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真実の目:ADAアクアスカイ

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真実の目ラストを飾るのは、淡水・水草界に降臨して間もない革命的LEDシステム!
天下のADAが満を持してリリースする、その名もアクアスカイ

ADAアクアスカイ

* 画像はADAアクアスカイ案内ページより抜粋

さすが社名にデザインが入るだけあって、なんともスタイリッシュなライトです♪
実物を見たらペラペラに薄い! 液晶のバックライトか!?笑
でも驚くのはまだ早い!?
そうだ、その謳い文句にひれ伏すが良い!!!

公式サイトから宣伝文句を抜粋。

水草が育つLED照明器具「アクアスカイ」 新発売!
ADAのLEDシステムが水草の育成を可能にした。

おおお!
遂にLEDでも水草の育成が可能になったのか!
てことは、逆に言えばこれまでのLEDは水草にはイマイチだったとの反意であり、まさにそれを覆した製品が今まさに誕生した! というニュアンスの雄叫びだ!

一方、じゃあ、なんで今までのLEDでは水草がイマイチだったのか?
例えば、これまでのアクアLED製品が採用する白色LEDのスペクトルはこうだった。

Cree XP-E CoolWhiteの実測スペクトル

うむ。。。
シアン500nmの欠乏が水草に及ぼす影響は判らないが、少なくともクロロフィルaやbの吸収スペクトルとして必要な波長を満足に満たしていないことが判る。例えば、クロロフィルの青側の要求波長420-470nmは十分にあるが、対して赤側の要求波長640-680nmの光強度が相当弱い。これでは赤の波長による成長や発芽が十分に促進されず、青の波長による形態の形成ばかりにエネルギーが費やされてしまうだろう。・・・合ってる?汗

光合成色素の吸収スペクトル

クロロフィルの要求は、上図のように青と赤の波長に大きなピークがある。
やはり、水草用LEDを謳うなら、それらをカバーしなきゃならんと言うことか。。。
また、青側の特性を見ると、それは400nmのUV系の波長にまで達していることも判る。
なるほど。。。最近、巷でまことしやかに囁かれる「水草にもUVを!」と言う所以か。
また、シアンは大げさだが、カロテノイドのために460-500nmもあった方が良さそうだ。

そうか。これで水草に必要な光の条件が見えてきた!

いざ、ADAアクアスカイ実測スペクトル大公開っ!!!

どーん!

ADAアクアスカイの実測スペクトル

ん?
あ、ごめんごめん、間違ってさっきのCreeのスペクトル貼っちゃった?
え?
あれ???

最近年のせいか、すっかり目が悪くなって、普通のLEDと違いが読み取れん。。。

ADAアクアスカイとCree XP-E CWの実測スペクトル

ど・どうゆうことだ。。。?
一旦、整理しよう。

  1. 今までのLEDでは水草は育たない。。。
  2. でも、遂にアクアスカイはそれを可能にした。。。
  3. でもでも、アクアスカイのスペクトル=今までのLEDのスペクトル。。。!?

え?
ええええっ!?
ぇぇぇ・・・

あ、意地悪すぎました?汗
すみません。調子に乗りました。
ADAの方、ファンの方、がっかりさせてごめんなさい。
苦情はADAへ。。。汗
僕知らない。

さ、気を取り直して、スペクトル以外の部分も解き明かしていきます。
次は色温度。
公式には、アクアスカイの色温度は7000-8000Kとあります。
近い色温度のCree XML群と比べてみました。

ADAアクアスカイとCree XMLのスペクトル比較

はい。およそ6500-7000K程度ありそうです。
よって、色温度は公称通りギリギリ合格点でしょう。

続いて、採用LED素子について調べてみました。
多分、これが一番近い、て言うかビンゴかな?

日亜化学 NFSW157A/NFSW157A-H3

* グラフは日亜化学データシートより抜粋

日亜化学の低電力SMDタイプのNFSW157Aシリーズの標準タイプのようです。
日亜のサイトからデータを抜粋すると、

日亜
NFSW157A
シリーズ
モデル 定格 最大定格 Ra 光束 色温度
標準タイプ NFSW157A 3.2V
150mA
3.6V
200mA
- 42.8~
60.5lm
4500K~
10000K
準高演色タイプ NFSW157A-H3 85 36.0~
51.0lm
4800K~
6700K
高演色タイプ なし (あればNFSW157A-H1の品番)

アクアスカイの消費電力は17Wとあるので、電源のロスを引いて、且つ30素子から逆算しても、LED部はおよそ定格の150mA駆動×3.2V×30ヶ=14.4W程度だろう。もし光量ランクの最高ランクP14を採用してれば1ヶ60.5lmあるので、30ヶで1,815lm @14.4W=126lm/Wと言うことになる。さすがKRと同じ高効率の多素子構成
ま、仮に最低ランクだったとしても、42.8×30=1,284lm @14.4W=89.2lm/W、14Wで1,200lmオーバーならかなりの好成績じゃない?

