T5レビューのまとめです。
過去に調査してきたT5管はこちら。
が、前回も書いたように、測定条件の些細な差による各社の光量差が激しいので、改めて測定条件を見直し、すべて測定をやり直しました。超手間が掛かっただぜぇ?
ただ、結果的にどんなに測定条件をシビアに揃えても、測定時間に対する球の光量の増減に一貫性が見いだせないため、点灯後5分後から30分後まで5分おきにモニタリングしたものをひとつの参考データとして示しておくことにしました。なんて手間の掛かる子。。。
改めて、各社の球の構成です。
ATI : AquablueSpecial×2 + BluePlus + Actinic
KZ : NewGeneration + CoralLight 10K + Superblue + FijiPurple
SFILIGOI : UltraWhite×2 + DeepBlue + SuperActinic03
WavePoint : TropicalWave + SunWave + BlueWave + ReefWave
UVLighting : Aquasun + ActinicWhite + 454 + SuperActinic
GIESEMANN : Midday + Aquablue+ + Actinic+ + PureActinic
灯具はATI Power Module 4×24Wを用い、球の基本構成は実用的な白系×2本+青系+Actinic系としました。但しKZについてはActinic系をリリースしてないので、 FijiPurpleとATI Actinicを入れ換えたパターンも参考までに測定しました。
まずは測定結果の中から光量データのまとめです。
上から簡易照度、JIS照度(AA級)、光合成光量子束密度PPFD、UV(A+B)で、それぞれの5分おきのデータをグラフにしたものです。
各社毎に、時間経過に伴って光量が増加していくモノ、低下していくモノ、さまさまです。道理で測るたびにハテナが飛び交う訳です(笑)
仕方が無いので、そうした特性を認知した上で、点灯30分後の光量を各社の球の光量の評価データとして扱うことにしました。
その結果、照度やPPFD、光のタイプによって各社の順位が異なるため、ここからはより絶対的な光エネルギーの値として、スペクトルを元に積分した放射照度を用いて、最高値に100点のスコアを割り当てたランキング形式で順位付けしていきました。
最終的な各社の球構成での放射照度ランキングは以下のようになりました。
1位: 100.0点 SFILIGOI
2位: 99.59点 KZ
3位: 97.54点 KZ(FijiPurpleをATI Actinicに入れ換えた構成)
4位: 96.10点 ATI
5位: 91.27点 WavePoint
6位: 91.25点 UVLighting
7位: 87.64点 GIESEMANN PowerChrome
上の図は縦軸が放射照度を表しているので、スペクトルの高さが光量を表します。
上位4社は誤差の範囲で、大差ないと思われます。但し、KZは純正バルブだけで構成すると決定的なActinic不足になるので、他社製のActinic系バルブをブレンドすることをお勧めします。
UVLightingは、この構成だと450-500nmがかなり削られたスペクトルになります。
WavePointとGIESEMANNは・・・他社の構成と比べて弱い印象です。。。
最後にオマケとして、各バルブ毎の放射照度比較と、同系統バルブのスペクトルの一致性を比較してみました。
まずはWhite系から。
White系は3波長のバランスの微妙な差異により、完全にはスペクトルは一致しませんが、それでも大まかな波長の構成は極めて似ていることが読み取れます。
また、通常の青味のある白球を使うより、色温度の低いWavePoint TropicalWaveやGIESEMANN Middayを使うことで、3波長蛍光灯の弱点でもある500-540nmの欠落を多少補完することも可能です。
ちなみに、特にご紹介しておきたいのがUVLighting ActinicWhiteですが、なんとこの白球には初めからActinicが入ってます♪ しかし残念なことに、400-430nmのボリュームと引き替えに、440-500nmが減退。。。惜しいなぁ。。。
続いて、Blue系。
Blue系は、細かく見れば帯域の幅や高さに差異が見られるものの、ザックリ見ればどれも同じスペクトルです。これほど一致したスペクトルなら、どれをどれに入れ換えても効果に違いは生まれないでしょう。但し、UVLighting 454だけは他社よりも僅かに帯域幅が狭いようです。Blue系はUVLighting以外のが無難かも。
ちなみに、こうしてみると判りますが、KZ FijiPurpleはBlue系に赤610nmの蛍光体を混ぜただけのものであることが判ります。ちょい赤を足したい時、赤強化系白球やピンク系を入れるとスペクトルが崩れて困るなぁって時に、既存のBlue系と入れ換えるだけで純粋に赤だけを強化できるので、なかなか重宝するかも知れません。スペクトルを知ると、理論的に無駄なく球選びができますね。
最後は、Actinic系。
Actinic系は、光強度の違いはあれど、スペクトルは完全に各社一致です。もはや工場も同じかと疑うほどに(笑)
ちなみに、こうしてみると判りますが、WavePoint CoralWaveはActinic系に赤610nmの蛍光体を混ぜただけのものであることが判ります。ちょい赤を足したい時、赤強化系白球やピンク系を入れるとスペクトルが崩れて困るなぁって時に、既存のActinic系と入れ換えるだけで純粋に赤だけを強化できるので、なかなか重宝するかも知れません。
デジャブ。
最後に、これらのデータはあくまでも24Wバルブでの結果であり、他のサイズのバルブでも同様の関係性が保証されるものではありませんので、何とぞご理解ください。
結論として、今回の測定条件による光量の差異から見て、どこの球がもっとも明るく優れているとはなかなか言いがたい結果となりました。とは言え、ふと気付けば、実は光量と価格は見事にバランスが取れているなぁとも感じました。24Wバルブで1本3,000円前後するものはランキングの上位に、逆に2,000円前後の安価なものはランキングの下位に位置しています。あるいはそれは今後の寿命にも関係しているかも知れません。
ただ、極論を言えば、どれをとっても極端には違いません。光量も波長も、どれも似たようなものです。ここで細かなこだわりを見せる必要はないでしょう。
T5レビュー、おわり。
球選びやスペクトルの組み方の参考になれば幸いです。
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