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懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

T5:照度トリック

この記事を含むタグの全記事リスト: T5 スペクトル 蛍光灯

あり?
T5ネタ、てっきり終わったと思ったのに?
いやぁ~、需用があればいつだって立ち上がるんだぜぇ~?
ムクムクムク~♪

前回のセンセーショナルな比較記事では、フルスペ100WT5 100Wを比較したわけですが、「これは弱い者イジメである」との声もありまして、どうせなら同じ光量レベルに揃えて比べて欲しいというご要望にも応えてみることにしました。ま、そりゃそうですね。どっちも同じサンゴが飼えるような光量条件で比べないと♪てことで。

いつものようにBHのスペクトロメーターLI-1800が大活躍です。

測定条件

そこで、前回非力だったATI SunPower 4×24W=100W(写真上)に替わり、ピンチヒッターATI PowerModule 6×39W=240W(写真下)の登場です。

ATI PowerModuleは明るい♪

なんか、ビーム角もかなり挑戦的です!

蛍光灯とは言え超明るいやん!
その秘密はリフレクターにあり!
PowerModule最高~!!!

これならフルスペも相手にとって不足無し?
いや、こんだけ眩しいと、むしろ危ないだぜぇ~?

さて、測定結果です。
まずはスペクトルを放射照度で比較したもの。スペクトルの高さ=光強度です。

各光源の実測放射照度スペクトル

(a) ATI : AquablueSpecial×6
(b) ATI : AquablueSpecial×2 + BluePlus×2 + Actinic×2
* KR93XPのみ別データからの合成です

光強度比較
@30cm
ATI T5
39W×6
=234W
(a)
ATI T5
39W×6
=234W
(b)
SC
BLV(W)
=150W
KR93SP
24″ 2.02
=100W
KR93XP
24″
=100W
放射照度 積分値
(300-1100nm)
[W/m2]
175.35 135.17 173.68 185.87 216.20
消費電力 [W] 234 234 150 100 100
効率 [W/m2/W] 0.7493 0.5776 1.1579 1.8587 2.1620

あ、ちなみに放射照度 [W/m2]と言うのは、純粋な光エネルギー量を示したモノで、被視感度のようなフィルターの掛かった照度 [lx]とは別物です。念のため。

うむ。光エネルギー量で見ると特別T5が強いという事は無いようです。
見た目はこんなに明るいのに、不思議な感覚ですね?
むしろ、240Wも消費しておきながら、150Wのスーパークールと同じ光強度か。。。

いえ、それは違います。

SCはスポットだから直下だけの光量だけど、T5は水槽全体にその光量が広がっているため、実質T5の方が全光量は多いはずです。
フルスペだって、横方向こそ照射範囲を確保していますが、奥行きを確保するには複数台の並列設置が必要になります。
ま、フルスペを複数台並べたら、また弱い者イジメって言われそうだけど。。。

どう? これくらいの出力差なら妥当な比較じゃない?
それとも8×54Wくらいじゃないとダメ???汗
でもこれ以上大きくしても面積が広がるだけで、測量点の光量は増えないよ。。。

ちょっと待てくれよ!
T5はこんなに明るいんだぜ!?
フルスペの方が全然暗いじゃないか!
なのに、どうしてT5がフルスペに負けるんだよ!?
納得いかないよ!

了解だぜぇ?
解説しちゃうぜぇ~♪

人間の目は、可視光線の400~700nmの色(波長)の光を、すべて同じ強さでは見えていません。緑色の555nmがもっとも強く感じ、青や赤はその 1/10程度でしか感じていません。例えば、青:緑:赤の光をそれぞれ10:10:10の強さで並べたら、人間には1:10:1と言う強さに感じてしまう のです。
と言う事は、各光源のスペクトル(上図)は、人間にはこう↓(下図)見える訳です。

T5の照度トリック

* 比視感度を反映したグラフはLEDスペクトラでも確認できますのでお試しください

おおおお!!!
T5って明るいですねぇ~♪
って・・・

これが、T5の照度トリックです。

「人間の目ではT5は明るい」
その評価は間違いではありません。そもそも蛍光灯は人間用に最適化された照明ですから、必要最低限の波長(3波長+α)だけで白く明るく見えるようにできているからです。
しかし、光エネルギーやサンゴ目線で計るなら、それは間違いです。
どんなに明るく見えようともです。
むしろ、海中スペクトルを模した青主体の光なら、人間の目には暗く見えて当然です。
そうした光源に対する視覚での評価は極めてナンセンスだと理解しておきましょう。

以下、ありがちなT5の間違いをまとめておきます。

× T5は各社のいろんな球をブレンドすれば波長リッチになる
× T5はフルスペクトルである
× T5は人間にとって明るいのでサンゴにとっても明るい
× T5はサンゴ本来の色を映し出す
× ZEOvitが綺麗なのはT5のお陰

もし答え合わせが必要なら、お気軽にお尋ねください。

いつもの決め台詞だけど、
ユーザーを困惑させたり迷走させるような虚偽の流布は 絶対にダメ!

