピコを捉えたので、併せて紹介します (下図:候補B.)

48時間後の渇虫藻

うーん。。。画像だとサッパリ伝わらん(汗)
と言う訳で、いつもの動画です。

候補A.はあまりにも小さいし色も透明なので、何かの細菌と考えたほうが無難かしら。
候補B.も色と形は自由期の渇虫藻のイメージに近いけど、ゾウリムシ(繊毛虫)だと言われたらそれまで(曝)

うむ。やはりこれは無謀な目論見だったか。。。残念。
明日からはミドリイシ実験の方に注力しよう(汗)

次に、ケントパパミドリイシの現状報告。
輸送時の擦れが原因か、僕の接着時の扱いが悪かったか、各個体とも出っ張った枝の外縁が剥げて痛々しいです(汗)
とは言え、出っ張っていない枝は損傷が見られないので、あくまでもこの剥げは接触ストレスによるものだろう。どの個体を見ても、出っ張りと言う出っ張りすべてが剥げてるので、よほどこの娘はお肌がデリケートなのか、あるいは到着時の水温が15℃だったのが災いしてるのか、いずれにしても早く治って欲しいところです。

ケントパパミドリイシのポリプ

それにしても綺麗だわ。。。ため息が出ます(笑)
まさかポリプまでバイオレットだとは思わなかった♪
ケントパパ、マジで凄い!
そしてサンクスです!!!

んで、少し過保護に、またまた照明の高さを調整しました。今度は水面30cmです。
傷が治ったらガンガンいくよ~♪

で、今更ながらあることに気づいたのですが、照明の高さを調整したあと、

LeDio7で30cmなら5,000lxほどかぁ。。。

と思って水面の照度を測ったら、なんと10,000lxオーバーっ!?
なぜかと言うと・・・はい、多灯してるから(曝)
ガーン。。。
となると、今30cmで10,000lxオーバーってことは、当初15cmの時は・・・ガクガクブルブル。
道理でだにやんスギノキも溶ける訳か。。。
思わず細川たかしを口ずさんだわ(汗)

なので、しばらくはランプの角度も少し外側へ傾けて、照度調整を行うことにしました。
現在、ランプ直下の水面部でおよそ8,000lxまでに抑えました。
って、まだ8,000lxもあんのか。。。LEDって恐ろしい(汗)
こりゃ、スギノキも絶対イケルわね♪

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紫外線LED:渇虫藻2

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またまた紫外線とは直接関係ありませんが、前回もだにやんのスギノキミドリイシの渇虫藻ネタをご紹介したので、今回はケントパパのミドリイシの渇虫藻をネタにします。

ま、渇虫藻ってなんか地味だし、いまいち関心は薄いと思いますけど、ミドリイシの色揚げには無視できない存在なので、なるべく皆さんには興味を持って欲しいと思いますです。

まず、ケントパパから届いたミドリイシをバケツに入れていた時の様子。

バケツで水温合わせ&曝気中の様子

なんか根っこからサビ出てますねぇ(笑)
果たしてこれが渇虫藻なのか?
さあ、顕鏡してみましょう♪

ケントパパのミドリイシから流出した渇虫藻

おおお。前回のだにやん渇虫藻(便宜的にこう呼ぶ)と同じだぁ~。
よく見ると、渇虫藻の中になんか核みたいなものも見えますね。
渇虫藻が細菌やラン藻とは異なる真核生物の仲間だと言うことが判ります。

