1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

LEDランプの消費電力を確実に見極めろ!

この記事を含むタグの全記事リスト: LED LEDスポット

全国10,000人のアクアLEDファンの皆さん、こんにちわ。
アクアLEDクリエイター改め、アクアLED評論家・サンタマルターエイジです。

今回は、最近何かと議論の多くなったアクアLEDの消費電力に焦点を当てて、その謎を判りやすく解き明かしていこうと思います。

問1. 以下のランプを明るい順に並べなさい。

光量 ランプ W数 実売価 [円]
1位? 某ランプ36W 36W 12,000~16,000
2位? 某ランプ27W 27W 8,000~14,000
3位? Grassy LeDio 27 27W 16,000~22,000
4位? 某ランプ24W 24W 6,000~7,000
5位? Grassy LeDio 21 21W 15,000~18,000
6位? エリジオン閃光II 11W 11,000~14,000
7位? Grassy LeDio 9 9W 9,000~14,000

多くの人は↑このようにワット数順に並べることでしょう。しかし、製品名や仕様に明記されるワット数が、LED部の駆動方法に由来したワット数で表されている場合など、実際のワット数を示していない場合があるため、必ずしも表記ワット数=明るさとは判断できないのです。(今回の場合は型番表記に問題がある製品も含まれますが、それは今後の販売元の自主的な訂正に期待します)

ヒント. 上記の各ランプの実際の消費電力は以下のようになっています。

ランプ 実ドライブ
某ランプ36W 2W駆動×12=24W
某ランプ27W 2W駆動×9=18W
Grassy LeDio 27 3W駆動×9=27W
某ランプ24W 1.5W駆動×12=18W
Grassy LeDio 21 3W駆動×7=21W
エリジオン閃光II 1.5W駆動×7≒11W
Grassy LeDio 9 1W駆動×7=7W

まあ大体の予想はついてましたが、実は僕自身はまだ某36Wの現物を拝んでおらず、ユーザーから受けた報告でしか知りませんでしたが、海水館の自主訂正(36W/27Wの表記を20W/15Wに訂正)クリスタルエリートの布告活動(ページ中段下に36W/27Wの実測Wの曝露あり)を見る限り、どうやら間違いのないところのようです。
そう、某36Wはせいぜい20W~22Wであり、某27Wは15W~17Wだそうです。

ところで、海水館の政田さんは今回の消費電力の訂正にあたり、単に訂正だけではなく、価格の引き下げや払い戻し・返品対応などに尽力されたようです。これは本当に素晴らしい対応だと思います。一見、当たり前のようにも思われますが、今その当たり前のことすらできない販売元が横行しているご時世です。昨年からのバタバタで懲りた人も多いことでしょう。そんな中で、唯一信用できるショップの模範を示された政田さんに、僕は素直に感動しました。「売る責任」とはこういうことなのです。
でも、せめて事前に相談してくれれば避けられた事故だったのが悔やまれますけど(汗)

さて、先に挙げた各ランプの明るさ対決に話を戻します。

実際のワット数が判ったところで、じゃ、これでやっと正しく順位付けできるかと言えば、実はまだ不十分です。それは、採用されているLED素子の性能や駆動方法次第で、さらに明るさの優劣が変わってくるからです。

これらの各製品には、以下のLED素子が使用されています。(光束は平均的な暫定値)

  • LeDio/エリジオン:Cree XR-E/XP-E (Q5~R3ランク) 107~122lm@350mA
  • 某ランプ群:ノーブランド汎用パッケージ(SemiLEDs,etc) 80~90lm@350mA

あとは実ドライブ方法とLED素子の特性から、製品全体のおよその光量が求められます。
まず、計算の元となる各LEDの光束・電流特性はこちら↓

各LED素子の光束電流特性

* Cree XP-E/XR-Eの各データは公式サイトから抜粋
* SemiLEDsのデータが無いので近似と思しきHELIOから抜粋 (≒Cree XR-E)
* いずれも独自の表に形成しなおしています

各製品の素子の駆動電流に合わせて、光束量を厳密に割り出していきます。
で、これを元に各ランプの全光束を算定し、それを明るい順に並べるとこうなりました。

■各ランプ光量対決結果予想

各社LEDランプ光量比較

判ってはいましたが、LeDio 27が抜きん出て独走体勢ですね。
そして、LeDio 21≒某36W、某27W≒エリジオン、それぞれ良い勝負のようです。

ただ、某ランプ群は実測20W~22Wを24W、15W~17Wを18Wと、少し色を付けて計算してるので、実際はもう少し暗いかも知れません。それに、採用素子がもっと廉価なものかも知れないし・・・と控えめにコメント(汗)

