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懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

T5レビュー:KZ

この記事を含むタグの全記事リスト: T5 スペクトル 蛍光灯

多分、これがT5レビューの最終章かな?

ちなみに今まで調査してきたT5管はこちら。

最終章はKZです。

KZ

以前のSFILIGOIと同じで、特に凝った包装は無し。
コスト削減と見るか、手抜きと見るか。。。笑

  • KZ - NewGeneration 14K
  • KZ - CoralLight 10K
  • KZ - Superblue 20K
  • KZ - FijiPurple

KZ 球

でも、バルブには品名がしっかりとプリントされてますよ。

光色はこんな感じ。

KZ 光色

名前からして、NewGenerationが後発で、CoralLightが初期の白球なのかしら?
そうなると、CoralLightの方の品名がよく判りません。ページによっては、10Kと書かれてたり50% blue - 50% whiteと書かれていたり。。。それに、「CoralLight」自体はブランド名のようで、どの球にも印字されてるし。。。
ま、いっか。

また、KZには他社のようなUV系420nm球が無く、その代わりFijiPurpleが有名ですが、こちらはあくまで見た目だけピンクの、言わば緑弱め3波長白球ってとこです。
・・・もしかしてZEOvitでは蛍光タンパクはあまり重要視されてないのかな?
元々が褐虫藻過疎化プログラムだし、蛍光タンパクは必然的に増加傾向に傾くとか?
でも、だったらそこへUV系を足せば、もっと蛍光タンパクにブーストがかかるやん♪
先生、実験レシピに加えてください♪

では、スペクトルです。まずはMK350にて測定した分。

KZ スペクトル MK350測定

続いて、LR1にて測定した分。

KZ スペクトル LR1測定

僕のLR1はUVを最優先してチューニングされた200-1200nm仕様なので、赤がちょい弱めに出てますが無視してください。500nm台後半以降はMK350のが正しいです。

NewGeneration 14Kの方が緑がやや弱めなので、CoralLight 10Kより若干涼しいアクアブルーホワイトです。それはスペクトルからも判ります。ただ、球をあれこれ足していく上で、最終的にはこの違いの意義は微妙かも知れません。

Superblue 20Kは、例に漏れず他社と同じスペクトルのようです。
また、白球もそうですが、14K/10K/20Kと言う色温度は正確では無く、色度座標からも判るとおり、相当大きくかけ離れているようです。どの球も正確には100000K以上の算定不能な領域ですし。。。もしかして、アクアで示される色温度表記って、実際の色度座標に関係なく、メーカーのフィーリングで適当に付けられたものなのかも知れませんね。

あと、FijiPurpleですが、これは3波長白球の蛍光体のうち緑を弱めたモノで、青と赤のスペクトル構成は一般の白球と同一です。やはりクロロフィルに照準を合わせてるのかな?
ちなみに、昔はFijiではなくFujiかと思ってました。藤色のフジ(笑)
結局、フィジーから来たネーミングなのかな?
フィジーのなんだろ? フィジーのスペクトル???

最後にKZオールスター歌合戦です。

KZ NewGeneration14K+CoralLight10K+Superblue20K+FijiPurple

この構成での30cm光量測定結果は、

簡易照度 19,230 lx
JIS照度(AA級) 10,390 lx
PPFD 322 umol/m2/s
UV (A+B) 8.2 uW/cm2

お♪  明るい???

・・・いや待て、KZの場合Actinic 420nm系を入れてないので、FijiPurpleを緑弱めホワイトと位置づけるなら、実質白球3本構成と同義なので、このまま他社と光量を比較するのは不公平です。なので、一応目安として、FijiPurpleを外してATI Actinicを入れてみた光量も測っておきました。それがこちら↓

簡易照度 17,120 lx
JIS照度(AA級) 8,876 lx
PPFD 293 umol/m2/s
UV (A+B) 13.9 uW/cm2

うむ。。。歴代4位くらいかな。。。納得。。。

と言うかですね、いまさらなんですが、気付いたことがあります。
T5灯具の稼働時間によるのか、球によるのか、点灯開始から一定時間を置いて安定しているのかと思いきや、なかなかそうでもないようです。試しに5分おきに30分まで測ってみたら、結構変動しています(汗)。しかも面白いことに、簡易照度とUVは徐々に減少、JIS照度とPPFDはジワジワ上昇だったり。。。5分後測定はやめて、30分後測定か60分後測定にしないとダメかなぁ。。。困った困った。。。

