せっかく42倍ズームのコンデジを買うたので、念願の月面着陸~♪
どう?
悪い子は、月に代わってお仕置きよん♪
さて、無難に欲求が満たされた(笑)ので、本命の作業に取りかかります。
そう、お月様のスペクトル確保ですっ!!!
考えてみたら、月明かりなんて1ルクスも無いんだよね。。。
じゃあ、1ルクスでスペクトル測ったらどーなるのか?
こーなります↓ (by MK350)
暗すぎて測れません。。。汗
で、悪戦苦闘の末、ようやくお月様のスペクトルをキャッチしました!
手持ちのテレコンレンズとマクロレンズを組み合わせて強引に集光しました(笑)
上図のように、なんとか青寄り赤寄り5パターンを採取できました! (by LR1)
そしてコレを見たら、過去の月光測定結果は間違いだったことが発覚(汗)
実は以前、LI-1800で月光を測定して貰ったんですが、その時のスペクトルは今回のモノとは全然違ってました。多分、やはり暗すぎて感度が確保できてなかったのでしょう。。。今思えば、街頭の灯りやらなんやら色々混じっていた感じ(汗)
なので、今回の結果が正解です。
太陽光と比べるとこんな感じ↓
ほほお。。。
流石に赤や赤外線はやや減衰してるけど、概ね太陽光に近いですね。
そのくせ、UV~青帯は太陽光に忠実にトレースされてます。
でも、このままじゃあくまでも水深0M時の月光スペクトルにすぎません。
なので、前回測定した串本の水深スペクトルを元に、水深0M→水深3M時の太陽光の減衰率を求め、それを今回の月光に割り当ててみます。
まず、串本での水深0Mと水深3Mの比較スペクトルがこちら↓
ここから減衰率を算定(破線)し、月光へ割り当てた結果がこちら↓(水色太線)
そうして完成した月光の水深3M時のスペクトルシミュレーション結果がこちら↓
串本の水深3M前後のサンゴ達は、こんな月光スペクトルを浴びてるようです♪
日中のスペクトルに比べ、より赤が削られ、青寄りのスペクトルですね。
さらに水深5M、水深10Mと進めば、より大きく青主体となるでしょう。
かと言って、400-420nmは日中と遜色ない割合を占めています。
イヒッ♪
以上、夜間のサンゴの生理の維持・促進のお役に立てば♪
1. むぺ 2013/09/22 08:38
青~UVは黄~赤より減衰しない、ということで
夜間照明を青色光にするのは理に適ってるんですね。
いつも手に入れ難い情報を提供してくださり、感謝しています。
2. Tmmn 2013/09/22 23:28
色々勉強になる内容です。
前回オオバナの追加照明で質問させていただき、エイジ様にアドバイスをいただきましたが、記事の中で、400-420nmは日中と遜色ない割合って事なのですが、そうすると、日中から夜間までずっとUVをあて続けても問題ないと言う事になるのでしょうか?その場合、オオバナなどのLPSや400-420nmで励起する蛍光タンパクを持ったSPSなら夜間も青寄りの球とUVをあてて、鑑賞優先にしても、サンゴの生理的にも問題ないと言う事でしょうか?勿論強すぎるのはNGですが、それなら一石二鳥ですね⁈
3. エイジ 2013/09/23 22:54
むぺさん、
そう言って頂けると報われます♪
4. エイジ 2013/09/23 23:02
Tmmnさん、
UV 400nm自体は当て続けて何の問題もありません。
問題は、やはりその強度です。
月光の照度は、約0.1~0.2ルクスだそうです。
あまりに微量過ぎて僕も測りようがありません(汗)
ですから、人為的に月光を作るなら、まずは1ルクスを作ることを目標にします。それを水中での減衰で月並みを目指す訳です。
今試しにDeepUVを照度計に当ててみました。
2メートル離しても20ルクス以上ありました(汗)
やはりスポットを夜間照明にするのはかなり眩しいかも。
(まあ、常夜灯ではなくて夕方から数時間程度なら大丈夫だと思いますが)
さらに必殺技として、DeepUVからレンズを外してLED素子だけで測ってみました。
そしたら2メートルで5ルクス程度でした。なので、2メートル以上離すなら常夜灯にもなり得るかも?
