1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

VM Method Vol.2:19日目の検鏡結果と考察

マリンアクアリウム エイジ 00:11
この記事を含むタグの全記事リスト: VMワラワラ実験

VMワラワラ実験 Vol.2 の19日目(昨日)の検鏡結果です。

と、その前に♪

実は例の不明生物ツチノコ君について、先日購入した瀬戸内海プランクトン図鑑の発行元である岩国市立ミクロ生物館の方に質問をしてあったのですが、先ほど凄く丁寧な回答を頂きました。

なんと・・・ワムシの仲間ですってば!

特徴としては、体の後部にある2本のあしゆび、そして頭部の繊毛です。海水・淡水ともに水底の泥の中でよく見られる種類だそうです。
なるほどぉ。。。まさかワムシとは。。。

実はチラッと頭をよぎった事もあったのですが、瀬戸内海プランクトン図鑑にはあしゆびが1本の1種しか掲載されてなかったし、海洋プランクトン図鑑(保育社)にも逆三角形のよくある形状のタイプしか載ってなかったし、何よりワムシがこんなに動物的な動きをするものだと認識してなかったので、ほぼスルーでした(汗)

いやぁ~。謎が解けるって素晴らしい♪
岩国市立ミクロ生物館の先生、ありがとうございました!

それとですね、顕微鏡の倍率についてもご指導を受けまして、どうやら撮影方法やレンズ換算に問題があるようです(汗)
実は僕も以前から計算上の倍率と実際に見える倍率の相違について不可解に思っていたのですが、こちらもほぼ謎が解けました。
でも現状の顕微鏡ではこれ以上どうにもならないのは明白なので、とりあえず少しでもよく見えるように工夫して見ることにしました。ま、焦点距離いじっただけですが。

それでは、ご登場願いましょう~!
ワムシのツチノコ君です♪

1つ目のワムシは、これまでで一番よく捉えられたと思います。それにしてもこのワムシ、どう見ても思考に基づく動きをしてますよね。しかも体をよじったりバランス取ったり首を傾げたり。。。ワムシって高等動物なのか?(笑)
2つ目の繊毛虫(ゾウリムシ?)は、今まで素早いピコピコとしか判らなかったけど、こんなに変幻自在に形状が変形していることが判りました。それにしても、こんなにビクビクして生活していたら、さぞ長生きするんだろうなぁ(汗)
3つ目の繊毛虫は、繊毛の動きを捕らえようと構えていたら、あまりに水流が勢いよく発生するもんだから、遠くのゴミが遙々引き寄せられ(左下から)、しばらくクルクル回っちゃうという様子を捉えることが出来ました。素晴らしい♪

さて、ようやく本題のワラワラ実験の検鏡結果です。

日付 炭素源添加 VMワラワラ実験 Vol.2 備考
ウォッカ みりん
2009/10/21 0.1ml 0.1ml VMワラワラ実験 Vol.2 を開始。
2009/10/22 0.1ml 0.1ml ワラワラ密度、前日とほとんど変わらず。多くても2倍程度。
2009/10/23 0.1ml 0.1ml ワラワラ密度、前日とほとんど変わらず。
2009/10/24 0.1ml 0.1ml ワラワラ密度、前日とほとんど変わらず。
2009/10/25 0.1ml 0.1ml ワラワラ密度、前日とほとんど変わらず。
2009/10/26

2009/11/02
0.1ml 0.1ml * 未観察
2009/11/03 0.2ml 0.2ml 検鏡結果は10/25とまったく変わらず。
2009/11/04 0.4ml 0.4ml ワラワラ密度、前日とほとんど変わらず。
2009/11/05 0.6ml 0.6ml ワラワラ密度、少し増えた気が?
2009/11/06 - - パス
2009/11/07 0.8ml 0.8ml ワラワラ密度、変わらず。
2009/11/08 1.0ml 1.0ml ちょっぴりピコピコしてきたような?

