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太陽のための超~高演色LEDの話

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太陽光LEDとか高演色LEDとか一体なんやねん!?

と言う方のための簡単なLED講座なんかをお送りしましょう。
昨年から温存してきた蔵出し情報なども惜しみなく織り交ぜて(笑)

高演色LED素子の現時点での選択肢

僕が今使っている自作LED照明には、現時点でもっとも太陽光に近いとされる超高演色白色LED (UV+RGB蛍光体)を使っています。演色性は軽くRa95オーバーです。
また、この自作機のバージョン1で補助回路に採用していた高演色白色LED (Blue+RG蛍光体)は、その次に優れたスペクトルを持つLEDです。Ra90以上はあるでしょう。

高演色LED素子、超高演色LED素子

Blueチップと緑赤蛍光体による高演色LEDは各社から製造・販売されています。日亜のH1シリーズ、シャープの銭型Hiシリーズ、シカト社(Xicato)のアーティストシリーズ、など。但し、日亜の素子は、高演色を謳うダウンライト等に採用されているのはよく見かけますが、個人向けにはあまり流通していないようです。そこで有望なのが、シャープやシカトですが、シカトはモジュールが大きく、しかも高価なので、あまり現実的ではありません。スペクトルは最高なのですが。。。となると、選択肢は必然的にシャープに絞られます。これが現時点でもっとも入手性・価格・スペクトルが手ごろなLEDではないかしら。こばやしさんもこれで自作中です。

下記表のリンク先はRSオンラインです。品薄なので欲しい人は今すぐ購入だ!(笑)

シャープ銭型
High CRI型
出力 色温度 光束 演色性
GW5BNC15L02 3.6W (10.2V/360mA) 5000K 190lm Ra90
GW5BNC15L12 6500K
GW5BNF15L00 6.7W (10.2V/640mA) 5000K 350lm
GW5BNF15L10 6500K

しかし、問題はUVチップと青緑赤蛍光体による超高演色LEDです。僕の知る限り、このLEDを部品として販売しているところはありません。ただ、辛うじて製品化された照明としての流通はありますので、試してみたい方は以下の製品を買われてみると良いでしょう。

超高演色LED採用製品 出力 素子数 演色性 実売価 備考
CCS EXLN-NW022050E11JW 4W 3 Ra95 15,750円 E11口金
KOIZUMI ADE951191 4.5W 3 Ra95 12,000円 別途電源が必要
AEE690037

とは言え、この出力で且つこの価格です。。。目眩が。。。汗
しかも僕は当時これを見つけるために既製品を買い漁って散財しましたからね(泣)
でもね、この子らは何物にも変えがたいスペクトルを備えているのですよ。

照明別スペクトルと演色性

LED素子のブレンド無く、単一素子だけで太陽光スペクトルを実現するには、現時点ではこの方法しかありません。昨年僕が作った太陽光LEDシステムライトも、今試してる各試作機も、いずれもこのUV+RGB蛍光体によるLEDを採用しています。

ちなみに、昨年末から僕が製作してきた太陽光ブレンドは、あれは単一の白色LEDではなく、数種類の白色LEDとシアンLEDを組み合わせて、安価に擬似太陽光スペクトルを実現したランプです。混同しないようにご注意あそばせ (太陽光ブレンドは現在は製作しておりません)

既製の白色LEDの演色性の違い

もう、かれこれしつこいくらい繰り返してきました。

隣の芝生が青く見えるのは本当に青いからです(曝)

世間一般の既製品のLED照明には、高演色タイプと謳われた製品があり、それらの製品には一般白色LED(青チップ+黄色蛍光体)とは異なる発光原理を持つ高演色LED素子(青チップ+緑赤蛍光体)が採用されています。
しかし、しかしなのです。アクアLEDに関しては、高演色LEDを採用した製品が未だに皆無です。すべて一般白色LEDで、青と黄色の山しかないしょんぼりスペクトルです。何故か? メーカーにお金が無いか、知識が無いか、両方でしょう。どんなに高くても良いものが欲しいと考えるユーザーが僅かでも居ようとも、「僅か」くらいではメーカーは動けません。本当は良いものを作りたい、でも高いからあまり売れない、だから少し性能を落として安いものを作る、するとまあまあ売れる、じゃあ売れる方を作りましょう♪ っておい!

