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水深0-3M定義モデルKR93XP試作機

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なんか風の噂じゃ~最近、KR93XPなる新参者が巷を賑わしてるとか?

聞けばXPというのはまだ仮称らしいが。。。

誰、この子?

と言う訳で、私もXPご本人に突撃インタビューを敢行いたしました♪

まず、ざっくりと外観から。

KR93SP(左)とKR93XPデモ機

・・・見た目は変わりませんが???

いや待て、もっとよく見てみよう。。。

KR93SP(左)とKR93XPデモ機のレンズ比較

こ・これはもしや。。。
拡散レンズかっ!?

KR93SP(左)とKR93XPデモ機のビーム比較

なんと!!!
KR93シリーズは1W素子を緻密に並べているので拡散レンズは不要かと思っていたが、これはこれでさらに高次元のハイファインブレンドを実現しているようだ!
これなら波長ムラが気にならない分、限界まで生体に接近することができるかも♪
そこまでして大光量化対策を追求したKR93XPって、、、

一体ターゲットは誰だ!?

但し、レンズのプリズム化により数%程度の照度ロスが生じることは、まだまだ内緒だ!

続いてLED素子配列を見てみよう。

KR93SP(左)とKR93XPデモ機のLED配列比較

最小構成の12インチではLED素子数の比率が算定しにくいため、あくまで代表的な24インチで比較した場合、KR93SPでは27ヶ、KR93XPでは39ヶの白系LEDが搭載されているので、KR93XPでは白系LEDの数はなんと1.44倍になっていることが判る。
そこまで白系LEDを増やした理由とは?

ターゲットは一体誰なんだ!?

実測スペクトルも見てみよう。

KR93SP(左)とKR93XPデモ機の実測スペクトル比較

中域の波長分布が極端に盛り上がった白ch、そしてシアンが追加された青ch。。。

中域スペクトルの強化と、シアンの強化か。。。
なるほど、見えてきたぞ?
これらの波長構成を見る限り、XPはSPに比べ、より浅場へとシフトしているようだ!
さしづめ、水深3-5MのSPに対し、XPは水深0-3Mと言ったところかっ!!!

ターゲットは、ハナヤサイ・トゲ・ショウガかっ!!!

但し、これらの強化と引き替えに、UV系出力が半分ほど犠牲になっているのはご愛敬。
とは言え、それでもまだ十分すぎるUV系出力が確保されているのでご安心を♪

さらに気になる白chをクローズアップ!

20KR93SP(左)とKR93XPデモ機の白chのスペクトル比較

これまでフルスペの太陽を司ってきた白chと、新たなXPの白chを比べてみると。。。

こ・これはまさか!?
あの時の・・・水深0.5M?

マジで超浅場スペクトルをトレースしたと言うのかっ!!!

と言うことは、
超浅場のスペクトルを再現したKR93XPを、超浅場のサンゴに当てるってことだから・・・

サンゴが海と勘違いしてしまうっ!!!

じゃあ、スペクトルは良いとして、光量はどうなのか?
最後に、光量測定結果を見てみよう。

SP vs XP KR93SP 2.02 KR93XP 1.00
12″ 24″ 12″ 24″
照度 (JIS/AA) [lx] 16,600 23,562 21,630 27,542
PPFD [umol/m2/s] 612 782 572 717

照度を約1.2~1.3倍へ向上させるため、PPFDが約1割減となっているのが判る。
簡単に言えば、白系LEDはチップ光→蛍光体発光で多少なりと変換ロスが生じるため、白系LEDが多いほど光エネルギー(PPFD)総量が低下していく。しかし、変換ロスと引き替えに、白系LEDは照度にあまり寄与しない青色光を、蛍光発光によって照度に大きく寄与する中域の波長に変換するため、結果的に白系LEDを増やすことでPPFDは下がっても照度は増加する、と言う理屈になるのだ。
(注:照度アップは「照度」自体が目的では無く、照度確保=中域比率確保である)

キャッチフレーズは、

KR93XPで、自宅で優雅にシュノーケリング♪

超浅場の再現

もとい、

KR93XPで、超浅場サンゴをおもてなし♪

ハナヤサイサンゴ

今後、KR93XPが正式発売されたなら、KR93SPとはどのような棲み分けになるのか?

