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水草LED徹底検証:天下のADA AQUASKY!

ブログ エイジ 15:03 コメント8件
この記事を含むタグの全記事リスト: LEDライト スペクトル

水草LEDライト徹底検証のスケジュール(予定)

  1. 水草LED徹底検証:選手入場 - 2013/7/5
  2. 水草LED徹底検証:天下のADA AQUASKY! ← 今ココ
  3. 水草LED徹底検証:GEX PLANTS GROW現る!
  4. 水草LED徹底検証:太陽と日照の水草KR!
  5. 水草LED徹底検証:情け容赦無用のガチバトル!

水草LEDライト徹底検証:天下のADA AQUASKY!

ADA AQUASKY 601

AQUASKY 側面

今回、60cm用のアクアスカイ601を調達したんですが、なんかエライ明るい気が!?
1年前の検証ではアクアスカイ301を使ったので単純に2倍の光量のはずですが、そういうことじゃ無くて、なんか気になってた黄ばみも若干マシになってるというか、LEDの蛍光体の印象もちょい変わったような、、、?

アクアスカイ601(2013/07時点)採用LED

うーん。。。LED素子自体は当時の301と同一パッケージのようだけど。。。

AQUASKY 301 LED / 601 LED

保護ダイオードの微妙な位置は良いとして、蛍光体濃度が濃くなって見えますね。
色温度が少し低くなったのかしら?

さらに、当時のスペクトルと今回のスペクトルを比較してみましたら、、、

アクアスカイ301(2012/06)と601(2013/07)のスペクトル比較

あら、全然違うわ!笑
て言うか、当時僕が推奨したように、マジで高演色タイプに切り替えたっぽいね♪
スペクトルを見て判るように、今回のスペクトルには、ベースの黄色蛍光体以外に、シアン寄りの緑の蛍光体と、ほんの気持ち赤の蛍光体による膨らみ?も感じられます。お陰で中域のフラットさが確保され、何よりシアン500nmの補完率が2倍にアップしてます♪
旧301の演色性がRa70台とすれば、新601はRa80台はありそうです。
ADA、やるじゃん♪

ところで、当時僕はあまり真剣に調べずに(と言うか判らず)、疑わしきは被告人の利益に(笑)と言う事で、無難に「アクアスカイのLED素子は日亜製♪」ってオチにしたんですが、先日それが間違いだとご指摘いただいた記事を拝見しました。あ~ぁ、ADAさん、僕は日亜って言ったのにぃ、この人はサムチョンだってぇ、心外よね~言うよね~(笑)

と言う訳で、そのシンクロ率の高そうなSAMSUNGのLED素子を取り寄せてみました。

SAMSUNG SMD 5630 LED

うん。確かに気持ちいいくらいシンクロしてます(笑)
スペクトルを比較しても、、、

アクアスカイ601とSAMSUNG 5630 SMD LEDのスペクトル比較

あらやだ。DNA鑑定が陽性だわ♪
このスペクトルの差は色温度のbinがちょい異なってるくらいの違いでしょうね。
案の定、黄色蛍光体をベースに緑の蛍光体と赤の蛍光体が乗ってるっぽいし。。。
あるいは、AQUASKYに採用された後もまだまだ演色性が進化し続けているのか?
だって、AQUASKYよりも更にシアン補完率が向上してるもんね♪

そうか、今時の白色LEDも白く見えりゃそれで良いと言う時代から、演色性にも配慮しなきゃの時代に進化してきたのかも!
だって、これ普通のCoolWhiteですよ? 高演色版でもなんでもないんだもん♪
遂に、もうシアン不足に悩まなくて済む白色LEDの時代が到来か!?
こりゃ~、今マジでSAMSUNGは凄ぇのかも♪

だったら、日亜を撤回してSAMSUNG認定でも、名誉は保たれますよね?ね?
ホッ。。。これで一安心(笑)

ちなみに、僕は僕で、更なる候補を探してみたのですが。。。
そしたら、例えばこのLP社のLP-5630W89-Raってのも同じパッケージみたい。
スペックも同等でした。
果たして。。。
ま、この辺にしておきましょうかね、うん(汗)
真相はADAのみぞ知る、と言うことで。。。

最後についでに、このアクアスカイ601の回路構成も調べてみました。
こんな感じでした↓ (赤字は実測値です)