■算定式と光量対決順位

光量 ランプ 実W 光束算定 [lm] 光束平均 [lm]
1位 Grassy LeDio 27 27W (107~122) * 1.75 * 9 =
1,685.3~1,921.5
1,800.4
2位 Grassy LeDio 21 21W (107~122) * 1.70 * 7 =
1,273.3~1,451.8
1,362.6
3位 某ランプ36W 24W (80~90) * 1.3 * 12 =
1,248~1,404
1,326
4位 某ランプ24W 18W (80~90) * 1.15 * 12 =
1,104~1,242
1,173
5位 某ランプ27W 18W (80~90) * 1.3 * 9 =
936~1,053
994.5
6位 エリジオン閃光II 11W (107~122) * 1.17 * 7 =
876.3~999.2
937.8
7位 Grassy LeDio 9 7W (107~122) * 1.00 * 7 =
749~854
801.5

●算定条件

* 各ランプ搭載全素子をクールホワイトと仮定して計算
* 実ドライブは各ランプの実測消費電力から算定
* 各素子の光束値は標準的なランク(bin)として算定
* ノーブランドの光束・電流特性はHELIOのデータを暫定割当(≒Cree XR-E)
* LED部の消費電力のみを対象としているため電源自体のロスは含まれていません

★評価
最強光量ならダントツでLeDio 27! LeDio 21も捨てがたい。
素子にこだわらないなら某36WもLeDio 21並みの光量が期待できる!
それ以外のランプもかなりの健闘ぶりだ!

ま、あくまでも上記算定条件でシミュレーションした場合の話ですので、あしからず。

以下、その他の評価など。

■発光効率対決

効率 ランプ 光束算定 [lm] 光束平均 [lm] 発光効率 [lm/W]
1位 Grassy LeDio 9 749~854 801.5 107~122
2位 エリジオン閃光II 876.3~999.2 937.8 83.5~95.2
3位 Grassy LeDio 27 1,685.3~1,921.5 1,800.4 62.4~71.2
4位 某ランプ24W 1,104~1,242 1,173 61.3~69
5位 Grassy LeDio 21 1,273.3~1,451.8 1,362.6 60.6~69.1
6位 某ランプ36W 1,248~1,404 1,326 52~58.5
6位 某ランプ27W 936~1,053 994.5 52~58.5

★評価
発光効率ならLeDio 9やエリジオンが最強! LeDio 27も捨てがたい♪
それ以下は軒並み標準的な効率だが、某36Wと27Wは今時60lm/Wを切る効率の低さが気になるところだ。やっぱりノーブランド素子を1W以上で駆動するのは色々と覚悟が必要だ(効率低下、レンズ劣化、素子寿命…)

■費用効率対決

2011/05/11 22:00 計算ミス発覚に付き表と評価を訂正しました

費用 ランプ 平均光束
[lm]
実売価(平均)
[円]
費用効率
[円/lm]
1位 某ランプ24W 1,173 6,000~7,000 (6,500) 5.54円
2位 Grassy LeDio 27 801.5 12,000~16,000 (14,000) 7.78円
3位 Grassy LeDio 21 937.8 8,000~14,000 (11,000) 8.07円
4位 エリジオン閃光II 1,326 11,000~14,000 (12,500) 13.33円
5位 某ランプ36W 1,800.4 16,000~22,000 (19,000) 14.33円
6位 Grassy LeDio 9 994.5 9,000~14,000 (11,500) 14.35円
7位 某ランプ27W 1,362.6 15,000~18,000 (16,500) 16.59円
費用 ランプ 平均光束
[lm]
実売価(平均)
[円]
費用効率
[円/lm]
1位 某ランプ24W 1,173 6,000~7,000 (6,500) 5.54円
2位 Grassy LeDio 27 1,800.4 16,000~22,000 (19,000) 10.55円
3位 某ランプ36W 1,326 12,000~16,000 (14,000) 10.56円
4位 某ランプ27W 994.5 8,000~14,000 (11,000) 11.06円
5位 Grassy LeDio 21 1,362.6 15,000~18,000 (16,500) 12.11円
6位 エリジオン閃光II 937.8 11,000~14,000 (12,500) 13.33円
7位 Grassy LeDio 9 801.5 9,000~14,000 (11,500) 14.35円

