2008/9/5~9/8、3泊4日、石垣島ステイ3日目前半戦。
いよいよ石垣遠征も3日目となってしまいました。
早いなぁ。。。もう明日には帰還ですよ。むん。
なんて、しょげてる暇はありません。
今日は歴史の1ページが刻まれる記念すべき日であります!(予定は未定)
まず、石垣に来たら凄く凄く行きたい場所がありました。
それはマングローブ林(干潟)です。
なぜって?
それは今から遡るこそ約2年前、あるニュースがきっかけです。
国内初のヤドカリ確認「ヒルギノボリヨコバサミ」と命名 - 八重山毎日新聞
* 上記のニュースサイトが、唯一ヒルギノボリヨコバサミの生態写真が確認できるウェブページです。(2008/09現在)
なんとそそられるネーミングですかっ!!
マングローブの根に登るのですかっ!?
そんなものが西表に居たんですかっ!!
この時の衝撃は今でも忘れない。
それまでの僕の「ヤドカリパーク」の概念は根底から覆されました。
そもそもヤドカリパークとは「ヤドカリが休むための丘」を意味しています。
しかしこの種は、ちょいと丘に上がって休むどころの騒ぎではありません。
干潮で水際からすっかり遠ざかってしまったマングローブの、しかもその根を遥か上まで登ってしまってるじゃありませんかっ!?
水棲のヤドカリに於いて、こんなことが許されるのですかっ!?
これを観察しないで、何がヤドカリストですかっ!?
これを掲載しなくて、何が超ヤドカリ図鑑ですかーっ!?
お元気ですかーっ!!!
そーゆー訳で、何を置いても、散財しても(笑)、とにかくマングローブ林が、いつしか夢の都と相成りました。
ところで、大澤先生が本種を実際に現地で発見されたのは2004年12月のことです。場所は西表島。新種ではありませんでしたが、学名の Clibanarius ambonensis (Rahayu & Forest, 1992) からも判るとおり、記載年は1992年で、比較的新しい種です。当時の記載地はインドネシアとのこと。
え? 西表のヤドカリが石垣に居るのかって?
それは長年のヤドカリストの勘です。
「西表にいるなら、隣の石垣にいてもおかしくないじゃんかー」
と言う僕の安易な妄想によります(笑)
さて、石垣のマングローブ林は吉と出るか凶と出るか???
(T氏撮影)
初日とはまた別のマングローブ林です。
おおお~♪ 武者震いっ! あねさん事件ですの予感♪
しばし辺りを物色すること数分。。。
ん。これはなんだ?
(T氏撮影)
ももももしやっ!?
(T氏撮影)
(T氏撮影)
えーと、すみません。
もう、どう考えても、これがヒルギノボリヨコバサミに思えて仕方ないのですがっ!?
先生ぇぇ~っ! ビビビ~っ! (テレパシーで駒井先生に交信中・・・)
なんとっ!? やはりこれが夢にまで見た「ヒルギノボリヨコバサミ/Clibanarius ambonensis (Rahayu & Forest, 1992)」だそうです! (笑)
西表に続き、石垣での生息を確認っ! 生息地記録更新っ!!!
まさか、こんなにも容易く見つけてしまうとは。。。恐るべし! 石垣マジックっ!!
その後、少しずつ平静を取り戻しつつ、冷静に観察できるようになった頃、辺りをよくよく見渡すと、少ないながらも本種の群れが確認できました。群れと言っても2~5匹程度の集まりです。この時はちょうど干潮時でしたが、集まっている根の辺りは満潮時にはちょうど水没しそうな高さであることから、もしかしたら本種は普段からマングローブの根を生活の拠点にしている可能性があります。念のため、この時の水際を調べてみましたが、本種はほとんど確認できませんでした。
本種の形質についてですが、離れて見る分には、歩脚の模様からどことなくタテジマヨコバサミにも似て見えました。しかしいざ手にとってまじまじと見ると、それがタテジマではなく、まるでマングローブの枝のような模様をしていることに気が付きます。また、離れて見たときの第一印象は、他のどのヨコバサミよりも脚が細く見える点です。とても華奢でスマートな印象を受けるので、この時点でもタテジマヨコバサミとは違うな、という判断に至ります。
とは言え、この環境では、他にもタテジマヨコバサミも居ましたし、ツメナガヨコバサミ、ユビナガホンヤドカリなど、とても地味なヤドカリが多く見られたため、少し慣れたヤドカリストでないと、すべて同一種に見えてしまいそうですね(笑)
こうして、憧れのヒルギノボリヨコバサミとのご対面を、無事果たすことができた石垣遠征なのでありました。
この時点で僕のヤドカリ自然観察歴は、なんと69種! もう70種までリーチです!
この後は、あちこちのビーチでシュノーケリング。三日目後半戦へ続きます。