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LedEngin UV-LEDを試す

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前回ご紹介したLedEnginの365nmと400nmのUV-LED素子を試してみました。

ノーブランドとLedEnginの365nmと400nmのUV-LED素子

比較に用いたのは、先月topledlightから取り寄せたノーブランドの365nmと400nm
但し、ノーブランドは1W、LedEnginは5Wなので、そのまま比較しても勝敗は歴然です。
なので、双方を350mAの電流で駆動し、両者の1W時の性能比較をおこないました。

以下のような結果になりました。

ノーブランドとLedEnginの各UV-LED素子の性能比較

・・・あり?
同じ1W駆動のはずなんだけど(曝)
なんなんだこの圧倒的な差は!?

でもちょっと待て。ノーブランドは広角だから不利なのか?
と思って、集光レンズで同一ビーム角での比較を行うも、やはり性能差は歴然でした。
こ・・・これがノーブランドとブランドの能力の違いという奴か。。。
それ以前に旧型パッケージは既に時代遅れと認めざるを得ないと言うお告げか。。。

いや、でも慌てるのはまだ早い。
相手は仮にも紫外線なので、目視や撮影による発光度合いの違いは当てにならない。
なぜなら、見えている光は発光スペクトルのうち可視域に近い部分だけであり、見えていない紫外線域が果たしてどれだけ出ているのかは掴めない。よって、実際のUV値を測定して比較してみるまでは、結論を急ぐことはできない。
とは言え、特別な測定装置は持ち合わせが無いので、とりあえず照度計とUV計を使って、簡易値だけでも確認してみることにしました。

以下、純正での比較と、拡散60°レンズ装着時の比較です。

UV-LED ノーブランド LedEngin
365nm 400nm 365nm 400nm
公称出力 [mW@350mA] 6 100 80 240
純正
120°/ 85°
照度 [lx] 60.5 330.3 225.0 2,018
UV [μW/cm2] 155.5 42.6 845.0 50.7
60°レンズ装着 照度 [lx] 58.6 2,033 94.0 4,550
UV [μW/cm2] 43.0 204.0 81.0 109.0

本当に同じ駆動条件なのか?・・・と、目を疑いたくなりますね、これは。。。
400nmで軽く2倍差、365nmに至っては・・・言わずもがな。
結局、純正比較では、見た目も測定値もLedEnginの圧倒的勝利となりました。

但し、外部レンズによる照度・UV増加率を比べると、ノーブランドは5~6倍、LedEnginはせいぜい2倍止まりです。これは単に元のビーム角の違いによるものでしょう。ノーブランドは120°→60°、LedEnginは85°→60°への集光となりますから、当然それが増加率の差となって現れます。
ただ、400nmの外部レンズ有りのUV測定では、なぜかノーブランドが逆転してしまいましたが、これはもしかして波長のバラツキにより、可視域としての集光効果が勝るか、紫外線域の減衰が勝るか、その違いが現れたものでしょうか。興味深いです。この場合、目視でも撮影結果でも可視域的にノーブランドがLedEnginに勝ってるとは思えないので、 ノーブランドが400nmより短波長寄りで、LedEnginが400nmより長波長寄りってことかな?

ところで、365nmのみ、ノーブランド・LedEngin問わず、レンズを通すと逆に照度もUVも低くなっている事が判ります。これは紫外線の特徴として、レンズによる集光効果よりも、レンズへの透過負荷(減衰率)の方が勝ってしまった結果なのでしょう。
なるほど、なかなか面白い結果になりました。
てことは、もし水槽に365nmを採用する場合は、レンズは付けちゃダメってことね。

今回のテストで判ったこと:

  1. より短波長のUV素子を使う際にはレンズは通さない方が良いかも♪
  2. LedEnginのビーム角は最初から90°程度なので、そもそもレンズ要らないかも♪

結論:

これからのアクアUVはLedEnginで決まりっ♪

注意点:

スター基板付きの場合、スター基板のアルミ厚が普通よりちょい厚めです。そのせいか、半田ごてではなかなか温度が上がらないため、ケーブルの半田付けに時間が掛かります。で、もたもたやってたら加熱しすぎて素子がコロンと剥がれました。Yes we can !
リフローの用意がある人は良いけど、無い人は剥がれると面倒なのでご注意を。
特に、素子自体はまだ良いとしても、スター基板には1mmも無いような保護ダイオードも載ってるので、これが剥がれると厄介です。まぁ、最悪外して使えば良いけど。

LedEnginスター基板の注意点

おまけ。
365nmと400nmと言えば、こんなのもあります。

365nmと400nmのUVキーホルダ

365nmのキーホルダと言えば、以前LeDio 9 UVシリーズの販売記念でプレゼントしたこともありましたよね。貰った人はたまに遊んでますか?
お札やカードだけじゃなく、例えば届いた郵便物に当ててみるのも面白いかも?

