1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

LEDのコントラスト問題の回避

この記事を含むタグの全記事リスト: LED LEDうんちく

前回のLEDのコントラスト問題の報告に続き、今回はその回避策のご紹介です。

ボルクスジャパン LEDシステム照明装置 初号機

まず、この問題に気づいた時、運良く手元にはあるモノがありました。これを使えば、補助光として利用することができます。本来は別の目的で用意されていたものですが、まだ試す暇がなかったので、今これを使わない手はありません。

それが、ボルクスジャパンLEDシステム照明○○○の試作機です。名称はまだ内緒だけど。

書く書くと言いつつ、気がつけばもう4月ですか。。。
実はこれ、届いたのは年末なんですけど(曝)
しかも、本来の試験がまだなんですが。。。汗
て言うか、先月もこの二号機が届いてます。。。
うーん。。。時間よ止まれ♪

とりあえず、今回のご紹介は触りということで、まずは初号機の方をサクッとお届けします。メーカーに確認したところ、モザイクすればOKとのことですので。

まず、LED素子面。大きくモザイク(笑)

ボルクスジャパンLEDシステム照明初号機の素子面

誰ですか、目ぇ細めてるのは(笑)
仕様に関わる部分なので、僕の判断でモザイク大盛りです。
素子の仕様、総出力も、とりあえず伏せておきましょ。

で、次は照度測定の様子。

LEDシステム照明の照度測定

写真からも判るかも知れませんが、30cmでなんと27,000Lxオーバーです!
さらに嬉しいのは、他の流通品より遥かに省エネ仕様だと言うこと♪
ただ、この製品については現在も改良を重ねているようで、正式発売はまだかなりあとになりそうな予感です。ま、より良いものに仕上げて欲しいと思います。他所の真似をして慌てて出しても良い事はありませんからね。

で、それを贅沢にも補助ランプとして使ってみた図(苦笑)

LEDシステム照明を水槽へ補助光として使った様子

カメラ用の三脚に固定して使ってます。現在進行形。もうかれこれ4ヶ月(笑)
もちろん、明るすぎるので、かなり距離を置いてます(笑)
1メートル離しても5,000Lx弱ありましたから。。。
お陰で、悩みのスイーパが軽減できたし、感謝です。
ま、結果的には管理不足で溶けましたが。。。泣

で、肝心のコントラスト問題の回避策ですが、もし僕のようにLEDによるミドリイシの不調が疑わしい場合、可能であればランプを追加して、なるべく満遍なく当ててみてください。なるべくコントラストが強くなりすぎないように。もちろん、なるべく広角な製品で。
また、どの時点でLEDを追加する場合でも、かならず光障害のテストを行ってください。まずは無難な高さからスタートし、萎縮したりスイーパが出ないことを確認すべきです。もし異常が出たら、それが当面の限界値と捉えてください。
但し、環境次第では適応範囲は変わる可能性もあります。例えば極端に言えば、単発だと10,000Lx当てただけでも障害が出るのに、複数の角度から合計30,000Lx当てた場合は何故かOK、とか。それこそがコントラスト問題が原因といえるでしょう。

但し、念を押しますが、このコントラスト問題は僕が勝手に言っているだけで、必ずしも正しい解釈では無いかも知れません。でも、こうしてみんなでデータを出し合っていけば、それは後の資料となるでしょう。アクアなLEDをもっと固めていきましょう♪
皆さんからの情報もお待ちしております。

さて、ミドリイシ実験の第二幕は、これをメインにして、現在の各電球型を補助に回しての進行を夢見ています。まずはROと自動給水をなんとか確保しないと。。。なんか結局ゴチャゴチャしてくるなぁ。シンプルでいきたいのに。。。ま、実験が終わるまでの辛抱か。

次回は、今回のコントラスト問題も視野に入れた、LEDシステム照明の考察をお送りします。

こちらのエントリーもどうぞ♪

LEDによるコントラスト問題について

この記事を含むタグの全記事リスト: LED LEDうんちく

時間があるうちに書いちゃいます(汗)

水槽照明としてのLEDランプ。
それは非常にやっかいな問題を孕んでいた。
そう。それはコントラスト問題だ。

以下、これは単に僕の印象であり、学術的な精度なんて勿論ありませぬ(汗)
ひとつの考察としてご覧ください。

集光すればするほど顕著な問題

これはLEDに限ったことではありませんが、そもそもアクアリウムに於いては、光源をレンズで集光した照明機器自体が他に無い(知らない)ので、LEDをメイン照明に迎えた今回の実験で初めて日の目を見た問題なのかも知れません。

