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脱ノーブラ支援LED換装講座

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やや長編です。
適当に休憩しながらどうぞ♪

脱ノーブランドの場合に限りませんが、手持ちのLEDスポットを改造して、より良いスペクトルを目指そうと言う試みは、僕は凄く良いことだと思います(もちろんメーカー保証はなくなりますが)。そのためのご相談などには喜んでお応えしています。

特に、前回さりげなく公開しちゃったヤフオク24W改・太陽光ブレンド365UVモデルにより、世のアクアリストは脱ノーブラ意欲をガンガン掻き立てられたようです。
そうでしょう。そうでしょうともっ♪

その中で特に多かった声として、

「私のLEDランプでも改造できるでしょうか?」
「どんなLED素子でも換装できるのでしょうか?」

など、LEDの種類と扱い方に関する疑問・悩みが目立ちました。
そこで今回は、既製のLEDランプの素子換装を主体としたLED講座をお送りします。
最低限、ハンダゴテを使い慣れた電気工作マニアが対象です。
尚、実施は自己責任で、怪我・火傷にはくれぐれもご注意を。

既製のLEDランプはどんな構造になっているのか?

まず、既製のLEDランプの構造に簡単に触れておきます。
LEDランプを分解すると、およそ以下のような構造になっています。

LEDランプ分解

上記はカミハタのロータスやボルクスのLeDio 7などの7W機の例ですが、他の12W、21W、24Wなども大まかな構造は全く同じです。
ソケットとドライバ(電源)間の接続はAC(交流)なので極性はありません。仮にコードが色分けされていたとしても極性は無視してOKです。
ドライバとLED基板は赤と黒のコードで接続されていますが、こちらはDC(直流)なので極性があります。赤がプラス、黒がマイナスです。多くの場合は基板に極性が印字されているので迷うことはありませんが、もし印字が無い時、あるいは消えてしまった時は、直近のLED素子を見て、アノード側がプラス(赤)、カソード側がマイナス(黒)のコードの接続方向となります。出来ればコードを外す際にマジックで印を付けておくと確実です。

LEDの回路はどうなっているのか?

分解したLED基板を見ると、表面が塗装されているので判り難いですが、よく見ればパターン(導通部)がやや盛り上がっているので、これを目で追うことが出来ます。大抵の場合、プラス(赤)からマイナス(黒)まで1本で繋がっているのが判ります。これがLEDの直列回路です(稀に並列回路の製品もあります)。上記の7Wの例ですと、素子が7つなので1ヶあたり1Wで駆動されているはずですから、この直列回路にはおよそ350mA(実際には280~320mA等)が流れているはずです。もしテスターをお持ちなら、この回路にテスターを割り込み、電流値を測ってみると良いでしょう。
そして、このようなLEDランプの場合、多くは電流制限方式で駆動されており、上記1W×7=7Wであれば350mA、3W×7=21Wであれば700mA(実際には650~680mA等)、と言うように電流が固定的に供給される仕組みになっています。そのため、素子数によって回路電圧は変化しますが、電流値は素子数に関わらず一定となるのです。

LEDランプの基本回路

一方、素子数によって電圧が変化すると言う事は、当然LED素子が増えれば増えた分だけ回路の消費電力も増えます。そのため、素子数の多いランプほど、大きな電力に対応した大容量のドライバが搭載されています。このことからも判るように、例えばLED素子が7つ接続されたドライバにLED素子を8つ以上繋げたらどうなるか? 答えは、電圧が追いつかず点かないか、定格オーバーで壊れます(厳密にはドライバの仕様によります)

LEDのワット数の計算方法が判らない

LEDで一番判り難い・ややこしいのがワット数ではないでしょうか。LED部の駆動電力なのか、はたまたランプ全体の消費電力(電源部のロス含む)なのか。各社のランプのワット表記と実測値の違い等は過去にも触れましたので、今回はLEDのワット表記の考え方に視点を置いて、ワット毎の電流値を表にまとめてみました。

駆動電力 駆動電流 慣例値 実測例
1W 350mA 280mA~ LeDio 7:320mA~330mA
LeDio 9:280mA~320mA
1.5W 420mA 400mA~ ヤフオク24W:410mA~420mA
エリジオン11W:410mA~440mA
2W 500mA 460mA~ ヤフオク36W:490mA~510mA
3W 700mA 650mA~ LeDio 21:720mA~730mA
LeDio 27:720mA~730mA
5W 1000mA~ 900mA~ 熱・効率の面で非推奨

