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冬の北陸の日射し

ブログ エイジ 02:20 コメント0件
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ふと、良い日射しが出てたので、先日購入した新分光器ASEQ Instruments LR1で太陽光スペクトルを測ってみました。

ASEQ LR1による太陽光スペクトル測定画面

コサインアダプター付けても感度オーバーになるので、真上の青空を測定。
オプションのXYZ coordinate(色温度)をオンにするとこんな感じ↓

ASEQ LR1による測定画面と、オプションの色温度ツール

保存したスペクトルを呼び出しての比較もできます↑(赤いスペクトル)

ついでに、同じく最近買ったSolarmeter UVB 6.2(UVB計)も使って、UV量も測ってみました。ちなみにスペクトルは空模様で変化するのでそのまま載せてます。

冬の北陸の快晴時の日射量とUV値

日射量はTENMARS TM-206にて測定。UVと比較しやすくuW/cm2に変換。
UVA値は、UV340B(UVB+UVA)での測定値からUVB 6.2の値を引いたモノ。
こちらはいずれも太陽に垂直にかざして最大値を拾いました。
うーん。。。いろんなモノが測定できる環境が揃ってきたなぁ。。。

えと。。。僕、何屋さんだっけ???

改めて、太陽光とKR93XPの白chのスペクトルを比べてみると。。。

太陽光とXPの白ch

もはや海洋生物はこれを太陽と信じて疑わないでしょう♪

拝啓サンゴ様、どうぞ安心して、おくつろぎください。
私たちは、もうあなたにストレスを与えません♪
好きな波長を好きなだけ自由にお使いくださいませませ。

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各社UVB蛍光灯の測定データ続編

この記事を含むタグの全記事リスト: UVB スペクトル 測定器 蛍光灯

スペクトロメーターASEQ LR1とSolarmeter UVB 6.2

200-1200nmが測定可能なスペクトロメーターとUVB測定器が入手できたので、先日の各社UVB蛍光灯の測定データに200nm対応スペクトルとUVB値を追加しました。
うひょ~っ! 200-1200nmが測れるって素晴らしい♪

直管20Wについては、インバーター灯具とグロー式灯具で比較データも取りました。

スペクトル&UVB値:直管UVB蛍光ランプ20W

E26型26W蛍光ランプはカミハタのVOLTICEで測定しました。

スペクトル&UVB値:E26型UVB蛍光ランプ26W

UVB値を前回の分と合わせて表にまとめました。

UVB直管ランプ 20W

ブランド 品名 UVB [uW/cm2] @30cm
LI-COR
LI-1800
300-320nm
Solarmeter
UVB 6.2
280-320nm
GEX
AQUTE CI600
インバーター式
AGLED
LBB-2192
グロー式
EXO-TERRA Repti Glo 10.0 27.2 31.0 22.0
Repti Glo 5.0 19.4 19.0 13.0
Repti Glo 2.0 2.4 2.0 1.0
ZooMed ReptiSun 10.0 48.1 44.0 36.0
ReptiSun 5.0 27.9 27.0 22.0
ReptiSun 2.0 2.3 1.0 1.0
HERP CRAFT
UV-MASTER
Level 8 47.4 44.0 36.0
Level 5 35.6 35.0 27.0
Pogona Club
Vivarium Glow
Power UVB 29.7 30.0 21.0
SoftUV 7.0 6.0 4.0

E26型UVB蛍光灯ランプ 26W + Kamihata VORTICE

ブランド 品名 UVB [uW/cm2] @30cm
LI-COR
LI-1800
300-320nm
Solarmeter
UVB 6.2
280-320nm
Kamihata VOLTICE
EXO-TERRA Repti Glo 10.0 49.6 53.0
Repti Glo 5.0 39.5 39.0
Repti Glo 2.0 17.7 17.0
ZooMed ReptiSun 10.0 16.1 16.0
ReptiSun 5.0 18.7 23.0
Vivaria Repro 10.0 80.4 87.0
Repro 5.0 82.3 84.0
Repro 2.0 2.6 1.0
Kamihata UVB Reptile 10.5 10.0

