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T5にもUVを盛りたい♪ 其の参

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UV盛りアクアT5開発に向け、UV蛍光体を探してみたんだぜぇ~?
まあ、実際に使えるかどうかは知りませんが(汗)
あ、開発するのは僕じゃ無いですよ。アクアメーカーさん頑張って♪

蛍光体 ピーク波長
SrAl12O19:Ce 285nm, 315nm
(Ca,Zn)3(PO4)2:Tl 306nm
LaPO4:Ce 315nm, 335nm
GdPO4:Ce 320nm, 345nm
Ca3(PO4)2:Tl 326nm
BaSi2O5:Pb 350nm
Sr2MgSi2O7:Pb 350nm
SrB4O7F:Eu 360nm
(Ba,Sr,Mg)3Si2O7:Pb 370nm
(Ba,Sr,Mg)3Si2O7:Pb 372nm
BaFX:Eu 380nm
ZnGa2O4:Li,Ti 380nm
(Sr,Ca)O・2B2O3:Eu 380-450nm
Y2Si2O7:Ce 385nm
SrMgP2O7:Eu 394nm
YTaO4:Nb 400nm
Y2SiO5:Ce 400nm
SrAl12O14:Eu 400nm
(Sr,Ba)Al2Si2O8:Sn 400nm
(Sr,Ba)Al2Si2O8:Eu 400nm

波長範囲が280-320nmのものは爬虫類用蛍光ランプにもよく使われるUVB蛍光体で、波長範囲が320-400nmのものはUVA蛍光体になりますが、ブラックライト等のUVAランプによく使われている蛍光体は主に350nmにピークを持つSr2MgSi2O7:Pb 350だそうです。だから肝心の400nmはスカスカなのか。。。

じゃあ、それ以外のUVA蛍光体は一体どこに使われているんだろう。。。
たまたまニーズが無かっただけで、アクアにも転用可能なのかしら???

スペクトルのイメージです。UVA領域300-400nmに限定して描いてみました。
ピンクの曲線がアクアT5で実現したいスペクトルです。

UVスペクトルイメージ

現時点では、上記のようなアクアT5理想スペクトルを有する蛍光ランプは、さまざまな分野を探しましたが見つかりませんでした(爬虫類ランプの一部にあるがUVBが邪魔)。ま、考えてみればニーズが無さそうなので仕方ない話かも知れません。しかし、本来ならばアクアメーカーが率先して開発・製造し、とっくの昔に流通させておくべきはずのランプだったんじゃない? でも現状は、小さなマーケットにそこまでコストが掛けられず、あくまでも一般ランプの製造工場で一般ランプ向け蛍光体を流用して一般ランプと同じ波長構成で色味だけ調整したランプをOEM供給するしか無かった、と言う悲しい現実があったのかも。。。

ま、それを言ったらメタハラも同じかも知れませんが(汗)

と言う訳で、T5ユーザーの期待に応えるため、アクアメーカーは頑張りましょう♪
我々ユーザーも、すぐに高い高いと唱えずに、コストの意味を理解しましょう!

リファレンス

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伝説の途中経過

この記事を含むタグの全記事リスト: eco-lamps KR93SP LEDライト

先日ご紹介したReef in the skyのAndrew氏の現在の水槽の様子ですが、その後、該当スレッドにAndrew氏からコメントが追加されました。
それを読んで、あぁ・・・そっか、と安心しました。そして、あの日伝説が始まってから、現在も順調に伝説が進行中であることを、やっぱりね、と納得しました。

では、Andrew氏のコメントの中からいくつか気に入った部分を勝手にご紹介します。
尚、翻訳はザックリアバウトです(笑)

The reason I switched was to try something new.
私が(KR93SPに)変えた理由は、新しいことに挑戦するため。

The light spread from one unit wasn’t enough so I got another unit. Having the second unit is much better.
1台では光量が不十分だったので、もう一台用意した。2台あると非常に良い。

The pictures were taken in the evening so yes, the LEDs were not at 100%.
写真は夜に撮ったので、LEDは100%ではなかった。

I don’t use the T5 lights anymore but just haven’t taken then down yet as I need a few extra hands.
私はもうT5は使いませんが、人手が必要なのでT5はまだ取り外していません。

All I can say is that I’m sure LEDs will be the future.
私は将来LEDになっていくことを確信しています。

なるほど。。。どうりで暗いはずです。夜に撮ったのなら。
とんだ気苦労だったか。。。

夜に撮影されたAndrew氏の水槽

なんか、コメントを読むと、Andrew氏は夕暮れの調光が凄く気に入ってるらしいので、もしかしたら全体的に暗めで使ってるのかも知れません。勿体ない。。。まあ、ZEOvitで抜くならそれくらいがちょうど良いのかも? 実践した人だけが知り得る運用パラメータ、か。