こちらのエントリーもどうぞ♪

LedEnginからUV 365nm 5W LEDエミッタ

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全国のアクアLEDソルジャーの皆様こんにちわ。
本日も戦士の傷を癒す選りすぐりのLEDネタをお届けしますわのよ♪

LedEngin UV Emitter

LedEnginのLZ1シリーズに365nm 5Wエミッタが追加されたってご存知でした?
リリースはちょうど1年前っぽいですが、僕は最近知りました。
しかもMOUSERで通販してると言うので早速ゲットしてみることに♪

MOUSERからFedEx便が到着

さすがMOUSER! 噂に違わぬ超速配送!
なんと、注文から僅か4日で到着!(曝)
しかも送料無料(7,500円以上)ですぜ旦那?
まったく、海外通販の利便性も、ここまで来ると寒気すら覚えます。

さて、まずは軽くスペックから紹介します。

UV-LED nm @700mA (3W) @1000mA (5W)
mW V mW V
LZ1-00U605 365nm 160mW 4.1V 220mW 4.3V
LZ1-00UA05 400nm 460mW 3.9V 590mW 4.1V

ひぃぃい!!!
先日、topledlightから購入したノーブランドのUV素子のスペックと改めて見比べてみると、いくら1W対5Wとは言え、400nmで約3~4倍、365nmで約20~30倍以上の出力差がありますやんか!?
しかも365nmなんて、こっちは5Wで$30強、あっちは1Wでも$30(泣)

ちなみに、ハイパワーUV素子を提供してるメジャーどころと比較してみると、こんな感じ。

Vendor UV-LED nm mW@700mA bin mW
LedEngin, Inc. LZ1-00UA05 400nm 460mW@700mA 410~800
Edison Opto EDEV-SLC1-03 395~410nm 400mW@700mA 170.9~400
HELIO Opto HMHP-E1LU 395~410nm 350mW@350mA 175~435

EdisonもHelioも以前から見ればかなり出力も改善されてきましたが、こうして比較するとLedEnginの方が数段格上のようです。EdisonやHELIOはランクの一番いいところを持ってきて辛うじて400mWレベル、一方LedEnginは下位ランクで既に400mWレベル、あとはランク次第で800mWレベルまで期待できます。これは胸が高鳴りますね♪
しかも、LedEnginの素子はガラスレンズを採用しているため、樹脂製レンズが多くを占める他社製と比較しても、寿命的にもかなり有利です。なんせ相手は紫外線ですから!

とは言え、400nmでおよそ$25と言えば、他社の軽く倍以上のコストとなりますから、いくらメリットが高くても、その費用対効果はとても気になるところでしょう。

しかし、実はこのLedEnginのUV素子の将来性は、なんと言ってもそのサイズにあります。
なんと、Cree XPシリーズPhilips Lumileds Luxeon Rebelと肩を並べる4.4×4.4mmと言う超小型クラスLEDエミッタなのです!
(Cree XP : 3.5×3.5mm / Philips Lumileds Luxeon Rebel : 3×4.5mm
(尚、Edison Federal 3×4.5mmにもUVはあるが、210mW@350mAの1Wのみ)

LedEngin UV LEDのサイズ比較

実は、volxjapanのGrassy LeDioやどかり屋のエリジオン閃光II のような最新型アクアLEDランプに、なんでUV搭載版が無いかと言うと、それは採用されているLED素子がCreeの最新チップのXPシリーズ(XRが一般サイズ、XPが小型サイズ)であるために、そのサイズに見合う高出力UV素子がどこのベンダからも提供されていなかったからです (LeDio 9は普通サイズの素子を採用してるのでEdison等のUV素子が併用可能)
しかし、LedEnginからこのサイズのUV素子がリリースされたことで、今後の最新アクアLEDランプのUV搭載機の実現に光明が差してきました♪
しかも、400nmはもちろんのこと、365nmへの期待感も高まります♪