★評価
素子にこだわらず最安を狙うなら価格の下がった某24Wが狙い目!
素子にこだわるならLeDio 27/LeDio 21が費用対効果でもダントツでお勧め♪

素子にこだわるならLeDio 27、こだわらないなら某36Wが互角の費用対効果!
それ以外は1ルーメン10円を超えるので、本当に必要な波長かどうか検討すると吉♪
あとは必要な波長と費用効率を天秤に掛けて検討すると良いでしょう♪

結局、何が言いたいのかと言うと、謳い文句に(詐欺表示も)に惑わされること無く、本質を見極める目を養って、後悔の無いようアクアに励んで欲しいと言うこと。そして、こうした考察は必ずそのための良い判断材料になってくれるはずです。昨年の思い切った曝露から今日までの関連記事が、少しでもそのお役に立てていることを切に願っています。

しかしその反面、当初危惧したとおり、案の定似たような商売が最近益々増えてきました。今ヤフオクを見渡せば、あっちもこっちも某ランプだらけです(苦笑)。少し前なら、いくら中国への委託でも、ある程度の発注ロット数が敷居を果たしてましたが、今じゃどこも1台から可能になり某24W例某36W例、ユーザー登録にてビックリ価格が確認可能♪)、それこそ素人にも気軽に始められる良い副業になってしまいました。。。
ま、少なくとも個人でも会社でも、最低限のスキルと使命を持って臨まれる分には良いのですが、いたずらに流行り商材への便乗行為としての参入は控えて欲しいところです。

やるならLED・波長・光合成を基礎からみっちりやること。
そして、安易に作ったものを検証もせずにそのまま売らないこと。
もちろん、ただ右から左へ流すんじゃなく、きちんと性能を確認・管理すること。
厳選?開発?多少の誇大表現は目をつぶるとしても、ウソは絶対に書かないこと。
さらに、可能なら光束・スペクトルなんかのデータもちゃんと測定して出すこと。
間違っても、どこの素子かも知らずに売ってたり・・・なんて絶対に無いように!

これができないと、それこそ良いお小遣い稼ぎと揶揄されても仕方ありません。
くれぐれも消費者を馬鹿にしないように。

こちらのエントリーもどうぞ♪

一般LED対LeDio27光合成対決

この記事を含むタグの全記事リスト: LeDio 27 LEDスポット volxjapan プチ実験

LeDio 27 ReefPurpleはただいま席を外しております。
任期を終えて帰還するまで、今しばらくお待ちください。
帰還次第、読者プレゼントに出席いたします♪

と言う訳で、リーフパープルさんの現在の仕事振りをご紹介します。
実は秘密裏にこんなことを始めていました。
名付けて、

光合成対決! 一般白色LED vs LeDio 27 ReefPurple ♪

光合成実験開始

皆さんのLED製品にも必ず入っている一般白色LED、これの20W版+リフレクタを用意して、LeDio 27 ReefPurpleとの光合成対決を開始しました。
果たしてどんな違いが見られるのか?
あるいは何も違わないのか?

まずは、その対決方法を説明します。

猫草光合成実験の詳細

栗スケさん(猫)に対するATフィールドとして、メッシュの傘たてを採用!
これで実験中にムシャムシャされることはありません♪
そして、同じ容器に同じ土(有機培養土)を同じ深さに敷き、それぞれにエンバク(燕麦:イネ科)の種5g(約110粒)を均一に敷き詰め、さらに土を1cm被せておきました。
各LEDは、双方で同等の照度となるよう、高さを調節しています。
あとは実験を巻いていくため、各LEDは24時間連続運転とし、毎日水を与えます。
さあ、果たして結果や如何にっ!?

さ、早速巻いていきますよ。
記事開始早々、早くも一週間が経過しました。

光合成実験 4/19~4/26までの変化

おや?
リーフパープルの方だけフサフサしてきましたよ?
もっとよく見てみましょう。

光合成実験 168時間後

* 光源が違うため土の色が違って見えますが、あくまでも同じ土です

え゛ぇっ!?
なんでこんなことにっ!?