でも・・・ どうせならフルスペクトルに近い準高演色タイプを採用すれば良かったのに!
そしたら「さすがADA、波長ありきで本物目指したか!」って讃えられただろうに。。。
まあ、確かに準高演色タイプじゃ、上は6500K程度が限界だけど、仮にも淡水のフロンティアなら、爽やかでお洒落な8000Kを優先するよりも、光合成の如何についてユーザーを適正に誘導する立場にあるんじゃないの?なんて考えるのは買いかぶりすぎ?
あるいは、もしかして¥9,800円の予算厳守で取り組んだのかしら?汗

最後に、現状でなかなかの候補となっているLeDio 21e PearlWhiteとの比較を。

光合成色素の要求に対するADAアクアスカイ・LeDio 21e PWのスペクトル比較

製品 製品 W LED W 光束 lm 発光効率 lm/W スペクトル
ADAアクアスカイ 17W 14.4W 1,284lm 89.2lm/W 普通
LeDio 21e PW 21W 16.8W 1,150lm 68.5lm/W 光合成向け

カロテノイドをカバーする太いブルーバンド。
クロロフィルa/bの赤側要求どころか、フィコビリンまでカバーする広帯域スペクトル。
例え効率と引き替えにしても、スペクトル性を確保することは非常に有意義です。

  • 波長× & 照度○ な製品・・・何台並べても波長は破綻したまま
  • 波長○ & 照度× な製品・・・必要照度分並べれば解決♪

但し、LeDio 21e PWは5000-6000K程度なので、8000Kと比べると黄色いです。

別の解釈:
もしかしたら、スペクトルなんて端っから眼中に無くて、照度のみ確保して、
「これまでの 蛍 光 灯 に比べて照度が増えたので水草が飼いやすくなった?」
と言う意味なのか?
確かにアクアスカイの30cm照度を測ってみたら5,500lx@17W程度あり (LeDio 21e PW レンズ外し 4,300lx@21W、汎用20W白色LEDモジュール 5,000lx@20W)、 これは同じ消費電力相当の蛍光灯ならどんなに反射板を駆使してもせいぜい1,000-2,000lxが関の山だろうから、その対比としての可能性を単に謳ったのかも知れない。要するに、蛍光灯に対する勝利宣言。
じゃあ、やっぱり普通のLEDでも照度さえ確保すれば飼えちゃうことになるじゃん。。。
でも、改めて公式サイトをよく見たら、

従来の水槽用LED照明器具には照度不足で水草が育たない、魚や水草をきれいな色で見ることができないなどの問題がありました。新発売のアクアスカイは、これらの問題を解消した初めて水草育成用LED照明システムです。

注) 太字は当方による

って書いてあった(汗)
やっぱ勝利宣言は蛍光灯ではなく他のLED製品に対してのモノのようだ。
その上で、スペクトルは同じだけど照度は頑張ったよ、って言いたいのかな?
確かに0.4W駆動×多素子の分、1W駆動品よりかは若干高効率で明るいだろう。
例えば、同じ日亜で、1W素子NS6W183Aを14ヶ並べて14W作ったら、最高ランクで150lm×14=2,100lm、最低ランクで120lm×14=1,680lmになる。
って、あれ? 1W駆動の方が明るいじゃん(墓穴)
いや、もっと暗い、例えば100lm@1W採用品なら、100lm×14=1,400lm・・・
って、やっぱまだ明るい(曝)
うぬぬ。。。あくまでもノーブランドの60-70lm@1W製品くらいと比べないと勝利宣言できませんけど?笑

て言うか、スペクトルが同じなら「きれいな色で見る」は嘘になるんだけど。。。
やっぱJARO出動か?笑

結論:
対LED製品では無理があるので、対蛍光灯&照度限定での勝利宣言と判断すべし。
ならば、例え波長に大きな違いがあっても、圧倒的大光量のアクアスカイが優位だ。
但し、スペクトルの同じLEDと比べるなら、照度を揃える限り違いは何も無いだろう。

ところで、スペクトルを正直に開示しているエーハイムLEDは潔くて気持ちいいなぁ♪

エーハイムLEDのスペクトル

* グラフはエーハイムLED案内PDFより抜粋

こちらのエントリーもどうぞ♪

真実の目:EcoTechMarine Radion XR30w

この記事を含むタグの全記事リスト: LEDライト スペクトル

と言う訳で、本日はEcoTechMarine Radion XR30wを真実の眼で舐め回します♪
歯に衣着せぬ、奥歯にものが挟まらない、華麗な検証を目指すぜぇ?