・・・と思っていたのですが、実際に現物を目にしてみると、これはなかなかの曲者のよう。
微妙なサイズ違いは目をつぶるとしても、一番のネックはそのレンズの異様な大きさ。
ううむ。倍も違うやないか。。。これじゃ一体成型レンズAssyが合わん。。。
てことは、これを搭載するには、素子位置を固定してしまって、その上で専用レンズを作らなあかんと言うことか。だって、素子位置を変えたら、変えた分だけ専用レンズが必要になるから。なんと言ういけず。。。

まずは試しにエリジオンにでも搭載してみようかしらん♪と目論んでいたのですが、ちょっと一筋縄ではいかんようですね。・・・ちょい工夫してみます。

その前に軽くドライブしてみましょうか。
またレビューはのちほど。

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サンゴと蛍光タンパク質

この記事を含むタグの全記事リスト: LED水槽記録 海洋雑学 色素

蛍光タンパク質

画像は発光する蛍光タンパク質、Tsien Laboratoryより

以前ご紹介したエダコモンのオレンジポリプ発現個体以来、蛍光色素について色々と調べていました。今回はそれをちょこっとメモ程度にまとめてみます。

まず、僕は今までサンゴの蛍光色を、ただ漠然と「蛍光色素」と表現してましたが、その方面?での用語の使い分けに際し、蛍光物質には「蛍光色素」や「蛍光タンパク質」があり、どうやらサンゴのそれは蛍光タンパク質と言い表すのが適切であるようです。

で、それらを大まかに区別すると、およそこんな感じのようです。

蛍光 蛍光色素 蛍光タンパク質
成分 化学合成 生物由来
特徴 低分子 蛍光強度が高い
用途 細胞や染色体などを染色 遺伝子工学によるタンパク質の追跡

まず、蛍光色素には非常に多くのバリエーションがあります。
以下の資料は参考程度にご覧下さい。

一方、生物由来である蛍光タンパク質には、我々も非常に関心の高いサンゴ由来の蛍光タンパク質がいくつか抽出・生成されています。

  • Fluorescent Proteins (PDF)
    ミドリイシ・シアン
    ウミキノコ・グリーン
    アザミ・グリーン
    クサビラ・オレンジ
    桂馬/Keima570(赤)(コモンサンゴ)
    ドロンパ/Dronpa・グリーン(キッカサンゴ)
    カエデ/Kaede(緑・赤)(ヒユサンゴ)
    その他…
  • Living Colors Fluorescent Proteins (PDF)
    RCFP (reef coral fluorescent proteins/造礁サンゴ由来蛍光タンパク質)
    シアン(AmCyan1)
    緑(ZsGreen1)
    黄(ZsYellow1)
    赤(DsRed-Monomer、DsRed2、DsRedExpress)
    深赤(AsRed2、HcRed1)
  • Keima-Red
    mKeima 440nm-620nm
    dKeima 440nm-616nm
    dKeima570 440nm-570nm

厳密な励起波長・発光波長は別としても、多くは普段から僕らも観察し見慣れているサンゴの蛍光色ですね。

各サンゴの蛍光色

各蛍光タンパク質の紹介はここまで。各々の特徴・詳細については割愛します。
興味があれば必要に応じて検索してみてください。

そして、肝心の蛍光タンパク質の働きについて、有用な情報もひとつご紹介します。

刺胞動物と蛍光タンパク質 (PDF)

以下、引用。

採集した蛍光性サンゴと非蛍光性サンゴに強い紫外光を照射すると、後者においてより顕著に光合成阻害が認められた。
-
この結果から、蛍光タンパク質が褐虫藻を強い日光から保護することが示唆された。
-
実際、1998年に大堡礁で起こったサンゴの大規模な白化現象においてサンプリングしたものを調査したところ、蛍光タンパク質を発現する個体ほど白化しない傾向が確かめられている(Salihetal.2000)。

確かに蛍光色の励起は、青を吸収しての緑・赤励起、そして紫外線を吸収しての青・シアン励起などがあり、その意味では有害な紫外線を安全な可視光線にシフトしていると言う点で、対紫外線機能のひとつとも言えます。これは昔からよく言われる対紫外線色素のMAAsとはまた別の反応です。