ところで気付いて欲しいのは、サンゴ水槽の照明は何のためにあるのか?です。
アクアリストが拝むためですか?
答えはノー。

サンゴ水槽の照明はサンゴに光合成をしてもらうためにあります♪

そして、

フルスペは太陽の子を太陽で育みたい方のための理論です♪

ですから、比較的簡単なソフトコーラルだけ飼えたら良いとか、ZEOvitで色調整するから照明スペックは必要最低限満たせば良いとお考えの方はこの限りではありません。それならフルスペクトルは不要かも知れません。。。
ただ、光なんて何でも良い波長は重要では無い、と言うのは少々暴力的です。
だって、相手は光を吸収するのが仕事ですよ?
クロロフィルだけじゃなく、蛍光タンパクも色素タンパクも、みんな要求が異なります。
それらの要求に対して偏った波長だけで誤魔化すにも、限度があると言うことです。
結局、色素形成に光は最も重要な存在なのです。

次回は、サンゴの光合成に深く関わる色素や蛍光の話題です。
(一度に書くと混乱の元なので2回に分けますね)

こちらのエントリーもどうぞ♪

各社UVB蛍光灯の測定データ

この記事を含むタグの全記事リスト: UVB スペクトル 蛍光灯

いつか機会があれば・・・と思っていた爬虫類用UVB蛍光ランプの測定が一通り済みましたので、データを公開しておきます。もちろん全て新品を使ったデータです。
測定器にはLI-COR社のLI-1800を用い、300-1100nmの範囲のスペクトルと、波長毎の放射照度[W/m2/nm]を測りました。これにより、UVB(300-320nm)とUVA(320-400nm)の厳密な放射照度も積分算定できました。
但し、測定器のレンジの下限が300nmなので、厳密なUVB(280-320nm)が測れていませんが、実測値を見る限り、光強度の多くは300nm以降に分布していたため、280-300nm間のデータが欠けていてもおよその目安にはなるでしょう。
尚、今回の測定器の測定レンジの関係上、厳密なUVの感度は、UVに特化した200nm対応の測定器に比べ若干劣る可能性がありますのでご了承ください(200-400nm間の値に関して公称値よりやや下回る可能性があると言う意味)

今回測定した爬虫類用蛍光灯ランプ各種

爬虫類用UVB蛍光ランプ各種

直管20Wタイプ

  1. EXO-TERRA (GEX) Repti Glo 10.0 20W 公称スペクトル
  2. EXO-TERRA (GEX) Repti Glo 5.0 20W 公称スペクトル
  3. EXO-TERRA (GEX) Repti Glo 2.0 20W 公称スペクトル
  4. ZooMed ReptiSun 10.0 20W 公称スペクトル
  5. ZooMed ReptiSun 5.0 20W 公称スペクトル
  6. ZooMed ReptiSun 2.0 20W 公称スペクトル
  7. HERP-CRAFT (SUDO) UV-MASTER Level 8 20W 公称スペクトル
  8. HERP-CRAFT (SUDO) UV-MASTER Level 5 20W 公称スペクトル
  9. Pogona-Club VIVARIUM GLOW Power UVB 20W 公称スペクトル(ワイルドモンスター)
  10. Pogona-Club VIVARIUM GLOW Soft UV 20W 公称スペクトル

E26コンパクトタイプ

  1. EXO-TERRA (GEX) Repti Glo 10.0 26W 公称スペクトル
  2. EXO-TERRA (GEX) Repti Glo 5.0 26W 公称スペクトル
  3. EXO-TERRA (GEX) Repti Glo 2.0 26W 公称スペクトル
  4. ZooMed ReptiSun 10.0 26W 公称スペクトル(ワイルドモンスター)
  5. ZooMed ReptiSun 5.0 26W 公称スペクトル(ワイルドモンスター)
  6. Vivaria Repro UVB 10.0 Desert Sun 26W 公称スペクトル
  7. Vivaria Repro UVB 5.0 Forest Sun 26W 公称スペクトル
  8. Vivaria Repro UVB 2.0 Natural Sun 26W 公称スペクトル
  9. Kamihata UVB Reptile 27W 公称スペクトル

使用灯具

測定条件

  • 測定距離 - 灯具先端から30cm距離
  • 測定時間 - 点灯5分経過後に測定

測定結果

直管20Wタイプの各スペクトル。右側はメーカーの公称スペクトル。

UVB蛍光灯スペクトル 直管20W

E26 26Wタイプの各スペクトル。右側はメーカーの公称スペクトル。

UVB蛍光灯スペクトル 26W(E26)

直管20Wタイプの各放射照度比較。

UVB蛍光灯スペクトル&放射照度比較 直管20W

E26 26Wタイプの各放射照度比較。

UVB蛍光灯スペクトル&放射照度比較 26W(E26)

