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LEDライト:Vertex Illumina SR 300

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Vertex Illumina SR 300

ちょっとした経緯にて、LSSさんがVertexのLEDを見せてくれると言うので、今回お借りすることになりました。
VertexのLEDオーナーと言えばsebaeさんが有名ですね。僕も今回の試用にあたり記事を参考にさせていただきました。
で、LEDファンの皆さんには今更かと思いますが、せっかくの機会なので僕なりの切り口でご紹介しようと思います。

まず本体。
今回届いたSR 300と言うモデルは、どうやら一番小さなタイプのようです。
公式サイトを見ると、この他に600、900、1200が用意されていました。

Vertex Illumina SR 300

ちなみに本体上面にファンカバーが前後2ヶ所ありますが、実際にファンが実装されていたのは片側(手前のディスプレイ側)だけでした。
え? もう片方はただの飾り? 空気穴か?
で、試しにファンレス側のヒートシンク温度を計測してみると、どんなに高くてもせいぜい45~46℃程度でしたので、一応これで冷却性能は満たされているようです。ご安心を。

次に発光面。
本体中央に発光列、その両側に広いヒートシンク面を配し、器具の幅は30cmにもなります。そのため、複数台の併設にはスペースが必要になるでしょう。

Vertex Illumina SR 300 素子面

一応、事前に予備知識がありましたが、LED素子にはPhilips Lumileds Luxeon RebelRoyal BlueBlueWhiteの3色の素子が採用されているようです。
そしてこのSR 300の場合、Royal Blue×4+Blue×4+White×8の計16素子からなるモジュールが2基搭載されています。1モジュールあたり約1,000lm@350mAと言うところでしょうか。素子の配置はWhiteがジグザグに8ヶ、片側にRoyal Blue×4の列、反対の列にBlue×4の列、と言う組合わせです。
このようにモジュール化された素子の実装形式は、アクア製品では他に類を見ませんね。

また、未確認情報ですが、reefbuildersによるとCree版もあるような無いような?

ちなみにLuxeon Rebelがアクア製品で採用されているのを見たのは僕はこれが初めてですが、この素子はCree XP-G/XP-Eのような最新の超小型パッケージ(一辺が3mm) で、性能や品質的にも同等の素子(光束はCreeがやや上かな)なので、これからもどんどん見る機会が増えてくるでしょう。

さて本題。
気になっていたコントローラー部分です。Vertex Illuminaシリーズは、本体にも簡易メニューがありますが、売りはなんと言ってもBluetooth USBコントローラーとパソコンソフトウェアによる無線コントロール機能でしょう♪

Vertex Illumina 本体コントローラーとBluetooth USBコントローラー

ところで、箱をひっくり返すも、USBしか見当たらない。。。
はて。。。ソフトはどこ?
よく判らないけど、まずはとりあえずUSBをパソコンに挿してみた。
すると、ハードウェアウィザードが立ち上がり、USB Serial ConverterとUSB Serial Portと言う2つのハードウェアデバイスがインストールされました(あくまでも僕の場合)

で、最後にソフトが勝手に立ち上がるのかな?と期待したが、そうではないらしい。
はて、肝心のソフトはどうすれば・・・?

で、LSSやsebaeさんやあちこちの記事を探りつつ、ようやくソフトのダウンロードの存在に辿りつき、今度こそ無事インストールが完了!
ちなみにソフトは公式サイトLEDページの右下のダウンロードアイコンからゲット。

で、ようやく拝めたソフトの画面がこちら。

Vertex Illumina ソフトウェア

取説も何も無いので、とりあえず適当に弄ってみた。
どうやら、デフォルトやカスタムで値を設定しアップロードすると、無線で本体側のプログラムが書き換わる仕組みのようだ。ほほう、これはなかなか面白い♪
ただひとつ難点は、光量を可変する際に、曲線を直接ドラッグしたり、値の直接入力が用意されておらず、ひたすら増減ボタンをマウスでクリクリしなきゃならんこと。ようするに、100%→1%や1%→100%の調整時には、マウスを100回連打しなきゃならんっぽい(汗)
その他、巷で噂の雷なんかも設定できるようだが、そこら辺の紹介は余所にお任せするとして、ここからは僕ならではの目線でスペックを分析していきたいと思う。