EcoTechMarine Radion XR30w

いつものように高級車でスペクトル測定です。
Radionはパソコンソフトで色々と制御できますが、その中に手動モードとして色温度モードとLED個別モードが用意されていますので、それらをすべて測定してみました。
まずは色温度モードから。

EcoTechMarine Radion XR30w 実測スペクトル 色温度モード

上が放射照度比較、下が相対グラフです。
勘の鋭い方は何か違和感を覚えたかも知れませんが、とりあえず後回しで(汗)

続いて、LED個別モード。

EcoTechMarine Radion XR30w 実測スペクトル LEDモード

これはあくまでもデモ的なものですね。実際にこれを使うことは無いと思うし。。。
個人的には、赤LEDに波長の高い670nm前後をチョイスした点が感心です。
あ、あくまでもこだわりの姿勢として、ですよ。赤を入れること自体には反対ですから。

さて、ここで今回の実測スペクトルを元に、元々製造元が公開していたスペクトルと、僕が算定してきたスペクトルを比較してみましょう。算定と言っても、製造元が開示していた採用LED情報を元に、LEDスペクトラで足し算するだけです。超簡単なので、是非やってみてください♪

EcoTechMarine Radion XR30w 公式スペクトルと独自算定スペクトル

上が公式スペクトル、下が僕の算定スペクトル。

そう、公開されている採用LED情報からじゃ、どう足掻いても緑がこんなに盛り上がるはずが無いんですよ。どう贔屓目に盛っても、全体のLED数34ヶのうち僅か4ヶの緑LEDを入れたくらいじゃ、公式スペクトルのようには持ち上がりません。それが今回の実測スペクトルで実証されました。あースッキリした♪
そしてもう一つ、LEDスペクトラがメーカー情報よりも信頼できると言う結果に?笑

で、先ほどの違和感の話を。
あの色温度5000Kのスペクトルを見て、本当に5000Kだと思いました?
LEDのスペクトルに見慣れた方なら、あれはどう見ても5000Kは出てませんよね?
第一、光色を直接見ても、なんだか爽やかホワイトです(汗)
そこで、この5000Kモードの色温度も測ってみました。

EcoTechMarine Radion XR30w 色温度の問題

こちらの廉価版分光器は感度がシビアなので、逆に受光部の角度・位置を誤魔化せば、色温度の高め・低めを巧妙に傾ける事ができます。で、上の図はなるべく色温度が低く出るように、赤を強めに傾けたスペクトルです。それでもやっと10000Kですが。。。
理由は、中域の盛りが足らない上に、赤の波長が高(長)すぎる点かな?
もし一般の赤620-640nm程度を採用していたら、多分もっと色温度は低く出ていたかも知れません。しかし、クロロフィルaの赤側の吸収波長のピークは680nmにあるため、少しでも長波長を盛るべく670nmを採用。なのに、その分の色温度への影響をうっかり八兵衛しちゃった?のかも(汗)
あるいは、クールホワイトの他にニュートラルホワイトやウォームホワイトも採用してれば、もっと楽に低ケルビンは実現できたでしょう。5000Kと言えば、ちょうど上図のWhiteモードくらいの盛りが必要ですからね。

と言う訳で、Radionの色温度表記はあくまでもただのラベリングだと思ってください。
て言うか、実際に光学測定しなかったのかなぁ・・・?

最後に、LEDライトのメジャーどころと、放射照度スペクトルを比較してみましょう。

スペクトル・放射照度比較 KR93SP/Mazarra/Radion

120WのRadionがなぜ70WのフルスペやMazarraに負けるのかって?
それは、集光レンズが無いからです。
でも、最近オプションでレンズキットが用意されたみたいで良かったです♪
欲を言えばもっと早くに気づい・・・
そして早くUV系の必要性にも気づ・・・

結論:
クロロフィル限定なら、水草や陸生植物向けにそれなりに合うでしょう。
海水で使うなら、バイタルウェーブやLeDio 9UVで波長補完を!

参考には海洋雑学がオススメ♪

次回、ADAアクアスカイが登場!?

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真実の目:フルスペクトルとな?

この記事を含むタグの全記事リスト: LED電球 スペクトル

真実の目、第一弾は軽いジャブからいくぜぇ?

Ra90 GEOlight ウォームホワイト LED電球 7.2W

まずはGEOlightと言うLED電球だ。以前にも軽く紹介したことがありますが。
その謳い文句に一度は じゅるっ ときたアクアリストもいるかも?