PDFはこちら → The UVB fluorescent light spectrum for reptiles

今回、200-1200nmが測定可能な分光器ASEQ LR1を用意して、前回測れなかった300nm以下の部分も含めて測ってみた訳ですが、予想通り、そこまでして見る必要は無かったみたい(汗)
それくらい、前回のUVB値に欠けていた280-300nmの量は微々たるモノでした。
ただ、前回LI-1800で測定したスペクトルから300-320nm部分を取り出して積分したUVB値と、今回Solarmeter UVB 6.2で測定したUVB値が極めて近い値だったことには感動しました。

あと、インバーター灯具の方がグロー式灯具よりUVBも含め明るいようです。
ただ、インバーター灯具によっては点かない球もあるので注意が必要です。
例えば、GEXのAQUTE クリスタルインバーター600なら上記の球はすべて点灯しましたが、日立のインバータースタンドFS2022EだとZooMedとHERP CRAFTの球が点灯しませんでした。インバーターにも雑な性格の人と神経質な人がいるようです(笑)

おまけ:測定器情報

ASEQへは掲載されてるメールアドレスへ直接メールすればいろいろ細かく教えてくれます。例えば、Config.Bの200-1200nm仕様にするにはUV検出用の特殊なアルミ反射材を組み込むらしいのですが、料金は変わらずでした。今回は色温度計算機能XYZ coordinateとコサインアダプターも2種類付けました。それでも送料入れて全部で$1000以下!(支払いはPayPal対応)。超格安のUSBスペクトロメーターです。これでもOcean Optics USB4000と同じ東芝の3648ピクセルのセンサーを積んでます♪
但し、各部かなりチープな感じでした(汗)

UVBメーターは、国内だと4万以上したので、海外のBeardedDragon.coから購入しました。送料入れても$200以下です♪
但し、注文してから2週間以上音沙汰が無かったので催促したら忘れてたみたい(汗)
でも速攻で送ってくれて、催促から1週間で届きました♪

さて。。。
どうやって元を取ろうか。。。
有償でスペクトル測定サービスでも始めますか(笑)

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T5:波長欠落

この記事を含むタグの全記事リスト: T5 スペクトル 蛍光灯

遅くなってすみません。
情報の吸収率を高めるため、画像の準備に時間が掛かりました。
では、前回のT5トリックの続きです。

まずは前回のおさらいです。
前回測定したT5/SC/KRのスペクトルと放射照度の比較結果はこのようになりました。

T5/SC/フルスペ 実測スペクトル&放射照度

(a) ATI : AquablueSpecial×6
(b) ATI : AquablueSpecial×2 + BluePlus×2 + Actinic×2
* KR93XPのみ別データからの合成です

光強度比較
@30cm
ATI T5
39W×6
=234W
(a)
ATI T5
39W×6
=234W
(b)
SC
BLV(W)
=150W
KR93SP
24″ 2.02
=100W
KR93XP
24″
=100W
放射照度 積分値
(300-1100nm)
[W/m2]
175.35 135.17 173.68 185.87 216.20
消費電力 [W] 234 234 150 100 100
効率 [W/m2/W] 0.7493 0.5776 1.1579 1.8587 2.1620

今回はこの結果を基に、T5のウィークポイントについてお節介を焼いていきます。

まず、上記結果グラフの300-500nm間をクローズアップしてみましょう。ここにはVFP/BFP/CFPなどの蛍光タンパクの励起に必要なUV域の波長が含まれます。

T5の波長のウィークポイント 300-500nm間

SCマリンブルーは完璧です。海中スペクトルと見事にシンクロしてますね。
フルスペも390nm~は確保できてますが、380nm以下は欠落してます。ぐふっ。
T5は・・・ギリギリ400nmからの立ち上がりはあるので、あとはActinicを入れておけば400-420nmはそれなりに確保できるでしょう。ストロベリーやスパスラタの維持に苦戦されてる方は、この辺のところをもう一歩工夫してみてください。