水深3-5M仕様で蛍光タンパク重視のUV系出力確保モデルと言えば・・・KR93SP
水深0-3M仕様で色素系色揚げ重視の中域出力確保モデルと言えば・・・KR93XP

このような選択肢になるものと予想されます。
特に超浅場サンゴがメインならXP、そうで無いならSPが適しているでしょう。
そして、ひな壇レイアウトの場合、手前にSP、奥にXP、と言うのが究極の形かな。
まあ、2台並べるならSP×2でも十分に威力は発揮しますけどね。

2013年、もうひとつの伝説が動き出す。。。
この次も~、伝説 伝説ぅ~♪

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伝説の途中経過

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先日ご紹介したReef in the skyのAndrew氏の現在の水槽の様子ですが、その後、該当スレッドにAndrew氏からコメントが追加されました。
それを読んで、あぁ・・・そっか、と安心しました。そして、あの日伝説が始まってから、現在も順調に伝説が進行中であることを、やっぱりね、と納得しました。

では、Andrew氏のコメントの中からいくつか気に入った部分を勝手にご紹介します。
尚、翻訳はザックリアバウトです(笑)

The reason I switched was to try something new.
私が(KR93SPに)変えた理由は、新しいことに挑戦するため。

The light spread from one unit wasn’t enough so I got another unit. Having the second unit is much better.
1台では光量が不十分だったので、もう一台用意した。2台あると非常に良い。

The pictures were taken in the evening so yes, the LEDs were not at 100%.
写真は夜に撮ったので、LEDは100%ではなかった。

I don’t use the T5 lights anymore but just haven’t taken then down yet as I need a few extra hands.
私はもうT5は使いませんが、人手が必要なのでT5はまだ取り外していません。

All I can say is that I’m sure LEDs will be the future.
私は将来LEDになっていくことを確信しています。

なるほど。。。どうりで暗いはずです。夜に撮ったのなら。
とんだ気苦労だったか。。。

夜に撮影されたAndrew氏の水槽

なんか、コメントを読むと、Andrew氏は夕暮れの調光が凄く気に入ってるらしいので、もしかしたら全体的に暗めで使ってるのかも知れません。勿体ない。。。まあ、ZEOvitで抜くならそれくらいがちょうど良いのかも? 実践した人だけが知り得る運用パラメータ、か。

いずれにしても、T5+ZEOvitの水槽で賞を取ってきた方が、KR93SPに乗り換えて7ヶ月が経過、その効果を十分に体感し、「T5はもう使わない」「LEDが好きだ」「未来はLEDが担うことを確信した」と言われたのは事実のこと。
そんなにも満足して貰えたなんて、改めてフルスペを作って本当に良かったと思います。

きっと世の中には、2種類の人間がいるのでしょう。
誰かが敷いた実績と言う名のレールの上を安全に歩く人と、
危険を顧みず、常に新しいことに挑戦して道を切り開いていく人。
もちろん前者が悪いことなど何もありませんし、リスク回避の基本です。
しかし、Andrew氏は間違いなく後者でした。
そしてもちろん、今フルスペを満喫している人々も、ズバリ後者でしょう。
まだ無い道を歩いてみようと覚悟されたのですから。
僕なら、あるいはリスク回避を選択した可能性も。。。
所詮、僕なんて理屈並べて設計しただけ。
本当に凄いのは、それを実践してレールを敷いてくれた人たちです。

伝説は、まだまだ続きそうだぜぇ~?
一緒にフルスペ大冒険に出かけようだぜぇ♪

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Dear KR93SP user in the world,

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以前、伝説の始まりでご紹介したReef in the skyのAndrew氏が半年ぶりに最近の水槽写真を公開されたので、その写真から判るサンゴの色彩変化などの経過を僕が勝手に推理・解釈し、世界のフルスペユーザーへKR93SPのセッティング方法をアドバイスしたいと思います。生意気だけど、一応スペクトル設計者なんだぜぇ~?

I inserted English of red color to an article.