この表から判るとおり、1Wとは350mAで駆動されていることを表します。3Wなら700mA駆動です。但し、実際には少し余裕を持たせてある場合があり、必ずしもこの値とは限りません。およそ表の慣例値のような幅があるようです。熱対策、省エネ対策、寿命対策など、メーカーの配慮によるものでしょう。

ところで、LEDには対応ワット数が決められています。例えば、3W素子であれば1W駆動も可能ですが、1W素子を3W駆動することはできません。必ずその対応ワット数の範囲内で駆動することになります。仮に1W素子に3W掛けたら壊れちゃいます。なので、1W×7=7Wランプには1Wや3Wの素子が使用可能ですが、3W×7=21W等の3W駆動ランプには3W素子や5W素子は使用可能ですが、1W素子は使用できません。
尚、厳密には定格電流の上に最大電流が設けられていますが、最大値はあくまでも限界点なので、いくら放熱をしっかりしても定格以下での駆動を心がけましょう。まあ、自己責任の範囲で。

ひとつ注意点として、LEDは電流が大きくなればなるほど、その両端に掛かる電圧は大きくなる性質があります。例えば1W駆動時(350mA)では3Vでも、これが3W駆動時(700mA)には4Vになったりします (素子メーカー・型番、発光色により異なります)
そのため、一見350mAの2倍だから2Wじゃないの?と思いがちな700mAも、この昇圧分が加味され3W駆動扱いとなるのです。例えば、電力 P = 電流 I×電圧 E ですから、350mA×3V = 1.05W ≒ 1W、700mA×4V = 2.8W ≒ 3W、のように考えます。

どのランプにどのLED素子が合うの?

これもアクアリストを悩ませる種でしょうか。見慣れると大したことは無いのですが、まずは一通り覚えるまでが大変ですかね。
良く目にするLED素子、良く使うLED素子を以下の表に分類してみました。

素子サイズ、パターン 素子メーカー 素子名
一般汎用サイズ

汎用パッケージLED

Philips Lumileds Luxeon III
Luxeon K2等
Seoul Semiconductor P4等
Edison Edixeon等
HELIO Helixeon等
ノーブランド 汎用パッケージ型
専用パターン
製品間に互換性は無し
Cree XR型等
Cree XP型等
Philips Lumileds Luxeon Rebel等
LedEngin LZ1シリーズ等

ヒントとしては、少し以前のLED素子の多くは汎用パッケージが多く、仮にメーカーの独自パッケージだとしても実装パターンに対しては互換性がありました。また、その後Cree XR型が登場した頃には、比較的素子サイズが近いこともあり、このXR型と一般サイズ型との共用パターン基板が流行しました。ひとつの基板で一般素子もCree XRも使えるスグレモノです。この互換基板は、例えばLeDio 9やLeDio 21、ヤフオクLEDなどに使用されています。前者はCree XR-E、後者はノーブランドLEDを積んでいます。
しかし、ここ数年の新しいLED素子は、小型化が進むにつれ、各社とも独自パターンが目立ち始め、最近のものはほとんど非互換のようです。まあ、企業間競争も判りますが、消費者としてはできるだけ規格を揃えて欲しいところです。

と言う訳で、今回は比較的作業のしやすい一般素子とCree XR型にも対応した基板(下写真上)を使っているLEDランプをベースに、素子の換装方法をご紹介していきます。但し、Cree XR型はハンダゴテではなく、基板自体を加熱して溶着させるリフロー作業が伴いますので、必要であればヒートガンやクリームハンダ等もご用意ください。

LED素子パターン例

ちなみに僕の知る限り、この共用基板を使っているのは、LeDio 9、LeDio 21、ヤフオクLED全般等ですが、LeDio 9は分解しにくいし、そもそもLeDio 9もLeDio 21も初めからCree XR-Eを採用しているため、これをわざわざ替える理由が見当たりません(笑)
よって、あくまでも手持ちのヤフオクをどうにかしたい人向けコーナー!という訳です。

例えば、ヤフオクの24Wタイプの基板は以下の通り。

ヤフオク24WのLED素子パターン

上記の僕が見たものは、たまたまグランクリエイトとギガレックスが同じ基板で、クリスタルエリートが少し違う基盤でした。でもロットによってはまた異なるかも知れません。ただ幸いなことに、上記の基板はいずれもCree XR型対応基板でした。よく見ると、素子の両端に平行なハンダ面が少し垣間見えるのが判るでしょうか?