まずはお約束の照度。
全素子100%点灯で、14,690lx/30cm。うん。レンズ無しならこんなもんだろう。
ついでにUVも見てみると、30cmで13.8μW/cm2。ま、白LEDの蛍光体による僅かな励起分なので、所詮、微々たるものだ。

次に気になる分光スペクトル。これを見ないと始まらない。
すると・・・

Vertex Illumina 分光スペクトル

えええっっっ!?
僕の太陽光ブレンドみたいに、シアンが補完されてるやんかっ!?
まさかシアン搭載してるのかぁっ???

で、試しに手持ちのLuxeon Rebelのシアンを並べて発光色を比べてみた。

Vertex Illumina 素子発光色

(この画像は合成です)

いや、違う。どうやらシアンは含まれていない。
とは言え、このBlueは普通より水色っぽくてシアンに近いような・・・?

で、念のためPhilips Lumiledsサイトから公称スペクトル値を確認する。

それをまとめたのがこちら。

Philips Lumileds Luxeon Rebel 公称スペクトル

Royal Blueのピークは450nm。うん、それは問題なさそう。。。
そしてBlueのピークは460nm。(左側の実線)
え? 嘘!? スペクトル実測値はとても460nmには見えないよ?
てことは、最小460~最大490nmのうち、490nmに近いロット(点線)を集めたのか?
でなければ、ここまでシアンに寄らないだろう。
もう少し詳しく検証してみた↓

Vertex Iilluminaのスペクトル実測値の検証

シアンを入れた場合よりも、より青寄りの帯域の補完が得られているようだ。
うぬぬ。そんな姑息な手があったとは・・・汗
とは言え、Blueを490nmのロットに統一するなんて、個人には無理だな(曝)

もしこれがVertexの思惑なら、お見事! 恐れ入った!
照明としては青寄りなので全帯域フラットと言う訳にはいかないが、少なくともこのブレンドにより帯域の欠落が無くなり、それなりに太陽光ブレンドを実現しているので、これなら他社のどのLED照明を買うよりも文句無しで「買い」だろう♪
アクアLEDシステム照明分野に、ようやく真のメタハラ波長モデルが登場したということだ!

となると、尚のことレンズ(集光構造)を搭載してないことが悔やまれるなぁ。。。
それに、このサイズで15万は悩みどころだなぁ。。。
くぅぅぅ、惜しい。。。

ただ、今回のVertex Illumina SR 300のシアン周りの特性が、果たして性能として保証されているものかどうかは判らないので、もしかしたら今回の個体固有の特性の可能性も否めない。あく までもBlue素子が普通に460nmのピークを持つロットもあるかも知れないし。今度、岡部さんに聞いてみよう。

LSSさん、今回も大事な商品を貸与いただき、どうもありがとうございました。

ちなみにこちらが僕の太陽光ブレンドLED。全帯域でフラットな光強度が売りなのだ♪
(一見480nmが落ち込んで見えるが、光強度は相対値50%を確保している)

太陽光ブレンドのスペクトル

また、今作ってる太陽光スペクトルLEDシステム照明デモ機に至っては、そのスペクトルクオリティはこの更に上をゆく♪

太陽光スペクトルLEDシステム照明のスペクトル

ただ、まだレンズが全て揃ってないので、正確なスペックは出てない。
乞うご期待♪

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max-sレンズキットを試す

この記事を含むタグの全記事リスト: LEDライト max-s Maxspect

max-sの新レンズ仕様に関する記事を投稿したのが、かれこれ3ヶ月前でした。
あの時じらしたモザイク画像がコレです↓

max-s レンズシミュレーション

ま、すぐあとにreefbuildersで公開されてしまいましたけどね(笑)

そして、予定から随分遅れましたが、先日ようやく現物を拝見しました。
Maxspect max-s G2 160W スタンダード用レンズキットです。

max-s G2 160Wスタンダード用レンズキット

おおお!
事前に見たグラフィックと同じ、リフレクタとレンズが一体型になった期待のレンズキット!