Reef in the sky にKR93SPを設置してから7ヶ月が経過

まず、昨年の6月に設置されてから、今月10日までの水槽の経過の様子を抜粋。
尚、画像が極端に暗いため、他の写真に合わせて明るさを調整してあります。

KR93SPを設置して7ヶ月経過したReef in the sky

恐らく光量不足と面積確保のため、去年7月に1台追加されたようです。
これで正味250W×2=500Wとなり、元のT5 640Wから見て140W減の状態です。

各サンゴの色彩変化の判断
I judged the color of coral.

KR93設置時と、7ヶ月後の各サンゴの色彩状態を比較してみると↓

KR93SPを設置して7ヶ月経過したサンゴの色素経過

どのような調光タイマー設定で運用されているのか不明ですが、国内向けに配布しているスペクトルガイドは日本語版しかないため、もしかしたら英語版の取説のデフォルトのタイマー設定のままで運用されているのかも知れません。
また、全体写真が極端に暗いので写真の明るさを補正しましたが、色が正しく再現できていない可能性がありますので、詳しくは該当スレッドAndrewのレスにある各サンゴの写真をご覧ください。グリーン?も実はイエローなのかも知れないし、RPPも本当はもっと濃い赤色かも知れません。個別の写真ではそう見えるものもあるし。。。でもそれじゃ話が終わってしまうので、あくまでも上の写真の色彩が正しいという前提で話を進めます(笑)

尚、光量の増加に伴うZEOvitでの抜けすぎ(白化)が特に見られないことから、光量に合わせた添加量のコントロールが厳格におこなわれていることが推測されます。流石ZEOvit Dream Tank of the Quarterの受賞者ですね。
あるいは、添加量ではなく調光で制御しているなら、暗い写真にも納得です(汗)
でもそれじゃ本末転倒なので、この際ZEOvitをやめてフルパワーを体験して・・・笑

以下は、ZEOvit等の水質制御を抜きにして、光についてのみ考察してみた内容です。

* FP: Fluorescent Protein (蛍光タンパク)
* PP: Photosynthesis Pigment (光合成色素) [非蛍光タンパク]

1. YFP→GFP ? (Yellow FP → Green FP ?)

黄色の蛍光タンパクYFPを励起するグリーン系の波長帯域(500-560nm)よりも、緑色の蛍光タンパクGFPを励起するブルー系の波長帯域(440-500nm)の光強度が遙かに勝るため、蛍光グリーンが優位に立ってきたのだろうか? このような色素に対しては、逆に緑の波長が突出しているT5や、緑~黄色に大きなピークを持つ一般白色LEDの方が、維持は容易かも知れません。
尚、黄色系のカロテノイド色素(非蛍光)であれば、十分なブルー系の波長帯域により維持は容易なはずなので、この場合には該当しないと思われます。
KR93SPでの対策としては、青chを抑制し白chを解放した水深0M設定相当のコントロールに努めてください。

To strengthen YFP(Yellow fluorescent protein) than GFP(Green fluorescent protein), please weaken the wavelength of 450-500nm and strengthen the wavelength of 500-600nm.
To that end, you make setting to “Depth 0M”.

2. BFP/CFP (Blue FP/Cyan FP)

KR93SPが誇る、青色やシアンの蛍光タンパクを励起するUV系の波長帯域(400-440nm)の絶大な光強度により、蛍光ブルーや蛍光シアンのミドリイシの色揚がりが特に顕著なようです。T5時代にはグリーン寄りだった個体まで、シアンに傾いてきているように見受けられます。

3. RPP (Red PP) (non-FP)

1同様、中域(500-600nm)の波長の光強度が足りないのか、赤の光合成色素(非蛍光タンパク)の発色が不十分なように見受けられ、あるいは十分すぎるブルー系の波長により、茶色のカロテノイド色素が誘発され、褐色に傾きつつあるのかも知れません。このような色素に対しても、緑の波長が突出しているT5や、緑~黄色に大きなピークを持つ一般白色LEDの方が、維持は容易と思われます。
KR93SPでの対策としては、やはり青chを抑制し白chを解放した水深0M設定相当のコントロールに努めてください。また、より多くの光を必要とするため、ライトを下げたり、個体を浅い位置に配すると、より効果が得られます。

Red and Blue photosynthesis pigment (non-fluorescent protein) are strengthened when give a lot of wavelengths of 500-600nm.
To that end, you make setting to “Depth 0M”.

