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最新eco-lamps KR90DRを試す

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またまたお待たせしてスミマセン!
先週はAI Primeの記事をアップした後、すぐに東京へ出張になり。。。その件は最後に。

2015最新システムLEDライト第二弾は、eco-lamps KR90DRです。

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今回もあっさり簡潔に参りましょう~♪

eco-lamps KR90DR 外観

20150616-body-kr90dr

かれこれ過去3年間、同じスペクトルデザイン/同じ外観で走り続けるロングランKR90DRですが、レンズがプリズム化したり、天吊り時のワイヤー金具が改善されたり等、小さな変更はたびたび実施されてきました。また、LED素子の出力や波長精度も年々進化しているので、現行ロットがもっともハイスペックであることは言うまでもありません。

eco-lamps KR90DR ビーム角

20150616-beam-kr90dr

以前のクリアレンズの時はセンターライン55°/サイドライン75°が公称表記でしたが、2年前のプリズムレンズ化の際にセンターライン60°/サイドライン70°表記に変わりました。
ただ僕の印象では、ぶっちゃけ実際の角度は大差ないんじゃないか?と思っています。
ま、ビーム角はスポット並みでも、広い筐体面積に対してLED素子をたくさん配置しているため、正味の照射範囲は80°のPrimeよりも広範囲に渡ります。それが1W駆動×多素子構造の強みです。その意味をきちんと理解しないと、闇雲に「80°は60°よりエライ♪」と履き違え兼ねません。

eco-lamps KR90DR 採用LED

AI PrimeみたいにCreeやOSRAMのLED素子を使ってるなら、詐欺がないことを証明すべくLED素子の写真も載せるのですが、KRシリーズはいつもの汎用パッケージ素子なので割愛します。まあ、撮り忘れたとも言いますが。。。汗
たまたま別の目的で撮った写真に少し写ってたので↓これでご勘弁を(笑)

eco-lamps KR90DR LED素子

まあ、いつも通りEpiledsチップを使った汎用パッケージ素子です。

一応、波長精度はこうなってます。

採用LED素子 公称データ 実機データ 実測波長
BlueViolet Epileds 425nm ○ Epileds 427.6nm
RoyalBlue Epileds 450nm ○ Epileds 450.1nm
Blue Epileds 475nm ○ Epileds 474.6nm
Cyan Epileds 500nm ○ Epileds 500.2nm
CoolWhite Bridgelux 8000K ○ Bridgelux -

まあ、KRでは今さら当然のクオリティですけど。

eco-lamps KR90DR スペクトル

eco-lamps KR90DR スペクトル

ブルー系と同じ光強度が確保されたUV系425nmバイオレット帯域の存在感っ!
例えばシアン蛍光タンパクは、450nmブルーでもパワーで強引に叩けばそれなりに稼げますが、KR90DRならシアン蛍光励起にビンゴのバイオレット帯域がソヨソヨ撫でるだけでも、あらあらまあまあ、ビッカビカの太陽拳~
その辺の原理については、以前書いたイチゴ講座を熟読ください。

公称スペクトルと実測スペクトルの比較。

公称スペクトルと実測スペクトル比較

425nmの出力が当初より上がってきたみたい。ま、この辺が頭打ちだと思うけど。

また、相変わらずUV 400nmを入れて欲しいという要望をいただくのですが、以下の理由によりなかなか実現は難しいです。

  • フルスペの半分の素子数しかないので、素子の種類を増やすと設計が困難
    (照射面積に対して波長ムラが生じる/歪なスペクトルでは妥協出来ない)
  • そもそも400-420nm間は現425nmのカバー量で十分なLPS専用モデル
    (色揚げ的に強化したい場合は別途バイタルウェーブ追加にて解決)

どうしてもライト1台で400nmもカバーしたい場合は、フルスペをお勧めします。

eco-lamps KR90DR 操作性

これまでと変わりません(汗)

