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水草LED徹底検証:選手入場

ブログ エイジ 14:00 コメント0件
この記事を含むタグの全記事リスト: LEDライト スペクトル

水草LEDライト徹底検証

水草アクアリストがLED製品に対して「どーなの?どーなの!?」って嘆いている悶々を少しでも解消できればと思い、一年ぶりに真実の目を召喚しますよ!
もちろん僕は畑違いなので、淡々と冷徹にスペックを暴いていくだけです(汗)
その結果がリアルな水草にどう効果を示すかは、皆さんの判断と挑戦にお任せします。

水草LEDライト徹底検証のスケジュール(予定)

  1. 水草LED徹底検証:選手入場 ← 今ココ
  2. 水草LED徹底検証:天下のADA AQUASKY!
  3. 水草LED徹底検証:GEX PLANTS GROW現る!
  4. 水草LED徹底検証:太陽と日照の水草KR!
  5. 水草LED徹底検証:情け容赦無用のガチバトル!

水草LEDライト徹底検証:選手入場

先日発売たばかりのGEX CLEAR LED PGも含め、基本的な蛍光灯から、天下のADA AQUASKYまで、いずれも公式が胸を張って水草の育成を謳う最高モデルですから、これはかなり白熱したバトルの展開が必至です!?
また、あまりにパワー差がありすぎて場違いにも思いましたが、真実と言う意味でeco-lamps KR90FWも参戦することとなりました。参考までにどうぞ♪

水草LEDライト徹底検証:選手入場

現時点で判明している各製品のスペック↓

水草照明
(60cm水槽用)
GEX
AQUTE
CI600
ADA
AQUASKY
601
GEX
CLEAR LED
PG 600
eco-lamps
KR90FW
24″
光源種別 蛍光灯 LED LED LED
消費電力 [W] 40W 30W 25W 50W
タイマー内蔵 × × ×
電源 (ON/OFF) 手動 2系統 手動 手動 2系統 自動
ビーム角 [°] 140° 120° 120° 55°
調光 ch × × 2 ch 2 ch
段階 × × ON/OFF 各ch 0-99%
実売価
(2013/7時点)
¥8,000 ¥16,000 ¥15,000 ¥50,200

さあ、果たしてどんなスペックを魅せてくれるのでしょうか!?

つづく

こちらのエントリーもどうぞ♪

すべての答え:トゲピンク篇

この記事を含むタグの全記事リスト: スペクトル 色素

トゲサンゴの色素や色揚げに関する質問が多いので、先日紹介したすべての答え第一弾からデータを抜粋して、軽くご紹介しようと思います。

サンプルのトゲサンゴ・ピンクはこの個体↓です。

トゲサンゴ・サンプル

このトゲサンゴに関する測定・検証データはこちら↓です。

トゲサンゴの反射・吸収・蛍光スペクトル

全ての考察を一から百まで詳細には解説していませんが、見る人によっていろんな考察や解釈があり、そうした楽しみ方もこのデータの使い道のひとつだと思います。

では、このトゲサンゴのデータを使った解釈の一例をご紹介します。

まず、掲載データでは、10種類の単波長LED毎の反射スペクトルと6500Kの自然光LEDの反射スペクトルを基として、それを反転した単純な吸収スペクトルを例に挙げてますが、以下のようにより厳密な吸収スペクトルを算定することも可能です。

6500K光源スペクトルと反射スペクトルから吸収率を導き出す

トレースが大変ですが、計算自体はエクセルで簡単に得られます。
吸収率スペクトル = (1 - 反射スペクトル÷6500K光源スペクトル)[400-700]
これをグラフ化すると、以下の緑色のスペクトルが得られます。
これぞ、このトゲサンゴの吸収スペクトルです♪

6500K光源とトゲサンゴの反射スペクトルから算定された吸収スペクトル

試しに、Advanced Aquaristの有用な記事 Feature Article: Coral Coloration, Part 5: Non-fluorescent Chromoproteins (CP-480 to CP-562) から、似たようなピンク・赤系のクロモプロテインの吸収スペクトルを拝借して重ねてみると、、、

トゲサンゴの吸収スペクトルと、近似サンゴのクロモプロテイン

特にCP-560 PINK ハナヤサイと良く一致してるのが判りますね。

まだ僕の蓄積している実測データは少ないですが、それでも吸収スペクトルのピークにはある程度の傾向が見られ、例えば他のブルーやバイオレットなどのクロモプロテインの吸収ピークは大抵アンバー(橙580nm)前後にありますが、トゲやフトトゲなどの赤系は黄緑560nm前後に吸収ピークがありました。これによって、照明の向き不向きも考察することができるでしょう。

例えば、以下のように照明のスペクトルを重ねてみると、、、

トゲサンゴの吸収スペクトルと、各照明のスペクトル

吸収ピークの560nm自体は、いずれの照明でもカバーされていることが判ります。
あとは、スペクトルの全体のバランスが重要になります。

例えばこのトゲの場合でも、相対的に緑より青が多ければ緑の波長を補完すべく蛍光グリーンが発動しやすく、また青系の波長はカロテノイド(褐色系)も促進しちゃう可能性が大です。そう言う意味では、トゲに関しては蛍光灯の3波長はうまくマッチしていますね。フルスペの場合でも、青少なめ・白多めを推すのは、こうした理由からです。ま、今はXPが出たので容易にはなりましたが。。。