次回は、T5レビューのまとめです。

こちらのエントリーもどうぞ♪

T5レビュー:UVLighting

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忘れた頃にまたまたT5ネタ!
だって、本当に忘れた頃に届くんだもん♪

ちなみに今まで調査してきたT5管はこちら。

今回はUVLightingです。
社名からしてUVにこだわってそうなネーミング♪
あ、どうかは知りませんけど(汗)

UVLighting

  • UVLighting - Aquasun
  • UVLighting - Actinic White
  • UVLighting - 454
  • UVLighting - Super Actinic

UVLighting 球

うむ。WavePointみたいに球が色分けされてて識別しやすい♪

で、光色ですが・・・

UVLighting 光色

白系はAquasunとActinicWhiteを調達したんだけど、どっちも赤味が強い。。。
なぜか?
それはスペクトルを見れば一目瞭然です♪

まずは、UPRtek MK350にて測定したスペクトル。

UVLighting スペクトル(MK350測定)

続いて、ASEQ LR1で測定したスペクトル。

UVLighting スペクトル(LR1測定)

僕のLR1はUVを最優先してチューニングされた200-1200nm仕様なので、赤がちょい弱めに出てますが無視してください。500nm台後半以降はMK350のが正しいです。

標準の白球でさえこんなに赤いなんて、今までのT5管にはない感じですね。
公式サイト見ても、どれも赤大盛りな印象ですし。。。
これじゃ、知らない人が見たら、
UVLightingって、UV強化メーカーだからどの球も赤っぽく見えるのかなぁ?
なんて思われそうな懸念が。。。
ん? 確信犯???

UVLightingとは言えUV入ってませんよ~
単純に赤が多いから赤いのよ~笑

さて。特別にご紹介したいのは、上から2番目のActinicWhiteです。
なんと!?
普通の3波長白色蛍光灯に、最初からActinic 420nmをブレンドしてある球です♪
どうせあとで混ぜるんだし、初めからブレンドされてたら超有り難いねっ♪
こーゆーの待ってた~っ!!!
これぞ使い回しでは無い、本当のアクア専用設計~♪

ところが、、、左を膨らませたら、右がへっこんだ???
420nmを足した分、何故かブルー長波長側がゴッソリ囓られてます(曝)
じ・・・じれったい。。。苦笑

ちなみに、それ以外の球はいつもと同じスペクトルなので割愛ね。。。

最後に、上記4タイプを混ぜるとスペクトルはこうなります。

UVLighting Aquasun+ActinicWhite+454+SuperActinic

この構成での光量測定結果は、

簡易照度 14,450 lx
JIS照度(AA級) 8,796 lx
PPFD 252 umol/m2/s
UV (A+B) 26.1 uW/cm2

うむ。。。歴代最下位じゃった。。。汗

次回はKZです。

こちらのエントリーもどうぞ♪

T5:波長欠落

この記事を含むタグの全記事リスト: T5 スペクトル 蛍光灯

遅くなってすみません。
情報の吸収率を高めるため、画像の準備に時間が掛かりました。
では、前回のT5トリックの続きです。

まずは前回のおさらいです。
前回測定したT5/SC/KRのスペクトルと放射照度の比較結果はこのようになりました。

T5/SC/フルスペ 実測スペクトル&放射照度

(a) ATI : AquablueSpecial×6
(b) ATI : AquablueSpecial×2 + BluePlus×2 + Actinic×2
* KR93XPのみ別データからの合成です

光強度比較
@30cm
ATI T5
39W×6
=234W
(a)
ATI T5
39W×6
=234W
(b)
SC
BLV(W)
=150W
KR93SP
24″ 2.02
=100W
KR93XP
24″
=100W
放射照度 積分値
(300-1100nm)
[W/m2]
175.35 135.17 173.68 185.87 216.20
消費電力 [W] 234 234 150 100 100
効率 [W/m2/W] 0.7493 0.5776 1.1579 1.8587 2.1620

今回はこの結果を基に、T5のウィークポイントについてお節介を焼いていきます。

まず、上記結果グラフの300-500nm間をクローズアップしてみましょう。ここにはVFP/BFP/CFPなどの蛍光タンパクの励起に必要なUV域の波長が含まれます。