えっとですね。。。これはさすがに可笑しいです♪

実験Vol.1では確かに炭素源(希釈液)を1ml添加したらエライことになりました(汗)
しかし、Vol.2では既に0.8mlの添加をおこなっているにも関わらず、本日の検鏡でも未だにピコピコはほぼ沈黙を守っています。。。
いや、強いて言うなら、高密度のピコピコは見あたらないのに、大型生物(大型の繊毛虫、線虫、ワムシなど)ばかりが目立ちます。しかもワムシに至っては、いくら脳天気な僕でも、その増え方にさすがに異常を察してます(曝)

0.8mlではダメで、1mlなら増殖開始?
いえいえ、だって1mlと言うのは規定量の10倍ですよ?(汗)

そこで本日は基本に戻って、まずは元々のヒゲゴケバケツのデトリタスはどうだったか、改めて確認してみました。
すると、最近の実験層の検鏡にすっかり見慣れてしまってたせいか、むしろヒゲゴケバケツのデトリタスの方が、ピコピコが活発に見えます。数こそ多くないけど、とても張り切って走り回ってます。いや、今となってはこっちの方が密度高いんじゃあるまいか・・・?

こうなると、答えを急ぐ訳ではありませんが、もはや一つの懸念が頭を離れません。
それは、やはり生物層のバランス崩壊ではないか?と言うことです。

以下、色々と思い当たる要因など。

  1. ウォッカ層・みりん層ともに、現時点で炭素源0.8mlの添加をしているにも関わらず、ピコピコ(細菌・鞭毛虫など)の増殖が見られない。
  2. 一方、ワムシの密度が、VMいずれの層でも確実に増している。そう言えば、大型の繊毛虫・線虫あたりも増えているように思う。
  3. ヒゲゴケバケツのデトリタスにはワムシがまったく見られなかった。(仮に見つかってもごく僅かなのだろう)

で、現時点で濃厚と思われるいくつかの結論。

  1. 実験初日の添加ミス(10倍濃度の添加)により、一時はピコピコが増殖したが、何より高濃度の炭素源により多くの低栄養細菌(ごく僅かの炭素を好む種)や同様の嗜好性を示す微生物群が活動の阻害を受け淘汰された。結果的に固有型細菌群(炭素含め栄養塩に左右されない種)や耐性のある微生物群だけが残った。また、淘汰という意味では、一般的な生産と消費と言う構図も含まれるだろう。
  2. 栄養に対する嗜好性(今回の場合炭素源)によっても、特に感度の高い微生物群にスイッチが入り、他の微生物群を圧倒し、競合のバランスが傾いた。
  3. 本来さほど多くないはずの種が、これらの条件下で優位性を見せ、最終的に高次消費者として勝ち残った。それがワムシなのかどうかは断定は出来ないが。。。
  4. 一度ピコピコが大繁殖してしまったために、本来少ないはずのワムシや他の大型生物が増えてしまい、それ以降ピコピコがどんなに増えても次々と狩られるため、いつまで経っても目視でカウントできる規模にならないだけか?

* 参考文献: 環境美生物学/昭晃堂、海洋微生物の分子生態学入門/培風館

で、今日は最後のあがきとして、遂に1.0mlの添加をおこなった。
これでもピコピコがVol.1規模で増殖しないなら、暫定的に上記のいずれかの結論に落ち着きたいと思う。どれにしようかな~(笑)

続いて、実験Vol.3の準備も始めた(汗)
今はRO水で人口海水を作ってる最中。
が、市販のバクテリア剤は調べがまだ間に合ってないので、とりあえず作りたての海水へ適当にヒゲゴケバケツのデトリタスを与え、また次回からはウォッカ層とみりん層の実験ではなく、規定量添加層過剰添加層に分け、それぞれの挙動を観察しようと思う。一方を低栄養性の保持、もう一方を高栄養性として観察する訳だ。

ところで、肝心の検鏡がしばらく出来なくなりました(^^;
なんと、本日の検鏡でことごとくカバーガラスを割ってしまい、ついに最後の一枚も(汗)
近日中に理化学機器の問屋見つけて調達してきます。
どこにあるかな。。。金沢来てからそゆとこ行ったことないかなぁ。。。
あー。。。そう言えば顕微鏡も新しいの欲しいなぁ。。。
ハッ。いかんいかん。金がない(苦笑)

こちらのエントリーもどうぞ♪

コメントとトラックバック

コメント及びトラックバックはありません

コメントフォーム