よく勘違いされることですが、こうした吸収スペクトルは絶対的要求の特性では無く、あくまでも波長に対する受容性としての特性です。要するに、波長毎にどれくらい窓口を広く開けているかの度合いのようなものです。トゲのような色素系はまだ解釈しやすいですが、特に蛍光タンパク系は蛍光と色素が複雑に絡み合って光合成を構成しているので、下手に吸収スペクトル通りに波長強度を与えると蛍光の褪色や消失に繋がる場合もありますから、反射・吸収・蛍光すべてに通して入念な考察が必要になってきます。

さて、このトゲの場合、広くは400nm~420nmと、520nm~590nm、そして670nm~680nmに吸収ピークがあることが読み取れます。今となっては言わずもがな、「トゲ・ショウガ・ハナヤサイのピンク維持には中域の波長を!」と言うのは、この特性からもよく理解できますね。当時は海藻のフィコビリン系色素の要求をサンゴに当てはめて導き出した答えでしたが、まさか遂に自分で実測しちゃう時代が来ちゃうとは。。。曝
また、680nm前後の要求にしても、クロロフィルの赤側の特性なので納得ですね。

でも、ひとつ気になるのは、、、400-420nmの要求?

これはまだ多くの検証データが必要ですが、今のところ僕の予想では、例えばブルーベリーやナスでお馴染みのアントシアニン色素の色度増強をUVAの紫外線が促進していることからも判るとおり、UVAは色素を濃くする傾向を持つと考えられます。同じ赤系のハナヤサイやトゲでも、自然下では一律の色度(濃度)では無く、明るいピンク以外にも、濃い赤、パープル寄りの赤など、バリエーションが豊富なのも頷けます。実際、これらのサンゴは強いUVAに晒される超浅場に多く生息するため、色素を濃くして紫外線から身を守るべく、こうした作用が働く訳です。そうした自然本来の色度を維持するためにも、自然下同様の紫外線量は非常に重要であると言える訳です。

もし、濃い赤も濃い紫もみんな薄いピンクになっちゃう方は、UVも疑ってみてください。

ちなみにすべての答え第一弾には、

  1. ストロベリー・ピンク
  2. ストロベリー・グリーン
  3. スパスラタ・バイオレット
  4. スパスラタ・グリーン
  5. スギノキ・ブルー
  6. ユビ・ブルー
  7. トゲ・ピンク
  8. フトトゲ・ピンク
  9. ハイマツ・オレンジ

を収容しています。
トゲのようにリクエストが増えたら、また奮発したいと思います♪
なお、すべての答えはそろそろ第二弾にも取りかかりたいなぁと考えています♪

こちらのエントリーもどうぞ♪

すべての答え、第一弾

この記事を含むタグの全記事リスト: LED スペクトル 海洋雑学 色素

いくつかのSPSを選抜し、、、

スペクトル測定に参加したSPSサンプル

ゴニョゴニョしたり、、、

反射スペクトル測定

シコシコしたら、、、

蛍光タンパクの蛍光スペクトル測定

反射スペクトルから、吸収スペクトルとか蛍光スペクトルが得られちゃったり。。。
それらをまとめると、SPSカラーレポートが完成しちゃったり。。。

SPSカラーレポート:すべての答え第一弾

抜粋するとこんな感じになってたり。。。

スペクトル分析データサンプル

まさか、、、

  • どの波長をどれだけ吸収するかしないかが判ったり、、、
  • どの波長を当てたらどの蛍光がどれくらい発光するか判ったり、、、
  • 構成色が色素タンパクなのか蛍光タンパクなのか判ったり、、、

こ・こりは・・・すべての答え
ひぃぃぃ~こないだ言うてた伏線ってコレかぁぁぁ♪

ただ、、、

  • データの意味を理解するには、ある程度のスキルを要すること
  • 答えが判っちゃ色揚げがつまんない、と危惧される方がいること
  • 中途半端な理解力で安易に製品に反映させちゃう業者の懸念
  • 測定からレポート作成まで相当な時間と労力を要すること

などなどの事情から、無差別に不特定多数へ配布することは断念しました。
とは言え、真剣にサンゴの色揚げに取り組んでいるマリンアクアリストには是非お伝えしたい内容なので、手始めに以下に該当する方から試験配布してみようと思います。

■SPSカラーレポート:すべての答え第一弾 (2013/05/23版)配布対象

  1. 過去にKRレビューでデビル賞またはエイジ賞を受賞されたことがある方

KRレビュー賞を獲得された方なら、きっと有意義に使ってくれるでしょう♪
原盤はファイルサイズが大きいため、軽いサンプル版(5MB)をお渡しします。
とりあえず数日中には、KRクラブにログインすれば閲覧できるようにしてもらいます。
待ちきれない方はメールください。個別に送付いたします。
但し、無断転載・再配布などは一切禁止です。

そして、今回配布対象にならなかった皆さん、すみません。
どうか、やむを得ない理由と意図を汲んでいただけたら幸いです。
いずれ機会があれば、海水関連書籍等でレポートできたら良いなと思います。

ちなみに第二弾も計画中です♪

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