続いて、500-700nmを見てみましょう。

T5の波長のウィークポイント 500-700nm間

うーん。。。問題はここですね。
SCやフルスペは海中スペクトルに逆らわない緩やかな特性を持ちますが、T5は光強度の瞬発的な突出と欠落が交互に並んでいます。もしこれがサンゴにとってストレスになるなら、ZEOvitのストレス源にもちょうど良いのかしら?
ウィークポイントとしては、T5特有の強烈な緑540nmの前後の欠落、そして赤610nmの前後の欠落の、計4つの波長の欠落があります。もしこの欠落部分に対して蛍光タンパクや色素タンパクの要求波長があった場合、このT5の特性では十分に応えられないと言う事になります。
ここで「十分に」と書きましたが、実はある程度は応えられます。それは、それらの色素の要求がピンポイントでは無く、ある程度の帯域を持っているため、そこにT5の緑や赤のピークがかすめていれば、濃くは無理でもそれなりには対応できるからです。パステル自体はZEOvitによる褐虫藻制御(栄養添加含む)による部分が大きいのですが、パステルの色素の薄さについては、これは各色素に対するT5の応答不足も原因のひとつです。
ただ、T5の緑540nmのピークをもっともっと強くすれば、薄くが積もり積もってある程度は濃くなります。また、色素の要求とT5のピークがうまく合致さえすれば濃ゆい色揚げも可能なので、そう言う貴重な個体は重宝されるでしょう。

ついでに上図を基準に、僕の独断で各光源の波長カバー率を採点してみました。

color wavelength ATI T5
39W×6
=234W
(a)
ATI T5
39W×6
=234W
(b)
SC
BLV(W)
=150W
KR93SP
24″
=100W
KR93XP
24″
=100W
UV 360nm × × × ×
370nm × × × ×
380nm × × ×
390nm × ×
400nm
Violet 410nm
420nm
430nm
Royal
Blue
440nm
450nm
460nm
Blue 470nm
480nm
490nm
Cyan 500nm
510nm
520nm
Green 530nm × ×
540nm
550nm
Yellow 560nm × ×
570nm × ×
580nm
Orange 590nm
600nm ×
610nm
Red 620nm
630nm ×
640nm × ×
Deep
Red
650nm × ×
660nm × ×
670nm × × ×

○ 0.2-2.5 W/m2/nm
△ 0.1-0.2 W/m2/nm
× 0.0-0.1 W/m2/nm

(a) ATI AquablueSpecial×6
(b) ATI AquablueSpecial×2 + BluePlus×2 + Actinic×2

まあ、この採点は どこに線を引くか でどうにでもなりますから、あくまでも警告が目的だとご理解ください。あちこち床が抜けてるから足下気を付けてね、ってことです。

では、具体的に色素の要求特性を見てみましょう。
まずは蛍光タンパクです。各色の代表的な特性を並べてみました。いずれも左の破線が要求スペクトル、右の実線が発光スペクトルです。破線のような特性の波長を受ければ、実線のような特性で発光しますよ、と言うことです。

代表的な蛍光タンパクの励起波長と発光波長

* リファレンス a-e

上から順に、

  • VFP(紫蛍光タンパク)
  • BFP(青蛍光タンパク)
  • CFP(シアン蛍光タンパク)
  • GFP(緑蛍光タンパク)
  • YFP(黄色蛍光タンパク)
  • RFP(赤蛍光タンパク)
  • Keima(赤蛍光タンパク) * 青光を当てると何色も飛び越えて赤蛍光を発色
  • Kaede(緑/赤蛍光タンパク) * UV光を当てると緑蛍光→赤蛍光に変化
  • Dronpa(緑蛍光タンパク) * 青光で緑蛍光オン、UV光で緑蛍光オフ

これらはサンゴの蛍光タンパクのごく一例です。実際の種類と特性は多岐に渡ります。

VFPの維持はT5だと厳しいでしょうね。
BFPは吸収スペクトル帯の長波長側の半分を軽くなでることはできるので薄くは維持できるかも知れませんが、濃くは難しいと思います。
CFP/GFP/YFPは概ね維持できるでしょう。T5でよく見かける水色のミドリイシの蛍光タンパクも多くはこのCFPでしょうね。 色合い的にはBFPでは無さそうです。
RFPも局所とは言えT5の緑が強く突いているので、累積発光量は大きいはずです。