但し、近々ディスプレイが改良されるみたいですぜ?

eco-lamps KR90DR 次期ディスプレイ

もともとKR90シリーズは狭いLCD(3文字)にむりやり文字を詰め込んでいたので、表示が判りにくいと言うのが発端のようです。だからフルスペより先にリニューアルするのでしょう。
今月末か来月中には反映される予定だそうです。またお知らせしますね。
ま、表示内容が豪華になるだけで、機能的に何か特筆すべき進化がある訳ではないので、あまり過剰な期待は禁物です。WiFiも付かないっぽいし。。。
あ、でも月齢周期が付くそうです♪

ちなみに、KR93シリーズの方は、まだそんな話はありません。いくらスペクトルが完成してるとは言え、4年もモデルチェンジしないなんて、ロングランにも程がありますが。。。汗
ま、「WiFi付けたいね~」とか「出力アップしたいね~」とか、アイデアは色々出してるので、いつの日かリニューアルはあると思いますが、現時点ではまだ何もアナウンスはありません。気長にお待ちください(汗)

あ、そう言えば、「KRの新型が出る!」ってどこかで吹聴してる人がいるんですか???
なんだろ。気持ち悪い。。。そんな話、僕やBH以外から出てくるはずないのに。。。
もしや、買い控えを狙った悪質な嫌がらせなのかしら?

eco-lamps KR90DR PAR分布

最後に、今回の特集の目玉、お役立ちPAR/Wattグラフをどうぞ♪ (クリックで大画像)

20150616-par-kr90dr-24s

無断転載禁止 / Unauthorized reproduction prohibited.
Gebrauchen die Bilder ohne Genehmigung verboten.

前回のAI PrimeのPAR/Wattグラフはこちら

スペクトルに関しては、KR90DRはLPS用なのでPrimeとは純粋に性能を比較することは出来ませんが、あくまでもPAR/Wattの効率の比較として比べてみると、以下のような差が見えてきます。

KR90DR vs Prime PAR特性比較

製品 消費電力 LED数 PAR [umol/m2/s] @ 30cm (84×60cm2)
中心 総量 平均 PAR/Watt
KR90DR 45W 42 348 13,347 80.9 296.6
Prime 47W 13 516 10,901 66.1 231.9

KR90DRは中心直下のPAR値こそPrimeに負けますが、筐体面積分を満遍なく照らしているので測定範囲の面積84×60cm2のPAR総量はPrimeより多く、またPrimeより僅かに省エネであることも貢献して、最終的なPAR/WattはPrimeの軽く1.2倍以上を確保しています。これが、1W駆動×42素子と、3W駆動×13素子の違いです。

かなりあっさりと紹介しましたが、KR90DRのオススメポイントをまとめると、

  • ブルーと同じ波長強度を持つバイオレット帯域!
  • 面発光による光量差の少ないフラットなPAR分布!
  • 1W駆動×多素子による高効率&大光量!

以上、最新KR90DRのレビューでした。

次回は、AI Hydraです。

さてと。東京出張ですが、その目的は下記施設でのミッションでした。

まずエプソン水族館は、以前ジャパンペットフェアの時も伺いましたが、現在来月のオープンに向けて益々慌ただしい中、今回大量導入されたKR群のシンクロパターンや点灯スケジュールの最終チェックを行いました。

エプソン品川水族館

報道規制の関係?で、内部の写真は非公開です。まあ、そもそも撮ってませんが(笑)

続いて、サンシャイン水族館ですが、やはりこちらもKRが多く設置されているので、その点検および測定、そしてスタッフの皆さんとスペクトル勉強会をしてきました。

サンシャイン水族館

写真は、バックヤードのサンゴ水槽で、スペクトルを測ったり水中のPPFDをチェックしているところ。太って見えるのはレンズの収差かなぁ???

ご縁があれば、いつかあなたの街の水族館にも伺います!

こちらのエントリーもどうぞ♪

最新AI Primeを試す

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お待たせしてスミマセン!

