1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

元祖スギノキブルー化計画?

この記事を含むタグの全記事リスト: 400nm LEDうんちく スペクトル 海洋雑学 色素

前世紀シリーズ 2.

むかしむかし、僕がまだ水槽をブンブン回してた頃、ようやくミドリイシ飼育のコツが掴め、比較的容易に成長が楽しめるようになってきた頃のお話です。

スギノキの3ヶ月間の成長度合い

当時は直感的にも経験的にも、メタハラのUVはサンゴに何らかの恩恵をもたらすとは考えていましたが、具体的な情報が皆無の時代でした。

そこである実験を行いました。
それが、かの有名?な「スギノキブルー化計画」です。
主なUV源にはSCマリンブルーを用い、意図したUV量の調整と照射が肝となります。

その結果、スギノキの照射面には見事に「青い色素」が増強されました。

スギノキのシアン蛍光の分布度合い

はい、実は当時はまだ、スギノキブルーの色素原理が、UVにより励起されるブルーやシアンの蛍光タンパクだとは知りもしませんでした(笑)。しかし、それらがメタハラのUVによって強化できる事だけは、経験的に把握できていた訳です。

気まま日誌2000年5月のキャプチャー

2000年5月当時のスギノキブルー化計画の日記

昔は顔文字も使うカワイイ奴だったんですが、そこはスルーしてください(笑)

その後、時代を経て、スギノキブルーの発色がUVによるブルー蛍光・シアン蛍光であることも判明し、現在のアクアLEDのノウハウにも活かされることとなりました。

当時、何気なく実験に用いたSCマリンブルーが、実は最高のUV域保有ランプだったという事実に、近年スペクトル測定環境が整ってから改めて実感させられました。

そっか。。。

あの日の偶然は、今日への布石・・・必然だったのか・・・

このSC普及への貢献は、今なお絶大なSC人気に繋がっています(俺調べ)
そして、現代に引き起こされたフルスペ旋風も、加速する一方です(俺調べ)
いずれも、UVによる色揚げ効果という恩恵があるからこそ。。。

海中スペクトルを見ても判るとおり、水深を増すにつれ赤の波長こそ早くに減衰して無くなりますが、UVは水深30Mでさえ緑~黄色並の光強度があります。スペクトルは約360nmから立ち上がり、400nmでは既にシアン並みの光強度があります。なんと、このUV部分のスペクトルは、SCマリンブルーのスペクトルにとてもよく酷似しているんです。

↓以前、南紀で測定した水深50cmのスペクトル例

青空のスペクトルと海中50cmのスペクトル、各3パターン

一方、フルスペもSCマリンブルーのスペクトルに酷似しますが、流石に本当の紫外線域360nm-400nm間の波長強度はSCに敵いません。とは言え、フルスペはアクアLEDライトの中でも群を抜いて400nmの光強度が高いため、UV側スペクトルの立ち上がりが380nmから始まり、390nmあたりで相対値4-5割の光強度を確保しています。しかし、それ以下の帯域360-380nmが欠けていることには違いないので、サンゴの蛍光タンパクの色揚げに関して360-380nmにもこだわるなら、現状ではSCマリンブルー等のメタハラに頼らざるを得ません。特にややこしい個体に対しては無視できないでしょう。。

尚、T5の場合でも、Actinic系ランプを追加することで400nmの強度を引き上げることは可能ですが、効果的な光強度を確保するなら、全体の2-3割はブレンドしたいところです(8本灯具なら2-3本のActinic系を推奨)
ちなみに、Actinic系無しで構成した場合は、どの光色を混ぜても400nmは相対値で約1割程度しか確保できませんのでご注意ください。

ちょうどこのスレッドこのレスに判りやすいグラフを貼ってますので参考にどうぞ。

SCマリンブルーとフルスペとT5 Actinic系のスペクトル比較

やることをやれば蛍光ブルー系の色揚げは比較的容易ですから、色々お試しください♪

尚、スギノキブルーの発色原理の多くはブルー・シアン蛍光タンパクですが、種によっては非蛍光の色素色のブルーもありますので、注意してください。まあ、今時ならF.P.ドクターと言う秘密兵器があるので判定は容易ですね。400nm前後を当ててみてください。
例えば、このスレッドこのスレの個体は、どうやら色素色のブルー(紫)のようです。

