前回の最新LEDライト比較でも軽く触りましたが、僕のコメントが無いと返って怖い(ぬ?) とのことで(笑)、ならばと、今回はその中から、最近耳にする機会が増えてきた新製品2機種について、率直なコメント対決をしたいと思います。
Maxspect Mazarra vs Illumagic Advanse
やっぱ、ネタは活きが良いのに限るね~♪
今、このUV+Violet入りLEDライトを天秤してるアクアリストも多いことでしょう♪
画像はreefbuildersから拝借
で、何の対決?
そりゃもちろん、僕の性癖と言えばスペクトル比較でしょ♪
が、あくまでも中立の立場で、且つ的確な分析と判断、そして遠慮なく辛口で(笑)
今回は妥当な比較として、Mazarra PとIllumagic Cを比べてみたいと思います。
(素子構成・色温度が近いと思われるので)
スペクトルシミュレーションは、LEDスペクトラのLED照明デモ(Light DEMO)タブにて、製品リストからMaxspect Mazarra P 56WとIllumagic Advance C (M-45C) 46Wをクリックしてみてください。一発で製品スペクトルが出ますから。便利でしょ?
尚、Mazarraは素子データが細かく開示されているため厳密なスペクトルが計算できますが、Illumagicは素子のランク(光量/波長)が不明なので、光量は最高ランクで、波長は標準値で算定しています。ご了承ください。
Mazarra Pのスペクトル評価
前回のシミュレーションではRoyalBlueだけがかなり歪に突出していましたが、MazarraはBlueの色ランクを高めで指定している(オーシャンアース情報)とのことなので、今回はLuxeon Rebel Blue標準460nmから480nm相当のスペクトルを割り当てて厳密に計算しました。これにより、太いブルー帯域が確認できました♪
それでも、やはりCree XM-Lは光量が強いですね。ブルーによってシアンが嵩上げされても、まだ緑~黄色の方が強い。いや、XM-L自体のシアンの弱さも原因かな?
ひとつ残念なのは、CチャンネルはオールUV系にして欲しかったこと。現状では400nm+410nm+450nm×2ですが、これを400nm×2+410nm×2にすれば、もっとViolet帯域が確保できたのです。どうも最近の製品はRoyalBlue過多な傾向にありますが、そんなにRB入れる余裕があるなら少しでも450nm以下を補完していただきたい。なぜなら、バイオレット蛍光やブルー蛍光はそれよりも波長の短いスペクトルじゃないと励起できないので、要するに濃ゆい青色や紫色のミドリイシ・ハタゴの蛍光色を綺麗に発色させるためには400nmや420nmが必須波長だと言えるからです(対蛍光の話)
あと、欲を言えば本当は410nmより420nmの方が良いですね。
と言う訳で、スペクトルの本命は国内向け420nm入りモデルに期待したいところ。
ただ、それ以外は良い点が多いです。例えば、UV系素子には以前僕が紹介した高耐性シリコンレンズが売りのSiBDI社製を採用したことで、3W駆動でも寿命的に安心できますし、またこれも以前から強く訴えてきましたが、ようやくMazarraからは集光レンズが標準になりました。しかも40/70/100°の3種類が付属し自由に交換できます。これは大きなメリットでしょう!
