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懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

元祖スギノキブルー化計画?

この記事を含むタグの全記事リスト: 400nm LEDうんちく スペクトル 海洋雑学 色素

前世紀シリーズ 2.

むかしむかし、僕がまだ水槽をブンブン回してた頃、ようやくミドリイシ飼育のコツが掴め、比較的容易に成長が楽しめるようになってきた頃のお話です。

スギノキの3ヶ月間の成長度合い

当時は直感的にも経験的にも、メタハラのUVはサンゴに何らかの恩恵をもたらすとは考えていましたが、具体的な情報が皆無の時代でした。

そこである実験を行いました。
それが、かの有名?な「スギノキブルー化計画」です。
主なUV源にはSCマリンブルーを用い、意図したUV量の調整と照射が肝となります。

その結果、スギノキの照射面には見事に「青い色素」が増強されました。

スギノキのシアン蛍光の分布度合い

はい、実は当時はまだ、スギノキブルーの色素原理が、UVにより励起されるブルーやシアンの蛍光タンパクだとは知りもしませんでした(笑)。しかし、それらがメタハラのUVによって強化できる事だけは、経験的に把握できていた訳です。

気まま日誌2000年5月のキャプチャー

2000年5月当時のスギノキブルー化計画の日記

昔は顔文字も使うカワイイ奴だったんですが、そこはスルーしてください(笑)

その後、時代を経て、スギノキブルーの発色がUVによるブルー蛍光・シアン蛍光であることも判明し、現在のアクアLEDのノウハウにも活かされることとなりました。

当時、何気なく実験に用いたSCマリンブルーが、実は最高のUV域保有ランプだったという事実に、近年スペクトル測定環境が整ってから改めて実感させられました。

そっか。。。

あの日の偶然は、今日への布石・・・必然だったのか・・・

このSC普及への貢献は、今なお絶大なSC人気に繋がっています(俺調べ)
そして、現代に引き起こされたフルスペ旋風も、加速する一方です(俺調べ)
いずれも、UVによる色揚げ効果という恩恵があるからこそ。。。

海中スペクトルを見ても判るとおり、水深を増すにつれ赤の波長こそ早くに減衰して無くなりますが、UVは水深30Mでさえ緑~黄色並の光強度があります。スペクトルは約360nmから立ち上がり、400nmでは既にシアン並みの光強度があります。なんと、このUV部分のスペクトルは、SCマリンブルーのスペクトルにとてもよく酷似しているんです。

↓以前、南紀で測定した水深50cmのスペクトル例

青空のスペクトルと海中50cmのスペクトル、各3パターン

一方、フルスペもSCマリンブルーのスペクトルに酷似しますが、流石に本当の紫外線域360nm-400nm間の波長強度はSCに敵いません。とは言え、フルスペはアクアLEDライトの中でも群を抜いて400nmの光強度が高いため、UV側スペクトルの立ち上がりが380nmから始まり、390nmあたりで相対値4-5割の光強度を確保しています。しかし、それ以下の帯域360-380nmが欠けていることには違いないので、サンゴの蛍光タンパクの色揚げに関して360-380nmにもこだわるなら、現状ではSCマリンブルー等のメタハラに頼らざるを得ません。特にややこしい個体に対しては無視できないでしょう。。

尚、T5の場合でも、Actinic系ランプを追加することで400nmの強度を引き上げることは可能ですが、効果的な光強度を確保するなら、全体の2-3割はブレンドしたいところです(8本灯具なら2-3本のActinic系を推奨)
ちなみに、Actinic系無しで構成した場合は、どの光色を混ぜても400nmは相対値で約1割程度しか確保できませんのでご注意ください。

ちょうどこのスレッドこのレスに判りやすいグラフを貼ってますので参考にどうぞ。

SCマリンブルーとフルスペとT5 Actinic系のスペクトル比較

やることをやれば蛍光ブルー系の色揚げは比較的容易ですから、色々お試しください♪

尚、スギノキブルーの発色原理の多くはブルー・シアン蛍光タンパクですが、種によっては非蛍光の色素色のブルーもありますので、注意してください。まあ、今時ならF.P.ドクターと言う秘密兵器があるので判定は容易ですね。400nm前後を当ててみてください。
例えば、このスレッドこのスレの個体は、どうやら色素色のブルー(紫)のようです。