アクアスカイ601 LED回路

うん。極めて普通に妥当な回路です。

GEX PGと違う点としては、LED基板には制限抵抗とか一切乗ってないって事。
で、ACアダプターを見ると、DC25-34V 0.91mA LED Driverとあるので、なるほど、これアダプターじゃ無くてドライバーなのか。賢いね。

以上、アクアスカイ601のパフォーマンスタイム終わり。
光量などスペック的な値はラストのガチバトルで公開します♪

つづく

こちらのエントリーもどうぞ♪

水草LED徹底検証:選手入場

ブログ エイジ 14:00 コメント0件
この記事を含むタグの全記事リスト: LEDライト スペクトル

水草LEDライト徹底検証

水草アクアリストがLED製品に対して「どーなの?どーなの!?」って嘆いている悶々を少しでも解消できればと思い、一年ぶりに真実の目を召喚しますよ!
もちろん僕は畑違いなので、淡々と冷徹にスペックを暴いていくだけです(汗)
その結果がリアルな水草にどう効果を示すかは、皆さんの判断と挑戦にお任せします。

水草LEDライト徹底検証のスケジュール(予定)

  1. 水草LED徹底検証:選手入場 ← 今ココ
  2. 水草LED徹底検証:天下のADA AQUASKY!
  3. 水草LED徹底検証:GEX PLANTS GROW現る!
  4. 水草LED徹底検証:太陽と日照の水草KR!
  5. 水草LED徹底検証:情け容赦無用のガチバトル!

水草LEDライト徹底検証:選手入場

先日発売たばかりのGEX CLEAR LED PGも含め、基本的な蛍光灯から、天下のADA AQUASKYまで、いずれも公式が胸を張って水草の育成を謳う最高モデルですから、これはかなり白熱したバトルの展開が必至です!?
また、あまりにパワー差がありすぎて場違いにも思いましたが、真実と言う意味でeco-lamps KR90FWも参戦することとなりました。参考までにどうぞ♪

水草LEDライト徹底検証:選手入場

現時点で判明している各製品のスペック↓

水草照明
(60cm水槽用)
GEX
AQUTE
CI600
ADA
AQUASKY
601
GEX
CLEAR LED
PG 600
eco-lamps
KR90FW
24″
光源種別 蛍光灯 LED LED LED
消費電力 [W] 40W 30W 25W 50W
タイマー内蔵 × × ×
電源 (ON/OFF) 手動 2系統 手動 手動 2系統 自動
ビーム角 [°] 140° 120° 120° 55°
調光 ch × × 2 ch 2 ch
段階 × × ON/OFF 各ch 0-99%
実売価
(2013/7時点)
¥8,000 ¥16,000 ¥15,000 ¥50,200

さあ、果たしてどんなスペックを魅せてくれるのでしょうか!?

つづく

こちらのエントリーもどうぞ♪

すべての答え:トゲピンク篇

この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル 色素

トゲサンゴの色素や色揚げに関する質問が多いので、先日紹介したすべての答え第一弾からデータを抜粋して、軽くご紹介しようと思います。

サンプルのトゲサンゴ・ピンクはこの個体↓です。

トゲサンゴ・サンプル

このトゲサンゴに関する測定・検証データはこちら↓です。

トゲサンゴの反射・吸収・蛍光スペクトル

全ての考察を一から百まで詳細には解説していませんが、見る人によっていろんな考察や解釈があり、そうした楽しみ方もこのデータの使い道のひとつだと思います。

では、このトゲサンゴのデータを使った解釈の一例をご紹介します。

まず、掲載データでは、10種類の単波長LED毎の反射スペクトルと6500Kの自然光LEDの反射スペクトルを基として、それを反転した単純な吸収スペクトルを例に挙げてますが、以下のようにより厳密な吸収スペクトルを算定することも可能です。

6500K光源スペクトルと反射スペクトルから吸収率を導き出す

トレースが大変ですが、計算自体はエクセルで簡単に得られます。
吸収率スペクトル = (1 - 反射スペクトル÷6500K光源スペクトル)[400-700]
これをグラフ化すると、以下の緑色のスペクトルが得られます。
これぞ、このトゲサンゴの吸収スペクトルです♪

