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串本遠征2013年8月:水深スペクトル篇

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昨年の白浜の海中スペクトル測定に続いて、今回は串本の海中スペクトル測定です。

まず、スペクトロメーターMK350水深30M対応の防水ケース(iPad用)に入れるのですが、iPhone用だとギリギリ入りません。かと言ってiPad用だとブカブカ。。。汗

防水ケースに入れたMK350

この時、ポンプで中の空気を抜きすぎると、潜水時に防水ケースが水圧で潰れて測定ボタンが押しっぱなしになる(汗)ので、敢えて少し空気を入れておくのがミソです(笑)
ちなみにMK350の場合、水中でも画面のタップ操作は可能です。液晶に厚めの保護シートを貼ってるお陰なのかな? スマホ(シャープ)だとタップ不能になるのに。。。汗
でも、この防水ケースの宣伝文句では、iPhoneはOKらしいです。どゆこと?笑
シャープとiPhoneじゃタッチパネルの仕組みが違うのかしら???

次に、防水パック自体の波長ロスも調べておきます。
防水パックのありなしで太陽光を測定した結果がこちら↓です。

防水ケースによるスペクトルロス

幸い390nm以下のロスだけで、それ以上の可視光線の測定には問題ないようです。

あと、水深を見るためのツールとして、僕は素潜り用の安価なダイコンOMER MIK1を使ってますが、水温、水深、潜水時間、日時など必要な情報は一応全部採れるので、これでも十分です。素潜りでのヤドカリ散策にも重宝しますよ♪

OMER MIK1

写真は、水温27℃、水深4.0M、潜水時間18秒、です。
今は喘息なので、この辺が限界です(汗)

これで、任意の水深で海中スペクトルを測定する準備が整いました。

そして同日、串本にはこのような測定バカが降臨したと言う。。。笑

測定バカ降臨

では、測定結果です。
本当は誰にも見せたくないので、心の綺麗な人にだけ見えるようにしておきます♪笑

あなたは心の綺麗な人ですか? はい♪

写真提供:だに兄

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串本遠征2013年8月:ハナヤサイ篇

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先月、7/10に串本に来た際のハナヤサイは、まだ地味な褐色個体ばかりでした。

7/10の時点の串本のハナヤサイ

この個体はタイドプールの水深50cmにいたものです。

そして、今回8/23の時点では、かなり真っ赤に色揚がりしてましたよ♪

太陽光をガンガンに浴びて色揚がりした真っ赤なハナヤサイ

上の個体とは別の個体ですが、今回見た多くの個体がこの色になってました。
これは、海藻がよく生い茂る時期、日照時間・光量アップ、等がヒントになるでしょう。

ただ、こうした自然下でさえ、すべてが完璧な100点とは限りません。
水面から見ただけでも、いくつかの褐色個体や白化個体が見受けられました。

水面から見たハナヤサイ

例えば、上の色揚がり個体と同じ場所にいながら、いまいちの個体。
この個体は破損も目立ちますが、それを差し引いても地味です。。。

破損と白化が目立つ褐色のハナヤサイ

また、ほんの少し水深が増すだけで、光量不足と思われる薄いピンク個体も。

光量不足によるピンクのハナヤサイ

あるいは、この場所は海流が弱いため、高水温による白化スイッチも考えられます。
特に、褐色のちょうど良い抜け具合からして、なんとも絶妙な白化フローかも?

このように、自然の海でさえ様々な症例が見られます。
また、自然下の多くのサンゴを見て判るとおり、光による色揚がりは照射面のみであり、光が回り込まない面は褐色のままです。自然下でさえそうなのです。

串本の例では、ハナヤサイがもっとも濃く色揚がりしているのは、干潮時で水深0-50cm程度(満潮時で水深1.5-2M程度)のそこそこ潮通しの良いポイントです。かなり浅いため海中スペクトルも極めて太陽光に近くなりますが、赤はかなり弱く、UV~青~シアン主体の波長構成となっています。
串本の海中スペクトルについては次回ご紹介します。

おまけ:串本のスギノキ畑

串本では、主に茶色とグリーンの2タイプが混じったスギノキ畑が見られます。
でもね、最近グリーンの方がすっかり減ってきているみたい。。。

スギノキ畑

写真は、スギノキ・グリーンが頑張って新芽ゾーンを拡大している様子。。。
と言うことは、元はここに親が茂っていたということです。。。
こんな状態の箇所があちこちに見られます。。。
親はどこへ行ったのか???

悪い子はいねがぁ~?

水深スペクトル篇へつづく

写真提供:だに兄

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すべての答え:蛍光タンパク篇

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前回のすべての答え:トゲピンク篇に引き続き、今回は蛍光タンパク励起波長、そして蛍光の発光量に関するトピックスです。またまた先日紹介したすべての答え第一弾からデータを抜粋して、判りやすくご紹介しましょう。蛍光スペクトルのグラフの見方が判らなかった方もこの記事を参考にしてください。

今回のサンプルにはスパスラタ・グリーンをチョイスしました。

スパスラタ・グリーン

この個体は蛍光励起範囲が広く、下は370nmからガンガン発光していました♪

暗闇で370nmのみを当てた写真がこちらです。
また、被写体が判るように明るく補正した画像を下に並べました。

すべての答え第一弾での370nm励起実験

左から4番目がスパスラタ・グリーンです。光り輝くようなCFP(シアン蛍光)!
ちなみに、左から2番目のストロベリー・グリーンもガンガンの発光量ですね♪
また、右4番目のスギノキ・ブルーはちょっと青めのBFP(ブルー蛍光)なのが判ります。
その他の個体は、さすがに370nmは波長が低すぎてほとんど反応しませんでした。