これまでもランプの集光の手段はいろいろありました。例えば、電球型蛍光灯向けのラッパ(反射板)灯具。スポットミニ「閃光」とか。
とは言え、ドーム面の反射による集光は、集光ではあってもドームの面積・角度の分だけ分散された光を多く含んでいます。そしてそれは生体に多角的に降り注いでいるはずです。

しかし、LEDはどうでしょうか。
市販の電球型LEDランプに限って言えば、少ない光束をかき集めるべく、すべての商品で狭角なレンズを搭載しています。(ボルクスは例外的に60°広角レンズですが)
一方、電球型ではない、システム照明化されたLED照明では、逆にレンズを搭載したものはまだ少ないようですが、その分、光量を稼ぐために大電力のLED素子を大量に積んでいます。そして結果的にメタハラと同等か、それ以上の消費電力になってしまっています。しかし、これは本末転倒といえます。仮に150Wを消費して150Wのメタハラと同等の光量を実現したと言うなら、僕なら波長域の問題からメタハラを選ぶでしょう(苦笑)
しかしそれが現状です。いくら技術が進んだとは言え、まだまだLEDはメタハラに置き換わるだけのスペックには及びません。メーカーとしても、使用に耐えうるものを提供するには、今のところこの方法しか無いのです。

少し脱線しましたが、電球型LEDランプに話を戻すと、これはコンセプトとしても効果としても、その仕組みは非常に優れているといえます。少ない電力で光量を得るための、これこそがLED本来の意味を生かした仕様と言えます。そして今の時代にもマッチすることでしょう。あとは波長を精査して、効果を吟味するだけです。・・・のはずでした。

しかし、実際にそれを水槽に取り入れてみて、ある問題が浮上しました。それがLEDのコントラスト問題です。厳密には「集光レンズによるコントラスト問題」と言った方が正しいかな。
実際にはLED素子自体にも樹脂によるレンズ構造が存在しますし、素子単体からの光だけを見た場合、多かれ少なかれ、外部レンズの有無に関わらずこの問題は孕んでいると言えるでしょう。
LEDはその構造上、光は素子の前面にしか出ません。最近の大出力タイプの素子なら、デフォルトでおよそ120°程度です。そして電球型ランプを構成する際には、それを外部レンズで更に30~60°まで絞り込みます。これでようやく使用に耐えうる光量に到達する訳です。
そして、ここに落とし穴が存在しました。

LEDのコントラスト問題の概要

上の図で、仮に両者の物体面での照度が同じ値だとしても、何かが大きく異なるのがお判りいただけると思います。そう、光の拡散がまるで違いますね。
蛍光灯(メタハラ)の方では、灯具自体の反射は勿論のこと、その拡散範囲の広さにより、更に二次的な反射光が期待できます。水面の反射、ガラス面での反射、良いこと尽くめです。
しかし、LED+レンズでは、ただでさえ直接光しか含まれない上に、光を集約しているため二次的な反射も皆無です。これはこれで「メタハラ並みのキラキラ(コントラスト)が得られた♪」と当初は万歳しましたが、蓋を開ければこれが集光レンズによる高照度のタネ明かしです。

両者の違いを確認するには、蛍光灯でできる影と、LEDでできる影を比較すると判りやすいでしょう。前者はぼやけてますが、後者はハッキリと浮き出ます。広い発光面積から全放射される拡散光と、小さな点光源から発せられる直進光の違いです。
じゃ、太陽光はどうなの?というと、あれは大気による拡散光も膨大ですが、それ以上に直進してくる光線量がハンパないために、やはり強いコントラストが現れると言えます。しかし海中では、海面の乱反射や地形による拡散により、生体には満遍なく光が注がれます。LEDの場合も、それを実現しなければなりません。

コントラスト問題が生体に及ぼす影響と、その反応

とは言え、別にこれが悪い要素でないなら、何も問題にはなりません。しかし、実際にはこれが原因ではないかと思えるような、生体の反応が見られました。それが以前紹介した、生体(ミドリイシ)からのスイーパ(刺糸)です。
参考:紫外線LED:Kミドリイシの防御反応

しかし当初はこのスイーパの原因がまったく掴めませんでした。水質にも問題はないし、光も十分すぎるはずです。しかも、日中、光を近づけてのスイーパなら光障害である判断もできますが、これが何故か夜間に起こるのです。それも、全てのミドリイシで。。。

待てよ。。。前にも見覚えがあるぞ?