ブルー(バイオレット)系ミドリイシ

mjnekoさんの個体どにゃさんの個体も非蛍光のブルー個体と思われますが、この手の個体の場合、中域の波長(緑~橙)を強化してみてください。まあ、扱いとしてはハナヤサイやトゲのような感じです。
予備知識としては、海洋雑学もどうぞ。

こちらのエントリーもどうぞ♪

禁断の異種格闘技100W対決(データのみ)

この記事を含むタグの全記事リスト: ATI eco-lamps KR93SP LED LEDライト T5 スペクトル

年明け第一回目は、異種格闘技 LED vs T5をお送りします。

実は昨年11月には実施済みでしたが、諸々の配慮?から公開を自粛してました(笑)
とは言え、せっかくのお正月なので、とりあえず お年玉替わり にデータのみ公開します。
すっかり首が伸びてしまった方、ごめんなさい、こんなんで許して(汗)

あ、お正月、お年玉、と言えば・・・

明けましておめでとうございます♪
今年も宜しくお願いいたします。

ちなみに、過去のLED vs メタハラ(KR93SP vs SC115)も参考にどうぞ。

尚、どーしても僕の超絶解説付きが読みたい方は、いいね!をクリックしてみてください。
そうね、100人超えたら考えましょう♪(書く気なしか)

LED 100W vs T5 100W : カード

LED :eco-lamps KR93SP 24″ (2nd後期)
T5 : ATI 24″ 4×24W SunPower

KR93SP 24" & SunPower 4x24W

KR93SP 24" & SunPower 4x24W, サイズ

LED 100W vs T5 100W : 構成

■KR93SP 構成

  • 白チャンネル ・・・ LED×63素子 = 63W相当
  • 青チャンネル ・・・ LED×28素子 = 28W相当
  • 計91W

■SunPower 構成

  • 系統1 (白ch相当) ・・・ AquaBlue Special ×2 = 48W相当
  • 系統2 (青ch相当) ・・・ True Actinic + Blue Plus = 48W相当
  • 計96W

KR93SP 24" & SunPower 4x24W, 光色

分光スペクトル対決結果

スペクトルの測定にはUPRtek MK350を使用。

KR93SP 24" & SunPower 4x24W, スペクトル

注) KR93SP 2nd後期は青系出力がアップしたのでUV系出力に追いつきました

光合成光量子束密度 PPFD [μmol/m2/s] 対決結果

PPFD測定にはApogee MQ-200を使用し、エクセルでグラフ化。

KR93SP 24" & SunPower 4x24W, PPFDグラフ

参考:サンゴの生育に必要なPPFD強度

Coral and their light requirementd μmol/m2/s
Mushrooms, Zooanthids, soft corals 50-100
LPS, some SPS 100-200
Axropora, Montipora, SPS, clams 200-500
Very few SPS 600-1,000

* CORAL Volume 8 Number 5 P47より引用

尚、T5の名誉のために補足すると、例えメタハラ150Wでも今回のT5 100WのPPFDと同等かそれ以下です。決してT5だけが弱い訳ではなく、レンズ付きLEDライト(今回の場合KR93SP)が秀逸すぎるだけなのです。それに、T5やメタハラならガラス面による反射光も加味されるので、もう少し光量もアップするでしょう。仮にそれで足りなくてもZEOvitなら積極的に抜く方向なので問題ないでしょう。
逆にLEDでZEOvitをする際は「抜けすぎ」に注意してください。特にマニュアルはT5で最適化されてるでしょうから、単純計算でも光量に反比例した調整を。

参考:メタハラのPPFDグラフ (MT250/MT150/SC)

PPFDグラフ:MT250, MT150, SC115

以上、データだけでも足りたよね?