ちなみに、前回のだにやん渇虫藻との比較です。

だにやん渇虫藻とケントパパ渇虫藻

左がだにやん渇虫藻、右がケントパパ渇虫藻です。
うーん。。。所詮、渇虫藻は渇虫藻か。見た目同じやん。

ちなみに渇虫藻は1属1種で、学名はシンビオディニウム・ミクロアドリアチカムSymbiodinium microadriaticum Freudenthal, 1962)とされてきました。
しかし、近年の18SrDNA解析により現在では10種程度に分類され、研究分野ではA~Hのクレード(単系統群)に分けて扱われているようです。
(ほとんどが学名無しのSymbiodinium sp.)
また、イシサンゴ類に共生するクレードはA,B,C,D,Fの5タイプとのことです。
さらに、サンゴに共生する褐虫藻は1種のみとは限らず、むしろ複数種の褐虫藻と共生し、環境に適応しているようです。
ちなみに属名の SYMBIO とは共生を意味します。もちろん、共生藻が由来でしょうね。

参考文献:
海洋微生物と共生/石田祐三郎著/成山堂書店
オーストラリアの温帯域のミドリイシと共生する褐虫藻の遺伝的多様性/安部真理子/琉球大学

ちょい脱線しましたが、実はバケツにはミドリイシから流出した渇虫藻をそのまま残してあり、時間経過による変化を見ようと目論んでいました。ちなみにこの渇虫藻群はミドリイシの粘液に絡んでいるため、定位置に付着しています。だから後々顕鏡しやすいのです。

さて、これで何を調べるのかと言うと、サンゴから離脱した褐虫藻は、果たして自由生活モードに切り替わるのかどうか?です。
基本的に渇虫藻はミドリイシとの共生時には鞭毛の無い球体で存在していますが、ひとたびサンゴの体外に放出されると卵型に変形し本来持っていた鞭毛を発現させて自由生活に移ると言われています。ま、元々が渦鞭毛藻の仲間ですから、それは当然と言えば当然です。で、それを確認したかったと言う訳です。

さて、あれから24時間が経過しましたが、果たして渇虫藻は走り回ってるのでしょうか?

バケツで24時間経過後の渇虫藻と、それを食べて満腹のゾウリムシ

ガーン!?
ゾウリムシが食い散らかしてる(曝)
ちなみにこのゾウリムシは、ケントパパ亭からの使者です(汗)
ホント、この子はどこにでもいますね。

ま、まだ相当数の渇虫藻が粘液に絡んで残ってるので当面大丈夫だと思いますが、本日顕鏡したところ、鞭毛も見えないし、まったく動いてません。それどころか、いくつかの個体に収縮が見られます。ミドリイシからの栄養供給が途絶えて、餓死寸前なのかしら?
あるいは、ここに残ったのは全てダメージ個体で、元気なのは既に走り去った後なのか?
それとも、自由期に移るまで少し時間が掛かるのかな?
そういえば光を与えてなかったので、とりあえず今日は照明を当ててみよう。
で、今日も見てみます。

おまけ。満腹のゾウリムシ(笑)

あり?
よく見たら、ゾウリムシの周りに一匹見慣れない動きの子が走り回ってます。
この動きは過去のVMワラワラ実験でも見たことのないものです。
まさかこれが自由期の褐虫藻???
そう言われてみれば卵型・・・。
でも色がまったく違うよなぁ。。。

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紫外線LED:応援部隊

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さ、続いて本命記事です。

昨日12/20、ケントパパからミドリイシ色揚げ実験用の応援部隊が到着しました♪
ケントパパ、ありがとうございました!

ケントパパには、

「色揚げの比較がしたいので、同一個体の枝を何本かくだちいな♪」

と、お願いしてありました。
そして、その希望通り、同じミドリイシからの枝が4本贈られてきました!!!
やった~♪

で、ワクワクして開封すると・・・!?
なんじゃこりゃ~!!!

種名不明のミドリイシ

なんと!
既に色揚げが完成してますやんかっ(曝)
こりゃ、色落ち実験になりそうだ(^^;

それにしても、こんな色彩のミドリイシは飼ったことないです。。。
さすがケントパパ、良い技術持ってるなぁ。。。尊敬します!