ブルー(バイオレット)系ミドリイシ

mjnekoさんの個体どにゃさんの個体も非蛍光のブルー個体と思われますが、この手の個体の場合、中域の波長(緑~橙)を強化してみてください。まあ、扱いとしてはハナヤサイやトゲのような感じです。
予備知識としては、海洋雑学もどうぞ。

こちらのエントリーもどうぞ♪

Vertex Illumina UVモジュールを試す

この記事を含むタグの全記事リスト: 400nm LED SiBDI

引き続き溜まってたネタを順番に。

前回MazarraのデュアルチップLED素子を通販したときに、なんかついでに買おうかなぁ~と物色してたら、試してみたい商品があったので、実はそれも一緒に送ってもらいました。
短くした。

それが、Vertex Illumina UVモジュールです。
Vertex Illuminaについては大昔に一度レビューして以来のネタです。
Premium Aquaticsで約$100だったけど、国内だといくらだろ? 情報見つからず。。。

Vertex Illumina UVモジュール

中身はこんな感じ。

Vertex Illumina UVモジュール構成

モジュールにはUV素子が3つ乗ってます。見た感じ、SiBDIのP2パッケージです。
サイズ的には、Vertex Illuminaの最小モデルならギリギリ1枚増設できるかな?
その場合、CreeまたはRebel×32素子に対してUV×3素子の追加になります。
うーむ。。。3倍は欲しいところだけど。。。

さて、各素子個別に実測しました。

Vertex Illumina UVモジュールの各UV素子のスペクトル

おおむね400nmぴったんこでした♪

これをVertex Illumina最小モデルに積むと、計算上こうなります↓

Vertex Illumina UVモジュール追加時の推定スペクトル

かなり物足りない感が否めないけど、既存ユーザーにとっては救いの女神だぜぇ?
あとは、レンズキットでも出してくれたら、光量的にも嬉しいだぜぇ?
ついでにひとつ提案しとくだぜぇ?

Vertex Illuminaは、追加モジュールでは無く、交換用モジュールを作るべし!
SemiLEDsから新たに供給の始まったCree XP互換UV素子C35シリーズを、Vertex Illumina Cree版モジュールにちりばめて、例えば、

1モジュールの既存構成:CW×8 + RoyalBlue×4 + Blue×4

新構成:CW×4 + Blue×4 + 400nm×4 + 420nm×4
(400nm:C35 UV U50ランク、420nm:C35 UV U70ランクを使用)

Vertex Illuminaスペクトル案

これくらいが良いなぁ♪

RoyalBlueは白に入ってるから思い切って省略するか、でも個別制御の際に無いと困るなら、RoyalBlue×3 + Blue×3 + 400nm×3 + 420nm×3 にしちゃっても良い。
いずれにしても、追加モジュールで中途半端に終わるより、既存構成をがっつり直した方が良いに決まってる♪

Radionは最近レンズ対応を終え、次はUVに走るはずだから、EcoTechに負けるな!
またまたVertexの今後の判断に期待♪

こちらのエントリーもどうぞ♪

max-s G2 230W ハイパワーフルスペ案

この記事を含むタグの全記事リスト: 400nm 420nm 500nm Epileds LEDライト max-s Maxspect スペクトル

これまた1ヶ月以上前に手がけたネタです。順番に。

たまにMazarraのフルスペ案の相談をお受けするのですが、久しぶりにmax-s G2の相談があり、しかも今回かなり手の込んだ贅沢な内容に仕上がったので、相談者さんの了承の元、大公開しちゃいます!

max-s G2、まだまだ現役です♪

Maxspect G2 Cree 230W

↑これを↓こうしちゃいます♪
(クリックにて材料リンク付きPDF)