2015最新システムLEDライト第一弾はAI Primeです。

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さあ~ザックリ簡潔に参りましょう~♪

AI Prime 外観

AI Prime

ちっさ!!!
LeDio等のスポットLEDと変わらない面積です。
厚みもファン内蔵にしては薄い!
そして思ったよりファンが静かなのが嬉しい♪
結構、爆音な製品があるからね(汗)

AI Prime ビーム角

AI Prime ビーム角80°

公称通り、80°のビーム角です。
しかも光の混ざりが抜群にイイ!
後のAI Hydraでも触れますが、このAIのレンズ、ただ者じゃありません!?
最近のLED製品で唯一僕が嫉妬したクオリティです♪

AI Prime 採用LED

AI Prime LED素子

素子配列がAI Hydraと同じなので、てっきり基板流用かと思ったんですが、ちゃんとPrime専用基板でした。本体サイズに合わせて最小面積で作ってありますね。

当たり前ですが、採用LED素子も公称通り!
過去に凄い詐欺を見たので、こういうのはホント安心しますね♪

採用LED素子 公称データ 実機データ 実測波長
UV SemiLED 405nm ○ C3535U 404.7nm
Violet SemiLED 415nm ○ C3535U 421.3nm
RoyalBlue OSRAM SQUARE ○ LD CQAR 442.2nm
Blue Cree XP-E2 ○ XP-E2 469.2nm
Green Cree XP-E2 ○ XP-E2 518.8nm
DeepRed OSRAM OSLON ○ LH CPDP 668.1nm
CoolWhite Cree XP-G2 ○ XP-G2 -

いやぁ~、この価格帯でもこの波長精度を満たしてきましたかぁ~そうですかぁ~笑
405/420/440/470/520/670nmなんて、まるで波長のお手本のようです。
今まで声を荒げて訴えてきた甲斐がありました~♪

AI Prime スペクトル

気になるスペクトルも価格相応以上でしょう♪

AI Prime スペクトル

UV系は素子ランクを上げればもっと稼げますが、まあ、価格が価格ですからね。
あるいは、光の混ざり性能と引き替えに、UV系はレンズで少しロスしちゃったかな?
いくらSemiLEDsとは言え、近年のUV出力が深赤660nmのピークに負けるなんて事は無いはずだしね。例えば、僕が最近作ったEpileds高ランクチップのLED素子なら、UV系のピーク強度は深赤の2倍以上ありますから。
ただ、波長精度は素晴らしい♪
ちなみに公称スペクトルはこう↓なってますが、実機の方が全然良いですね♪

公称スペクトルと実測スペクトル比較

ま、もしかしたら440nmの強度が仕様通り伸びてないせいかも知れないけど。。。

AI Prime 操作性

そして、近年のシステムLEDの特徴でもありますが、極端な不便と便利が共存しがちな中で、この子は便利が不便を大きくカバーしてます♪
と言うのも、AI HydraやEcotechMarine Radion等がWiFiを別売している中で、このAI Primeは本体を買うだけで、あとはアプリストアからスマホにアプリをダウンロードしてインストールするだけで、なんと追銭無しでWiFi機能が実現するんです♪

Prime アプリ myAI

まず、アップルストアまたはGoogleプレイからmyAIと言うアプリをダウンロードします。
僕は試しにiPhoneでやってみましたが、上図のようなスペクトルイメージは出ませんでした。アンドロイドだけなのかな?
いずれにしてもこのWiFi機能は秀逸です。何と言ってもタダがイイ!!!笑
今後、HydraもRadionもこの方式になって行くんじゃないかな?
だって、基本機能を操作するのに別売オプションってあり得ないでしょ。特にHydraはリモコンなりWiFiなり買わないと調光すら出来ないからね。RadionはまだUSBでパソコンから操作はできるけど、アレ結構面倒臭いからね。なんで照明の設定すんのにいちいちクラウドにログインせなアカンのかと小一時間。。。汗

