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世界初UV搭載LEDスポット零号機

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部屋掃除してたら、めっちゃ懐かしい夢の欠片を発掘しました(笑)

世界初UV搭載LEDスポット零号機

懐かしい!!!笑

これ、最近の方は知らないかもですね。当時あまり露出しなかったし。。。

今でこそ400-420nmのUV LEDはアクアLED製品に欠かせない存在になりましたが、その先駆けとなったのが、世界初UV搭載アクアLEDスポットの名の下にリリースされた、ボルクスジャパンGrassy LeDio9+シリーズでした。

で、これはそのゼロ号機です♪

そう言えば、2009年当時はまだスペクトロメーターなんて持ってなかったから、この零号機の実際のスペクトルなんて知る由もなかったなぁ。。。

早速測ってみました(笑)

世界初UV搭載LEDスポット零号機・実測スペクトル

おおお~! ちゃんと400nm出てますやん♪曝
ま、砲弾LEDの超狭角のビーム角に助けられての結果ですけどね。
測定器を少しでも傾けると400nmの存在が消えます(曝)
なんともちっぽけな零号機でした。。。笑

でも、この存在があったから、後のLeDio9+シリーズに繋がり、さらにその後の他社の追従にも繋がった訳です。ボルクスが特許縛りを控えてくれたお陰です♪汗
そうして現在、UV入りLED製品は、非常に多くのアクアリストに親しまれています。
オージーサンゴの蛍光タンパク、UVでガンガン揚がってますかぁ~?
お元気ですかぁ~?

よし。
将来、アクアLEDミュージアムが開館されたら、この零号機を展示して貰おう♪笑

世界初UV搭載LEDスポット誕生秘話

さて、せっかくなので、UV採用LEDスポットの開発秘話を簡単にご紹介しましょう。

■2009年8月

まず、僕が初めて買ったLED電球は、この東芝のLED電球でした。

東芝LEDLED電球

最初は、同じ日亜のブルー素子を取り寄せて青白スペクトルに改造したり、リフレクターやレンズを自作して光量アップなどを楽しんでいたんですが、ふと、あることに気づきました。

UVが入ってないじゃん。。。

元々僕は2000年当時、スギノキ・ブルー化計画でUVを崇拝してたUV信者でしたから、サンゴの飼育照明にUVが入ってないなんて、とても許容できるはずはありませんでした。
そして、持論はより一層強く固まっていきます。。。

LEDをサンゴ飼育に用いるならUV域を補完しなければならない!

■2009年10月

その後、UVを載せる方法をいろいろ思案し、思いついたのがこの方法↓

東芝LED電球改+紫外線LED搭載実験

だって、当時はパワーLEDのUV素子なんてほとんど売ってなかったんだもん(笑)
たまに見つけても超高価低出力プラスチックレンズの三拍子。。。汗

こうした実験は、実は当時オフレコで進めていたので、この件を公にできたのはLeDio9+シリーズの試作が完成してからでしたね。

そう、アクアLEDとUVの未来は、
すべて新型LeDio9+のUV搭載の可否に運命を託されたのです!

■2009年12月

その後、遂にLeDio9+シリーズの試作機が到着
レンズタイプ1 (クリアレンズ版)

UV搭載LeDio9試作機 レンズタイプ1

レンズタイプ2 (フロストレンズ版)

UV搭載LeDio9試作機 レンズタイプ2

* これらの試作を経て、正規版はプリズムレンズに決定しました。

これが実測スペクトル(LeDio9 PearlUV3)

UV搭載LeDio9試作機・実測スペクトル

おおお~!
安心してください、UVは無事履けましたよ♪笑
このUV補完スペクトルに、マリンアクアリウムの明るい未来を見いだしました!

その頃、ちょうどスギノキブルーの枝が調達出来たので、同じく試作したLeDio3 UV3を使って、ブルー蛍光タンパクの励起実験に着手。

スギノキブルーの青味がUVで励起されるブルー蛍光タンパクであることを発見!

はい。謎は全て解けました♪

ウスエダ・ブルーと違って、スギノキ・ブルーの多くはブルー色素タンパクを持たないブルー蛍光タンパクのみの構成であるため、白色LEDのようなUV 400nm付近の波長を一切含まない光源で観賞すると完全に真っ茶色で、まったく青く発色しなかったのです!
しかし、太陽光の元で見ると青いっ!?
やはり間違いない、アレだ!