このスパスラタに各波長(370/400/425/450/475/500/520nm)を当てて反射スペクトルを測定したものがこちらです。各波長の放射照度(光量)はおよそ揃えてあります。また、縦軸は単位がありませんが波長強度を表しています。

各波長によるスパスラタ・グリーンの反射スペクトル

もはや専門の研究機関でしか見られないようなデータですが、まさかこんなものを自分で採ることになるとは。。。

判りやすく各波長毎に分けたものがこちらです。

370nm照射時の励起スペクトル

370nmによる反射スペクトル

左側の突き抜けた波長が蛍光の励起源となるLEDの波長、右側の小さな波長が励起された蛍光スペクトルです。尚、励起波長強度に比べ蛍光強度はかなり小さいため、励起波長をかなり大きく引き延ばしています。

400nm

400nmによる反射スペクトル

370nmと同じ出力でも、400nmの方が蛍光の発光量が多いようです。

425nm

425nmによる反射スペクトル

400nmよりも425nmの方がさらに発光量が大きいようです。

450nm

450nmによる反射スペクトル

450nmだと発光量は小さくなり、また450nm自体に飲み込まれて判別不明(笑)

475nm

475nmによる反射スペクトル

完全に同化。。。

500nm

500nmによる反射スペクトル

追い越しました(笑)

520nm

520nmによる反射スペクトル

・・・。

以上の結果から、これら7種類のLEDのうちグラフから発光成分がなんとか読み取れたのはギリギリ450nmまでで、それ以上の波長では読み取れませんでした。また、450nmで励起された蛍光スペクトルも450nm自体のスペクトルに大きく被るため、便宜上この蛍光タンパクを励起できた波長は370nm/400nm/420nmの3種とし、励起波長範囲を370-425nmと判定しました。ま、どのみち450nmなんてどの光源にも絶対的に含まれてる波長だし意識するまでも無いかと。

そして、その発光スペクトルのみを抜き出したものがこちらです。

反射スペクトルから得られた蛍光スペクトル

これにより、この蛍光タンパクは485nmにピークを持つCFP(シアン蛍光)であることが判ります。また、励起源の波長によって、その発光量に差があることも読み取れますね。
縦軸に単位が無いので、仮に目盛りの数で言い表すと、

  • 370nm照射時・・・2目盛りパワ~!
  • 400nm照射時・・・4目盛りパワ~!
  • 425nm照射時・・・6目盛りパワ~!

(笑)

もっとも強く反応したのは425nmでしたが、UV 370nmや400nmにさえもこんなに大きく反応している点からも、如何にスパスラタがUVに貪欲なのかが想像できます(笑)

で、ここからが本題。

確かにこのスパスラタの蛍光タンパクはUVにもバンバン反応しているとは言え、最大要求が425nmにあることからも、これを維持するには、最低限425nm前後を含む照明さえあれば、まずは事足りそうだと推測できます。例えUVが無くとも、実際それでそれなりに維持できることも判っています。て事は、RazorでもT5でも理論上、全然許容範囲です。

その上で、よりUV系波長を必要とするVFP/BFP/CFP等の蛍光タンパクに対して、

  • 自然下のような発光量を再現したい!
  • 今よりもっと強く発光させたい!
  • なんかどんどん褪せていく…

以下は、そんなお悩みを持つあなたのためのヒントとしてお役立てください。

各波長を個別に与えた際の発光量と、それらの波長すべてを含む光源を与えた際の発光量を比較した場合、後者は単に前者を積分(総和)した値とおよそ等価になります。
(厳密には非連続スペクトルによる誤差が生じるため発光量は前者総和<後者)

蛍光スペクトルの積分値

もし照明に含まれる波長の下限が425nmまでの場合、発光量は約6目盛りパワー!
400nm~425nmが十分に含まれる場合、発光量は4+6=10目盛りパワー!
370nmまでも含んでいれば、発光量は2+4+6=12目盛りパワーにもなりますね!

そうか!
425nmだけ当てるよりも、
400nmや370nmも全部当てた方が、
それを要求する蛍光タンパクにとっては、
より大きく発光できるに決まってるじゃないかっ!!!

それが、波長を持つ製品と持たない製品との差です。
あとは、その波長の光量が大きな照明ほど、蛍光の発光量は増していきますね。
逆に言えば、例えせっかく波長を含んでいても光量が弱ければ。。。

以上のヒントから、照明の最適化に励んでみてください♪

以下、独り言。
スーパークール? 何やってもダメな個体ならトライする価値は十分にあると思うよ。。。
370nmは無理だけど、KR93XP/KR93SPなら380nmから立ち上がってるよ。。。
現物はまだ未確認だけど新Illumagicには仕様上400nmが入ってるよ。。。
出力は弱いけど、Kessilの隠し味には380-390nmが入ってるよ。。。
スポットならLeDio RS073 ReefUVVitalWave Violetにも400nmが。。。
これ以外に370nmや400nmの入った製品ってあったかなぁ。。。

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