AI Prime オプション

で、操作性に関しては別売オプション要らない!って書きましたけど、実は設置面に関しては別売オプションが必要です(汗)
ワイヤーでの天吊りならハンギングキット¥4,000程度、アームならタンクマウント¥5,000程度が選択出来るようです。
詳しくはLSSのページへ。

AI Prime PAR分布

最後に、光学性能を示す秀逸のグラフをご用意しました♪ (クリックで大画像)

AI Prime PAR分布/スペクトル

無断転載禁止 / Unauthorized reproduction prohibited.
Gebrauchen die Bilder ohne Genehmigung verboten.

左反面のPAR/Wattグラフは、ドイツのHenning氏のフォーマットです。
ただ、彼のように高精度のスペクトロメーターによるPAR測定では無く、あくまで前回も書いたApogee MQ200×スペクトル補正で割り出したPAR強度です。でも、Apogee社直伝の光学計算を踏襲してるので、精度はまずまずご安心ください。
で、このPAR/Wattグラフで何が判るかというと、設置高さ毎のPAR分布特性はもちろんですが、その各PAR分布についてPAR・消費電力性能を表すPAR/Watt効率が判るんです。それがこのグラフの一番の有用性です。
例えば、このAI Primeの場合、30cm距離でのPAR分布から、以下のようにPAR/Watt = 231.9と言うことが判ります。

PAR/Watt効率計算方法

で、この 231.9 が何を示すかというと、如何に消費電力を無駄なくPARに変換出来ているか、と言う性能を表します。それには、LED素子の光量や駆動電力や数量、レンズの性能、素子配列の工夫、などが関係してきます。それらがこの数値一つから判るわけです。これが高ければ、如何に少ない消費電力で多くのPAR分布を実現しているか、逆に低ければ無駄に電力が消費されている、と言う事になります。どんなに明るくても燃費が悪ければ意味がありませんからね。それがこのグラフの正しい見方です。
そして、この数値の度合いとしては、以後のレビューを見ていけば判りますが、近年のアクアLED製品であれば、およそ200台中盤~後半を示すようです。中には300オーバーの製品もありましたが、採用LEDの光量には限界がありますから、大抵はLED素子の数やレンズの善し悪しだと考えられます。特にレンズは僕も今後の課題だと再認識しました。

で、右反面はスペクトルですが、スペースが余ったので2つ載っけました(笑)
上はいつもの相対スペクトルですが、サンゴの命の要である褐虫藻の吸収特性と、LED製品で不足しがちなUV域の重要性を示す蛍光タンパクBFP/CFPの励起特性を併記しました。該当のLED製品がそれらを如何にカバー出来ているかが重要という訳です。ちなみに深赤660nm前後のDRFP/PerCP/CFの発光特性は、それらが褐虫藻に必要な深赤要求を満たしているので意図的な波長確保は不要ですよ~と言うアピールです。もちろん、適切な量なら入れてもダメではないし、何より演色性は高まるので、赤を綺麗に見たい方には有用だと思います。
で、下のスペクトルは、褐虫藻の吸収スペクトルを反映させた褐虫藻が利用しうるPAR特性です。これは水槽の上段に配置されたサンゴとの距離をイメージして、照射距離45cm時のシミュレーション結果としました。もちろん我々の対象はサンゴ=褐虫藻ですから、陸生でよく言われる400-700nmのPAR範囲が対象では無く、あくまでも褐虫藻の吸収範囲が重要という訳です。
そしてさらにスペクトルの下には、この45cm時の各波長域で利用可能なPARの量も示しました。相対グラフだけでは、特定の波長域の相対的な大小しか判らず、実際にどれだけの絶対値が得られるのか判りづらいので、それを数値化したと言う訳です。これで、相対グラフに惑わされず、実際の光強度としての分布が把握出来るでしょう。

以上、かなりザックリとした紹介でしたが、性能と品質が伝わったかしら?
AI Primeは決して大光量ではないのでSPSガンガン!って訳にはいかないけど、小型水槽でソフトやLPSやるには十分だと思いますよ。SPSもよほど超浅場じゃない限りいけるかも。それに、万一光量が足りなくても、小さいから2-3台目の追加も苦にならないし、何より本体購入だけでスマホでサクサク設定できるのが嬉しい♪
最後に、LSSからの製品の貸与に感謝です!