とりあえず、スペクトルを見てみましょう。

白色LEDとLeDio27 ReefPurpleのスペクトルと光量

同じ照度とは言え、その照度を構成する波長の割合がまるで違うからか?
しかも比視感度も考慮すると、とんでもない光強度の差となるからか?
そしてリーフパープルが、まさにクロロフィルの吸収スペクトルに近いからか?

いや待て、早まるな。
あるいは、もやし現象も考えられるぞ。
もっと光を・・・と、伸び伸びするケースだ(笑)
いや、しかし・・・それなら発芽のタイミングにまで影響が出るだろうか・・・?

そうか!
発芽が促されたのか!
リーフパープルに採用されているCree XP-Eの電球色×3、赤640nm×1 が、猫草をゴロゴロと刺激したに違いないっ!
スペクトルで赤の発光強度を比較しても、それほど白色LEDと違って見えないのに、実際にはこれほど違いが出ていたとわっ!?

へぇ・・・発芽ってホントに赤い光成分で促されるもんなんですねぇ(笑)

ささ、もっと巻いていきますよ。
今度は息つく暇も無く、あっと言う間に2週間が経ちました。

光合成実験 4/19~5/3までの変化

あらら。
もはや比較にならない差が。。。

光合成実験 340時間後

リーフパープルの方は、相当数の葉が伸び、葉の緑も濃く、硬く強い印象です。まるでお庭でサンサンと太陽を浴びて育ったかのようです♪
一方、一般白色LEDの方は、やっと7~8本の葉が出ましたが、どこか色も薄く弱々しい印象を受けます。
ただ、葉の長さ自体は双方とも変わらないか、むしろ白色LEDの方が若干長いです。
あ、もしかしてこれこそが“もやし現象”か(笑)

それにしても、一般白色LEDでの発芽の遅さ、発芽のバラツキには少し驚きました。
実はこれまでも数回、LEDで猫草を栽培してきましたが(123)、使ったLEDは電球色や自然光(UV+RGB蛍光体)ばかりで、いずれも赤がしっかりと含まれているものです。
そう、一般に赤が弱いとされる一般白色LEDでの実験は今回が初めてだったのです。
もしかしたらそれが発芽の違いなのかも知れません。今までの実験では必ず開始1週間目までには一斉に芽が出てましたが、今回は既に2週間が経過するのに未だに大半の種が芽を出していませんから。。。

ところで、この2週間は24時間常時点灯でしたが、今後はきちんと日照変化を与えることにしました。どうしても葉が乾燥しがちで、得意の葉の先端の水玉も付かなかったし、そのせいか先端のチクチク部分が微妙に茶色い状態になってきましたので(一枚だけ先端1cm程枯れてきた葉もある)。あるいは、連続光合成によって養分不足が出てきたのか?、成長の加速によって老化の進みも速いのか?、なんにしても強制牧場はよくないってこと。

あぁ・・・。
白と青を混ぜ混ぜしたらアクアにピッタリ綺麗だよぉ~の時代は終わったね。。。

じゃ、いくよ♪

僕らは今まで、こんな生気のないLEDを使ってきたのか。。。
貴方のLEDには、電球色LEDは入っていますか?
貴方のLEDは、本当にサンゴの命を照らしてますか???

もいっちょ♪

さあ!!!
やはり LeDio 27 ReefPurple はクロロフィルマスターなのかっ!?

波長もLEDも精通したプロが創るLEDランプはここまで違うのかっ!?
製品スペクトルを公開すると言うことは、そういうことなのかぁぁぁっ!

ん? 奮発しすぎ?
いやぁ、いつもプレゼント提供してもらってるし~(笑)

クロロフィル吸収スペクトル

特に対クロロフィルがメインの淡水や水草にも是非お勧めしたいところっ♪
・・・けど、淡水で照明がピンクって・・・やばいかな?(汗)
それに効果も強力そうだし、少し離して遠くから広範囲にやんわり当てるくらいが吉かも♪
淡水にも海水にも、生体の生理を健全に保つ栄養ドリンクに、全体にほんのり一本っ♪
いやぁ~、発売が待ち遠しいねぇ~っ!!!

