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紫外線LED:各ミドリイシの推移

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まず、本日(1/10)現在の光環境です。
いつもながらコロコロ変わってすみません。

2010/01/10現在の光環境

UV3Wが右端に移動、照明全体の高さも30cmに戻しました。
いつになったらガンガン当てられるのやら。。。

次に、各ミドリイシの状況です。
撮影環境は、本日は照明下での上からのフラッシュ撮影としました。よって、ある程度の演色効果が生きた色彩に映ってます。実際の見た目にも近いです。

各ミドリイシの様子

だにミドリイシA.
スポイト吹き付けたら簡単に剥げた(汗)
しかも色はやけどのように・・・。
これ、果たして復活できるんだろうか。。。
だにミドリイシB.
やはりスゲは青を当てるのが一番♪
現時点で一番綺麗かも♪
気づいたら根元も共肉が盛ってました。
ケントパパミドリイシA.
先日までずっとUV3Wを当てていましたが、バイオレットが定着したと言う域には達していない。ま、UV当てたらバイオレットに発色はするので、もしかしてUVでバイオレット蛍光ってあるのかな?(笑)
ケントパパミドリイシB.
一番紫が綺麗だったのに、今は・・・(汗)
何故かこの子は傷の治りも一番遅い個体です。
だにミドリイシC. ケントパパミドリイシC. ケントパパミドリイシD.
このグループはLeDio7+UVエリアに配置してあり、先日からUV3Wも追加したので、UVリッチな環境になりました。
それはそうと、だにミドリイシC.がケントパパミドリイシと同一個体だというのが、最近になって信じられるようになってきました(笑)
沖縄くん
右端のライブロックの上じゃ光が弱くて白化してきたので、ただいま水槽中央のアクアブルーエリアで日向ぼっこ中です♪

特筆すべきは、あんなに世話の焼けただにミドリイシC.が、ようやく本来のケントパパミドリイシの色彩に近づきつつある点です。やっぱり放置に近いくらいずっと強光下から離していたのが効いたのかな♪
強光耐性の減退を気にして慌てて強光下に置くよりは、例え耐性が少し下がっても良いから余裕を見てじっくり時間を置いてからの方が生理的には負担が軽いのかも知れない。

今後の課題は、だにA.の復活、だにB.C.の更なる色揚げ。
そしてケントパパA.B.C.Dの色下がりを食い止め、少しでも元の色に戻すこと。ケントパパ邸では、コーラルグロー250WをメインにSCディープブルーを近接していたミドリイシらしいので、やはり今の環境と比較しても、足りないのは絶対的な光量のはずだ。波長的には現在、白、アクアブルー、アクアブルーUV+UV3Wの元で分散配置してるので、光強度さえ上げればいずれかの光環境下の個体で復活が見られても不思議ではない・・・はずなんだけどなぁ。。。

もしかして、もっとブルー光が必要なのかしら?
確かにケントパパミドリイシのベースは茶色いので、カロテン系かフコキサンチン系の色素が含まれているとは思う。
しかし肝心のバイオレットを発動させるためには、シアノバクテリアで言うならフィコビリン系やフィコエリトリン系色素をリブートしなきゃならんはず。と言うことは、やはり緑~黄色もしくは橙色が絶対的に足りないのだろうか。。。そうなると、現状のランプの中ではLeDio7 PearlWhiteに含まれる該当帯域だけが頼りなので、やはりもっと照明を近づけた方が良いに違いない。
でもすぐ刺糸を出してイヤがるのよねぇ・・・。
どうしたものか(汗)

そうそう。
次回はようやく光合成色素ネタいきます。半熟だけど(笑)

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SC115≒LeDio21×2≒エリジオン×2

この記事を含むタグの全記事リスト: LEDスポット

いきなりメタハラをLEDに移行しようとすれば、そりゃ無理がある。
まずは、青の移行から始めるのが賢いLEDクリエイターだ。

結論から言えば、スーパークール115 (150W)のディープブルーは、
volxjapanのGrassy LeDio 21 DeepBlue (21W)×2 か、
やどかり屋のエリジオン「閃光」14W ブルー (12W)×2で、光束量的に置き換えが可能であると言えそうだ。もし照度的な置き換えなら1台でも十分だ。しかも、水温上昇が激減し、電気代も超お得になると言うスペシャルボーナスまで着いてくるのだ。

しかし、それ以前の旧製品は素子が古いか効率が悪いかレンズが狭いか、申し訳ないが到底目的は果たせないので、残念ながら現在では選択肢に入ることはないだろう。いっそ、手持ちの旧製品は常夜灯に回してしまおう。