実は、もう10年前の話ですが、実はこの現象は既に体験していました。ちょうど当時飼っていたエダコモン(沖縄くん)が、夜間に同じようにスイーパを出していることがあったのです。
で、共通項を探ってみると・・・日中の光が強すぎる・・・かな?
しかし、今は強いとは言っても所詮LEDの光です。メタハラほどの照度はありません。でも、どう考えても同じ現象ですし、それしか思い当たりません。

そこで疑ったのが、コントラスト問題でした。
仮説として、仮に光がさほど強くなかったとしても、コントラストが起こるほどの光環境に晒された場合、生体は何らかの防御反応を示すのではないだろうか?と。

でもなぜ、防御反応?

それは、レンズによる強力な集光によって、生体の照射面と陰との明暗差があまりに極端になるため、光合成や物質の受け渡しに障害が起こるのでは?と言うひとつの推測からです。
事実、スイーパは枝の先端や照射面からが多く、たまたま生き残ったスゲの部位とは、根元の水平で平坦な共肉部でした。平坦な部位ですから、影というものは無く、全面が照射面として光合成できる部位です。そして、溶けたのは全て枝状の個体です。これは照射面である先端から溶けるため、残った壁面は陰なので光合成量が足らず、これは溶けて当たり前?という考察です。

で、試しに、ちょうどボルクスさんから預かっていたLEDシステム照明サンプルを補助として、水槽の横からも照らしてみる実験に入りました。年末から年明けにかけての話です。これは特に案内してなかったので、知らなかった人も多いでしょう(汗)

結果、夜間のスイーパが軽減しました。完全には無くなりませんでしたが、もし東西南北の全角度から満遍なく当てたなら、おそらく解決できたのではないかと睨んでいます。例えこれが、いくつかの原因の一つに過ぎないとしても、まずは価値ある前進かなと思います。

うーん。。。照度も確保しつつ、光の拡散(反射)も必要なのか。。。

長くなったので、つづく

こちらのエントリーもどうぞ♪

蛍光灯 vs LEDを考える

この記事を含むタグの全記事リスト: LED LEDうんちく

水槽照明として視野に入ってきたLEDランプ。
光量(光束・照度)の問題はほぼ解決されつつあります。
しかし、いまいち決め手に欠ける点がありませんか?
そう。ランプから発せられる波長成分はどうなのよ?という部分です。
この波長の問題に関しては、まだまだ多くの方が抱えている不安でもあり、これが未だにLEDが受け入れられない要因である事は確かです。

以下、水槽照明にLEDはありか?の記事でも登場した一般蛍光灯ランプ(昼光色)とLEDランプ(白色)の分光スペクトル比較図です。(東芝サイトを元に描いたモノ)

一般型蛍光灯ランプと白色LEDの分光スペクトル比較

あくまでも分光分布比の観点から見れば、波長全域で効率よく光を取り出すことを考えると、実は蛍光灯よりもLED素子の方がムラ無く効率の良い特性曲線を持っていることが判ります。また、実は出力の問題も現在ではかなり改善され、ランプ効率(lm/W)で見ても既にLEDは蛍光灯に並んでいます(100lm/Wを超えるLED素子も多々あります)

しかしそれでも尚、まだ何かスッキリしないモヤモヤがありますよね。実は僕もそうです(汗)
そこで、何かこの胸焼けを解消してくれる薬は無いモノか?とネットを彷徨ってましたら、特効薬ではないモノの、ちょっとした予防薬にもなりそうなアイテムを見つけました。

それは分光器

早速、空き箱と回折格子を使って作ってみました。作り方はネットで検索してみてください。すぐに見つかりますし、制作もとても簡単です。

制作した分光器

ちなみに僕は回折格子など持ってなかったので、替わりにCD-Rのお得パックに入ってた無地の透明盤(但しピッチ処理があり、光にかざすと虹色に光るモノ)を2×2cm程度に切り取って代用し、ピッチとスリットが平行になるように配置します。また、箱の内部は黒く塗りつぶし、スリット面のみ裏側に黒の画用紙を貼りました(スペクトルが綺麗に映るように)。さらに箱の四隅なども光が入らないように黒のテープで塞いでます。
尚、不要CDを使った反射式にも挑戦しましたが、切断時にどうしても印刷面が剥離して綺麗に加工できなかったので、イライラして断念しました(笑)

さて、その分光器によるスペクトルの観察結果です。

簡易分光器による各ランプの波長分布

左から白熱灯、蛍光灯、LEDの順です。
尚、至近距離からでは点光源のLEDを綺麗な帯状に捉えることが出来ないため、全ての光源に対して分光器との間に分散用のフィルター(ダウンライト用)を噛ませました。