一般素子、高演色素子、超高演色素子、それぞれのスペクトルはこうなっとるのじゃ。

既製白色LEDのスペクトル比較

どんなに安くて手頃な価格でも、それで命が繋がらなければ意味がないのじゃ。
まあ、100歩譲って、足りないもんを補助ランプで補うことはできる。UVや赤はの。
じゃが、シアンはどうするんじゃ?
太陽光スペクトルの中でもっとも強いシアンじゃ!
海中でも最も大きな存在であるシアンじゃ!
あらゆる光合成色素が利用しとるシアンじゃ!
しかも、シアンは補助ランプも存在しとらんのじゃ!?
こりゃ、どゆこっちゃ!?

アクアリストは迷走するじゃろうて。。。
なしてLEDだとサンゴがいまいちなんじゃと。。。
なして飼えるサンゴと飼えないサンゴに分かれるんじゃと。。。
メーカーは答えんじゃろう。
いや、答えられんじゃろう。。。

・・・と、愚痴はこんくらいにしとくかの。

具体的な製品別スペクトルはこんな感じです。一般白色LEDはどこも大差ないので代表例のみ、その他Blue+RG蛍光体と、UV+RGB蛍光体と、あとおまけで素子ブレンドによる擬似太陽光も並べてみました。

高演色LEDのスペクトル一覧

目指すは、太陽光のような、欠落の無い連続スペクトルです。各社いずれもシアンが不足しがちな中、UV+RGB蛍光体の滑らかな連続スペクトルを見てください。もちろん、UVと赤の強度も見逃せません。これが無理なら、せーめーてー、Blue+RG蛍光体でいきたいところです。一般白色LEDで誤魔化せるのは飼い主のメンタルだけです。生体は誤魔化せません。
ただ、先日発売されたLeDio 21e PearlWhiteのシアン補完率は秀逸です。また、例え高演色LED素子を使わなくとも、一般素子のブレンドだけで高演色を実現した良い例です。現状のアクア各社で白と青を混ぜ混ぜした単純な製品しか無い中、スペクトル派はこれを買わない手はありません!
と言いたいところですが、昨日の案内の後、やはり即効で応援市場分の21e PWは売切れてしまいました(汗)。次の入荷は8月なので、欲しい方はあちこちのショップの在庫をご確認ください。

太陽のための超~高演色LEDの話

もう古くなったけど、超高演色LEDに興味のある方は、こちらの記事がお勧めです。

上で書いたCCSやKOIZUMIのLEDのことも書かれてます。この記事によれば、これらの超高演色LED素子には、三菱化学のUVチップと蛍光体が使われているとのこと (三菱化学紫LEDチップ、紫励起蛍光体)。それらを各社が自社パッケージングしている訳です。

このUVチップとRGB蛍光体を組み合わせれば、先に記したような超高演色LEDのスペクトルが得られます。

超高演色LED(UV+RGB蛍光体)のスペクトル

* 波形はイメージです

およそ太陽光に含まれている光合成に必要な波長が、これで一式揃うことになります。

今、サンゴ飼育を可能にするために必要なLEDは、まさにこれだ!

と言うことで、かれこれ1年前から牛歩の歩みで進めておりますアクア向け太陽光LEDの製品化♪ でもまだ少し時間が掛かりそうです。。。気長にお待ちください。。。

ところで、欲望の赴くまま、新たな技術を考案しました。
ただでさえ効率や光量が落ちやすい超高演色LEDに対し、さらにその上を行くウルトラハイパー太陽光LED(UV+VRGB蛍光体)の草案です♪

極超高演色LED(UV+RGB蛍光体)のスペクトル

目的は、360nmをスペクトルに含める意味と、紫蛍光体による420nmの補完です。
さすがに360nmともなると、一発で蛍光体を劣化させちゃうかしら?(曝)

肝心の紫色蛍光体は、、、一応ヒットしました。少ないけど(曝)
紫色蛍光体って、果たして製品として供給されてるのかしら?