ちなみに、スーパークール115と言えば、かれこれ10年以上の超ロングランだが、さすがに進化のない製品の布教活動はもうそろそろ良いだろう、と覚悟を決めた。これまでも散々オススメしてきたし、メーカーも十分に潤ったことだろう。

ここらでひとつ、業界の未来に期待して、本音トークを暴露しようではないか。
アクアリストは益々救われるがいい。助かるがいい。
しかしメーカーは腐ること無かれ。さらに精進するがいい。

以下のスペック比較を見てすぐに意味を理解した方、善は急げだ。
いまいち判らないけど私を信用すると言うなら、あとに続くがいい。自己責任で(笑)

ランプ SC115 DB
150W/70°
LeDio21 DB
21W/50°
エリジオン・ブルー
12W/60°
スペクトル 無し
LeDio21と同等
30cm照度 4,440 lx 実測 19,200 lx 実測 12,200 lx
全光束 2,500 lm
換算 615.50 lm
換算 1180.43 lm 換算 1149.82 lm
発光効率 換算 16.67 lm/W 換算 56.21 lm/W 換算 95.82 lm/W
実売価 40,000~50,000円 16,000~18,000円 12,000~13,000円

但し、どちらもUVは一切含まれないので、もしUV入りを望むならしばらく待って欲しい。UVブレンドモデルを含む新LeDio7+が、もうすぐvolxjapanから正式に発表されるはずだ。とは言え、光量的には上記2機種には及ばないので、やはりSCの代役は上記機種に任せると良い。そして新LeDio7+UVで、紫外線を補完すれば良いのだ!

尚、このアナウンスはあくまでもSCディープブルーについてのもので、マリンブルー等の明るいランプについては、引き続きSCを支持していきます。当面はね。
とは言え、ひっくり返されないように、メーカーには頑張って欲しいと思います。

そして最後にもうひとつ。
やどかり屋のエリジオン「閃光」をノーブランドと侮る無かれ!
最新LED素子による超高効率と、その驚愕の大光量を、是非騙されたと思って体験して欲しい。
しかも僅か12Wの超省エネ設計。そして更にその軽さにも度肝を抜かれるだろう。
大阪近隣の方は、一度やどかり屋で実機を見てきて欲しい。

以上、この放送は応援市場の提供でお送りしました♪

以下、興味のある方は参考までにどうぞ。

角度・照度・光束の計算のための予備知識

照度 E [lx] = 光束 Φ [lm] ÷ 照射面積 S [m2]

ビーム角と面積と照度から光束を簡易的に換算する計算式

レンズ
°
照射面積 m2
30cm前方 1M前方
70 0.1386264 1.54029334
60 0.0942477796 1.04719755
50 0.0614805123 0.683116804
30 0.0203000584 0.225556204
25 0.0138964176 0.15440464

このページ内の各値で断わりの無いものはメーカー公称値、実測はショップや私が測定した値、換算は製品のレンズ角度を点光源として逆算した理論値、もちろんレンズの癖・特性等は無視した単純計算によるものです。

比較元各製品スペック

スーパークール SC115 - 150W/70°(散光)
メタハラ ディープブルー マリンブルー サンホワイト
スペクトル
30cm照度 4,440 lx 31,110 lx 42,220 lx
全光束 2,500 lm 9,000 lm 7,300 lm
全光束 換算 615.50 lm 換算 4,312.67 lm 換算 5,852.81 lm
発光効率 換算 16.67 lm/W 換算 60.00 lm/W 換算 48.67 lm/W
Grassy LeDio 21 - 21W/50°
LED DeepBlue
青7
AquaBlue
青4+白3
PearlWhite
青1+白6
スペクトル
30cm照度 実測 19,200 lx 実測 16,700 lx 実測 16,500 lx
全光束 換算 1180.43 lm 換算 1026.72 lm 換算 1014.43 lm
素子光束 換算 168.63 lm 換算 146.67 lm 換算 144.92 lm
発光効率 換算 56.21 lm/W 換算 48.89 lm/W 換算 48.31 lm/W
エリジオン「閃光」14W - 12W/60°
LED Blue
青6+白1
BlueWhite
青4+白3
White
青1+白6
スペクトル
30cm照度 実測 12,200 lx 実測 10,800 lx 実測 11,800 lx
全光束 換算 1149.82 lm 換算 1017.88 lm 換算 1112.12 lm
素子光束 換算 164.26 lm 換算 145.41 lm 換算 158.87 lm
発光効率 換算 95.82 lm/W 換算 84.82 lm/W 換算 92.68 lm/W
ハイパーアクアムーン - 7.2W/25°
LED AMC-1B
青6
AMC-1BW
青5+白1
AMC-1WB
青1+白5
スペクトル
30cm照度 20,000 lx 18,890 lx 15,560 lx
全光束 換算 277.93 lm 換算 262.50 lm 換算 216.23 lm
素子光束 換算 46.32 lm 換算 43.75 lm 換算 36.04 lm
発光効率 換算 38.60 lm/W 換算 36.46 lm/W 換算 30.03 lm/W
Grassy LeDio 7 - 7W/60°
LED DeepBlue
青7
AquaBlue
青4+白3
PearlWhite
青1+白6
スペクトル
30cm照度 実測 4,200 lx 実測 4,700 lx 実測 5,400 lx
全光束 換算 395.84 lm 換算 442.96 lm 換算 508.94 lm
素子光束 換算 56.55 lm 換算 63.28 lm 換算 72.71 lm
発光効率 換算 56.55 lm/W 換算 63.28 lm/W 換算 72.71 lm/W

