1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

max-s G2 230W ハイパワーフルスペ案

この記事を含むタグの全記事リスト: 400nm 420nm 500nm Epileds LEDライト max-s Maxspect スペクトル

これまた1ヶ月以上前に手がけたネタです。順番に。

たまにMazarraのフルスペ案の相談をお受けするのですが、久しぶりにmax-s G2の相談があり、しかも今回かなり手の込んだ贅沢な内容に仕上がったので、相談者さんの了承の元、大公開しちゃいます!

max-s G2、まだまだ現役です♪

Maxspect G2 Cree 230W

↑これを↓こうしちゃいます♪
(クリックにて材料リンク付きPDF)

Maxspect G2 Cree 230W ハイパワーフルスペ設計書

Cree XP-G以外、LEDの全交換が伴いますが、LED素子代は全部で4万ちょい、予備含めても5万ちょいです♪

この設計でのミソは、UV 400nmや420nmを15Wモジュールに割り当ててしまおう♪と言う作戦です。それによって自動的に高耐性のシリコン樹脂パッケージとなります(LEDモジュールは大抵シリコン樹脂製です)。通常のLED素子で400nm/420nmのシリコン樹脂採用品を見つけるのはなかなか困難ですからね。もし焦げても良いならプラスチックレンズ採用品でも良いですが、特にUV 400nmは絶対に焦げますよ(汗)
また、青系LEDにはLuxeon Rebelの最新クールベースの最高ロットを贅沢に使います。もちろん波長にもこだわって、厳密に450nm, 475nm, 500nmが調達できたぜぇ?
それに、なんと言ってもチャンネル分けが秀逸なんだぜぇ?
これなら浅場から深場までそこそこ水深設定も実現するぜぇ?
そうしてできあがるのは、妥協の無いハイパワー&フルスペクトル仕様G2なんだぜぇ♪

まずは、UV 15W LEDモジュールの紹介から。これはeBayから買えます。
購入ページは先の設計PDFの中からリンクで飛んでください。

AC-RC UV 20W LEDモジュール

UV 400nmもこだわって、敢えて395nmをチョイス。
決め手は、チップに今が旬のEpileds 最新 EP-U4545Kを採用してたことと、スペクトルの実測データを販売ページに貼付してたから。AC-RCってイカス~♪
ちなみに、G2に使われてるLEDモジュールは付加電圧が10-12Vのタイプなので、必然的にこのタイプ(3×3チップ)の15-20Wモジュールになります。他の5×2とかだと電圧が変わっちゃうので、必ず3チップ直列で構成されたモノを見つけてください。

AC-RC UV 20W LEDモジュール 395nm/420nm

実測で392nm/416nmでした。
てことは、下は380-385nmあたりからの立ち上がりが得られそう!
オージーのアレとかソレもいけるんちゃう♪

AC-RC UV 20W LEDモジュール 395nm/420nm スペクトル

続いて、青系LEDに採用するPhilips Lumileds Luxeon Rebel クールベース仕様。
これはLuxeon Starから買えます。購入ページは先のPDF参照。

Philips Lumileds Luxeon Rebel Cool Base

クールベースはスター基板が普通のガラエポでできてるので熱くなりません。
LED部に密集したスルーホールからヒートシンクに熱を伝える構造なのです。

Philips Lumileds Luxeon Rebel Cool Base 外観

最近は450nmや500nmは意外と簡単に波長が揃うのですが、Blueの波長を475nm~480nmで揃えるのが難しいんですよね。普通は個人ではなかなか波長ロットは指定買いできませんから、下手すると460nmとか465nmが届いちゃう。でもそんなん使うと500nmとの間に波長の谷(欠落)ができちゃう。。。なので今回は470nmと表記されたモノを用意したのですが、なんと運良く実測で475nm出てました♪

Philips Lumileds Luxeon Rebel Cool Base 450nm/475nm/500nm スペクトル

超~贅沢な仕様でしょ?