では、Primeのオススメポイントをまとめると、

  • 省スペースで50Wのお手軽フルスペクトルシステムライト!
  • オプション不要でスマホWiFi操作!

以上、最新AI Primeのレビューでした。
(2015/6/27オススメポイント書き忘れ追記)

次回は、eco-lamps KR90DRです。

こちらのエントリーもどうぞ♪

Apogee MQ200の値の補正方法

この記事を含むタグの全記事リスト: LEDうんちく LEDライト スペクトル 測定器

お待たせしました!
最新LEDシステムライトの調査結果の発表~!!!

最新LEDシステムライト

・・・の前に、もうひとつだけ予備知識の講習をお願い致します(汗)
それは、PPFD(PAR)メーターでのPPFD測定値の補正方法についてです。
あ、でも測定器に興味にない方はスルーされてOKです(汗)

今回の調査では、あるルールに従って大量に(笑)PPFDを測定しています。そして、その測定には、現在アクア業界でもメジャーで安価なApogee社のMQ-200を用いました。

PPFD測定風景

しかし、安価なだけに、実はちょい癖があります(汗)
ザックリ言うと、多くの場合、測定する光源によって測定値が低めに表示されるのです。
その理由は、MQ-200に採用されているセンサーSQ-110の応答特性にあります。
以下、Apogeeから取り寄せたSQ-110センサーの特性グラフです。

Apogee MQ200のセンサーSQ110のレスポンス特性

一般的に光合成有効放射PARは400-700nmの波長範囲を対象としていますが、このセンサーの特性からも判るとおり、300-400nm間でも右肩上がりの弱い応答があり、また400-470nm間は実際の値より少なく見積もられますが、逆に470-650nm間は110%程度に多く見積もられ、最後650nm以降はバッサリ切り落とされた特性になっています。
実はこれ、SQ-110センサー自体の特性に加え、T5のクールホワイト蛍光灯の測定に最適化(校正)するため、SQ-110センサーのレスポンスに対して10%程度の係数が掛かっています。470-650nm間の応答が100%を越えているのはこのためです。これらの事は以前からもよく知られた内容でしたが、今回改めてApogeeに確認を取りました。

MQ200の測定値に関するApogeeからの回答は以下の通りです。

  • T5 Cool White蛍光灯に最適化されている
  • 最大で約25%程度のロスが生じる (その場合、表示の約135%が真値)
  • 太陽光測定用の”SUN”モードは、”ELEC”モードの値を約114%にした値

だそうです。なるほど。
そこで、細かく検証していきましょう。

まず、最適化に用いられたと言う「クールホワイト蛍光灯」に近いと思われる一般的な昼光色6500Kの3波長白色蛍光灯でのSQ-110センサーの応答スペクトルを計算してみました。

三波長型白色蛍光灯6500KのSQ110レスポンス

注) 以下、グラフ中のMQ200は各光源スペクトルにSQ110の応答を掛けたモノです

はい。確かにほとんど誤差は出てません。
実際の校正用蛍光管なら、きっと99%を越えるのでしょう。

続いて、似たようなスペクトルのATI Aquablue Specialです。

ATI Aquablue SpecialのSQ110レスポンス

ちょっと下がったけど、まだ余裕で90%台を保持しています。どうやらこの調子なら、白色蛍光灯を測る分には、さほど測定値の誤差は気にしなくても良さそうです。

一方、「最大25%のロス」って、多分、太陽の時かしら?
と言うことで、太陽光のスペクトルでも計算。

太陽光のSQ110レスポンス

おお~。やはりガクンと減衰しました。でもまだ20%程度ですが。。。
ま、太陽光スペクトルは測定条件でコロコロ変わるので、そんなもんでしょう。。。
それに、670-700nm間のカウント次第でも違ってくるし。