T5の波長のウィークポイント 300-500nm間

SCマリンブルーは完璧です。海中スペクトルと見事にシンクロしてますね。
フルスペも390nm~は確保できてますが、380nm以下は欠落してます。ぐふっ。
T5は・・・ギリギリ400nmからの立ち上がりはあるので、あとはActinicを入れておけば400-420nmはそれなりに確保できるでしょう。ストロベリーやスパスラタの維持に苦戦されてる方は、この辺のところをもう一歩工夫してみてください。

続いて、500-700nmを見てみましょう。

T5の波長のウィークポイント 500-700nm間

うーん。。。問題はここですね。
SCやフルスペは海中スペクトルに逆らわない緩やかな特性を持ちますが、T5は光強度の瞬発的な突出と欠落が交互に並んでいます。もしこれがサンゴにとってストレスになるなら、ZEOvitのストレス源にもちょうど良いのかしら?
ウィークポイントとしては、T5特有の強烈な緑540nmの前後の欠落、そして赤610nmの前後の欠落の、計4つの波長の欠落があります。もしこの欠落部分に対して蛍光タンパクや色素タンパクの要求波長があった場合、このT5の特性では十分に応えられないと言う事になります。
ここで「十分に」と書きましたが、実はある程度は応えられます。それは、それらの色素の要求がピンポイントでは無く、ある程度の帯域を持っているため、そこにT5の緑や赤のピークがかすめていれば、濃くは無理でもそれなりには対応できるからです。パステル自体はZEOvitによる褐虫藻制御(栄養添加含む)による部分が大きいのですが、パステルの色素の薄さについては、これは各色素に対するT5の応答不足も原因のひとつです。
ただ、T5の緑540nmのピークをもっともっと強くすれば、薄くが積もり積もってある程度は濃くなります。また、色素の要求とT5のピークがうまく合致さえすれば濃ゆい色揚げも可能なので、そう言う貴重な個体は重宝されるでしょう。

ついでに上図を基準に、僕の独断で各光源の波長カバー率を採点してみました。

color wavelength ATI T5
39W×6
=234W
(a)
ATI T5
39W×6
=234W
(b)
SC
BLV(W)
=150W
KR93SP
24″
=100W
KR93XP
24″
=100W
UV 360nm × × × ×
370nm × × × ×
380nm × × ×
390nm × ×
400nm
Violet 410nm
420nm
430nm
Royal
Blue
440nm
450nm
460nm
Blue 470nm
480nm
490nm
Cyan 500nm
510nm
520nm
Green 530nm × ×
540nm
550nm
Yellow 560nm × ×
570nm × ×
580nm
Orange 590nm
600nm ×
610nm
Red 620nm
630nm ×
640nm × ×
Deep
Red
650nm × ×
660nm × ×
670nm × × ×

○ 0.2-2.5 W/m2/nm
△ 0.1-0.2 W/m2/nm
× 0.0-0.1 W/m2/nm

(a) ATI AquablueSpecial×6
(b) ATI AquablueSpecial×2 + BluePlus×2 + Actinic×2

まあ、この採点は どこに線を引くか でどうにでもなりますから、あくまでも警告が目的だとご理解ください。あちこち床が抜けてるから足下気を付けてね、ってことです。

では、具体的に色素の要求特性を見てみましょう。
まずは蛍光タンパクです。各色の代表的な特性を並べてみました。いずれも左の破線が要求スペクトル、右の実線が発光スペクトルです。破線のような特性の波長を受ければ、実線のような特性で発光しますよ、と言うことです。

代表的な蛍光タンパクの励起波長と発光波長

* リファレンス a-e

上から順に、

  • VFP(紫蛍光タンパク)
  • BFP(青蛍光タンパク)
  • CFP(シアン蛍光タンパク)
  • GFP(緑蛍光タンパク)
  • YFP(黄色蛍光タンパク)
  • RFP(赤蛍光タンパク)
  • Keima(赤蛍光タンパク) * 青光を当てると何色も飛び越えて赤蛍光を発色
  • Kaede(緑/赤蛍光タンパク) * UV光を当てると緑蛍光→赤蛍光に変化
  • Dronpa(緑蛍光タンパク) * 青光で緑蛍光オン、UV光で緑蛍光オフ

