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紫外線LED:各ミドリイシの色彩変移

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各ミドリイシの色彩変移をまとめました。
尚、いずれの画像もカメラのホワイトバランスは太陽光に設定しています。

いつものように、照明環境下での色彩と、自然光相当下での色彩の比較です。
だにミドリイシは2009/12/15と本日との比較、ケントパパミドリイシは2009/12/23と本日との比較です。
画像をクリックすると大きな画像が表示されます(500KB以上あるので注意)

各ミドリイシの色彩変移

だにミドリイシは、輸送ストレスから回復して以来、順調に推移しています。色彩も赤みが増えてきて、特にUVを強く当てているA.個体の変化が顕著です。やはり今回用意した光環境的に青の波長成分が多いため、スゲミドリイシを赤くするための波長成分は十分に足りているようです。と言うのも、紫外線LEDのピークは約395nm、白LEDの青成分ピークは約440nm、青LEDのピークは約470nmですから、バイオレット~青までの波長帯域が広くカバーされ、赤系のカロテノイド色素の要求波長域をある程度満たしているためでしょう。これにより褐色化も進みますが、白LEDに含まれる緑~橙の波長域により、フィコエリトリン系の鮮やかな赤の色素の発現にも有利に働き(色素が存在した場合)、またUVによるバイオレット色の発現により、特にA.個体の赤みに繋がっているのだと思われます。

一方、ケントパパミドリイシは輸送ストレスはもう脱した気がするけど、光量が足りないのか元々の鮮やかなバイオレットは褪せてきました。特に青みが薄くなり、良く言えば赤っぽく、悪く言えば褐色化に進んでいるようです。これは恐らく、光環境的にだにミドリイシと同様の色彩変移の傾向に進んでいるためでしょう。そして青みの減退の原因がフィコシアニン系色素の減少であるなら、期待していた白LEDに含まれる橙成分が、思ったほど足りていないと言うことかも知れません。あるいはUVによるバイオレットの発現がまだまだ足りないのかも?。但しこれは今後照明を下げて照度を高めていくことで、ある程度はカバーできる可能性はあるでしょう。元々のケントパパ邸での光強度はまだまだ遥か上ですからね。

ところで最近の悩みと言うか疑問と言うか、夜間の消灯時に見られるケントパパミドリイシの刺糸が目立ってきました。日中の照明点灯時はほとんど出ていないのですが、夜間になるとここぞとばかりに出すようになってきています。今、この原因を色々と推察しているところです。

あと、これまで紹介してきた だにミドリイシの色彩変化は、いまいち正しくお伝えし切れていない事に気づきました。それは、正面から見える部位にはほとんど光が当たっていないため、その部分を見せても意味が無かったからです(汗)
と言う訳で、上から撮影した画像を用意してみました。

上から見ただにミドリイシの色彩

特にA.個体は3本の枝がいずれも前屈みであるため、よく考えたらLeDio7 PearlWhiteの光もUV3Wの光も、正面部にはまったく当たっておらず、今までは各枝の先端の僅かな面積分しかお見せできていませんでした(汗)
どうです? 真っ赤でしょ? もう到着時の地味な面影はありません。

次に、正面から見た水槽全体の色彩変化です。
2009/12/23と本日2010/01/03の比較です。

水槽正面からの色彩変移

海水が若干黄ばんできた要因を考慮しても、ケントパパミドリイシの青みの衰退は否めませんね。特にケントパパB.個体の色下がりにはガックシです。。。UVがガンガン当たるケントパパA.個体は益々色濃く見えますが、これについても青みの衰退が強く働いた結果のようです。
うーん。。。早く照明を下げるべきか、あるいは橙を追加してみるか。。。

最後に、カメラの違いによる色彩の見え方について。

カメラによる色彩の違い

あまり意識していませんでしたが、安価な方のCOOLPIX5200では、バイオレットがほとんど写っていないことに気づきました。水面(ガラス面部)に反射したLeDio7+UVブレンド(右端)の中心のUV素子の発色もまったく写っていません。うーん。。。こんな違いがあったとは。。。やはりカメラも高いものを使わないと良い色が出せないようです。
とは言え、COOLPIX5000の方は、実際に目で見えるよりもUVが強調されて写ってます。実際はここまで派手には見えません。CCDの特性なのでしょうね。