では、もう少しだけ実験経過をお送りしていきますね。
実験が終わったら、読者プレゼントよん♪

こちらのエントリーもどうぞ♪

脱ノーブラ支援LED換装講座

この記事を含むタグの全記事リスト: LED LEDスポット ヤフオクLED 自作関連 電気系

やや長編です。
適当に休憩しながらどうぞ♪

脱ノーブランドの場合に限りませんが、手持ちのLEDスポットを改造して、より良いスペクトルを目指そうと言う試みは、僕は凄く良いことだと思います(もちろんメーカー保証はなくなりますが)。そのためのご相談などには喜んでお応えしています。

特に、前回さりげなく公開しちゃったヤフオク24W改・太陽光ブレンド365UVモデルにより、世のアクアリストは脱ノーブラ意欲をガンガン掻き立てられたようです。
そうでしょう。そうでしょうともっ♪

その中で特に多かった声として、

「私のLEDランプでも改造できるでしょうか?」
「どんなLED素子でも換装できるのでしょうか?」

など、LEDの種類と扱い方に関する疑問・悩みが目立ちました。
そこで今回は、既製のLEDランプの素子換装を主体としたLED講座をお送りします。
最低限、ハンダゴテを使い慣れた電気工作マニアが対象です。
尚、実施は自己責任で、怪我・火傷にはくれぐれもご注意を。

既製のLEDランプはどんな構造になっているのか?

まず、既製のLEDランプの構造に簡単に触れておきます。
LEDランプを分解すると、およそ以下のような構造になっています。

LEDランプ分解

上記はカミハタのロータスやボルクスのLeDio 7などの7W機の例ですが、他の12W、21W、24Wなども大まかな構造は全く同じです。
ソケットとドライバ(電源)間の接続はAC(交流)なので極性はありません。仮にコードが色分けされていたとしても極性は無視してOKです。
ドライバとLED基板は赤と黒のコードで接続されていますが、こちらはDC(直流)なので極性があります。赤がプラス、黒がマイナスです。多くの場合は基板に極性が印字されているので迷うことはありませんが、もし印字が無い時、あるいは消えてしまった時は、直近のLED素子を見て、アノード側がプラス(赤)、カソード側がマイナス(黒)のコードの接続方向となります。出来ればコードを外す際にマジックで印を付けておくと確実です。

LEDの回路はどうなっているのか?

分解したLED基板を見ると、表面が塗装されているので判り難いですが、よく見ればパターン(導通部)がやや盛り上がっているので、これを目で追うことが出来ます。大抵の場合、プラス(赤)からマイナス(黒)まで1本で繋がっているのが判ります。これがLEDの直列回路です(稀に並列回路の製品もあります)。上記の7Wの例ですと、素子が7つなので1ヶあたり1Wで駆動されているはずですから、この直列回路にはおよそ350mA(実際には280~320mA等)が流れているはずです。もしテスターをお持ちなら、この回路にテスターを割り込み、電流値を測ってみると良いでしょう。
そして、このようなLEDランプの場合、多くは電流制限方式で駆動されており、上記1W×7=7Wであれば350mA、3W×7=21Wであれば700mA(実際には650~680mA等)、と言うように電流が固定的に供給される仕組みになっています。そのため、素子数によって回路電圧は変化しますが、電流値は素子数に関わらず一定となるのです。

LEDランプの基本回路

一方、素子数によって電圧が変化すると言う事は、当然LED素子が増えれば増えた分だけ回路の消費電力も増えます。そのため、素子数の多いランプほど、大きな電力に対応した大容量のドライバが搭載されています。このことからも判るように、例えばLED素子が7つ接続されたドライバにLED素子を8つ以上繋げたらどうなるか? 答えは、電圧が追いつかず点かないか、定格オーバーで壊れます(厳密にはドライバの仕様によります)

LEDのワット数の計算方法が判らない

LEDで一番判り難い・ややこしいのがワット数ではないでしょうか。LED部の駆動電力なのか、はたまたランプ全体の消費電力(電源部のロス含む)なのか。各社のランプのワット表記と実測値の違い等は過去にも触れましたので、今回はLEDのワット表記の考え方に視点を置いて、ワット毎の電流値を表にまとめてみました。

駆動電力 駆動電流 慣例値 実測例
1W 350mA 280mA~ LeDio 7:320mA~330mA
LeDio 9:280mA~320mA
1.5W 420mA 400mA~ ヤフオク24W:410mA~420mA
エリジオン11W:410mA~440mA
2W 500mA 460mA~ ヤフオク36W:490mA~510mA
3W 700mA 650mA~ LeDio 21:720mA~730mA
LeDio 27:720mA~730mA
5W 1000mA~ 900mA~ 熱・効率の面で非推奨

