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マメエコライトの再考

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約束どおり、マメエコライトの再考です。

まず、公式サイトから集めたマメエコライト情報です。

マメエコライトの基板と素子とスペクトル(公称)

マメエコライト情報の機能から抜粋

■色と明るさを自由に調整できます。(42億通り)
■50,000K(ケルビン)まで自由に色温度を設定できます
■自然光に近く、魚や珊瑚、水草、エビ、爬虫類 が美しく発色します
■ハイパワー49Wで淡水、海水のメイン照明として使用できます
※スポット照明ではなく、全体を照らせます
■49Wの強力な光源で水面のきらめきをだせます
※LED数を増やしてLED特有の過剰なきらめきは減らしています
■水温上昇の原因となる遠赤外線成分がありません
■無脊椎動物に悪影響をおよぼす紫外線成分がありません
■タイマー制御で自動に点灯、消灯を行えます
■朝焼けと夕焼けをプログラムにて再現します
■ムーンライトで月夜を演出できます(1677万色)
■光合成に必要な波長域でクロロフィル、褐虫藻の活性化に
■パルス点灯で植物・珊瑚等の成長促進に(周波数調節可能)
(中略)

言及したい箇所が多々ある中で、ひとつだけ、そうひとつだけどうしても言わせてください。
自然光にはまったく近くありませんっ(きっぱり)
これだけで良いです。それ以外は我慢します(汗)

気になるスペクトルです。見やすくトレースしました。
更に、他社のRGB LEDの特性も並べてみました。

マメエコライトと各RGB-LED素子のスペクトル比較

各社のRGB LED情報

メーカー RGB-LED 波長ピーク 光束@120mA
Avago ASMT-MT00 625nm 527nm 470nm 14lm 23.7lm 5.6lm
SSC F50360 625nm 525nm 460nm 12.3lm 22.8lm 4.6lm
kingbright AAAF5051-02 624nm 525nm 457nm 9lm 17lm 6.3lm
Edison EDERTB-1LC6 625nm 525nm 465nm 16.5lm 24.4lm 6.6lm
? ? 650nm 520nm 450nm ? ? ?

* 各社光束は@120mAで算定し直してあります

?はマメエコライトのLED素子です。素子のメーカー・型番が不明につき、公称のスペクトルからトレースした波長ピークしか判りません。

ちなみにここでもひとつだけ言わせてください。
赤LEDで650nmピークと言うのは、ハッキリ言って凄いです。なかなかありません。普通は630nm前後です。しかも青も450nmのロイヤルブルーのようです。それらを採用しているRGB素子ですから、これはかなりユニークな素子を使ってるんだなぁ、と思います。これについては興味があるので、現在のんびりと該当品を検索中です。。。

そして、これらの情報からマメエコライトの光量・スペクトルをシミュレーションする訳ですが、どうしてもあとひとつ情報が足りません。そう、各チップの光束です。そこで、上記の各社RGB素子の光束を参考に、ちょっと贔屓になりますが、少し大盛りの値を設定したいと思います。赤15lm緑25lm橙20lm青10lm、なんてどうでしょう?
で、マメエコライトにはRGB素子×40ヶYBB素子(青+青+橙)×9ヶがそれぞれ最大1Wで乗ってるので、合成スペクトル時の各チップの割合は、

R:40ヶ
G:40ヶ
B:40+9+9=58ヶ
Y:9ヶ

となります。

さて、結果や如何に!?

マメエコライト贔屓目の合成スペクトル

ほら来たっ!
製品トータルで2000ルーメンオーバーです!
前回の僕の予想より少しアップしました!(前回は1500lm)

とは言え、この光束を作るのに49W掛かってますから、効率は48.2lm/Wです。まあ、RGB素子は白色LEDと違って、どう頑張っても1ヶ当たりせいぜい40~50lm@1Wしか出ないので、100lmを軽く超える白色LEDに適わないのは仕方ありません。。。

でも、まあ、この贔屓目の算定結果なら、青も赤も良い感じの強度にはなりますね。
ただ、いくら後からイエロー(アンバー)を足したとは言っても、全体40ヶに対して僅か9ヶですから、合成スペクトルからも判るとおり、まだまだアンバーは足りないです。仮にアンバーを40ヶ入れたとしても、緑くらいの強度にしかならないのですから。

そして、贔屓結果だけじゃフェアじゃないので、一応、本来の実機に近いと思われる条件でもシミュレーションしたものを載せておきます。

KingBright社RGBとAvago社Amberの合成スペクトル

こちらの場合、効率は31.1lm/Wになります。。。
僕の太陽光LEDシステムの40lm/Wより低いです(僕のは波長優先だから良いけど)

想像すれば判りますが、先ほどの贔屓結果だと、どう見ても全灯色はパープルです。
一方、こちらのスペクトルは、青+緑赤蛍光体に擬似的に近いため、爽やかな白色(青っぽい白)になると思われます。
実機をお持ちの方は、フル点灯させて、光色がピンクか白かで、どちらの特性に近いかご判断ください。

・・・あり?
何故かどうしても否定的な内容になってしまう・・・汗
えっと、そうそう、これを海水で使おうとするから色々と問題が生じるのであって、水草や魚水槽に対してはそこまで悪いものでは無いと思うんです。ま、それでも、効率面、波長不足、光量不足、色々と至らない点がありますけど、そもそもこれに太陽を求めるから話がこじれるのであって、これは水槽を照らす明かりなのだと割り切れば良いのです。電飾なら、これほど凝ったイルミネーションは無いでしょう♪ (悪気は無いのに何故だろう・・・汗)
いや、僕が悪いんじゃなくて、公称で光合成を謳ってるのが悪い、、、よね?(汗)

最後に、これはマメエコさんへのアドバイスと言うか提案です。
水草だけならいざ知らず、海洋性光合成種相手にRGB LEDだけでは無理があります。合成スペクトルの随所の波長の欠落は補いようがありません。そこへいくらアンバーを足しても、根本的な問題解決にはなりません。単波長のLEDをいくら寄せ集めても、白色LEDのような蛍光体励起による帯域強度には適わないのです。

そこで、以下のような便利なLED素子があります。RGBと白色LEDをパッケージした製品です。白はクールホワイトかニュートラルホワイトから選択できます。写真はCree社 XLamp MC-Eですが、Edisonからもそっくりなのが出てます。国内でもフジコムさんのCOBのような製品もあります。

Cree MC-E RGB+White LED

これなら、マメエコさんがこだわる色温度調整機能も実現しつつ、白色LEDによって波長の欠落もカバーでき、勿論それなりの光合成色素対応率が実現されます。Creeなら効率は良い方ですし、仮に多少悪くてもスペクトルを優先した結果なので、言わば名誉の負傷(?)です。あとはUVを足すなりシアンを足すなり、さらにレンズによる照度確保(現状弱すぎ)など、より製品クオリティを高めるのも良いでしょう。

そんな製品なら、僕はお勧めできると思います。
今後も光合成を謳うために今どう判断するか、ここが分岐点ではないでしょうか。
応援してくれるユーザーさんのためにもね。

さ~て、来週のサザエさんは~、
マメエコライトを1万円で作っちゃおう♪
をお送りします♪

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