T5のスペクトルと蛍光タンパクの要求スペクトルを重ねるとこうなります。

T5のスペクトルと蛍光タンパクの要求スペクトル

このように、T5では特にバイオレットとブルーの蛍光がネックになっています。
できればF.P.ドクターで蛍光タンパクをチェックしておくことをお勧めします。
それ以外の蛍光タンパクについては、不完全ながらも各要求の帯域をどこかしら叩いてはいるので、叩いた位置と量に応じた維持は可能です。

光の当たる面に形成される蛍光タンパク

蛍光タンパクは光の当たる面に形成され、影の部分には形成されないので、このことからも蛍光タンパクの維持には適切な波長の光が当たる必要があることが判ります。

続いて、色素色(Chromoprotein:色素タンパク)はどうでしょうか。

代表的な色素タンパクの吸収波長

* リファレンス f, g

多くの色素タンパクは、橙光570nm~600nmに要求ピークが集中しているので、LEDならデコライトのような温白色系スポットが適しています。フルスペにニュートラルホワイトLEDを多用しているのもこのためです。
T5の場合でも、大半の色素はT5の緑と赤のピークに挟まれているため、例え薄くても色素は維持できます。もちろん、T5のピークとシンクロ率が高い色素なら更に色を濃く維持することも可能なはずです。
ただ、理想を言えば、T5のような歪なスペクトルでは無く、太陽光のように欠落の無いフラットなスペクトルで全域をカバーできれば、どんな要求の色素が来ようとも対応できるので、より本来の色を維持することができますし、ZEOvitのパステルだけではなく、綺麗な濃い色のサンゴも維持できるはずです。
逆に言えば、ZEOvitは蛍光灯を最大限に活かすことのできる究極の奥義だと思います。しかし、それはT5に特化したものでは無く、悪く言えばT5でさえ許容してくれるシステムとも言えるので、だったらT5じゃなくメタハラやフルスペの方が、より綺麗で濃い色揚げが期待できるでしょう。過去の国内の事例のように。。。

以下は主な色素タンパクと、CP-580(一例)の光源別の発色イメージです。

CP-580 Blueの場合の波長毎の発色イメージ

* リファレンス f, g

光の当たる面に形成される色素タンパク

色素タンパクも光の当たる面に形成され、影の部分には形成されないので、蛍光タンパク同様、色素タンパクも適切な光が当たる必要があることが判ります。もちろん波長だけでもダメ、光量だけでもダメ、その両方が必要なのは勿論ですが、さらに他の波長とのバランスも大事だと言う事が最近判ってきました。どんなに要求を満たしていても他の波長が勝ると阻害される場合もあるのです。詳細はいずれまた。

今T5で維持している色・・・実はもっと濃くなる素質があるかも?
「パステル」と言う言葉が、実は足枷になってない?

さて。
ここまで駆け足でしたが、うまく消化できたでしょうか?
もちろん、サンゴの色を決定するのは光が100%の要因ではありませんし、水質に左右される要因が大きいことも当然ですが、今後、光と水質を極めていく上で、まずは光についてのスキルを極めてもらうため、今回は光に限定して掘り下げてみました。特にT5に限らず白色蛍光灯は人間向けに3波長に最適化されており、またレンズ付きLEDと違って光が直接目に届くため、肉眼では非常に明るく見え、それ故水槽にも十分な”光”があると錯覚しやすいので、光のトラブルに対して灯台モトクラシーになりがちです。
世のZEOvit+T5を代表する綺麗な水景が、決して手放しで築ける訳ではないと言う事が理解できれば、今回の講習は合格です♪

最後に、いじわるな比較をしてみました。
皆さんには何が見えるでしょうか。。。

T5とフルスペの各色素カバー率

愛だろ、愛っ。

リファレンス

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