今回はLEDの調達がeBayやLuxeonStarなど海外からだったので、僕が代理で購入して相談者さんへお送りしました。そこから先は相談者さんが頑張って換装されました。

じゃじゃ~ん♪ (写真は相談者さんから)

Maxspect G2 Cree 230W ハイパワーフルスペ実装例

なんと、スター基板に接続する1.25mmピッチコネクタもパーツ屋で見つけて半田付けされたそうです。だから仕上がりも製品レベルじゃん♪

設計通り、太陽光のような自然な白が得られ、ご家族からも「発色が綺麗!」と大変好評とのことでした。ご本人も大満足のご様子で、僕も一安心。
完成スペクトルこそ測ってませんが、今回は調達したLEDが波長も出力もすべて厳密に出てたので、ほぼ計算通りの出力とスペクトルが出ていると思います。

皆さんも、もしG2が運良く入手できたら、是非お試しあれ♪

こちらのエントリーもどうぞ♪

唐突にCree XT-E

この記事を含むタグの全記事リスト: LED スペクトル

溜まってた記事を順番に。

実は前回注文したLedEnginの400nmと併せて、Cree XT-Eも注文してました。
XT-Eは2011/10リリースでしたが、僕はまだ現物を拝んでなかったので、一度見ておこうかと。。。

Cree XT-E 外観

このチップ、どんな仕組みなんやろ。。。?

スペクトル測定。

Cree XT-E RoyalBlueとCoolWhiteのスペクトル

まあ、予想通りかな。

そんなことよりチップが気になる!!!
で、分解♪
樹脂レンズを剥がすと、チップ部が台座から簡単にペラッと剥がれちゃいました。

Cree XT-E チップサイズ

これは爪楊枝とツーショット。
なんか、思ってた仕組みとは違ってました。
これ何だろ?
チップにガラス細工のピラミッド?が乗ってる感じ。
こんなもんがチップに乗ってたら光量ロスだと思うんだけど・・・?

さらに詳細。

Cree XT-E チップ

台座側のチップとの接合面は、まさにLuxeon Rebelと同じ構造です。
この構造によってボンディングワイヤーが省けて、光量アップも期待できるはず。。。

・・・これって、Philips Lumiledsのライセンスなんだろうか?
それともCree独自の技術???
まさか、バラしちゃダメだったとか?笑

以上、LEDネタでした。

こちらのエントリーもどうぞ♪

みちのく南紀、水深50cmのミッション

この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル ヤドカリ散策 南紀

前回、テツオ氏の披露パーティのあと、マーグイヨコバサミを求めて南紀へ向かった訳ですが、南紀滞在中は時間はたっぷりあったので、実はもうひとつのミッションも遂行しておりました。それは一体・・・?

ここは白浜のとある海岸です。

南紀白浜

磯場の干潮タイムでは、天然のヤドカリパークがあちこちに見られます。

天然のヤドカリパーク

浅場に迷い込んだイカの子供。。。

浅瀬に迷い込んだイカ

水深5cmの穴にはギンポが。。。

水深5cmのギンポ

新種がいっぱい♪
と思ったら、イソヨコバサミの幼稚体でした(笑)

ヤドカリ

老眼のせいだけじゃなくて、なんかね、白浜のイソヨコの幼稚体は串本とは模様が微妙に違って見えるんだよね。最初の3匹くらいマジで新種かと思ったもん。。。ま、さすがに5匹超えたあたりで可笑しいと気づきましたけど(曝)

さて、目的のポイントに到着。
プランクトンの少ない、めっちゃ澄んだタイドプールです。
特に白浜は岩礁にカメノテが大量に密集していて海水の済んだポイントが多いです♪
こんだけ澄んでないと意味が無いミッションですからっ!

澄んだタイドプール

ここで何をするかというと。。。先日買ったスペクトロメーターを使って、最近何かと話題?のハナヤサイやショウガの好む超浅場のスペクトルを測ろうと思ったんだぜぇ?
もちろんMK350は防水じゃ無いので、適当な防水ケースに入れて準備OKだぜぇ♪
そして水深約50cmを徹底的に測ってみましたよ!

