1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

すべての答え:蛍光タンパク篇2

マリンアクアリウム エイジ 06:24
この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル プチ実験 海洋雑学

前回のすべての答え:蛍光タンパク篇では、SPSカラーレポート第一弾の中からスパスラタのシアン蛍光タンパクCFPをご紹介しましたが、今回はSPSカラーレポート第二弾の中からグリセアコモンのグリーン蛍光タンパクGFPをご紹介します。
ご存じの通り、GFPはサンゴの中でももっともポピュラーな蛍光タンパクです。

グリセアコモン・蛍光グリーン

このグリセアコモンは凄いですよ。いや、GFPが凄いと言うべきか。。。
文献を失念しましたが、確か生物由来の蛍光タンパクの発光効率は化学合成の蛍光色素の非では無い、とかどうとか。。。まさにそれを痛感するような発光量を体験できました♪

見よ! このとんでもない反射スペクトルを!

グリセアコモン・蛍光グリーン 反射スペクトル

このグラフは前回でも触れたとおり、370/400/425/450/475/500nm等の出力を揃えたLEDを個別にサンゴに照射して得た反射スペクトルですが、他のサンゴはいずれも反射スペクトルを10倍程度に拡大しないとその蛍光スペクトルを拾い出すのは非常に困難でしたが、なんとこのグリセアコモンの蛍光スペクトルは僅か3倍に拡大しただけでこの発光強度が確認できるのです。

賢明なスペクトルマニアの皆さんなら、このグラフからだけでも判りますよね?
そう、この中からは、ピーク520nmのグリーン蛍光GFPの存在が読み取れます。

では、LEDごとに個別に見ていきましょう。

グリセアコモン・蛍光グリーン LEDごとの反射スペクトル

475nmと500nmなんて、光源と蛍光の強度関係が逆転しちゃってます(笑)
まあ、それだけ光源の波長を吸収しているという証拠でもあります。

これはグリセアコモンに限らず、一般的な蛍光グリーンのサンゴならいずれも当てはまると思います。蛍光グリーンは海洋でももっともポピュラーな蛍光タンパクで、最初に発見された蛍光タンパクがオワンクラゲからのGFPだったくらいです(下村, 1962)。そして上記グラフからも判るように、これが何を意味するかというと、それらのサンゴが生息する水深のスペクトルの主要波長がおよそ420/450/475/500nmで構成されていると言うことです。その環境に適した蛍光タンパクがまさにGFPなのでしょう。

また、その励起範囲と励起量から見て、水槽でもとりあえず一般的なロイヤルブルー450nmやブルー460-470nmあたりを当てておけば十分に蛍光グリーンが励起されることも判ります。LEDにしろ蛍光灯にしろ世のアクア向けライトにはこれらの波長はほぼ確実に入っていますから、それが蛍光グリーンの維持の容易さにも繋がっているのでしょう。

そして、上記のグラフから蛍光スペクトルのみを単離するとこうなります。

グリセアコモン・蛍光グリーン GFPスペクトル

ブルー蛍光BFPやシアン蛍光CFPと違い、グリーン蛍光GFPの励起にはUV 370nmやUV 400nmはほとんど必要ありません。完璧を期す場合でも420nmあたりから500nmまでカバーした光源があれば十分ですし、極端に言えば450nmや460-470nmだけでもそこそこの励起量になるでしょう。スターポリプ、ウミキノコ、ハナガササンゴなど、メジャーなサンゴ飼育の光源で悩まないのはそういうカラクリだったのです♪

まあ、それはそれ、これはあくまでも蛍光タンパクのみに言及した話であって、それとは別に肝心の光合成をカバーするだけの光条件は少なからず必要になります。まあそれでも普通の白色LEDなり白色蛍光灯でも十分だと思いますが。

こちらのエントリーもどうぞ♪

コメントとトラックバック

コメント及びトラックバックはありません

コメントフォーム