max-sレンズキットのアップ

このレンズがG3には標準装備になるのかぁ。。。これは物欲がそそられるなぁ♪
また、G2等の旧モデルユーザー向けにオプション設定されたのも嬉しい配慮ですね!
決して既存ユーザーを見捨てることなく、使うほどに最上級のおもてなし♪
メーカーとはこうあるべきです。

そして実際にレンズをバラしてみると、そのクオリティの高さが伺えます。

レンズの構造

ガイドとリフレクタがネジ構造になっており、レンズを挟み込んで固定する仕組みです。
これなら好みに応じてリフレクタのみにもできますよね♪

早速、装着の前後でビームと照度を確認してみました。

max-s レンズキットによるビーム効果

おほっ!
素晴らしい!!!
これは本当に買いだわ♪

しかも、さらに豊富なレンズオプションが用意されているようです。

オプションレンズの各ビーム比較

A: 30W クリア60°
B: 30W フライアイ(拡散)90°
C: 15W クリア30°
D: 15W スプライト(拡散)垂直30°/水平90°
E: 3W クリア60°
F: 3W フライアイ90°
G: 3W ガラス(リフレクタ効果のみ)

max-sでは拡散レンズのことをフライアイ(蝿の目)と称しているようです。
また公称ではフライアイは60~70°となっていますが、見た目は90°に近いです。
感心したのは、リフレクタ単体で90°が実現されていて、フライアイレンズを足しても90°が保持されているところです。これならレンズの有無で配光が変わることはないし、コントラスト問題も全く問題にならないでしょう。

そしてこのレンズキットとオプションレンズを見て、大体の狙いが見えてきました。
恐らくリフレクタ+フライアイ90°がレンズキットの標準セットです。これで光量2倍!
で、更にオプションのクリア60°を買ってフライアイと交換すれば光量4倍が実現♪
そういうことではないでしょうか?

ちなみに案の定クリアレンズは色が分離するので面白くありませんね。。。
僕的にはやっぱり拡散のフライアイが一押しです♪

ところでDのスプライトレンズって、光量アップ+配光調整を同時に得るためのモノかな?
これって需要あるんだろうか。。。汗

このレンズキット、国内では先週末から正式にリリースされ、既に注文が入ってきているそうです。ま、既存ユーザーならのどから手が出るアイテムですからね。
気になるお値段は・・・取扱店にてご確認ください。聞き忘れました(汗)

さて、max-sが遂にレンズ搭載型へと進化したことで、大きなメリットが生まれました。

  • 集光構造採用により、より水槽から離すことができ、湿気や塩害が回避されます。それでいて、水槽の外に光が漏れず、水槽だけを効率よく照らします
  • 集光構造採用により、本当の意味での省エネ化が可能になります。これまでのように無駄に出力を稼ぐ必要がなくなったからです。
  • そしてなんと言っても、集光構造採用により、max-sは次のステップへ進むことが出来ます。そう、波長問題の理解と解決への模索です。

ま、この調子ならMaxspectは今後も目覚しい進化のレールを辿ることでしょう。
そのためにもオーシャンアースには益々頑張って欲しいと思います。
まずはレンズの実現、おめでとうございます。ご苦労様でした!
これからも次代を担う製品開発に期待しています。

その他のメーカーさんも早く追従できることを祈ってます。
豊富な設定メニューの充実など機能面も大切ですが、まずは照明の基本である「光」を極めることに注力してください。
狼の皮を被った羊と言われないように。。。

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max-sフレネルレンズ仕様

この記事を含むタグの全記事リスト: LEDライト max-s Maxspect

max-s既存ユーザー、および検討中のアクアリストに朗報です。

max-sについては以前の記事でもご紹介しましたが、当時の僕の率直な印象としては、どんなに素子数や出力を稼いでも、所詮裸のLEDだけではメタハラを謳う光量は得られず、また広角な光をもれなく有効利用するために水面ギリギリへ設置すると、水跳ねや塩害の心配はもちろん、メンテナンス性も損なわれてしまうなど、色々と弊害が伴うだろうと感じました。やはりシステムライトと言えども、LEDを使うからには何かしら集光するためのレンズが必要なのです。