でもこれが実現できたら・・・さぞ太陽だろうなぁ。。。
まあ、現状の360nmの放射強度から見て、光量も効率もかなり落ちるだろうけど。
それか、光源チップは400nmのままで、紫蛍光体を足すだけの方が現実的かしら?

どこかのLEDメーカーさん、試しに作ってみません?
お金? ないです♪ (きっぱり)

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LEDの明るさを如何に比較するか

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前回の海外通販で買ったノーブランドLED素子の続きです。

今回は手持ちのLEDも含め、光量の違いを比較すべく、照度を測定したいと思います。本当なら光束の比較が出来れば一番良いのですが、家中どこを探しても積分球が見つからない(曝)ので、やむを得ず照度計で我慢します(笑)

しかし、そこで大きな問題が生じます。と言うのも、照度と言うのはビーム角によって値が大きく左右される単位なので、光束が小さくてもビーム角が鋭ければ大きな値になり、光束が大きくても広い面積を照らすと照度は極端に低下します。また、目視による比較では、人間の目はハイパワーLEDの光量の違いを見分けられるほどのレンジはありませんので、どのLEDを見ても眩しいとしか判断が出来ないはずです。しかも、ビーム角がネックとなり、ビーム角が大きければ横から見ても眩しく見えるため大光量に見えたり(一般的なノーブランドLED 120~140°)、ビーム角が小さければ横から見ても眩しくないため暗く感じます(Cree XR-E 90°)。そう、仮にいくら比較対象を同時に点灯して目視で比較したとしても、ビーム角が違えばその印象を光量差と決め付けることは出来ないのです。よって、それらの光量を比較するためには、それなりの工夫や条件が必要となります。

照度、光束、ビーム角の関係

* 図の光束は光源の光束とビーム角から算定した理論値
光束の計算方法は過去に何度か書いてますが、こことかここを参考に。

前置きが長くなりましたが、今回は大型のリフレクターを用いて、さまざまなビーム角のLED光をほぼ同程度のビーム角に揃えることで、およその光量比較が適うことに期待しました。まあ、考え方としては半積分球ってとこかな。これなら素子が発する光を漏れなく前方へ集められるので、同じビーム角のLED同士の比較であると見立てることができそうです。

検証環境は以下の通りです。

光量を比較検証するための環境

スクリーンはビーム角を確認するために設置していますが、照度測定時には外します。
測定距離は、リフレクター含む素子・受光部間を30cmとしておこないました。
尚、駆動電流は1Wの350mA固定(厳密には調整の都合で352mA)とし、測定時間は放熱の関係で電流投入後数秒以内で読み取りました。

以下、測定結果です。

まずはブランド素子から。

ブランドLED素子の光量比較

Luxeon K2とEdisonは結構の前の中古なので、新品ならもう少し明るいと思います。また、Cree XR-EがXP-Gよりも大きな値を示していることからも、この測定方法の精度が知れますね(本来、XR-Eの最高ランク<XP-Gの最低ランクなので)。これは、リフレクター方式と言えども、どうしても中心ばかりが明るくなるためでしょう(照射面積に対して照度を均一に分布させることは現実的には困難なため)
ま、所詮ホビーレベルだと言うことをご了承ください。
ただ、およその力関係を把握するには十分でしょう。上の結果をご覧の通り、ノーマルのビーム角が映す幻影は、リフレクターの凍てつく波動により全てかき消されています(笑)。その意味では、このリフレクター手法は手軽な割に良い結果を出してくれたと思います。

次に、ノーブランド素子の比較結果。下3つが今回購入したもの。

ノーブランドLED素子の光量比較

なんと、今回購入したものは、手持ちのどれよりも暗い。。。なんと言う中華クオリティ♪
しかも相変わらず変なチップだし。。。ホントなんだよこれ?(笑)
で、ロシアのサイトでたまたま同じチップを見つけました。でも言語が・・・(汗)