Maxspect G2 Cree 230W ハイパワーフルスペ設計書

Cree XP-G以外、LEDの全交換が伴いますが、LED素子代は全部で4万ちょい、予備含めても5万ちょいです♪

この設計でのミソは、UV 400nmや420nmを15Wモジュールに割り当ててしまおう♪と言う作戦です。それによって自動的に高耐性のシリコン樹脂パッケージとなります(LEDモジュールは大抵シリコン樹脂製です)。通常のLED素子で400nm/420nmのシリコン樹脂採用品を見つけるのはなかなか困難ですからね。もし焦げても良いならプラスチックレンズ採用品でも良いですが、特にUV 400nmは絶対に焦げますよ(汗)
また、青系LEDにはLuxeon Rebelの最新クールベースの最高ロットを贅沢に使います。もちろん波長にもこだわって、厳密に450nm, 475nm, 500nmが調達できたぜぇ?
それに、なんと言ってもチャンネル分けが秀逸なんだぜぇ?
これなら浅場から深場までそこそこ水深設定も実現するぜぇ?
そうしてできあがるのは、妥協の無いハイパワー&フルスペクトル仕様G2なんだぜぇ♪

まずは、UV 15W LEDモジュールの紹介から。これはeBayから買えます。
購入ページは先の設計PDFの中からリンクで飛んでください。

AC-RC UV 20W LEDモジュール

UV 400nmもこだわって、敢えて395nmをチョイス。
決め手は、チップに今が旬のEpileds 最新 EP-U4545Kを採用してたことと、スペクトルの実測データを販売ページに貼付してたから。AC-RCってイカス~♪
ちなみに、G2に使われてるLEDモジュールは付加電圧が10-12Vのタイプなので、必然的にこのタイプ(3×3チップ)の15-20Wモジュールになります。他の5×2とかだと電圧が変わっちゃうので、必ず3チップ直列で構成されたモノを見つけてください。

AC-RC UV 20W LEDモジュール 395nm/420nm

実測で392nm/416nmでした。
てことは、下は380-385nmあたりからの立ち上がりが得られそう!
オージーのアレとかソレもいけるんちゃう♪

AC-RC UV 20W LEDモジュール 395nm/420nm スペクトル

続いて、青系LEDに採用するPhilips Lumileds Luxeon Rebel クールベース仕様。
これはLuxeon Starから買えます。購入ページは先のPDF参照。

Philips Lumileds Luxeon Rebel Cool Base

クールベースはスター基板が普通のガラエポでできてるので熱くなりません。
LED部に密集したスルーホールからヒートシンクに熱を伝える構造なのです。

Philips Lumileds Luxeon Rebel Cool Base 外観

最近は450nmや500nmは意外と簡単に波長が揃うのですが、Blueの波長を475nm~480nmで揃えるのが難しいんですよね。普通は個人ではなかなか波長ロットは指定買いできませんから、下手すると460nmとか465nmが届いちゃう。でもそんなん使うと500nmとの間に波長の谷(欠落)ができちゃう。。。なので今回は470nmと表記されたモノを用意したのですが、なんと運良く実測で475nm出てました♪

Philips Lumileds Luxeon Rebel Cool Base 450nm/475nm/500nm スペクトル

超~贅沢な仕様でしょ?

今回はLEDの調達がeBayやLuxeonStarなど海外からだったので、僕が代理で購入して相談者さんへお送りしました。そこから先は相談者さんが頑張って換装されました。

じゃじゃ~ん♪ (写真は相談者さんから)

Maxspect G2 Cree 230W ハイパワーフルスペ実装例

なんと、スター基板に接続する1.25mmピッチコネクタもパーツ屋で見つけて半田付けされたそうです。だから仕上がりも製品レベルじゃん♪

設計通り、太陽光のような自然な白が得られ、ご家族からも「発色が綺麗!」と大変好評とのことでした。ご本人も大満足のご様子で、僕も一安心。
完成スペクトルこそ測ってませんが、今回は調達したLEDが波長も出力もすべて厳密に出てたので、ほぼ計算通りの出力とスペクトルが出ていると思います。

皆さんも、もしG2が運良く入手できたら、是非お試しあれ♪

こちらのエントリーもどうぞ♪