実はその後も販売元のオーシャンアースさんとは裏でごにょごにょしておりました(笑)
当時からもオーシャンアースさんは僕のレンズの考察に対して非常に前向きに検討され、製造元に何度も掛け合ってレンズの実装に向けて積極的に取り組まれたようです。

その結果、いくつかの案が絞り込まれ、まずは専用のフレネルレンズを試作されました。フレネルレンズとはプラスチックのシート状のレンズで、過去の記事でも触れましたが、詳しくは検索してください。ここでの説明は割愛します。

そして先日、その試作レンズと試験のためのmax-sスタンダード機が届けられました。

max-sスタンダード機と試作フレネルレンズ

写真上に見える丸いポコポコが付いたアクリル板が、今回max-s専用に試作されたフレネルレンズです。写真では凹凸のある半球レンズにも見えますが、実際はただの平坦なアクリル板です。それがフレネルレンズの特徴です。

しかもただのフレネルレンズではありません。

フレネルレンズ

きっと、これ作るだけでもビックリマネーが吹っ飛んだはずです(汗)
表面は通常のフレネル加工で細かな溝が施されていますが、裏面には光を均一にブレンドするためのフロスト加工が施されてます。それが素子の数だけ用意され、一枚のシートに収められています。

ちなみに、このフロスト加工付きのフレネルレンズの装着方向は、あくまでもフレネル面を水槽側へ、フロスト面を素子側へ、とするそうです。それにより設計上の特性が得られるとのこと。実際の試験でもその方が逆向き時よりも照度ピークは低くなったので、これは光が中心に偏らず広範囲に均一に広がっていると言う証拠なのでしょう。やや腑に落ちませんが(笑)

さ、能書きはこれくらいにして、その実力を見てみましょう♪

フレネルレンズ装着データ

なんと!?
このフレネルレンズを装着しただけで、純正の約2倍の照度が得られました!
装着と言っても、純正の前面アクリルカバーを外し、代わりにフレネルレンズシートをセットするだけの簡単作業です。要するに、既存ユーザーにも希望の光が射したということです♪
・・・と言いたいところなのですが、このレンズ、判る人は判ると思いますが、メチャ高いんです。金型作るだけでも50万は固いでしょう。しかもmax-sには8タイプの製品があり、全ての製品向けのレンズを製作すると・・・max-sを100台売っても回収できません(汗)
と言うわけで、このフレネルレンズが日の目を見ることはまず無いでしょうね。。。
僕も何度もお願いしてみましたが、とにかく先立つものが無ければ。。。汗

じゃ、何が朗報なんじゃぁぁぁっ!?

ふふふ。まぁ、落ち着きなさい。
このフレネルレンズはあくまでも「いくつかの案のひとつ」。本命ではありません。
実はね。。。
いや、まだ詳細はオフレコなんですがぁ。。。
でも少しだけ。

50,000lxオーバー by 30cm照度♪

これがmax-sの照度革命第二弾の成績です。
純正の3倍弱かっ!!!
これぞメタハラ250W置き換えLEDマシン!

但しこの試作案はフレネルレンズによるものではありません。
うーん。。。歯がゆい。
じゃ、雰囲気だけ。

新max-s

こ・・・これは凄い!?(曝)
もしこれが発売されれば、アクア業界のシステムライトはeco-lampsのKR92Maxspect max-sの高次元争いになるのは必至です。元々KR92はメタハラ250W置き換えを謳うモンスターライトでしたが、このmax-sが発売されればその存在を明らかに脅かすことになります。そして完全にこれらの独断場と化すでしょう。
うーん。。。他に参戦するメーカーさんはいないのでしょうか?
いつでもご相談に乗りますゆえ!

ちなみにmax-s第二弾については、実は僕もまだ現物を見て無いのでアレですが、これをご紹介できるのはそう遠くないみたい。果報は寝て待て♪

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