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雑学4.褐虫藻のメカニズムと種類

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過去の関連記事はこちら。

  1. 雑学3.サンゴの白化のメカニズム
  2. 雑学1.サンゴと共生藻

サンゴのストレスと白化

前回の雑学3.サンゴの白化のメカニズムを改めて簡単にまとめると以下のようになります。

平常時の環境下 光合成効率OK、炭素固定能OK
高水温+光なし 光合成効率OK、炭素固定能低下
高水温+光あり 活性酸素上昇→光合成回路損傷
高水温+強光下 白化まっしぐら(汗)

白化フローとしては、まず高水温により褐虫藻の炭素固定能が阻害され、続いて光合成の余剰エネルギーが活性酸素を生成し、それが光合成色素の損傷やサンゴへのダメージへと繋がり、以降悪循環となって白化に至ります。

サンゴの白化耐性は共生している褐虫藻の白化感受性により決定づけられるため、サンゴは褐虫藻の選定または複数の褐虫藻と共生することで環境に適応していると思われます。そしてこの順応性が高く、また白化に強い褐虫藻と共生しているサンゴほど、白化耐性は強くなると言えます。

詳しくは雑学3.サンゴの白化のメカニズムを参考に。

褐虫藻の種類

まず、サンゴの褐虫藻は、プラヌラ幼生期に水平感染として体内に取り込まれます(遺伝ではない)。そして成長と並行して、環境に応じた褐虫藻の選定と取得が必然的に行われているようです。

褐虫藻は形態の違いにより10種程度に分類が進み、また現在では18SrDNA解析によりA~Hのクレードに分けられています。

以下、最近読んだ書籍やネットでかき集めたデータを元に、褐虫藻の種とクレードのリストを作成してみました。但し、なるべく種名(学名)が判明しているものに限定し、種名無しのサブクレードはデータが膨大になるので省略しています。

尚、文献の時期により情報が交錯しているため、なるべく新しい情報を優先して編集しましたが、なんせ無学による適当なリストなので予めご容赦下さい。誤りがあったら訂正しますのでお知らせいただけると助かりますです。

クレード 褐虫藻の種類 検出元
A A1 Symbiodinium microadriaticum subsp. microadriaticum クラゲ、サンゴ
A1.1 Symbiodinium microadriaticum subsp. condylactis (=Symbiodinium cariborum ?) クラゲ
A2 Symbiodinium corculorum シャコ貝
Symbiodinium meandrinae サンゴ
Symbiodinium pilosum サンゴ
A4 Symbiodinium (=Gymnodinium) linucheae クラゲ
? Symbiodinium natans 新種(2009)
B B1 Symbiodinium bermudense イソギンチャク
Symbiodinium pulchrorum イソギンチャク
B4 Symbiodinium muscatinei イソギンチャク
C C1 Symbiodinium goreaui サンゴ
D サンゴ
E E1 Symbiodinium californium Bに再分類?
E? Gymnodinium varians
F F5 Symbiodinium kawagutii
G サンゴ、イソギンチャク
H

現在、私的に注目(笑)している対紫外線色素 MAAs については、クレードAの褐虫藻が有しているそうで、このことから恐らく浅場の多くのサンゴがこのクレードAの褐虫藻を持つと思われます。一方、少し深場のサンゴではクレードAの必要性は緩和されるため、多様なクレードを広く有している可能性がありそうです。もちろん、クレードAを持たないサンゴに過度のUVを照射することは危険でしょうね(汗)

ちなみに、褐虫藻以外の共生藻としては、イソギンチャク等から緑藻ズークロレラと言う光合成藻が、ハナヤサイサンゴからヘテロカプサ属の渦鞭毛藻、ヒラムシからアンフィディニウム属の渦鞭毛藻が見つかっています。

サンゴと褐虫藻の共生は、サンゴによる嗜好性は見られるものの、必ずしも特定の褐虫藻に限定を受けず、環境によって別の褐虫藻や複数の褐虫藻を臨機応変に取り込んでいるようです。

参考文献

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