1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

アグラオネマの照明

ブログ エイジ 21:00 コメント2件
この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル プチ実験 測定器 自作関連

LEDスペクトルデザイナー、ついに観葉植物の世界にも進出か!?笑

昨年の話ですが、「アグラオネマの照明が欲しい」と依頼を受けました。
あぐらおねまってナンジャラホイ?汗

アグラオネマ (まんじゅういしさんからお借り)

* 画像はまんじゅういしさんから拝借

アグラオネマは熱帯の森林の日陰に生息する植物で、あまり強い光は要らないとか。
とは言え、日陰に差す太陽の木漏れ日も当然フルスペクトルなので、例え光量は控えめで良いとしても、スペクトル設計は妥協せず最高のお持てなしで望みたい!
あわよくば、あの空の下と同じように、スクスクと満足げに育ってくれれば言う事なし!
ならば、やはり目指すは一般的な光合成色素の吸収スペクトル実現でしょうかね。

光合成色素の吸収スペクトル

アグラオネマの光合成色素がクロロフィルaかクロロフィルbか判りませんが、とりあえず陸生植物の成長に関しては、青の波長は400-470nm、赤の波長は640-680nmあたりをカバーすれば対応できそうに思えますけど、果たしてどうだろう?

そこで、念のためアグラオネマの吸収スペクトルも測ってみました。
特にアグラオネマはトリカラー(Tricolor)と言う3色のグリーンの迷彩模様が売り?ですが、その維持や鑑賞を考えても各色部分の吸収スペクトルを知っておくことは有意義です。
但し、クロロフィルを直接測定することは僕の設備上無理なので(汗)、あくまで葉の表面色としての吸収スペクトルを見てみることにします。

アグラオネマの葉の緑色の濃淡ごとに反射スペクトルを測定

もっとも薄いグリーン部分をGreen 1、中間のグリーンをGreen 2、もっとも濃いグリーンをGreen 3と定義し、それぞれを複数の部位で測定し、平均値を探ります。

緑色の薄い順にGreen 1/Green 2/Green 3と定義

まず、Green 1の反射スペクトルから算出した吸収スペクトルです。

Green 1の吸収スペクトル

続いて、Green 2の反射スペクトルから算出した吸収スペクトルです。

Green 2の吸収スペクトル

そして、Green 3の反射スペクトルから算出した吸収スペクトルです。

Green 3の吸収スペクトル

それらを比較してみると、、、

Green 1/2/3の吸収スペクトル比較

先述のクロロフィルのような明確な特性は判りませんが、少なくともそれぞれの吸収ピークはおよそ読み取ることができました。

Green 1シアン500nm/ディープレッド670-680nm
Green 2シアン490nm/ディープレッド660-670nm
Green 3シアン500-510nm/ディープレッド660nm

やはり、クロロフィルの吸収スペクトルと大きく異なる事も無く、目指すは一般の光合成色素のフルカバーで対応できそうです♪
ま、それが大変なのですが(汗)

で、出力はさほど求められないので、手始めにバイタルウェーブをベースにLED素子の換装を試みることにしました。ただ、設計だけならスペクトラを使えば簡単にシミュレーションが可能ですが、実際にはLED素子の厳密な出力、波長誤差、実装レンズの特性などが影響し、完成品の色温度や演色性、スペクトルは微妙に異なってきます。従って、結局はひとつずつLED素子を実際に換装していって、測定結果を確認していくしかありません。なかなか地道な作業になります。

こうして、バイタルウェーブ・リーフ(葉)製作プロジェクトは静かに幕を開けました。
それが去年の12月の話。。。

バイタルウェーブをベースに何度もスペクトルデザインを試作...

その後、スペクトルシミュレーション→実装→光学測定、の繰り返しです。
途中、必要な波長を得るために何度もLEDメーカーへ新たな素子を特注したり。。。
そして、延々と試作を繰り返すこと3ヶ月、試作回数は実に14回。。。
ようやくゴールが見えてきました♪

ようやくそれっぽいのが完成♪

色温度はやや高くなりましたが、日陰なので10000Kなら許容範囲でしょう。
演色性はRa91をマーク!
なによりこのスペクトルを見てください♪

完成品のスペクトル分布

太陽も思わず嫉妬するフルスペクトル!!!笑

そして、お気づきになられましたか?笑
そう。なぜか波長ピークが10箇所もありますぜ???
バイタルウェーブのLED素子は7ヶしかないのにホワイ???

はい。実は先日のデュアルチップLED素子を贅沢にたっぷりと使いました♪
なぜあんなに多様なデュアルチップを作っていたのかこれでお判りですね(曝)

バイタルウェーブ・リーフのLED素子構成

スペクトル合成時の波長強度を分散する意味でも、シングルチップとデュアルチップの使い分けは非常に有効なんですよ。

そうして完成した、バイタルウェーブ・リーフ(葉)がこちらです!

1.023worldオリジナル、バイタルウェーブ・リーフ(葉)

ベース筐体込みで2万円位になっちゃいましたが(曝)
だって、ディープレッド680nmのLED素子だけで4000円くらいするんだもん!
ま、巷じゃ何万で売ってますから、これでも激安ですけどね(汗)
それに、この680nmチップはドイツ製ですぜ!(残りのチップは全てEpileds社製)
そこまでして680nmを入れる必要があったのか?
と聞かれたら、答えはハ~イ~です♪ (タラちゃん風)
680nm素子入りの植物育成LEDスポットって、もしかして世界初なのかしら?
660-670nmはよくありますけどねぇ。。。

そして、完成品の光合成色素カバー率がこちら。

バイタルウェーブ・リーフの光合成色素カバー率

光合成色素が泣いて喜ぶフルスペクトル!!!曝

しかも、植物育成ランプにありがちなピンク照明(笑)ではなく、日陰でありながら高演色な観賞性も見事に実現した色温度10000K高演色Ra91、そして極めつけは葉の緑が引き立つようにグリーン530nmだけはシングルチップで波長強度を確保した上での、この見事なフルスペクトルです♪

まさに植物にとっての太陽の恵みが屋内に降臨~♪

特にこの530nmの調達には本当にこだわりました。何度か入手した素子はどれも520nm前後ばかりだったので、LEDメーカーに執拗に(汗)にお願いして探してもらい、結局530nmのLEDチップだけわざわざ台湾から調達して頂いたのです(苦笑)

成長・色維持に関してはこれからですが、ひとまず発色に関しては絶賛を頂きました!
あとは、アグラオネマ本人にも満足してもらえたら嬉しいなぁ~♪
ま、自信満々ですけども~笑

以上、かなり駆け足でザックリとお送りしましたが、ご用命はメールにて承ります。

こちらのエントリーもどうぞ♪