4. RFP (Red FP)

こちらは光合成色素のような色素色ではなく赤色の蛍光タンパクであるため、要求される波長帯域は主にブルー系(440-500nm)からグリーン系(500-560nm)の波長帯域となり、KR93SPに限らず多くのLEDライトで比較的容易に維持は可能です。但し、光が強すぎると色が飛びやすいため、水槽では比較的深い位置が理想です。

水深0M設定とは?
What’s “Depth 0M” ?

KR93SPは、調光タイマーの設定次第で、日照変化の調光だけではなく、水深スペクトルも自在に設定可能です。特にサンゴの本来の色彩を維持するためには、生息環境に合わせて適切な水深設定に心がけてください。

If KR93SP’s timer is adjusted, you can get a “Reef depth spectrum”.
It is required in order to maintain the color of coral.

KR93SPの水深スペクトルの設定方法は、KR特設サイトのKRクラブからダウンロードが可能です。1stロットと2ndロットで設定方法が異なりますのでご注意ください。

Please download a spectrum guide.
There are two versions.

KR93SP Spectrum Guide Download.

KR93SPスペクトルガイド

ガイド右ページの一番上の設定が水深0Mです。
白chを強め、青chを弱めにしたものになっています。

水深0M設定

まあ、スペクトルガイドの英語版を作ってくれれば話は早いんだけど(汗)
そろそろ必要なんじゃないの、和田さん?

さらに強化した水深0M設定の例
How to setting of the Strengthening version of “Depth 0M”.

ムーンを使わない場合
Moon: not use.

Strengthening version of “Depth 0M”
Moon: not use.
Stage time White Blue Moon
t1 5:00 20% 2% 0%
t2 6:00 80% 50% 0%
t3 9:00 100% 80% 0%
t4 12:00 100% 100% 0%
t5 15:00 100% 70% 0%
t6 18:00 80% 5% 0%
t7 19:00 20% 2% 0%
Endt 22:00 - - -
LU n -
Lt n -

月齢周期モードを使う場合
Moon: use luna mode.

Strengthening version of “Depth 0M”
Moon: use luna mode.
Stage time White Blue Moon
t1 5:00 20% 2% 0%
t2 6:00 80% 50% 0%
t3 9:00 100% 80% 0%
t4 12:00 100% 100% 0%
t5 15:00 100% 70% 0%
t6 18:00 80% 5% 0%
t7 19:00 20% 2% 0%
Endt 22:00 - - -
LU y luna 22:00-5:00
Lt n -

ムーンを1%で固定する場合
Moon: Fixed 1% 19:00-5:00

Strengthening version of “Depth 0M”
Moon: 1% 19:00-5:00
Stage time White Blue Moon
t1 5:00 20% 2% 0%
t2 6:00 80% 50% 0%
t3 9:00 100% 80% 0%
t4 12:00 100% 100% 0%
t5 15:00 100% 70% 0%
t6 18:00 80% 5% 0%
t7 19:00 0% 0% 1%
Endt 4:59 - - -
LU n -
Lt n -

白chの光量の増やし方

  1. 白chの点灯量・点灯時間を増やす
  2. 本体の位置を下げる (水面からの塩害に注意)
  3. 目的のサンゴを浅い位置へ引き上げる
  4. もう一台KR93SPを買う

How to increase the light volume of the White ch.

  1. Please increase the percent and time of the White ch.
  2. Please make KR93SP’s position low.
    (Be careful of damage from salt water)
  3. Please put coral on a shallow position.
  4. Please add KR93SP

要するに、無理に複数台を設置しなくても、白chをフル出力で稼働させる時間を長くすれば、トータルの光合成時間を引き延ばすことができます。(仮想増設)
最大では、朝から晩まで白chを100%で運転すると言う手段もありです(笑)
それでもダメなら、本体を水面に近づけたり、サンゴを上へ移動したりしてください。
最終手段は、もう一台追加。。。

さて。
いろいろ悪い方向で書いたけども、実際はAndrew氏が写真を明るく撮り直したら、今まで通り、それ以上に綺麗だった~♪ と言うオチを望みます(曝)

Let’s enjoy FullSpectrum magic :-)

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