お母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?
平成生まれには通じません(笑)
1999年9月、今は無き近所のショップに純白のミドリイシが入荷しました。
あのミドリイシ、どうしたでしょうね?笑
月日は経ち、水槽はなくなっても、ここに来て何故かLEDに関わることとなり(笑)、ついにはサンゴの反射スペクトル調査にまで手を出す始末。。。笑
そんな2012年のある日、ふと、思いました。
青くギラギラした蛍光ブルーのミドリイシ。。。
緑にギラギラした蛍光グリーン。。。
赤くギラギラした蛍光レッド。。。
・・・じゃ、白くギラギラしたのは、蛍光ナニ?
そこで、10年の時を遡り、先ほどの純白に輝くミドリイシが脳裏に蘇りました。
これ、あくまでも白化ではなく、今で言うスパスラタのようにウロコがギラギラした純白!
あれってもしや、↓こゆことじゃない!?
白色蛍光タンパク!?
ホワイト蛍光タンパク!?
White Fluorescent Protein !?
WFP !!! WFP !!! WFP !!!
およそ400-420nm程度のUV光を浴び、およそ450-550-650nm程度の青-緑-赤を含む白色光を放つ、言うなればこれぞ白色蛍光タンパクなのでは???
と仮説を立てました。
しかし、これまで約3年ほどの間ひたすら探し回ってきましたが、未だ見つかりません。。。
そもそも、サンゴは元より生物由来の蛍光タンパクで白色蛍光を放つ存在自体、それを示す文献にすら遭遇しません。。。もしかしてそんな蛍光タンパク存在しないのかなぁ。。。
現物さえあれば反射スペクトル測定で一発で判るのにっ!!!
ちなみに、僕がこれまでに調査してきたサンゴの蛍光タンパクの発光スペクトルはこちら。
* 励起スペクトルは省略しています
かれこれ50パターン以上の蛍光発光スペクトルを見てきましたが、白色蛍光タンパクと思しきスペクトルは皆無。。。まあ、純白ミドリイシ自体にまだ遭遇できてませんからね。。。
ただ、お陰様で、同じような発色に見える蛍光タンパクでも、サンゴの種によってパターンの傾向があることが少しずつ見えてきました。蛍光の傾向。なんちて。
一方、化学合成の分野では、白色蛍光を放つ蛍光体は既に開発されています。
例えば、東京大学物性研究所 上田寛研究室の白色蛍光体バナジウム酸化物 AVO3(A:Rb,Cs)の励起発光スペクトルはこんな感じです。(下に引用元リンクあり)
また、独立行政法人産業技術総合研究所の白色蛍光体ペロブスカイト型酸化物蛍光体薄膜(CaTiO3:Bi)の励起発光スペクトルはこちら。(下に引用元リンクあり)
いずれも、400-700nmの可視光線全域をカバーする広範囲な発光スペクトルを持っていることが読み取れます。
こうした単一物質による白色蛍光体は、旧来の白色LEDに用いられてきた青/緑/赤の蛍光体の混合方式に取って代わる次世代蛍光体として、現在研究開発が進められているようです。
詳しくはこちらをどうぞ。
- 白色蛍光体の開発と薄膜発光材料の開発(PDF)
東京大学物性研究所 上田寛研究室
白色蛍光体:バナジウム酸化物 AVO3(A:Rb,Cs) - 無機酸化物蛍光体及びその製造方法並びに発光装置
独立行政法人産業技術総合研究所
白色蛍光体:ペロブスカイト型酸化物蛍光体薄膜(CaTiO3:Bi) - 紫外光励起白色蛍光体の開発
レーザー応用工学研究室
白色蛍光体:カルシウムチオガレート(CaGa2S4)
ただ、これらの白色蛍光体は、励起波長がかなり低いんですよね。350nmあたりにピークのある300-400nmの範囲。でも、もしサンゴ礁に白色蛍光タンパクが存在するとしたら、あまり低い波長なはずがないんだよね。海中ではUVはかなり減衰しちゃうから。だから、どんなに低くても380nm以上に励起範囲がないと辻褄が合わない。
そうして行き着いたのが、最初に示したような想像スペクトルだった訳です。
ちなみに、旧来の白色LEDの蛍光体のように、複数の蛍光タンパクを持ち合わせたサンゴもこれまでにいくつか見つけてきました。
例えば、以下のディスクは、欲張りに3色もの蛍光タンパクを保有していました。
(SPSカラーレポートVOL3 28P参照)
これらの蛍光タンパクは、それぞれが独立した励起波長域を持つので、このように区別することが出来るのですが、一見オレンジ単色に見えるのに、その中からこうして複数の蛍光タンパクが見つかるなんて凄く不思議ですね。てことは、カラフルなバブルディスクやマメズナあたりだと、一体何色混じってるんでしょうね? いつか測定してみたい♪
一方、以下のカクオオトゲはかなり広範囲な帯域の発光スペクトルを持っていました。
良く言えば肌色?な蛍光オレンジです。
(SPSカラーレポートVOL3 22P参照)
このカクオオトゲの蛍光オレンジは、単一の励起波長だけでこれだけワイドバンドに発光し、しかも緑と黄色にピークを持つ変わった発光スペクトルでした。
今のところ、これが最もワイドバンドで白色蛍光タンパクに近い存在かな(笑)
もう少し帯域が青の方まで広がってくれたら白色蛍光タンパクなのになぁ~笑
しかし、まだ諦めていませんよ。
いつかサンゴから世界初の白色蛍光タンパクWFPを発見し、GFPの下村先生に続くノーベル賞をっ♪笑
皆さんも、もしそれっぽい怪しい純白ミドリイシを見かけたら教えてくださいね。
またはお持ちの方は、枝を一本譲ってください!
ノーベル賞受賞の暁には、片町で豪遊いたしましょう~♪笑
1. biota-style 2015/02/19 22:44
エイジさん
怪しい純白ミドリイシ、あります。
元は青紫とピンクが混じったやっぱり怪しい濃い色だったのですが、
いつの間にか先端だけ色が残り、上から見ると真っ白です。
裏は薄茶(褐虫藻色)です。
光の当て方かと思い、置き場所を試行錯誤していたのですが、
最近、一部ハゲ始めてしまいました。
画像はコメントにアップできないのでしょうか?
まりんちゅシティのマイページに載せました。
http://www.1023world.net/city/biota-style/spec-1410504102
2. エイジ 2015/02/20 00:09
おおお!
これ、真ん中のピンクは写りですか?
それとも実物もピンクが乗ってるのでしょうか?
先端の青は色素ブルーで、白い部分は蛍光シアン、ピンクは蛍光レッドのように見えますが、厳密には測定してみないと判りません。
剥げてきたってことは、なんか弱ってきてるのですか?
3. biota-style 2015/02/20 05:44
ピンクも実物です。
iphone6で撮影しているので、青カブリが激しいですが、
肉眼ではもっとわかりやすいです。
昨年10月に低比重で多くのサンゴを失いまして、
生き残った数個体のうち、まったくハゲなかった2個体の一つでした。
今月に入った頃から枝の先端が一部ハゲ始めたのです。
弱った様子は見えません。
ギラギラしてます。
測定する価値がありそうであれば、送ります。
4. エイジ 2015/02/20 07:26
おおお!
ありがとうございます!
枝を1-2本いただきたいです!
では続きはfacebookで!