例えば、浅場のミドリイシとして有名なスギノキミドリイシの特にブルー個体に於いては、この蛍光タンパク質によって積極的に紫外線を青色やシアンへシフトしていることが判ります。逆に言えば、どうして浅場のスギノキが青いのか、その裏づけとも言えるでしょう。

実際にブルーのスギノキや他の蛍光サンゴに青色や近紫外線の光を当てて、それぞれの蛍光タンパク質がどのような蛍光反応を示すか、我が家の個体で試してみました。

各サンゴの波長ごとの蛍光反応

仮に、グリーンのエダコモンの蛍光タンパク質をGFP(Green Fluorescent Protein)、オレンジのエダコモンの蛍光タンパク質をRFP(Red Fluorescent Protein)、スギノキの蛍光タンパク質をCFP(Cyan Fluorescent Protein)としますと、GFPやRFPは青色~シアンの光でもっとも強く反応(吸収極大)し、スギノキのCFPは近紫外線の400nmが吸収極大であることが判ります。

また、スギノキの蛍光タンパク質について更に詳しく観察してみました。

スギノキブルーの蛍光タンパク質の反応

最近気づいたのですが、このスギノキの場合、共肉は強いシアン蛍光ですが、実はポリプにも発光強度が弱いながらも蛍光発光があることが判りました。UV 400nmを当てると、ポリプが薄っすらとロイヤルブルー(あるいはブルー)を帯びているのです。
でも写真にはうまく写らない。。。判るかなぁ?
でも発光量が弱すぎて初老の老眼にはチト確認が辛い。。。気のせいだったりして(汗)

このことからも、スギノキブルーには適度な紫外線を当てるべきだと言えるでしょう。
そうでなければ、自然光下で見られる本来の濃ゆいブルーが発現できないと思われます。
これまでのようなメタハラや蛍光灯の環境では意識せずとも含まれていた紫外線も、オールLEDの水槽では意図的に入れる必要性が生じますので、可能であればUV入りLEDランプを併用することが理想的です。
ただ、ご使用のランプの中に一般白色LEDが混じっているならば、幸い蛍光体による励起波長範囲に僅かな近紫外線域が含まれますから、スギノキブルーの青みもそれなりに出ると思います。でもフルブーストを掛けるなら是非UV入りを入れたいところです。
尚、RGB白色LEDの場合は蛍光体励起が無い分、近紫外線は一切含まれていないため、青蛍光やシアン蛍光は得られず、単なる青光成分による演色効果でしか青みは得られません。この場合、UV入りランプは必須となるでしょう。

さて、今回自分なりに時間を掛けて蛍光タンパク質について調べてみたつもりでしたが、それで蛍光グリーンのエダコモンサンゴのポリプに蛍光オレンジが乗った原因が判ったのか?と言うと、それが結局さっぱり判りませんでした♪
人為的に蛍光タンパク質の発光色・強度を改変する場合、その蛍光タンパク質の遺伝子クローニングののち、DNAのアミノ酸配列を組み替えることで実現するそうですが、そういう変化が自然下でも起こるのか、それとも単に異なる蛍光タンパク質を獲得したのか、と考えると、やっぱり後者の方が自然の成り行きかな?
でも、当時は蛍光オレンジなんて水槽のどこにも無かったんだけどなぁ。。。
実は蛍光タンパク質は細菌の如くどこにでも存在するモノなのか!?
そういえばサンゴのプラヌラ幼生も、最初は持ってないはずの褐虫藻をいつのまにか取り込んでるようだし。。。
ただ、ひとつ気になるのは、このようなエダコモンの現象は今までに一度も見たことがなく、今回LED環境で飼育してみて初めて遭遇した現象だと言えること。まさかLEDの破壊的な光線により遺伝子が組み替えられた!?・・・なんてことはないよね(笑)

と言うわけで、答えは先送りです。

尚、念のため補足しますが、サンゴの色彩を決定づけるのは蛍光タンパク質だけではありません。褐虫藻自体の色、密度、そしてクロロフィルやカロテノイド、フィコビリンのような光合成色素など、さまざまな要因により見た目の色彩が形成されていると思われます。

その他の参考関連情報

その他、間違い等あればご指摘頂けると助かります。

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