この表から判るとおり、1Wとは350mAで駆動されていることを表します。3Wなら700mA駆動です。但し、実際には少し余裕を持たせてある場合があり、必ずしもこの値とは限りません。およそ表の慣例値のような幅があるようです。熱対策、省エネ対策、寿命対策など、メーカーの配慮によるものでしょう。

ところで、LEDには対応ワット数が決められています。例えば、3W素子であれば1W駆動も可能ですが、1W素子を3W駆動することはできません。必ずその対応ワット数の範囲内で駆動することになります。仮に1W素子に3W掛けたら壊れちゃいます。なので、1W×7=7Wランプには1Wや3Wの素子が使用可能ですが、3W×7=21W等の3W駆動ランプには3W素子や5W素子は使用可能ですが、1W素子は使用できません。
尚、厳密には定格電流の上に最大電流が設けられていますが、最大値はあくまでも限界点なので、いくら放熱をしっかりしても定格以下での駆動を心がけましょう。まあ、自己責任の範囲で。

ひとつ注意点として、LEDは電流が大きくなればなるほど、その両端に掛かる電圧は大きくなる性質があります。例えば1W駆動時(350mA)では3Vでも、これが3W駆動時(700mA)には4Vになったりします (素子メーカー・型番、発光色により異なります)
そのため、一見350mAの2倍だから2Wじゃないの?と思いがちな700mAも、この昇圧分が加味され3W駆動扱いとなるのです。例えば、電力 P = 電流 I×電圧 E ですから、350mA×3V = 1.05W ≒ 1W、700mA×4V = 2.8W ≒ 3W、のように考えます。

どのランプにどのLED素子が合うの?

これもアクアリストを悩ませる種でしょうか。見慣れると大したことは無いのですが、まずは一通り覚えるまでが大変ですかね。
良く目にするLED素子、良く使うLED素子を以下の表に分類してみました。

素子サイズ、パターン 素子メーカー 素子名
一般汎用サイズ

汎用パッケージLED

Philips Lumileds Luxeon III
Luxeon K2等
Seoul Semiconductor P4等
Edison Edixeon等
HELIO Helixeon等
ノーブランド 汎用パッケージ型
専用パターン
製品間に互換性は無し
Cree XR型等
Cree XP型等
Philips Lumileds Luxeon Rebel等
LedEngin LZ1シリーズ等

ヒントとしては、少し以前のLED素子の多くは汎用パッケージが多く、仮にメーカーの独自パッケージだとしても実装パターンに対しては互換性がありました。また、その後Cree XR型が登場した頃には、比較的素子サイズが近いこともあり、このXR型と一般サイズ型との共用パターン基板が流行しました。ひとつの基板で一般素子もCree XRも使えるスグレモノです。この互換基板は、例えばLeDio 9やLeDio 21、ヤフオクLEDなどに使用されています。前者はCree XR-E、後者はノーブランドLEDを積んでいます。
しかし、ここ数年の新しいLED素子は、小型化が進むにつれ、各社とも独自パターンが目立ち始め、最近のものはほとんど非互換のようです。まあ、企業間競争も判りますが、消費者としてはできるだけ規格を揃えて欲しいところです。

と言う訳で、今回は比較的作業のしやすい一般素子とCree XR型にも対応した基板(下写真上)を使っているLEDランプをベースに、素子の換装方法をご紹介していきます。但し、Cree XR型はハンダゴテではなく、基板自体を加熱して溶着させるリフロー作業が伴いますので、必要であればヒートガンやクリームハンダ等もご用意ください。

LED素子パターン例

ちなみに僕の知る限り、この共用基板を使っているのは、LeDio 9、LeDio 21、ヤフオクLED全般等ですが、LeDio 9は分解しにくいし、そもそもLeDio 9もLeDio 21も初めからCree XR-Eを採用しているため、これをわざわざ替える理由が見当たりません(笑)
よって、あくまでも手持ちのヤフオクをどうにかしたい人向けコーナー!という訳です。

例えば、ヤフオクの24Wタイプの基板は以下の通り。

ヤフオク24WのLED素子パターン

上記の僕が見たものは、たまたまグランクリエイトとギガレックスが同じ基板で、クリスタルエリートが少し違う基盤でした。でもロットによってはまた異なるかも知れません。ただ幸いなことに、上記の基板はいずれもCree XR型対応基板でした。よく見ると、素子の両端に平行なハンダ面が少し垣間見えるのが判るでしょうか?