6500K光源とトゲサンゴの反射スペクトルから算定された吸収スペクトル

試しに、Advanced Aquaristの有用な記事 Feature Article: Coral Coloration, Part 5: Non-fluorescent Chromoproteins (CP-480 to CP-562) から、似たようなピンク・赤系のクロモプロテインの吸収スペクトルを拝借して重ねてみると、、、

トゲサンゴの吸収スペクトルと、近似サンゴのクロモプロテイン

特にCP-560 PINK ハナヤサイと良く一致してるのが判りますね。

まだ僕の蓄積している実測データは少ないですが、それでも吸収スペクトルのピークにはある程度の傾向が見られ、例えば他のブルーやバイオレットなどのクロモプロテインの吸収ピークは大抵アンバー(橙580nm)前後にありますが、トゲやフトトゲなどの赤系は黄緑560nm前後に吸収ピークがありました。これによって、照明の向き不向きも考察することができるでしょう。

例えば、以下のように照明のスペクトルを重ねてみると、、、

トゲサンゴの吸収スペクトルと、各照明のスペクトル

吸収ピークの560nm自体は、いずれの照明でもカバーされていることが判ります。
あとは、スペクトルの全体のバランスが重要になります。

例えばこのトゲの場合でも、相対的に緑より青が多ければ緑の波長を補完すべく蛍光グリーンが発動しやすく、また青系の波長はカロテノイド(褐色系)も促進しちゃう可能性が大です。そう言う意味では、トゲに関しては蛍光灯の3波長はうまくマッチしていますね。フルスペの場合でも、青少なめ・白多めを推すのは、こうした理由からです。ま、今はXPが出たので容易にはなりましたが。。。

よく勘違いされることですが、こうした吸収スペクトルは絶対的要求の特性では無く、あくまでも波長に対する受容性としての特性です。要するに、波長毎にどれくらい窓口を広く開けているかの度合いのようなものです。トゲのような色素系はまだ解釈しやすいですが、特に蛍光タンパク系は蛍光と色素が複雑に絡み合って光合成を構成しているので、下手に吸収スペクトル通りに波長強度を与えると蛍光の褪色や消失に繋がる場合もありますから、反射・吸収・蛍光すべてに通して入念な考察が必要になってきます。

さて、このトゲの場合、広くは400nm~420nmと、520nm~590nm、そして670nm~680nmに吸収ピークがあることが読み取れます。今となっては言わずもがな、「トゲ・ショウガ・ハナヤサイのピンク維持には中域の波長を!」と言うのは、この特性からもよく理解できますね。当時は海藻のフィコビリン系色素の要求をサンゴに当てはめて導き出した答えでしたが、まさか遂に自分で実測しちゃう時代が来ちゃうとは。。。曝
また、680nm前後の要求にしても、クロロフィルの赤側の特性なので納得ですね。

でも、ひとつ気になるのは、、、400-420nmの要求?

これはまだ多くの検証データが必要ですが、今のところ僕の予想では、例えばブルーベリーやナスでお馴染みのアントシアニン色素の色度増強をUVAの紫外線が促進していることからも判るとおり、UVAは色素を濃くする傾向を持つと考えられます。同じ赤系のハナヤサイやトゲでも、自然下では一律の色度(濃度)では無く、明るいピンク以外にも、濃い赤、パープル寄りの赤など、バリエーションが豊富なのも頷けます。実際、これらのサンゴは強いUVAに晒される超浅場に多く生息するため、色素を濃くして紫外線から身を守るべく、こうした作用が働く訳です。そうした自然本来の色度を維持するためにも、自然下同様の紫外線量は非常に重要であると言える訳です。

もし、濃い赤も濃い紫もみんな薄いピンクになっちゃう方は、UVも疑ってみてください。

ちなみにすべての答え第一弾には、

  1. ストロベリー・ピンク
  2. ストロベリー・グリーン
  3. スパスラタ・バイオレット
  4. スパスラタ・グリーン
  5. スギノキ・ブルー
  6. ユビ・ブルー
  7. トゲ・ピンク
  8. フトトゲ・ピンク
  9. ハイマツ・オレンジ

を収容しています。
トゲのようにリクエストが増えたら、また奮発したいと思います♪
なお、すべての答えはそろそろ第二弾にも取りかかりたいなぁと考えています♪

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