ちなみに僕はKR93SPの調光を 白ch 0%:青ch 5%:月ch 2% で常夜灯にしてますが、照度は40cmでおよそ7-8ルクス、水中ではさらに下回っていると思います。(僕は実験も兼ねて強めにしてます)
また、試しに今 白ch 0%:青ch 1%:月ch 1% にしてみたら、30cmでちょうど1ルクスになりました。水中なら良い具合に月並みになるかも?笑
ただ間違って欲しくないのは、これはフルスペのスペクトルが太陽光と等価と見なせるからこそ言えることであり、他の照明で1ルクスを目指しても、波長構成が太陽とは異なるので、参考にならないと言うことです。UVや青の量は照度にはほとんど反映されませんから。太陽やフルスペはUV~青がたっぷり入っての1ルクス、他の照明はその量が不明での1ルクスでしかありません。
5. Tmmn 2013/09/24 09:22
正にエイジさんの仰る通りの点灯方法で考えてました。確かに400nmは可視光線なので、夜間に長時間及び強く当てなければ…ですね。ただ、今まで『月明かり』はあまり気にしていませんでした。そもそも、自然の摂理を人工的に再現しようとしているのだから24時間生体にとって何処まで、その自然に近づけるかがカギですね。
本当に何時も貴重な情報を提供していただき感謝しています。LPS側にはDEEPUVを購入しようかと思います。また、水槽の半分(約40㎝の範囲内)でミドリイシやトゲサンゴ等を飼いたいと思っているのですが、KESSILをベースとした場合、種類にもよると思いますが、やはりバイタルウェーブのSUNが適しているのでしょうか?
6. エイジ 2013/09/24 16:57
> また、水槽の半分(約40㎝の範囲内)でミドリイシやトゲサンゴ等を飼いたいと思っているのですが、KESSILをベースとした場合、種類にもよると思いますが、やはりバイタルウェーブのSUNが適しているのでしょうか?
うーん。。。
KessilはSPSのメイン照明にはならないです。
蛍光グリーンならなんとかなるでしょうが、その前に絶対的に光量が足りません。
ソフト、LPS用と考えてください。
90cm水槽の半分と言うことは、体積的に30~45cm水槽レベルのスペースですよね?
その限られたスペースへあらゆる色素構造のSPSを詰め込むなら、ライブロックタワーによるSPSの垂直分布分けが必須になります。それは、光量の強弱をつけて各SPSの適正光量を叶える必要があるからです。波長も最低2パターンの異なる光源があれば完璧です。主に蛍光系と色素系に分けた方が楽だからです。
逆に、それらのSPSを平面的に並べて同じ光量・同じ波長ですべての色彩を維持するのは不可能です。
メイン照明には、ハナヤサイ・トゲ・ショウガの赤系を入れるなら中域の波長を多く含むVitalWave Sunでも良いですし、他のスポットでもスペクトル次第では使えます。
蛍光には青主体で、できれば400nm/420nm/500nmを含むものが良いですね。
7. エイジ 2013/09/24 16:59
拾いもの↓
世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ(オーストラリア)のサンゴが満月とともにいっせいに産卵する仕組みを、豪州や米国などのチームが突き止めた。体内にある光センサーの一種が、満月の光を「合図」として感知しているという。19日の米科学誌サイエンスに発表した。
約35万平方キロものサンゴが毎年、10~11月の満月の後の真夜中にいっせいに産卵する。潮流や水温、天候などの変化を手がかりにタイミングを合わせていると考えられてきたが、詳しい仕組みは謎だった。
豪クインズランド大などは、サンゴにさまざまな色や強さの光を照射する実験をしたり、満月の夜のサンゴの反応を調べたりした。
その結果、新月から満月まで光が強くなるにしたがってサンゴの体内にあるセンサー役の遺伝子がじょじょに活性化し、満月に合わせて産卵の引き金を引くとわかった。
この遺伝子は5億年以上前、有害な紫外線から身を守るため原始生物の体内でできたのが起源と考えられている。いまでは昆虫から人間まで幅広い生物の体内時計の制御にかかわっている。
研究チームは「サンゴはこのセンサーで、(紫外線に近い)満月の青い光を感知し、繁殖のタイミングを合わせている」という。
2007/10/20 - Asahi.com
http://www.asahi.com/science/update/1019/TKY200710190433.html
(記事は既に削除されてます)
8. Tmmn 2013/09/24 18:43
本当にいつも親切丁寧な回答と貴重な情報ありがとうございます。
益々、自然の世界は奥が深いと改めて認識しました。何度か質問させて頂くと思いますが、より飼育する生体にとって良い選択が出来るように、もっと勉強します。色々と質問に答えて頂き、ありがとうございました。
9. 樺澤幸彦 2019/11/17 07:12
なるほど、月の光の元は太陽光なのですね。フェイスブックに載せた月の写真で周囲の雲が赤や青に光っていました。