あと、ノーブランド5が暗すぎるけど、これは色味を見る限りニュートラルホワイトのようです。その点は感心感心♪ ノーブランドもCRI(演色性)に興味あったのか?(汗)。と言う訳で、これは決してEpiledsチップが悪い訳ではなさそうです。

で、勝敗結果がこちら。
まずはノーマル比較。ビーム角が不揃いなので明るさの比較にはなりませんけどね。

ノーマル 30cm照度測定結果
順位 照度 LED ビーム角
1 632.0 lx Cree XR-E CoolWhite 90°
2 441.0 lx ノーブランド 4 (ヤフオク) 120°?
3 416.0 lx ノーブランド 2 120°?
4 395.5 lx ノーブランド 1 90-100°?
5 392.5 lx ノーブランド 3 110-120°?
6 390.5 lx Cree XP-G CoolWhite 125°
7 364.8lx LEYOND CoolWhite 140°
8 364.7 lx OptoSupply CoolWhite 140°
9 300.9 lx SeoulSemiconductor P4 PureWhite 127°
10 240.5 lx Edison S CoolWhite 120°
11 239.0 lx Philips Lumileds Luxeon K2 CoolWhite 140°
12 213.5 lx ノーブランド 6 140°
13 200.7 lx ノーブランド 7 140°
14 150.7 lx ノーブランド 5 140°

続いてリフレクターによるおよその光量比較結果。

リフレクター集光 30cm照度測定結果
順位 照度 LED
1 6,750 lx Cree XR-E CoolWhite
2 6,670 lx Cree XP-G CoolWhite
3 5,220 lx ノーブランド 4 (ヤフオク)
4 5,130 lx ノーブランド 2
5 4,980 lx OptoSupply CoolWhite
6 4,800 lx SeoulSemiconductor P4 PureWhite
7 4,370 lx LEYOND CoolWhite
8 4,240 lx ノーブランド 3
9 4,050 lx Philips Lumileds Luxeon K2 CoolWhite
10 3,657 lx ノーブランド 6
11 3,644 lx Edison S CoolWhite
12 3,161 lx ノーブランド 7
13 3,112 lx ノーブランド 1
14 1,878 lx ノーブランド 5

ここで、ヤフオクLEDユーザーにとっての朗報です!
これはあくまでも僕の遭遇したロットでの話ですが、このロット(2010秋のグランクリエイト、クリスタルエリート)で使用されていたノーブランド素子が、なんと!?他の手持ちのノーブランド素子の中では一番明るい結果となったのです♪
さすがにCreeには及びませんが、少なくとも既存のノーブランドの中ではかなり明るい方だと言えるので、これはメンタル的にも非常に救われる結果が得られたと思います!
いやぁ、良かった。初めて褒めるとこ見つけた(汗)。少し肩の荷が下りたかも♪
ま、種を明かせば、光色が緑っぽいのがヒントだけど、この際それは大目にみます(笑)

ただ、上の写真のノーブランド4ようなチップ(神殿の扉みたいなデザイン)なら該当すると思いますが、それ以外のチップを使った素子の場合は判りません。ま、素子潰してチップを確認する訳にはいきませんがね(苦笑)

ところで、素子一発で6,000lxオーバーって、やっぱりCreeって凄いですねぇ!
やはりノーブランドがおいそれと破れるスペックではありません。
どんなに明るいとは言っても、計算上、やはり100lmすら達してなさそうですから。

リフレクター結果から逆算した光束
順位 XR-E基準 XP-G基準 LED
1 114.0 lm 123.5 lm Cree XR-E CoolWhite
2 112.6 lm 122.0 lm Cree XP-G CoolWhite
3 88.2 lm 95.5 lm ノーブランド 4 (ヤフオク)
4 86.6 lm 93.8 lm ノーブランド 2
5 84.1 lm 91.1 lm OptoSupply CoolWhite
6 81.1 lm 87.8 lm SeoulSemiconductor P4 PureWhite
7 73.8 lm 79.9 lm LEYOND CoolWhite
8 71.6 lm 77.6 lm ノーブランド 3
9 68.4 lm 74.1 lm Philips Lumileds Luxeon K2 CoolWhite
10 61.8 lm 66.9 lm ノーブランド 6
11 61.5 lm 66.7 lm Edison S CoolWhite
12 53.4 lm 57.8 lm ノーブランド 7
13 52.6 lm 56.9 lm ノーブランド 1
14 31.7 lm 34.4 lm ノーブランド 5