出血大サービスでPDFもご用意しました♪

最後に、数値比較した表がこちら。
単位はW/m2から、普段見慣れたuW/cm2に変換してあります。

UVB 直管20W + GEX Crystal Inverter 600 (1ch)

ブランド 品名 放射照度 [uW/cm2] @30cm
UVB
300-320nm
UVA
321-400nm
全域総量
300-
1100nm
% %順 %
EXO-TERRA Repti Glo 10.0 27.2 5.15 6 46.1 8.72 528.34
Repti Glo 5.0 19.4 3.28 - 127.8 21.63 590.74
Repti Glo 2.0 2.4 0.31 - 9.6 1.27 755.13
ZooMed ReptiSun 10.0 48.1 8.87 1 114.8 21.2 541.52
ReptiSun 5.0 27.9 5.65 4 106.1 21.49 493.57
ReptiSun 2.0 2.3 0.43 - 27.9 5.14 542.11
HERP CRAFT
UV-MASTER
Level 8 47.4 8.38 2 140.5 24.83 565.91
Level 5 35.6 5.58 5 101.5 15.92 637.87
Pogona Club
Vivarium Glow
Power UVB 29.7 7.63 3 60.7 15.61 388.96
SoftUV 7.0 1.02 - 17.7 2.58 685.60

UVB 26W (E26) + カミハタ VORTICE

ブランド 品名 放射照度 [uW/cm2] @30cm
UVB
300-320nm
UVA
321-400nm
全域総量
300-
1100nm
% %順 %
EXO-TERRA Repti Glo 10.0 49.6 6.94 1 111.8 15.62 715.43
Repti Glo 5.0 39.5 6.35 3 93.0 14.95 622.23
Repti Glo 2.0 17.7 2.15 - 89.6 10.88 823.78
ZooMed ReptiSun 10.0 16.1 2.00 - 47.4 5.89 805.07
ReptiSun 5.0 18.7 2.43 - 51.6 6.72 766.97
Vivaria Repro 10.0 80.4 6.55 2 528.6 43.06 1227.50
Repro 5.0 82.3 5.50 4 443.6 29.64 1496.41
Repro 2.0 2.6 0.11 - 51.6 2.13 2417.10
Kamihata UVB Reptile 10.5 0.76 - 231.9 16.82 1378.41

各社の品番の「10.0」とか「5.0」という数字は、そのランプ全体の光量に占めるUVBの比率らしいので、その判断のためにUVBの測定値にはスペクトル全域の光量に対するUVBの比率%も併記してみました。果たして公称通りになっているでしょうか???笑

この測定で判ったことは、直管とスパイラル型とでは、同じブランド・品番でもスペクトルが異なる、と言う事でした。特に、スパイラル型ではまともにUVBが出てる製品は一部に限られました。直管は概ね良好でしたけど。
ま、僕は爬虫類は専門外なので、コメントは遠慮しておきましょう♪

以上、お役に立てば幸いです。

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T5にもUVを盛りたい♪ 完

この記事を含むタグの全記事リスト: T5 スペクトル 蛍光体 蛍光灯

UV 400nmの蛍光体を探してくれている蛍光灯メーカーから返答が来ました。
答えは・・・

数年前までは400nmの蛍光体はあったのですが、特殊な波長で需要も少ないため、残念ながら、現在では海外も含め作っているメーカーは無いそうです。

とのことでした(要約してます)
くそぅ。。。400nmの必要性をもっと早くにアクア各社にアナウンスしていたら。。。無念。

ちなみに、最後の希望だった420nmより低めの蛍光体と言っていたのは、結局のところ前回も紹介した中にあるこれ↓と近いモノだったようです。

T5に使えるUV蛍光体

やはり、ブラックライト向けっぽいですね。。。
もしこれを入れたら、400nmの量が確保できた頃には365nm最強値それ以下のUV量も上昇しちゃって、サンゴへの影響が心配です。それに、この特性見る限り、発光効率も悪そうだし。。。

T5のUV盛り計画は・・・儚い夢と消え去りました。。。残念。
幸い、販売を名乗り出たメーカーさんは居なかったので、さすがにメーカーさんらは400nm蛍光体が入手不能なことを知っていたのかも知れませんね。

お役に立てず、ぬか喜びに終わってすみませんでした。

と言う訳で、T5ユーザーさんは、400nm入りLEDスポットを併用する等の工夫をして、どうにか蛍光タンパクの励起源を確保してください。特にVFP(紫蛍光)やBFP(青蛍光)の蛍光タンパク育成には、もうそれしか方法がありません。
それか、極めて420nm寄りの反応帯域をもつ該当蛍光タンパクなら、弱いながらもギリギリ発現できるかも知れません。420nmを受けて425nmを放つとか、420nmを受けて450nmを放つようなタイプなら。。。400nmを受けて~とか390nmを受けて~みたいなタイプは無理ですが。。。

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