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紫外線LED:ミドリイシの色揚げに対するUV効果

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巷では数日前にくりすますと言う催しがあったそうですよ!
なんでもキリストの生誕を祝うお祭りだそうです。
皆さんは如何お過ごしでしたか?
僕は、気が付いたら今日でした♪

そうそう。
昨日今日と、誘惑に負けて1cmずつ照明の高さを下げてます(汗)
現在2cm下げて、水面間28cmとなりました。
尚、LeDio7 UVブレンドは本体が長いため、水面25cmとなってます。
今のところ、僅かに刺糸を出す個体もありますが、ここはスパルタで(汗)
時代を切り開くために必要な犠牲として、どうか生体実験をお許しください♪

現在、だにミドリイシA.には、LeDio7 PearlWhite (7W) + LeDio3 UV(3W) を照射しています。これは、強い照度と強い紫外線によって超浅場の光環境の再現を狙ったもの。
その他、だにミドリイシB.には東芝LED改アクアブルー(6.9W)を、だにミドリイシC.にはLeDio7 アクアブルーUVブレンド(7W)をそれぞれ浅場相当として照射しています。
(尚、LeDio3 UV、LeDio7 UVブレンドは共にサンプル供給品)

では、予告どおり、だにミドリイシA.のUV効果による色彩変化をご覧ください。

だにミドリイシA.の色彩変化

前回も書いたとおり、ミドリイシ自体の色彩変化を見るには、水槽照明による演色効果を外す必要があります。青い光で青く見えても色揚がりと判断できないからです。そのため、比較のために6,500K相当の光環境下でも確認をおこないます。ま、欲を言えば太陽光などの自然光が理想的ですね。紫外線から赤外線まで入ってますから。

上列の画像は水槽照明下での演色とUV励起を含む色彩ですが、あまり変化は感じられません。しかし、よく見ると、当初は単にバイオレットが映りこんだだけの状態でしたが、現在は質感自体もバイオレットに染まりつつあるのが読み取れると思います。

さて、肝心のミドリイシ本体の色彩はどう変化したのでしょうか?
下列の画像は、12/15、12/23、12/28(本日)に、6,500K相当の自然光下で撮影したミドリイシ本体の色彩です。変化が判りますか?
前回の12/23の記事ではいまいち説得力に欠けましたが、本日28日の状態は明らかな違いとしてお判りいただけると思います。先端に乗り始めたピンクだけではなく、全体的にも赤っぽくなってきました。色素密度が増えてきたことで、紫外線による励起が無くてもそれなりに発色が確認できるようになってきたと言うことでしょう。

一方、UVを当てていない、だにミドリイシB.はどうでしょうか?

だにミドリイシB.の色彩変化

だにミドリイシB.には東芝LED改アクアブルーを直下で当てています。しかし厳密には左からLeDio7 PearlWhite、右からLeDio7 UVブレンドも僅かに当たっているとは思いますので、東芝LEDの影響だけと言い切ることは出来ません。
しかし、だにミドリイシA.と比べても、それほどの色揚がりは確認できていません。もちろん枝も太くなり成長は顕著ではありますが、A.ほどの赤みの乗りは感じられません。よく見れば先端に微かな赤みは見られますが、やはりA.ほどの顕著さはありません。このことから、この差はUVの有無によるものだろうと推測している訳です。

このUVによる色彩の挙動を見る限り、通常の波長域に反応する光合成色素のそれとは異なり、対紫外線色素の働きを予感させるような印象を受けます。通常の波長域であれば、光合成色素は光合成に利用(吸収)しない色成分を跳ね返す(見えている色)ことで、逆に自身に必要な波長域の光を効率よく獲得していると言えますが、一方、紫外線に対しては、代謝への必要の可否に関わらず、一定以上の過度のUVは生体の生理に悪影響を及ぼすため、これを避けるべく対策を講じなければなりません。それが対紫外線色素の役目であり、その機能の一つとして、自身の色彩にUV色(バイオレット)をより積極的に強く発現させて、結果UVを反射させる(結果バイオレットに見える)ことで組織への到達を回避しているのではないでしょうか?
このとき、傍から見ればUVの照射がUV色の発現に繋がったと言う状況となりますが、あくまでも通常の波長帯に於ける反応とはプロセスが異なるため、対紫外線色素特有の反応と言えるかも知れません。