あと、各素子の色ランク・光量・駆動電流等も細かく開示してきた点は◎ですね♪
ただ、そこまでのデータ公開に拘った割に、製品スペクトルだけ開示されて無いと言うのは、やはり変に勘ぐってしまいますね。。。自信があれば出せるはず、と言うことです。
尚、ファームウェアに関してチラホラ質問を貰いますが、僕は聞いてないしノータッチなのでノーコメントでお願いしますです。
Illumagic Advance Cのスペクトル評価
RoyalBlueとBlueを同率で混合したことでブルーの帯域は太く保持され、シアンも嵩上げされてます。これが意図的な設計なら、それなりにスペクトルを検討してきた成果でしょう。
あと、寿命対策としてUV素子を無理なく1W駆動とした点も好感が持てますね♪
MazarraのUV系は400nm 3W×1+410nm 3W×1=6W、一方Illumagic Advanceは400nm 1W×2+420nm? 1W×2=4W、一見Mazarraの方が強そうに見えますが、実は逆です。それがいつも僕が口うるさく唱えてる大光量・高効率の1W駆動によるマジックです。この場合、数値で見るとMazarraは500mW+600mW=1100mW@6Wですが、Illumagic Advanceは300mW×2 + 350mW×2=1300mW@4Wとなり、ワット数は少ないのに光量は多いと言う逆転現象が起こるのです。これも意図した設計なら賢いところです。1W駆動はただの寿命対策じゃないわよってか(汗) (ちなみにIllumagicのUV系の光量は僕が適当に割り当てたノーブランド最高ランク相当なので不正確な値です。ご了承ください)
そしてMazarra同様、Illumagicも今回から集光レンズが標準になりました。角度は75°固定ですが、システムライトとしては無難な広角寄りだと思います。それでも旧モデルからは飛躍的な照度アップとなったでしょう!
とは言え、まだまだ伸びシロは残ってますから、今後も期待して良いでしょう。
ただ、残念なのはもう少し情報をきちんと出して欲しいところ。スペクトルもそうですが、Purple?と言う素子の正体もハッキリと記すべし。それによっては僕の算定したスペクトルも違ってくるかも知れないし。。。
今回は最高ランクで算定しましたが、その気になれば最低ランクで書くことも(苦笑)
何より、スペックをユーザーの想像任せにしないこと。それが今後支持されるかどうかの分岐点になるでしょう。その点では、現時点ではMaxspectが一歩リードかな。
あ、それと、僕は別にMazarraよりIllumagic派?と言うことは無いですよ(笑)。たまたま前回の評価がそれっぽく?見えた?のかも知れないけど、あくまでも評価はスペック次第ですから。と言うかスペクトルはほとんど差は無いと思うし。。。
ま、でも当時cubeworldさんが販売してた初期モデルから見ればかなり進化したとは思います。あの時はまだレンズも無くてボリューム調光(別記事)だったし。何より公式サイトがまだ無かったから。。。僅かここ2年弱でグイグイ伸びてきたと言えるのではないかしら?
両機のスペクトル対決の結果判定
ハッキリ言ってスペクトルの優劣に大きな差はありませんでした。同等のブルー帯域、同等のUV帯域、同等の中域。。。その上で優劣を計るなら、光量面ではCree XM-Lを使ったMazarraがもちろん優位と言えます。とは言え、PPFDで見るとIllumagicでもそれなりに浅場でも十分な光量はあります(C-46Wでも300μmol・m-2・s-1/30cmちょいはある)。何しろ今回はレンズが効いてますからね。それでも足りなきゃ、防滴性の良さそうな前面パネルなら多少水面に寄せても大丈夫でしょう。一方、Mazarraは構造上、前面パネルの防滴性は弱いけど、逆に明るい分、水面から離して(湿気・塩害を避けて)使用することに適している、とも言えます。
なので、
●光量重視・高予算・省スペース・高所設置 → Mazarra
●光量妥当・低予算・スペース不問 ・低所設置 → Illumagic Advance
と言うフローチャートはいかがかしら?
(でもMazarraのシングル予算でIllumagic 46Wの倍の92Wが買えちゃうけど(汗)
ん~。
結局、スペクトル対決は互角なので、それ以外の部分での住み分けになりそうですね。
尚、機能面・デザイン等での比較・評価は、いつものように皆さんにお任せします。
あとは、Pacific Sun Metis Hyperionが出たら、UV+Violet採用LEDシステムライト4社対決ということで、eco-lamps KR93SPも交えて比較検証したいと思います♪
ところで、Vertexが復活しましたね(笑)
http://vertexaquaristik.com/
良かった。。。
1. TAKA 2011/10/13 01:06
エイジさん、
3つほど質問させて下さい。
1.メーカーが公表しているスペクトル特性は信用できますか?記憶違いかもしれませんが、以前メーカーが出しているスペクトル特性とエイジさんが計算されていたスペクトル特性が大きく違ったことがあったように思います。
2.各LED素子の仕様にはPAR値が掲載されていませんが、LEDスペクトラに掲載されているPAR値はどのように計算されたんでしょうか?それとも実測でしょうか?