ちなみに、あり得ないけど、全波長の理想光源でも計算してみました。

全波長光源のSQ110レスポンス

さすがに、この場合は減衰量が30%を越えました(笑)
それに、670-700nmを除けば約73%程になるので、やはり最大25%のロスと言うのは妥当なところでしょう。

最後に、LEDシステムライトも計算しました。
まずはフルスペ

KR93SPのSQ110レスポンス

げっ。10%以上ロスしてる。。。きっと400-420nmのUV域が多いからだろうな。。。
これは補正しないとアカン!

では、Radionはどうだ?

Radion ProのSQ110レスポンス

げげっ。フルスペほどUV域が無いのに同じ減衰率!
670nm前後の損失もなかなか大きいってことか!
じゃ、もしUV域や深赤域を持ってないなら、ここまでは減衰しない感じかな?

以上の事から、Apogee MQ200で各光源を測定する際は、

  • 蛍光灯・・・”ELEC”モードで測定した値がおよそ正しい
  • LED・・・・・”ELEC”モードでの測定値を約110-120%にした値が正しい
  • 太陽・・・・・”SUN”モードで測定するか、”ELEC”モードを114%にするべし

こんな感じになります。
とは言え、厳密にはスペクトルのカーブ形状に依存するので、できればスペクトルデータを用いて係数を割り出すことが理想ですね(汗)

いや、待て。。。

ホントの理想は、高価で正確なPPFDメーターで測る事だろう(苦笑)

そう、例えばスペクトロメーターベースのPPFD測定機能なら、MQ-200のような応答ムラもないから、かなり精度が高い。しかもデータが波長毎に分割されているので、PARの波長範囲を400-700nmや350-700nmのように後から自由に積分することも可能。
ま、欲しいけど買えません。。。汗

実は今回、最新LEDの調査結果をグラフ化するにあたり、PARの分布グラフに関してはドイツのHenning氏のフォーマットを採用しました。彼はgetSpec 2048というスペクトロメーターを用いて、スペクトルPAR照度を測定されていて、これまでに非常に多くのLED製品を測定し、グラフを公開されています。僕もその考えに共感したので、同じフォーマットでグラフを作り、世界的にデータを共有できたら良いな~と考えました。PARの分布特性と、PAR/Wattという効率表記が、とても判りやすくて有用なグラフなんです。

また、彼はMQ-200も使っており、今回の誤差に関しても検証記事を書かれてます。
ただ、その内容は製造元のApogeeの主張とは真逆に食い違っていて、当初は混乱しました(汗)。でも、僕も散々検証した結果、Apogeeが正解だという結論に行き着いたので、以降のPARグラフには今回の補正方法を反映させてます。一方彼は「MQ-200は実際より大きな値が出ている」という主張ですが、理論的に計算していくと決してそうはならない。きっと、彼のスペクトロメーターの校正ズレ、MQ-200の故障or電池消耗、光源のスペクトルの特異性、測定距離のミス、、、どこかに原因はあるんだろうけど、実際に現物を検証してみないと流石にこちらでは判りません。。。

実はグラフのフォーマットの件でHenning氏とメールでやりとりしてた矢先、偶然にも同じチームのRonny氏ともfacebookで知り合う機会があり、彼からも色々と技術的なアドバイスを受けました。波長関係で濃ゆい話ができる仲間が今まで居なかったので、超テンションマックスです♪笑
但し、ドイツ語→英語←日本語なので、話が半分くらい減衰してますが。。。
補正しないと(爆)

では、今度こそ最新LEDシステムライトの調査結果に続きます!
お楽しみに~♪

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