ところで、この子は一体どんな波長を好むのやら?
フィコビリン系の青や赤の色素が優位に立って発現している色彩ならば、オレンジ帯域とグリーン~イエロー帯域、あと紫外線少々、てとこかしら。
但し、今使ってるランプの特性上、ブルー帯域によりカロテノイド色素にも有効に働いて褐色化する可能性は否めないけど、ピークはUV寄りなのでカロテノイドのグリーン寄りのピークは外しているような気もする。また、照度を上げて光強度を上げていけば、渇虫藻濃度を抑え、他の色素が優位になる可能性が高い。
また、レッド帯域を抑えているから、とりあえずクロロフィルは抑制方向になるので、不用意に緑色が乗ることは無いだろう。
よって、現在の各ランプの色温度環境的には、この色味は維持できるだろう、と言うのが現時点での予想です。あとは照度の問題。。。如何に渇虫藻を抑え、他の色素を優位に持っていくか、という感じです。
ま、色素については、また後日まとめます。

続いて水槽への収容ですが、これらの枝を直接砂に置くと細菌の侵食や感染症など色々と不味いことになる危惧があるので、いつものようにライブロック片に固定してから、それを砂の上に並べます。
今回はアロンアルファで接着しましたが、もちろん水中パテでもOKです。アロンアルファの場合は、なるべくミドリイシの共肉には溶剤を付けないよう、骨格と石を接着するようにします。

ミドリイシ片とライブロック片との接着

実験用ランプは3灯なので、余った一本は別の実験に使います(汗)
これはまた後日。
あ。ちなみにうちの水槽は水深が浅く、貰ったままでは水面から顔出しちゃうので、いずれも根っこを1cmほどカットさせていただきました(汗)

さて、昨日は消灯後の収容となり撮影が出来なかったので、本日の午後、照明点灯時に収容状況を撮影しました。現時点でのミドリイシ色揚げ実験水槽は、こんな感じになりました♪

本日のミドリイシ実験水槽の様子

今まで以上にゆっくり光慣らしをさせるべく、前回ご報告した通り、照明高さは22~25cmへと変更してあります(今までは最初15cm、次に20cmでした)。とは言え、だにやんミドリイシC.は未だポリプ出さず、どんどん色が抜けて薄くなってます(汗)
一方、だにA.とB.は、ようやく日中でも微かなポリプを見せるようになってきました♪
だにA.にあった傷口も、少しずつ共肉が盛り始めています♪
但し、色は茶色いまま。。。

さて、今回のケントパパミドリイシは、やはり光慣らしのため、現在の各だにやんミドリイシの隙間に配置し、ランプ直下は避けています。しばらくはこんな感じで監視して、いずれ直下に移動させていこうと思います。ま、ケントパパ亭でも、かなりの至近距離でSCがガンガン当たっていたそうですから、強光下での光強度耐性はかなり強そうです。あとは輸送ストレスから早く回復してもらうだけです。
ちなみに、ケントパパD.だけは直下にしましたが、これは、だにC.の容態が芳しくないので一旦右に退避させ、そこへ代わりに配置してみた、という訳です。
さて、どうなるかしらん。

あ。そうそう。
今回、ケントパパからは沖縄くんも里帰りしましたよ♪
おおおお!!!
聞くところによると、ホルソー氏→かしやん氏→ケントパパ氏、と受け継がれてきた個体だそうです。ただ、僕の当時の配布リストにはホルソー氏の名前が見当たらない(記憶も怪しい)ので、更に以前に何名かのアクアリストを経てきた可能性もありますね。
うーん。恐ろしい。。。最初の母体から、既に12年が経過しています(笑)

長年に渡り、何世代も受け継がれているミドリイシには、他にも湯島ミドリイシハゲコモンなども有名です。これについては、最近ではPOEさんが書いてるので、興味があればご覧ください。

とりあえず、ケントパパミドリイシも早く回復して、ポリプを開くようになって欲しいところです。なんせ、到着時の水温は15℃でしたから(汗)。大雪警報中なので仕方ないんだけど。 でも、だにミドリイシの時よりは、状態はかなり良さそうです♪

引き続き、レポートしていきます。

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