* Cree XR-E Q5ランク(max 114lm)またはXP-G R2ランク(max 122lm)を基準値として算定される照射面積を係数として、各素子の光束値算定に利用
(XR-E係数:0.01689/XP-G係数:0.01829/光束=照度×係数)

て言うか、先日買ったLED素子・・・50lmとか。。。30lmとか。。。
4年前のスペックやんかっ!?
GoodLuckBuyのバカぁぁぁっ!!!
・・・て言うか、クレームの返事まだですか?(汗)

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コントラスト問題と照度減衰率

この記事を含むタグの全記事リスト: LEDうんちく プチ実験

大雑把な話、2階のベランダで測ろうと、1階の庭で測ろうと、太陽の照度は変わりない。
ところが、メタハラやLEDなどの人工照明じゃ、そうはいかない。
まあ、水槽の場合は何メートルも水深があるわけでは無いが。。。

話を1年ほどさかのぼるが、当時僕はLED+レンズに於いて、やりすぎはコントラスト問題を生む、と豪語していた。そして無難なビーム角として90°を導き出した。集光効果も得られつつ、コントラスト問題も適度に回避できるビーム角だ。

ところで、そもそもコントラスト問題ってなんだ?

それは、レンズによる集光によって強制的に高められた照度は、投影対象に極端なコントラストを与えてしまうと言うものだ。例えば、ミドリイシの上面が超明るいのに、裏面が超暗い状態。また、ミドリイシの頭頂部には数万ルクスも当たっているのに、数センチ下の枝には数千ルクスしか当たらないと言う状況も生み出す。。。

いや、正確にはこれは、感覚的な推測に過ぎなかった。もちろん、光を絞れば絞るほど周囲への反射成分がなくなり、物体のコントラストを強くしていくのは間違いの無いところだろう。しかし後者の「数センチの照度差」と言うのは、この推測から派生した、ただの感覚に過ぎなかったのだ。

先日、水槽を眺めながら、ある悩みにため息をついた。
それは、全てのミドリイシが、ある一線を境に白化したり萎縮したりというもので、その一線とは水面から3cmほどの水深である。ここより深ければポリプも発色も状態が良いのだが、そこより浅くなるとポリプが萎縮していたり共肉が褐色化あるいは白化しているのだ。

コントラスト問題め。。。

そう思った瞬間、ふと気づいた。

ん?
これって、本当にコントラスト問題っけ?

いつものように前置きが長くなったところで、本題に入ります。
検証には、以下のLEDを使いました。

20WのLED、レンズの有無によるビーム角の違い

また、これだけでは心もとないので、エリジオンのブルーホワイトも参戦させた。
以下、各LEDのレンズあり無しの照度減衰率の測定結果である。

各条件での照度減衰率

11Wがエリジオン。各値は照度lx。

距離
[cm]
レンズ無し レンズあり
11W 20W 11W 60° 20W 90°
10 26,020 40,100 102,600 53,400
15 12,120 21,100 52,100 31,290
20 7,000 11,650 36,590 19,650
25 4,520 7,410 24,520 13,000
30 3,220 5,160 17,390 9,290
35 2,396 3,907 12,970 6,880
40 1,850 2,935 10,050 5,390
45 1,478 2,340 8,010 4,260
50 1,204 1,888 6,520 3,539
55 1,015 1,584 5,430 2,989
60 848 1,348 4,590 2,538
65 728 1,149 3,965 2,193
70 629 996 3,450 1,921
75 558 878 2,993 1,702
80 497 780 2,644 1,515
85 437 680 2,354 1,322
90 396.7 604 2,095 1,184
95 360.6 544 1,903 1,077
100 328 494 1,704 981