これらはサンゴの蛍光タンパクのごく一例です。実際の種類と特性は多岐に渡ります。

VFPの維持はT5だと厳しいでしょうね。
BFPは吸収スペクトル帯の長波長側の半分を軽くなでることはできるので薄くは維持できるかも知れませんが、濃くは難しいと思います。
CFP/GFP/YFPは概ね維持できるでしょう。T5でよく見かける水色のミドリイシの蛍光タンパクも多くはこのCFPでしょうね。 色合い的にはBFPでは無さそうです。
RFPも局所とは言えT5の緑が強く突いているので、累積発光量は大きいはずです。

T5のスペクトルと蛍光タンパクの要求スペクトルを重ねるとこうなります。

T5のスペクトルと蛍光タンパクの要求スペクトル

このように、T5では特にバイオレットとブルーの蛍光がネックになっています。
できればF.P.ドクターで蛍光タンパクをチェックしておくことをお勧めします。
それ以外の蛍光タンパクについては、不完全ながらも各要求の帯域をどこかしら叩いてはいるので、叩いた位置と量に応じた維持は可能です。

光の当たる面に形成される蛍光タンパク

蛍光タンパクは光の当たる面に形成され、影の部分には形成されないので、このことからも蛍光タンパクの維持には適切な波長の光が当たる必要があることが判ります。

続いて、色素色(Chromoprotein:色素タンパク)はどうでしょうか。

代表的な色素タンパクの吸収波長

* リファレンス f, g

多くの色素タンパクは、橙光570nm~600nmに要求ピークが集中しているので、LEDならデコライトのような温白色系スポットが適しています。フルスペにニュートラルホワイトLEDを多用しているのもこのためです。
T5の場合でも、大半の色素はT5の緑と赤のピークに挟まれているため、例え薄くても色素は維持できます。もちろん、T5のピークとシンクロ率が高い色素なら更に色を濃く維持することも可能なはずです。
ただ、理想を言えば、T5のような歪なスペクトルでは無く、太陽光のように欠落の無いフラットなスペクトルで全域をカバーできれば、どんな要求の色素が来ようとも対応できるので、より本来の色を維持することができますし、ZEOvitのパステルだけではなく、綺麗な濃い色のサンゴも維持できるはずです。
逆に言えば、ZEOvitは蛍光灯を最大限に活かすことのできる究極の奥義だと思います。しかし、それはT5に特化したものでは無く、悪く言えばT5でさえ許容してくれるシステムとも言えるので、だったらT5じゃなくメタハラやフルスペの方が、より綺麗で濃い色揚げが期待できるでしょう。過去の国内の事例のように。。。

以下は主な色素タンパクと、CP-580(一例)の光源別の発色イメージです。

CP-580 Blueの場合の波長毎の発色イメージ

* リファレンス f, g

光の当たる面に形成される色素タンパク

色素タンパクも光の当たる面に形成され、影の部分には形成されないので、蛍光タンパク同様、色素タンパクも適切な光が当たる必要があることが判ります。もちろん波長だけでもダメ、光量だけでもダメ、その両方が必要なのは勿論ですが、さらに他の波長とのバランスも大事だと言う事が最近判ってきました。どんなに要求を満たしていても他の波長が勝ると阻害される場合もあるのです。詳細はいずれまた。

今T5で維持している色・・・実はもっと濃くなる素質があるかも?
「パステル」と言う言葉が、実は足枷になってない?

さて。
ここまで駆け足でしたが、うまく消化できたでしょうか?
もちろん、サンゴの色を決定するのは光が100%の要因ではありませんし、水質に左右される要因が大きいことも当然ですが、今後、光と水質を極めていく上で、まずは光についてのスキルを極めてもらうため、今回は光に限定して掘り下げてみました。特にT5に限らず白色蛍光灯は人間向けに3波長に最適化されており、またレンズ付きLEDと違って光が直接目に届くため、肉眼では非常に明るく見え、それ故水槽にも十分な”光”があると錯覚しやすいので、光のトラブルに対して灯台モトクラシーになりがちです。
世のZEOvit+T5を代表する綺麗な水景が、決して手放しで築ける訳ではないと言う事が理解できれば、今回の講習は合格です♪

最後に、いじわるな比較をしてみました。
皆さんには何が見えるでしょうか。。。

T5とフルスペの各色素カバー率

愛だろ、愛っ。

リファレンス

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