こちらのエントリーもどうぞ♪

Kessil A150W Special Blend 15000K LEDを試す

この記事を含むタグの全記事リスト: COB LEDスポット スペクトル

引き続き溜まってたネタを順番に。

前回Premium AquaticsからMazarraのデュアルチップLED素子を通販したときに、商品ミスがあって正しい商品を送り直してもらった訳ですが、結局間違ったLEDはそのまま貰う事になったし、担当者のミスとは言えMaxspectのコロコロ変わる仕様変更の犠牲者でもある訳だし、せめて送料を払おうかと言っても要らないって言うし(そりゃそうか)、なんやかんやで商品代金や送料や手間のことを考えたら気の毒になったので、なんかついでに買おうかなぁ~と物色してたら、試してみたい商品があったので、実はそれも一緒に送ってもらうことにしたんです。長い。

それが、Kessil A150W Special Blend 15000K Ocean Blue です。
国内でも3万円ほどで買えるようで、34Wでこの価格なら安い方かな? どう?
以前だに兄が設置に苦労してたので、僕は取り付けアームも買ってみましたよ。

Kessil A150W Special Blend 15000K Ocean Blue

公式サイトで言うところのこれ↓(上から2番目)です。

Kessil A150W Special Blend 15000K Ocean Blue 公式スペクトル

構成はこんなかんじ。

Kessil A150W Special Blend 15000K Ocean Blue 外観

早速、実測っ!

Kessil A150W Special Blend 15000K Ocean Blue ビームと光量とスペクトル

やっぱ、マルチチップは光の混ざりが違います♪
色ムラなんて一切皆無!
光色ブレンドに関しては間違いなく業界一でしょう♪

ただ、広範囲を照らすべく超広角ビームになってるため、照度やPPFD自体はかなり弱いです。主に補助向けな感じ。でも1台足したくらいじゃ見た目は変わらないかな(汗)
ま、もしメインにするなら最低7-8台もあれば水面で600μmol/m2/sのPPFDと3万ルクスの照度は確保できると思います。また、10000Kや6700Kを混ぜるなら5-6台程度には減らせるだろうし、LPS限定なら2-3台でもイケそうな気がします。

そんなことより、僕の興味はチップだぜ♪

Kessil A150W Special Blend 15000K Ocean Blue チップ

ふむふむ。なるほど。
公式サイトのスペクトルから逆算して、各チップの波長はおよそこんな構成かな?

Kessil A150W Special Blend 15000K Ocean Blue チップ構成

19素子で34Wなので、電源ロスを差っ引いておよそ1.5W駆動ってとこか。
省エネ駆動ってことは、寿命もかなり期待できそう♪

それよりも驚いたのは、すべてCree社のチップを使ってるってこと!
そっか! Creeは社外向けには400nmや420nmも作ってたのか!
頼むからそれを自社ブランドでも発売してくれぇぇぇ!!!笑

しかし、ひとつ気になることが。。。
今一度、実測スペクトルを見てみると。。。

Kessil A150W Special Blend 15000K Ocean Blue 実測スペクトル

なぜか400nmに385nmを使ってる???
公式スペクトルによれば、本来一番下の波長には400nmを使ってるはずだけど。。。

400nmのチップが無かったのかな?
はたまた±15nmの誤差があるのかな?(それはない)
普通に400nm使った方がもうちょい出力も確保できたはずだけど。。。
謎は深まります。。。

ちなみに、アクアLEDクリエイター的には、

現在:385nm×1 + 420nm×2 + 450nm×6 + 460nm×6 + CW×4

提案:400nm×3 + 420nm×3 + 450nm×3 + 460nm×6 + CW×4

Kessil A150W スペクトル改善案

これくらいが良いなぁ♪

あ、あと、ファンが内蔵されてるので、点灯中はある程度ファンの音が聞こえます。
1台でも結構目立つので、もし数台並べたら・・・
でも先日だに兄に聞いたら静かだって言ってたので、個体差があるのかも?
あなたのKessilはどうですか?

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