以上が、現時点でのUV下に於けるミドリイシの色彩変化に対する考察です。

それにしてもこれまで当たり前のように書いてきましたが、ひとつ一番重要なことに触れるのをすっかり忘れていました。それは、水槽照明としてのLEDの効果です。そう言えば、ほんの半年前には、水槽照明にLEDはありか? なんて記事を書いてましたね(笑)

今回のミドリイシ実験は、いきなり色揚げ実験から入りましたが、予想通りLEDでもミドリイシはガンガン成長しています。それは上の画像の各ミドリイシの枝ぶりを見れば一目瞭然です。光が弱ければ上に伸び、光が強ければ横に伸びるという、典型的な成長パターンと言えます。
これが実現できたのも、やはりメタハラ並みの光量を備えたLEDランプの登場に尽きます。これまでの粒々LEDランプ(笑)はもちろんのこと、高出力と言われた補助LEDランプでさえ、なかなか無し得なかった功績だと思います。それは、同じ高出力LEDとは言え、性能は1年違うだけで倍以上の光束量の違いがあるためで、現在のモデルになってようやく効率的にも照度的にもメタハラ並に追いつき、水槽照明としての価値が見出せるようになってきたと言えるでしょう。

これからは、LEDがメイン照明になる時代です。今はまだLEDが信じられない方も、過去のLEDでガッカリした方も、いずれ選択肢になるよう、更に結果を出していきたいと思います。もちろん、せっかちな方、流行に敏感な方は、今のうちに時代を先取りしてください。そして後世で自慢してください。

「みんながメタハラに夢中だった頃、俺は既にLEDをメインで使ってたんだぜ!」

とね♪

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紫外線LED:Kミドリイシの防御反応

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「ケントパパミドリイシ」は長いので、Kミドリイシとする(笑)

まず、ここ3日間でのKミドリイシの損傷部の修復具合から。

3日間で修復された損傷部

KミドリイシD.の損傷部は、ほぼ修復率100%と言える。思ったより早い早い♪

で、調子こいて早速LEDランプを少し下げてみたら。。。

防御反応と思われる刺糸

まだイヤだそうです(苦笑)

ミドリイシの防御反応:刺糸
てきめんに光強度がフローすればポリプの萎縮が見られるが、刺糸を出す程度ならまだ応戦できるほどの余裕があると見える(笑)。とは言え無理はさせたくないので、照明は元の高さに戻した(汗)
で、刺糸が落ち着くのにどれくらいの時間を要するのか観察してたら、5時間程度を要した。それでも若干引っ込みの悪い刺糸もあったけど。
やはり光をいじるのは全快してからの方が良さそうですね。

もうひとつの防御反応:共肉表皮の萎縮

防御反応と思われる共肉表皮のしわ

これは厳密に見ると萎縮なのか膨張なのか判断が微妙だが、いずれにしても表皮形状に極端な凹凸(ふやけたような皺)が見られる。この現象は、修復された損傷部だけではなく、元々の健常部にも見られる。
これが何を意味するのか、何が原因なのか推測すると、やはり光の照射面に顕著に見られるので、光に対する反応には間違い無さそうだ。ま、現時点では単に光が強いだけではなく、輸送ストレスによる光耐性の低下(共肉組織・渇虫藻の機能低下)とも関連して、より顕著に反応していると言えそうだ。

うーん。。。早くガンガン照らしたい。
放っておくと、すぐ茶色くなりそうで(汗)

ところで、だにミドリイシ(以降、Dミドリイシ)のC.は、LeDio7 UVの直下のやや後ろに移動させた。特に拒否反応も無いので、様子を見ながら更に光量をアップしていこう。
また、UV3Wを当てている方のDミドリイシA.が、日に日に赤くなってきた♪
詳細は次号を待て(笑)

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