いずれにしても、T5+ZEOvitの水槽で賞を取ってきた方が、KR93SPに乗り換えて7ヶ月が経過、その効果を十分に体感し、「T5はもう使わない」「LEDが好きだ」「未来はLEDが担うことを確信した」と言われたのは事実のこと。
そんなにも満足して貰えたなんて、改めてフルスペを作って本当に良かったと思います。

きっと世の中には、2種類の人間がいるのでしょう。
誰かが敷いた実績と言う名のレールの上を安全に歩く人と、
危険を顧みず、常に新しいことに挑戦して道を切り開いていく人。
もちろん前者が悪いことなど何もありませんし、リスク回避の基本です。
しかし、Andrew氏は間違いなく後者でした。
そしてもちろん、今フルスペを満喫している人々も、ズバリ後者でしょう。
まだ無い道を歩いてみようと覚悟されたのですから。
僕なら、あるいはリスク回避を選択した可能性も。。。
所詮、僕なんて理屈並べて設計しただけ。
本当に凄いのは、それを実践してレールを敷いてくれた人たちです。

伝説は、まだまだ続きそうだぜぇ~?
一緒にフルスペ大冒険に出かけようだぜぇ♪

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T5にもUVを盛りたい♪ 其の弐

この記事を含むタグの全記事リスト: T5 UVB スペクトル 蛍光体 蛍光灯

実は、出そうかどうしようか迷ってたデータがあります。
結果が思うようにふるわなかったし。。。
でも、ダメの見本も必要かも知れないので、一応出しておきますね。

これは、爬虫類用の蛍光ランプ各種です。

爬虫類用UVBランプ

爬虫類は、カルシウム生成にUVBが必要らしく(だっけ?)、こうしたランプが提供されているようです。
スペクトル次第じゃ、もしかしてアクアへの転用も有効か!?
とね。

で、実測スペクトルと、公称スペクトルの比較です。

爬虫類用UVランプの実測スペクトルと公称スペクトルの比較

念のため、測定器の都合上、下限は360nmなので、それ以下は見えません(汗)
ま、サンゴの要求を考えると、360nm以下は見る必要が無いから良いんだけど。

さて、どこかで見たようなスペクトル。。。はい、前回のT5にもUVを盛りたい♪でご紹介したブラックライト作戦と、同じスペクトル構成ですね。
実はUVB系ランプもブラックライトも似たような蛍光体構成なのですが、通常のガラス管にUVB蛍光体群(280-320nm)と可視光線用蛍光体群を入れれば爬虫類用UVBランプになり、そして可視光線をカットするための黒い(藍色)遮光ガラスにUV蛍光体群(360nm寄り)を入れればブラックライトになります。だからブラックライトの場合は前回ご紹介したように、400nm以降の可視光線は見事にゼロなのです。
ただ、原理は一般蛍光灯と同じ、フィラメントが発する約250nmのUVCを蛍光の励起源とし、UVB蛍光体群を入れるか、可視光線用蛍光体群を入れるか、そして可視光線をカットする特殊ガラスを使うか、その違いです。

また、UVB系ランプの場合は、上のグラフには現れてない、280-320nmのUVBゾーンがもっともっと多く含まれています。しかし、それらは本来サンゴ礁ではほとんど存在しない波長域です。もちろん、普段浴びてない波長をサンゴに与えるのは危険です。しかも、サンゴに必要な肝心の400nmはほとんど入ってない状態なので、もう迷う余地がありませんね。

以下は、いつもの水深スペクトルに南紀で測定した水深50cmを足したモノです。

海中の水深スペクトル

例えば、水深50cmでは400nmこそまだまだ6割も存在しますが、360nmは1割しかありません。さらに水深が増せば言うまでも無く。。。ましてやこの減衰率で行けば、280-320nmのUVBに至ってはほぼゼロの状態、届いていません。それをサンゴに当てるのは。。。以下略

と言う訳で、爬虫類用ランプのアクア転用は、、、難しいようです。
せめて400nmも大盛りなら考えなくも無いですが、

  • UVB系ランプはサンゴの肝心の400nmが入ってない
  • UVB系ランプはサンゴに不要なUVB 280-320nmが大盛りである

これらの理由により、考えるまでも無く、却下としか言いようがありませんでした。。。
残念っ。。。
やはり、アクアメーカーがUVA 360-400nm入りのT5を作るしか無いですね~♪
頑張ってUVA蛍光体を研究してください!

ちなみに、アクア向けT5にUV域が無いのは、別に意図的にカットしてる訳じゃ無くて、UV域を発する蛍光体をブレンドしてないだけです。その証拠に、蛍光管は劣化してくると、どんどん漏れUV値が上昇します。ま、一般用途にはUVカットや飛散膜を持った蛍光ランプはありますが、これまで色々とアクア向けT5を測定してきた中で、今のところUVカット処理が成されている製品はありませんでした。それはスペクトルにも少し捉えられますし、UV計にも値が出ますからね。何よりアクア用途では必要の無いコストですから。

昨日も書きましたが、
ユーザーを困惑させたり迷走させるような虚偽の流布は絶対にダメ!
なんだぜぇ~♪

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