たまたま来客の自動車を誘導するため道路に立っていた。
すると来客の自動車が勢いよく通り過ぎてしまった。
すぐさま引き留めようと、僕は慌てて追いかけていった。
その瞬間、一斉に左側を狙う警察の狙撃隊が視界に入った。
なにやら向こうに立て籠もり犯でもいるようだ。
と察したのもつかの間、あろう事かドンパチが始まってしまった。
僕の体は反射的に肩をすくめ、しりもちを付いて転んでしまった。
そんな僕のすぐ横を容赦なく弾丸がすり抜けていく。
こう言うとき、人間は凄い力を発揮するらしい。
そのせいかどうか、僕には弾丸がスローモーションにも見えた。
とは言え、眼球で追うのが精一杯で、とても体の反応は追いつかない。
そして3発目を目で追ったとき、それがまっすぐ僕に向かっているのが判った。
なんとしても避けたかった。
今の僕ならもしかして避けられるかも?と思った。
しかし弾丸以上に僕の反応は鈍く、反射を起こす前には命中してしまった。
どんなに危機迫る状況で覚醒しようとも、人間は弾丸なんて避けられないのだ。
あれ。だけど痛みは感じられない。
もしや間一髪で横に反れたか?
次の瞬間、やっぱりこの不運を受け入れなければならないと悟った。
確かに弾丸は仰向けで倒れていた僕の脇腹から入り、肺か心臓あたりを貫いたようだ。
その証拠に体の中にじんわり温かい軌跡を感じる。
そして何かが喉からこみ上げ、ゴフッと一回だけ咳き込んだ。
ああ。これはなんとエライことだ。
急いで救急車を・・・いや、間に合わないんだろうな、きっと。
僕のアパートの荷物、誰が片づけるのかな・・・。
パソコンのエッチ画像、どうしようかな・・・。
映画のような格好良い走馬燈なんて・・・見えないじゃん。
そして、スイッチを切ったテレビ画面のように、目の前が消えていく。
死ぬってこういう事なんだな・・・。
最後に、去年死んだ猫の名前を呟いた気がする。
と、ここで心臓バクバクで布団から飛び起きた!
なんつうリアルにやばい夢かっ!!
何の予告編でしかっ!!!
すかさず「生きていてありがとう」と、心から神様に感謝した。
こんな時、 信仰とか科学とかまるでお呼びじゃないみたい。
だって素直に「神様」が出てきたんだもの。
さ、銃撃戦には気を付けなくちゃ。