そう、アレとは、僕が現役当時、同じくスギノキを青くすべく実践したスギノキ・ブルー化計画の仮説の元となった、UVです。

スーパークール・マリンブルーはスギノキブルーの青味を増強する

やっぱり、サンゴを自然下と同じように飼うにはUVも必須なのだ。。。
しかし、現状のアクアLEDは、青と白しか入ってない青白スペクトルのみだ。。。
このままじゃダメだ。。。危うくアクアリストが全員路頭に迷うところだった。。。
UV搭載LEDの実現は間違いではなかった!!!

■2013年5月

その後、スギノキのブルー蛍光タンパクの励起発光特性を調べることにも成功しました!
(コーラルカラーレポートVOL.1より出血大サービス♪)

スギノキブルーの反射スペクトルとブルー蛍光タンパクの発光スペクトル特性

はい。スギノキのブルー蛍光タンパクの励起には、370nmも400nmも425nmもすべて同じくらいの波長強度が必要だったのです。もちろん、スーパークール・マリンブルーには全部入ってます。
しかし、当時は370nmのLED素子なんて超高価の割に超低出力で使い物になりませんでしたので、採用は現実的ではありませんでした(未だにそんな感じですが 汗)

ではどーするか?
その分しっかりと400-420nmを入れましょう!
と言うのが、後のフルスペの波長理論のひとつになりました。
フルスペを当てるとスギノキブルーが真っ青に揚がるのは、そういう訳だったんです。
ま、その話はまた今度。。。

え?
上のスギノキのグラフ、深赤680nmあたりにも蛍光発光が出てないかって?
鋭いですね!
そんなあなたは、以前投稿した褐虫藻に焦点を当てたLED選びも参考にどうぞ♪

こちらのエントリーもどうぞ♪

USBでPAR測定できるBiotek Marine BTM3000

この記事を含むタグの全記事リスト: 測定器

以前から、よくスイハイ先で水槽内のPPFD(PAR)を測定してますが、

水槽内のPPFD測定

水槽内のPPFD測定

あれはApogee社のMQ-200と言うPARメーターを使用しています。

Apogee MQ-200 PARメーター

センサー部は防水でケーブルも長いので、水槽内のPPFD測定に便利です。
センサー一体型のMQ-100もありますが、アクアにはMQ-200の方が有用でしょう。
精度は、センサーのSQ-110自体が、光合成有効放射の作用曲線を完全にはトレースしてませんが、ホビー用には十分です。

ただ、結構お高いです。国内なら70000円はします(汗)
僕は海外通販のAquariumSpecialtyで買いましたが、当時は円高だったので送料込みで35000円もしませんでした。今なら45000円ほどかな。

そこで朗報です。最近USBタイプのPARセンサーが発売されました。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサーです。
パソコンにソフトウェアをインストールすれば、USB端子に差すだけでパソコンでPPFDが測定出来ます。もちろん、センサーは防水なので、水槽の中もガンガン測れます♪

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー

ただ残念ながら、まだ国内では販売されてませんので、AquariumSpecialtyPremiumAquaticsなどの海外通販から入手するしかありませんが、送料込みで25000円程度で買えるのは魅力的ですよね♪

そんなBTM3000を、今回ちょっと借りる機会があったので、簡単にレビューします。

まず、BioTek MarineApogeeのサイトから、ソフトウェアをダウンロードします。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ソフトウェアダウンロードページ

ソフトウェアはWindows用とMac用が用意されており、仮にWindows用をクリックすると、以下のようなインストール実行ファイルがダウンロードされるので、

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ソフトウェアEXE

クリックしてインストールを進めます。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ソフトウェアインストール

インストールが完了するとデスクトップに以下のようなアイコンが作成されます。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ソフトウェアアイコン

続いて、ドライバーをインストールします。
USBポートにBTM3000を差すと、自動的にインストールが始まります。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ドライバーインストール

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ドライバーインストール完了

ドライバーのインストールが終わったら、デスクトップのBTM3000のアイコンをクリックして、ソフトウェアを起動します。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ソフトウェア起動画面

PPFDがリアルタイムに表示されるので、センサーを色んな光源にかざしてみてください。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ソフトウェア画面

SPS水槽の場合、水面で500umol/m2/sは欲しいところです。
超浅場なら800umol/m2/s以上!
LPSを置く場合は、水底などの100-200umol/m2/s程度が無難です。

また、一定時間間隔でデータを取り続けるデータロギング機能もあって、結果はCSVで保存されます。時間間隔は5秒以上なら何分でも何時間でも自由に設定可能です。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ソフトウェア・データログ機能

詳しくは、ユーザーガイドをご覧ください。
先のソフトウェアダウンロードのページからダウンロードできます。

Biotek Marine BTM3000 USB PARセンサー:ユーザーガイド

ユーザーガイドは全16ページ。但し、全部英語です(汗)