改めて上の一枚目に貼った蛍光灯とLEDのスペクトル図と比較すると判りますが、光の強弱は見事に一致してますね。
蛍光灯では各波長ごとにかなり強弱のムラがありますが、LEDでは水色の前後以外は綺麗に出ています。
もちろん、電球は見事に全域で綺麗に出てますね~。さすがに青は弱いけど。
尚、誤解の無いように、黒く見える部分は決して出ていない訳ではなく、他の波長部位のピークが大きすぎるため、撮影時に低レベル成分が感応しないためです。念のため。

しかし、今回は用意できませんでしたが、蛍光灯にも高演色ランプという製品があり、これを使えばもう少し綺麗な連続波長が確認できると思います。以下はパナソニックの高演色ランプの分光スペクトルの例です。

パナソニックFL40S・N-EDL分光スペクトル

とは言え、高演色ランプの価格や寿命、そして灯具代や電気代など考えると、LEDが無い時代ならともかく、今はLEDを差し置いてまで採用すべきかどうか怪しいところです(汗)

ではLEDに話を戻しますが、上の各ランプのスペクトル観察結果からも、LEDでは水色が足りていないことが判りました。LEDだって、まだまだダメじゃん?
でもご安心下さい。水色のLED素子があります♪

このように、LEDの場合、足りないものを他の素子で補う事が出来る分、蛍光灯よりも尚有利であると言えます。
もっと言えば、例えば東芝のLEDランプにも採用されていた日亜の1W素子(NS6*083シリーズ)には、以下のカラーバリエーションがあります。

日亜のLED素子の分光スペクトル比較

* 各スペクトルは分布比を同比率で並べただけなので、光束量は各色で異なります
* 背景のグラデーションは太陽光の分光スペクトルです

日亜LED素子 型番 光束量 出力
白色 NS6W083BT 100lm 0.99W (3.3V/300mA)
電球色 NS6L083T 52lm 1.14W (3.8V/300mA)
青色 NS6B083T 16lm 1.05W (3.5V/300mA)
青緑色 NS6E083T 40lm 1.14W (3.8V/300mA)
緑色 NS6G083T 55lm 1.05W (3.5V/300mA)
橙色 NS6A083BT 55lm 0.99W (3.3V/300mA)
赤色 NS6R083T 24lm 0.53W (2.2V/240mA)

* 各データとも日亜サイトより

ま、コスト的にも日亜の素子でアクア用ランプを作るのは無謀(笑)ですが、他のメーカーの素子でも同様のカラーバリエーションがありますので、今後はもっとこの辺も考慮して、最適な組み合わせで製品を実現できたら良いだろうなぁと考えています。
例えば、白LEDと水色LEDで波長全域をカバーしたランプなんてどうかしら?
いや、ここは敢えて電球色を用い、電球色×3+水色×3+青×1だったら、尚グッド?
夢は膨らみますね♪

ちなみに赤の補色は敢えて不要と考えています。なぜなら海中には赤はほとんど届いていないためです。普段浴びていない波長を与えることは、生体にとってストレスとなりうる可能性がありますから。ま、超浅場のスギノキ用を目的とした場合でさえも、白や電球色に含まれる赤成分で十分だろうと考えています。
と言う訳で、海洋生物向け照明を考える場合でも、PAR(光合成有効放射光線)を考えることは大切ですが、植物育成の世界で唱われるような赤の補色(R/FR)のような波長までは不要だろうと思います。スギノキの青系色素でさえ566~620nmの利用範囲だそうですから。(スギノキの波長については掲示板でのTetsuo氏のレスを参考にしました)

最後に、volxjapanのLeDio7パールホワイトと、前回作った超閃光アクアブルー(東芝LED電球改)の、分光器で見たスペクトル比較です。

LeDio7と東芝LED改のスペクトル分布

いずれも光源が7つのLEDであるため、ランプの角度一つでスペクトルがコロコロ変わって見えました(笑)が、なるべく平均的なところを撮影してみました。また、青くかぶっているのも分光器の精度の問題なのでご愛敬ということで(汗)。ま、あくまでも参考までに。
ちなみに、LeDio7の方は白×6+青×1であるため、少し青の波長帯が広くなっています。また、僕の作った東芝改の方は白×4+青×3であるため、かなり青が強く強調されているのが判ります。あとひとつ水色を換装すれば綺麗な連続波長になるのかなぁ~。。。
ま、いずれにしても青の素子が入っていることで、白の素子単体よりは波長分布がマシに見えますね。(青の素子が作る青帯が白の素子が作る青帯より若干水色寄りであるため。上の日亜の素子の分光スペクトル図を参照のこと)

さあ、LEDアクア革命が始まりますよ♪

こちらのエントリーもどうぞ♪