青空のスペクトルと海中50cmのスペクトル

陸上のスペクトルは太陽の直射日光ではなくて真上の青空に向けて測定、海中50cmも太陽には向けず青空に向けて測定しました。特に海中のスペクトルは反射光・拡散光の累積の賜ですから、こういった測定方法が正解じゃないかしら?
そしていくつか測ったうち、各3パターンずつを比較してみました↓

青空のスペクトルと海中50cmのスペクトル、各3パターン

波長的には、僅か水深50cmと言えども黄色570nmあたりからガクンと減衰し始め、赤外線700nm以降は半分以下へ減衰が見られました。水深50cmと侮るなかれ!
しかし、逆に緑の波長以下のスペクトルはUV 400nmまで欠けること無くほぼ陸上並みのバランスで降り注いでおり、ここが水深3-5Mを目指したフルスペKR93SPと大きく違う点です。また、いくらフルスペが調光設定で水深0M相当まで狙えるとは言え、青チャンネルを絞った分、どうしても光量が半減しますから、超浅場SPSが要求する光量とは益々懸け離れてしまいます。上のグラフからも判るように、水深50cmでの光量は陸上の約半分~1/3程度はありますので、晴天時の照度が時には10万ルクス超となることから考えても、超浅場SPSを飼育するなら水面で3~5万ルクスは確保したいところです。僕がいつも「水面で3万ルクス・・・」と言ってるのはこうした理由からです。
とりあえず今はフルスペを2台並べる(汗)か、高演色系白色スポットを追加して凌いでもらってますが、いずれは超浅場向け水深0-3Mフルスペの開発も必要かなぁ。。。

最後に、水深50cmの世界で育まれる南紀のハナヤサイたちをどうぞ。
いずれも2008年に串本でタイドプールに手突っ込んで撮ったものです。古いね(笑)

自然下で観察すると判りますが、影の部分は普通に褐色だし、時には白化もあります。自然下だからと言って完璧ではありません。個体の素質・状態、光条件、水質、水流、水温、その他の自然条件が複雑に絡み合い、同じポイントで見られる同種間でさえ、色・形状に違いが生まれます。それを水槽でどーこーしようと言うのですから、なかなか一筋縄ではいかないのも頷けますね。

ちなみにハナヤサイの場合、赤色色素の形成には緑の波長と光強度ですが、さらなる紫の増強にはUV 400nmと光強度が、一方青の波長は褐色化を促します。これらは蛍光ではなく、例えば赤系光合成色素のフィコエリトリンが吸収スペクトルのピークを緑に持つこと、またアントシアニンの色揚げが紫外線によって促進されること、そして茶系のカロテノイドが青の波長バンドを利用していることに通ずると考えられます。てことは、よくある青だけたっぷりのLEDを当ててたらハナヤサイは茶色くなりますので、UVと白LED(中域補完)もお忘れ無く。また、メタハラなら6500Kが定番で、もっとも真っ赤っかにしやすいです。

あと、なぜ画像ではなく動画にしたかというと、浅場に降り注ぐ水面の振幅によるレンズ効果も見て欲しかったからです。このキラキラの光のカーテンが相対的な光量確保や光合成の促進に繋がっている可能性がありそうとか、あるいは反対にキラキラによって光強度の分散がなされて干潮時の水面直下の光障害が緩和されているかも知れないとか、逆にタイドプールなどのキラキラが無い環境では白化しやすいかも知れない、などの違いがあるかも知れません。動画の印象は如何でしょうか?
もし水槽で試すなら、雷モードが役に立ったりして?笑

以上、とりあえずハナヤサイなどの超浅場SPSが求める波長や光強度が理解できれば、今回のミッションは成功です♪

え?
赤の波長もそれなりに当たってるし利用してそう!ですって?
よく考えてみて。
赤く見えてる」と言うことは?

こちらのエントリーもどうぞ♪