ただ、残念なのは、スマホに対応してないこと。。。
これ、スマホで使えたら最高なんだけどな~♪
なので、現在の最小構成は、タブレット+BTM3000かしら。

タブレット+BTM3000

タブレットをお持ちの方で、極力安くPARメータが欲しい方にはオススメです。

ちなみに、

  • 2万円はなかなか手が届かない
  • PPFDじゃなくても単に光量の目安が知りたい

と言う場合には、ヤフオクの安価な照度計でも十分です。測定器としては破格の2000円前後で買えますし、むしろあの安価な照度計の方が比視感度フィルターを持たないため水槽照明の光量測定には適しています。なぜなら、普通に高価なJIS照度計は比視感度フィルターを持つため、白光や緑光は高く示しますが青光は低く示すため、光エネルギーの量として把握することができないのです。
↓この辺のヤツ

安価な照度計

古い記事ですが、照度計選びの参考にどうぞ→照度計選びのポイント
ヤフオク照度計なら、SPS飼育の場合、水面で30,000lx以上あれば良いでしょう。

こちらのエントリーもどうぞ♪

max-s G2 60Wフルスペ化レビュー

この記事を含むタグの全記事リスト: LED LEDライト スペクトル 自作関連 電気系

じゃじゃ~~ん!

Maxspect max-s G2 60W改・超浅場フルスペです!

Maxspect max-s G2 60W改(超浅場仕様)

160W機のフルスペ化は散々やってきましたが、今回は最小モデルの60W機です。

先日、いつものようにmax-sのフルスペ化の依頼品が届きました。
実は60W機の依頼は初めて。

Maxspect max-s G2 60W

全18素子中、9素子が死んでました。。。
ま、残りの素子もいつ切れるか判らないし、フルスペ化のためにも全交換になります。
依頼者さんのご希望は、根の頂上を照らすための超浅場スペクトルです♪

ビフォーアフター♪

Maxspect max-s G2 60W改(超浅場仕様) ビフォーアフター

60W機って、チャンネルがひとつしか無いんですね。18素子ストレートです。
だから、素子配列は比較的簡単です。
ただ、素子数が少なく3W駆動なので、できるだけ高効率・高出力の素子をチョイス!

  • Eplieds 400+425nmデュアルチップ (1023) - 450mW@350mA
  • Eplieds 475nm (1023) - 40lm@350mA
  • Eplieds 500nm (1023) - 90lm@350mA
  • Eplieds 475+500nmデュアルチップ (1023) - 65lm@350mA
  • Eplieds 590nm (1023) - 60lm@350mA
  • Eplieds 660nm (1023) - 250mW@350mA
  • Cree XT-E CoolWhite - 139lm@350mA
  • Cree XT-E NeutralWhite - 130lm@350mA

一部デュアルチップを使ったのは、400+425nmに関しては波長強度の確保のため、475nmと500nmに関しては波長ムラ軽減のためです。

各LED素子の発光色。

Maxspect max-s G2 60W改(超浅場仕様) LED発光状態

レンズキットも今回のために依頼者さんが新たに調達されました。13,000円ほど。
max-sはレンズキットが無いと光強度が弱いですからね。
それにしても、未だにオプションパーツが買えるってのは嬉しいですね!

Maxspect max-s G2 60W改(超浅場仕様) レンズキット装着

Maxspect max-s G2 60W改(超浅場仕様) レンズ発光状態

そして、気になるスペクトルですが、
まず、事前にすべてシングルチップで計算したスペクトルがこちら。

超浅場スペクトル・シミュレーション

そして、実際の完成品の実測スペクトルがこちら。

Maxspect max-s G2 60W改(超浅場仕様) 実測スペクトル

デュアルチップ素子の採用により、400-420nm帯のピーク強度は450nm並みを達成、475-500nm帯のピーク強度も450nmを大きく超えました。そのため、相対グラフにすると475-500nm帯以外が全体的に下がって見えると言う訳です。

とにかく、ご希望通り水深1-3M相当の超浅場フルスペクトルの完成です♪

■完成品の実測データ

簡易照度 23,120 lx @30cm
JIS照度 21,730 lx @30cm
PPFD 426 umol/m2/s @30cm
色温度 10900K
演色性 Ra85
製品消費電力 48-52W

3W駆動×18素子=60Wでも、最新LED素子への換装によって、ここまでの大光量に生まれ変わりました♪
1W駆動×42素子のフルスペ12インチ(50W)でも、PPFDは600ほどですからね。

引き続き、max-sフルスペ化をご希望の方は、メールでお気軽にご相談ください。
max-sに限りませんが。

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