更に値読み取り用にピックアップしたもの。

レンズの有無による照度の減衰率の測定結果

この測定結果を基に、各条件で目的の照度を得た場合の、+5cm時との照度差を比較してみました。

目的照度 [lx] レンズ無し レンズあり
11W 20W 11W 60° 20W 90°
20,000lx 距離 12cm 15.3cm 27.8cm 19.8cm
+5cm 17cm
9,400lx
20.3cm
11,300lx
32.8cm
14,600lx
24.8cm
13,200lx
10,600lx 8,700lx 5,400lx 6,800lx
10,000lx 距離 16.5cm 21.5cm 40cm 28.8cm
+5cm 21.5cm
6,000lx
26.5cm
6,600lx
45cm
8,000lx
33.8cm
7,400lx
4,000lx 3,400lx 2,000lx 2,600lx
5,000lx 距離 23.8cm 30.5cm 57.5cm 41.5cm
+5cm 28.8cm
3,500lx
35.5cm
3,800lx
62.5cm
4,300lx
46.5cm
4,000lx
1,500lx 1,200lx 700lx 1,000lx

なんと、この結果によれば、レンズは無いよりあった方が照度差は小さいのだ!?
そう、コントラストと照度差は考え方が逆だったのだ。

そして、その集光した光の使用位置は、照明直下よりも、少し減衰率が落ち着いた当たりの距離が良いだろう。上のグラフで言えば右側のことだ。
これは、レンズの無い照明だと、照度を稼ぐためにより水面に近く設置しなければならないが、レンズさえあれば水面から離すことが可能になる、と言うことと見事にシンクロする。

要するに、レンズの無い照明をギリギリ水面に寄せて得た20,000lxは、少し潜るとすぐに照度が減衰してしまうが、レンズのある照明を水面から離して得た20,000lxなら、少し潜ったくらいじゃ照度は減衰しない、と言うことなのだ。

照度減衰率のイメージ

これは、文字通り光を光束に例えると良く判る。レンズと言うのは四方八方に広がるはずの光を狭い面積に集めて太い束にすることである。極論を言えば、光の束を太くすればするほど距離に対する照度の減衰率は下がり、ミドリイシの頭からつま先まで均一な照度で照らすことができるのだ。まさに太陽光のように。そういう意味でも、レンズオプションを出したmax-sは、つくづく賢いと言えるだろう。

ただ、実はこれは少しトリック気味に書いている。本当の問題はレンズがあるかどうかではなく、先の線グラフの右側(光源から遠め)を使うかどうかで、照度の減衰率は決まってくるのだ。その証拠に、それぞれの倍率(台数)を等価的に揃えた場合の照度をみれば大差ないことが判る。

距離 レンズ無し レンズあり
11W 20W 11W 60° 20W 90°
30cm 3,220 5,160 17,390 9,290
倍率 5.40 3.37 1.00 1.87
40cm 1,850×5.4
9,990
2,935×3.37
9,891
10,050 5,390×1.87
10,079
50cm 1,204×5.4
6,502
1,888×3.37
6,363
6,520 3,539×1.87
6,618
60cm 848×5.4
4,579
1,348×3.37
4,543
4,590 2,538×1.87
4,746

ただ、そうなると、用意すべき光量はメタハラ並みとなり、LEDなのに結局大電力食らいとなってしまう。例えば上の表からも判るとおり、エリジオンのレンズありの照度を稼ぐには、エリジオンのレンズ無しだと5.4台も必要となる。レンズがあれば一台で済むのに、だ。
とは言え、拡散・反射成分も無くすほどの狭角なレンズは推奨しない。やはり60~90°が妥当ではなかろうか。

と言うことで、照度の減衰率はコントラスト問題とは別の問題であることが判った。今後、この問題のことを、レンズが無いと水面が明るくても水底が暗いじゃん問題と呼ぼうと思う。長いか。

ところで、肝心の僕の水槽の悩みが解決していない。
仕方が無いので、とりあえず照明の高さを5cm離してみた(苦笑)
これで水面の照度は約40,000lx。
水面下3cmの個体にとっては、まだ眩しいのだろうか。。。

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