GEOlight ウォームホワイト

公式サイトから謳い文句を抜粋。

LED電球の最大の特徴である「省コスト」「省エネルギー」性能を最大限に引き出し、今日の社会の要求にしっかりと応えようと開発したのが「GEOlight」です。
開発スタッフの努力は【力率】の高さなど、他に類を見ない高いレベルで結実しました。
そして、もうひとつ。私たちが目指したのは、太陽の光のようなストレスのない照明づくりです。
「GEOlight」は、早い段階から光と色彩のプロの知恵を開発に活かしています。光が人に与える影響を研究している「日本カラーライトセラピー協会」の協力を得て、ひとつ一つの光彩、その個性と配置など、細部までこだわりの設計が施されています。
「GEOlight」には、人にも地球にも優しいLED電球と言いきる確かな理由があるのです。

うはっ。そそられるっ(笑)
特にここを見ると、ウォームホワイトの方は相当ただ者では無いことが判ります♪

さて、測りましたよ、実測スペクトル。

GEOlight ウォームホワイトの実測スペクトル

上が分光器A、下が分光器Bの結果です。後者には比較用にCree XP-G ウォームホワイトを掲載。みなまで言わないので目を凝らしてよく判断してください。

まあ、3波長の原理を駆使した作りは凝ってるんですけど、いや、あくまでも人間の目のための演色性を極めた製品なので、物を照らしたときの色の見え方は本当に綺麗なんです。ただ、アクアリストは、つい、本当にフラットな波長で構成されたフルスペクトルを期待しちゃうので、そうなるとこれは論外になっちゃいますよね(汗)

教訓:LED電球の「フルスペクトル」は所詮演色でそう見せてるだけ

Ra92 5500K バイタライト・トゥルーライト スパイラル蛍光灯 20W

はい、次はバイタライト・トゥルーライト系スパイラル蛍光灯ランプだ。
こちらも相当な謳い文句で、且つチラ見にも似た怪しいスペクトル図を公開しているから、ついつい期待しちゃったアクアリストも多いだろう♪

VITE-LITE(トゥルーライト)

なんだこのスペクトル図は。。。だまし絵か?苦笑

代理店サイトから謳い文句を抜粋。

蛍光ランプの多くは3種類の蛍光体を使用しています。一部の蛍光ランプ、例えばバイタライト(トルーライト)のようなフルスペクトルランプは4種類です。スパイラル・バイタライトは7種類の高級希土類蛍光体を使用し、明るくより自然光に近いスペクトルバランスを再現します。一見同じに見える蛍光ランプでも、その光の質は全く異なります。

グラフを比較すると、スパイラル・バイタライトの光は一般的な白色蛍光ランプに比べ、中近紫外線(白い帯の部分)、可視光線(紫~赤の帯の部分)の両領域において、その分光分布が自然光に近い特性を持っていることがわかります。

うおおおっ!!!
もろ自然光に近いスペクトルってか!!!

さて、測りましたよ、実測スペクトル。

VITE-LITE(トゥルーライト)の実測スペクトル

上が分光器A、下が分光器Bの結果です。後者には比較用にパルック蛍光灯のスペクトルを掲載。みなまで言わないので目を凝らしてよく判断してください。

まあ、やっぱりあくまでも人間の目に合わせた演色性として見れば、こちらも3波長の原理を駆使して、一般蛍光灯より青~緑の中域はもちろん赤も増強されており、赤の再現性も際立つ高演色ランプと言って良いだろうと思います。
とは言え・・・、あまりに都合良く歪曲した公開スペクトル図(曝)と、やたら印象操作が強い「フルスペクトル」と言う表現は・・・どうかと思うよねぇ。。。
ま、JAROには内緒にしとくから、この表現↓だけ直してちょーだい。

× 自然光に近いスペクトルバランスを再現します
○ 自然光に近い演色性を再現します

教訓:蛍光灯の「フルスペクトル」は所詮演色でそう見せてるだけ

以上、真実の目:ジャブ篇でした。

気づいて欲しいのは、演色の意味。
演色って、所詮「色を演じてるだけ」なんですよ。
RGBの3波長あれば人間の目は騙せますが、青と緑を足してシアンが作れるからって、それをシアン要求サンゴに当ててもケンカ売ってるだけなのだ♪

さて、次回はどっちにしようかな。。。

  • EcoTech Marine Radion XR30w (LEDライト120W)
  • ADA アクアスカイ (LEDライト12W)

まあ、Radionは以前から何度も計算スペクトルを出してきたから今更感があるけど、ADAアクアスカイは期待のニューフェイスなだけに、淡水の皆さんにとっては気になるところかも知れませんね。

まあ、お楽しみに。

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