3.LX値からPAR値への変換も可能らしいですが、コンバージョンファクターは各LEDによってことなると雑誌などで読みました。しかしながら、単色の場合簡単と聞いたことありますが、白色などはどうなんでしょうか?
2. エイジ 2011/10/13 04:11
1. メーカーと言うのはLED素子メーカーのことじゃなくて、アクアメーカーのこと?
アクアメーカーで製品スペクトルを出してるとこなんて、ボルクスかランプネットワークくらいしかないはずけど。。。
こないだのEcotech Marine Radionのことかな? でもあれはほぼ一致してたし。。。
どれのこと?
2. 普通、LED素子の仕様書にはPARは記載されないでしょう。これは合成スペクトル内の波長ごとの光量子密度(PAR)を出して積分したものです。と言うか、LEDスペクトラにアルゴリズムを実装してますので、お試しください。
http://www.1023world.net/diy/spectra/
3. コンバージョンファクターって具体的にどの数値を指して言ってますか? PARの計算に必要な係数群じゃなくて? とは言えそれらはLEDデータとは赤の他人だけど。。。それに、最終的な合成スペクトルの400-700nm間のPARを積分しているだけなので、白も青も関係ないですよ(強いて言えばLEDスペクトラでは可視域に関係なく全波長を対象にしてるくらいかな)
3. TAKA 2011/10/13 07:37
エイジさん、
回答ありがとうございます。
1.アクアメーカーのやつです。ボルクスとかではなく、海外のメーカーのやつです。随分前の記事だったので、記憶が不確かです。お聞きしたかったのは、アクアメーカ公表のスペクトル特性を信用していいのかどうかでした。
2,3
PAR値がライトメーカーから公表されていないのはメタハラ、T5蛍光灯も同じですので承知しています。
各素子のスペクトラム特性のグラフの積算値ですか?
この質問をした理由なんですが、Coral誌のSanjay Joshi氏の記事にLX値からPAR値は容易に計算できない、とあったのでどうやって計算されているのかと思いまして。
メタハラやT5蛍光灯で結構聞く人がいるみたいで、下のような情報があったりします。
http://www.thekrib.com/Plants/Tech/par-moles.html
スペクトラム特性のグラフさえあればT5やメタハラもPAR値を計算できたりします?
4. エイジ 2011/10/13 14:47
1. ぶっ飛んだ質問ですね。そんな恐ろしい質問への回答を要求するなんて、TAKAさんも人が悪い(笑)
どこか1社にミスがあったからって、それで全社の信用の有無は決められないです。
何か言及するなら、せめて該当事例を出して、それについて議論しましょう。
あと、大きな間違いがあった、でも記憶が曖昧、、、なんてピンポンダッシュはやめてね。心臓に悪いから。。。
2.3. Sanjay Joshiは一般論を諭しただけでは? 誰がどう見ても計算が容易ではないことは明白ですし。ただ、LEDスペクトラはそれを容易にしただけです。あくまでも計算方法が複雑なだけで、計算自体が不可能な訳ではありませんから。
計算方法は探せばたくさん出てきますよ。そのリンク先のようにアボガドロ数を始め、プランク定数や光速度なんかをゴニョゴニョすれば出てきます。それを全波長に対して積算するだけです。LEDスペクトラはプログラムゆえ一瞬で処理しますが、普通はこんなのアクアリストが頭で処理するものではないです(笑)
> スペクトラム特性のグラフさえあればT5やメタハラもPAR値を計算できたりします?
光源は問わず、そのスペクトルグラフの波長分解した相対値群と、照度(元となる光束・放射束と面積・ビーム角など)が判れば求められます。それらをLEDスペクトラに放り込めば一瞬で計算されます。
ちなみにスペクトルは380nm~780nmまでを5nm単位でスライスした81個の相対値群(0,0,0.1,0.2…0.1,0,0)を用意してください。もちろん手作業ではしんどいので、スペクトル画像をトレースする適当なソフトで分解するのが良いでしょう。
こばやしさんがお勧めしていたGraphcelとか良いと思いますよ。