さて、ここから元のLED素子を外していく訳ですが、この時、ワット数の大きなハンダゴテならサクサク外せますが、20Wや30Wのコテだとアルミ基板の熱吸収に負けてなかなかハンダが溶けません。お勧めは、低Wと高Wがボタンで切り替えられるハンダゴテです。普段は30Wとして使え、いざとなったらボタンを握って100Wに♪みたいな奴です。
あと、ハンダ作業をしていると、どうしてもハンダ周りが茶色くベタベタになりがちです。気にしない人は良いけど、気にする人はフラックスクリーナーでシュッシュッしてフキフキしましょう。ウソみたいに綺麗になります。ギガレックスさんにもお勧め♪

その他、注意事項

LED素子を外す際、通常、一般サイズの素子は裏面に放熱シリコンが塗ってあるだけですが、稀にリフロー溶接されている場合があります。電極のハンダを外しても素子が外れない場合は、このリフローを疑ってください。リフローを外すには、素子の基板の裏面からヒートガン等で加熱するしかありません。(カミハタレコルトロータス10.5Wで一般素子のリフロー溶接を確認しています)

特にノーブランドLED素子の場合、外観からは極性が全く判りません(素子自体に刻印してある場合は別)。同じ白い汎用パッケージでありながら、製造元の違いで極性が反転してることがよくあります(もちろん製造元内では極性は一貫してますが)。なので、必ず実装前に極性を確認しておきましょう。ただ、ノーブランドの場合、データシートが無い場合もあるので、素子のチェック用電源として、数10mA程度に電流制限したテスト電源(電池も可)を用意しておくと良いでしょう。

Cree XR型のリフローの際、必ずしもヒートガンやクリームハンダは必要ありません。少しコツが必要ですが、慣れれば普通のハンダと小さなガストーチでも可能です。手順としては、まず事前に素子自体に薄くハンダを溶かしておき、基板にも薄くハンダを溶かしておきます。次に、極性をよく確認の上、素子を基板に載せます。あとは基板の裏から200度程度で50秒~1分ほど加熱しますが、ハンダが溶けて流れ出せば素子は吸い付くように基板に密着しますので、それを目で見て確認できれば加熱終了です。尚、高温で一気にやろうとすると基板が焦げたり素子が壊れるのでくれぐれもご注意を。

Cree XR型素子は湿気ないよう保管に注意が必要です。なるべく作業の直前まで開封しないか、もし開封した場合は除湿剤を入れておきましょう。でも早めに使った方が吉。もし湿気っていると、リフローした際に素子内にクラック(厳密にはガラスレンズ下の樹脂の膨張・収縮による剥離・ずれ)が発生します。それもあって、なるべく低温で素早くリフローを完了することが理想です。

そうして無事換装を終え、見事、太陽光ブレンド365UVモデルに生まれ変わったヤフオクLEDがこちら♪ (使用素子の詳細は前回の記事を参照のこと)

太陽光ブレンド18W 365UVモデル

これまでにグランクリエイトとクリスタルエリートで実施歴があります

注意点は、LedEnginの素子は当然ヤフオクの基板には乗らないので、スター基板経由でヤフオク基板に硬化シリコンで接着しておき、翌日硬化を確認したのち結線しています。この時、金属片などがスター基板の裏に混入すると、下のヤフオク基板のパターンと接触してショートしてしまう恐れがあるので、くれぐれもご注意ください。それさえ注意すれば、硬化シリコン自体が皮膜となって、スター基板とヤフオク基板を絶縁するはずです。

作業手順としては、この場合Cree XR-E/XRが含まれているので、真っ先にCree XR-E/XRのリフローを済ませてしまいます。そのあとは、LedEngin以外の素子を済ませてからLedEnginをスター基板ごと接着し、残りの作業は翌日、と言うフローが良いと思います。

最後に、フラックスクリーナーでピカピカに仕上げれば、販売クオリティも合格です♪

さて、ひとつだけ心配事があるのですが、長くなるので次回までにまとめておきます。

その他、不明な点やご質問などありましたらコメント願います。

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