さて、ここから元のLED素子を外していく訳ですが、この時、ワット数の大きなハンダゴテならサクサク外せますが、20Wや30Wのコテだとアルミ基板の熱吸収に負けてなかなかハンダが溶けません。お勧めは、低Wと高Wがボタンで切り替えられるハンダゴテです。普段は30Wとして使え、いざとなったらボタンを握って100Wに♪みたいな奴です。
あと、ハンダ作業をしていると、どうしてもハンダ周りが茶色くベタベタになりがちです。気にしない人は良いけど、気にする人はフラックスクリーナーでシュッシュッしてフキフキしましょう。ウソみたいに綺麗になります。ギガレックスさんにもお勧め♪

その他、注意事項

LED素子を外す際、通常、一般サイズの素子は裏面に放熱シリコンが塗ってあるだけですが、稀にリフロー溶接されている場合があります。電極のハンダを外しても素子が外れない場合は、このリフローを疑ってください。リフローを外すには、素子の基板の裏面からヒートガン等で加熱するしかありません。(カミハタレコルトロータス10.5Wで一般素子のリフロー溶接を確認しています)

特にノーブランドLED素子の場合、外観からは極性が全く判りません(素子自体に刻印してある場合は別)。同じ白い汎用パッケージでありながら、製造元の違いで極性が反転してることがよくあります(もちろん製造元内では極性は一貫してますが)。なので、必ず実装前に極性を確認しておきましょう。ただ、ノーブランドの場合、データシートが無い場合もあるので、素子のチェック用電源として、数10mA程度に電流制限したテスト電源(電池も可)を用意しておくと良いでしょう。

Cree XR型のリフローの際、必ずしもヒートガンやクリームハンダは必要ありません。少しコツが必要ですが、慣れれば普通のハンダと小さなガストーチでも可能です。手順としては、まず事前に素子自体に薄くハンダを溶かしておき、基板にも薄くハンダを溶かしておきます。次に、極性をよく確認の上、素子を基板に載せます。あとは基板の裏から200度程度で50秒~1分ほど加熱しますが、ハンダが溶けて流れ出せば素子は吸い付くように基板に密着しますので、それを目で見て確認できれば加熱終了です。尚、高温で一気にやろうとすると基板が焦げたり素子が壊れるのでくれぐれもご注意を。

Cree XR型素子は湿気ないよう保管に注意が必要です。なるべく作業の直前まで開封しないか、もし開封した場合は除湿剤を入れておきましょう。でも早めに使った方が吉。もし湿気っていると、リフローした際に素子内にクラック(厳密にはガラスレンズ下の樹脂の膨張・収縮による剥離・ずれ)が発生します。それもあって、なるべく低温で素早くリフローを完了することが理想です。

そうして無事換装を終え、見事、太陽光ブレンド365UVモデルに生まれ変わったヤフオクLEDがこちら♪ (使用素子の詳細は前回の記事を参照のこと)

太陽光ブレンド18W 365UVモデル

これまでにグランクリエイトとクリスタルエリートで実施歴があります

注意点は、LedEnginの素子は当然ヤフオクの基板には乗らないので、スター基板経由でヤフオク基板に硬化シリコンで接着しておき、翌日硬化を確認したのち結線しています。この時、金属片などがスター基板の裏に混入すると、下のヤフオク基板のパターンと接触してショートしてしまう恐れがあるので、くれぐれもご注意ください。それさえ注意すれば、硬化シリコン自体が皮膜となって、スター基板とヤフオク基板を絶縁するはずです。

作業手順としては、この場合Cree XR-E/XRが含まれているので、真っ先にCree XR-E/XRのリフローを済ませてしまいます。そのあとは、LedEngin以外の素子を済ませてからLedEnginをスター基板ごと接着し、残りの作業は翌日、と言うフローが良いと思います。

最後に、フラックスクリーナーでピカピカに仕上げれば、販売クオリティも合格です♪

さて、ひとつだけ心配事があるのですが、長くなるので次回までにまとめておきます。

その他、不明な点やご質問などありましたらコメント願います。

LEDに関する様々な悩み・疑問などもお気軽にお寄せください。
info@1023world.net まで

こちらのエントリーもどうぞ♪