1.023world - ヤドカリパークとマリンアクアリウム -

海洋の仕組みと細菌・微生物から学ぶマリンアクアリウムサイト

1.023world Facebook

結果 Oh! Life (旧ブログ)

懲りずに書いてみたりする結果オーライな日記

茶ゴケの正体:其の一

この記事を含むタグの全記事リスト: 茶ゴケ実験

こないだから茶ゴケを観察しようと思ってスライドガラスを水槽に沈めているのですが、一向に付着する気配がありません。水流が当たらない方が良いかと思ってガードも設けているのですが、それがいけないのかしら。。。

ちなみに前回の換水とガラス面の掃除から約1ヶ月ほど経ち、最近ようやくガラス面に茶ゴケが増えてきました。水道水使ってんだから、もっとガンガン付けば良いのに(笑)

でも、その茶ゴケの付き方がちょっと変な気がします?

20090707-tank

20090707-bacillariophyceae

大抵の場合、茶ゴケってガラス面全体(あるいは広い範囲で)を覆うように膜が徐々に濃くなっていきません?
今回のは石灰藻みたいに点々と発生してます。
まさかシアノバクテリアかな?とも思って指の腹で軽く擦ってみたけど剥がれる様子がないので、やっぱり茶ゴケのようです。
ひとつひとつが濃いからそう見えるのかなぁ。。。

ちなみにこのガラス面の茶ゴケの丸いブロックひとつひとつをよく見ると、すこし特徴が見えます。それは、どの茶ゴケも、水流の方向に対して より成長と拡大を広げ、反対側は拡大せずに薄くぼやけていると言う点です。

上の水槽全体の写真では、中央奥からポンプの水流が前面のガラスにあたり、左右に拡散する流れが発生しています。次のコケの写真は水槽の前面右側のモノですが、左から来る水流に対してコケの左反面がよく成長し、右反面は薄くて成長してません。試しに水槽の前面左側の茶ゴケを見ると、右側とは反対の向きで成長していました。

うーん。茶ゴケをこんなに見つめたのは初めてだぁ~(笑)

さて、本当はスライドガラスに茶ゴケが付着してから検鏡したかったのですが、まだまだ先が長そうなので、とりあえず現状のガラス面の茶ゴケを少し擦り落として顕微鏡で見てみることにしました。
後日、スライドガラスに茶ゴケが栽培できたら、また其の二を書きたいと思います。

では、生物顕微鏡(おもちゃ)×1200倍のデジカメ写真です。

20090707-cyclotella

だからイヤだったのよ!
何写ってるか訳わかんないじゃん(汗)
付着状態を壊さず観察すれば、もうちょっとマシかなと思ってたのにー!

ちなみにこれでも辛うじて粒々が写ってるの判ります?
これが茶ゴケの細胞かな?と思います。
サイズは推定で約10μm前後かな。

これじゃ、珪藻どころかゴミとも区別が付きません(汗)が、とりあえず円形型の珪藻を保育社の日本海洋プランクトン図鑑で探してみたところ、サイズ的にも、タラシオシラ属/Thalassiosira とかキクロテラ属/Cyclotella あたりが近いかな?と思いました。その他、ネットで探すと、ステファノディスクス属/Stephanodiscus と言う珪藻も似ているように見えます。

いずれにしても、せめてもう少し精度の高い顕微鏡がないと、これ以上の観察は無理っぽいですねぇ。。。て言うか、10μmは無謀だぁ。。。

こちらのエントリーもどうぞ♪

ヒゲゴケ抑制実験報告 其の一

この記事を含むタグの全記事リスト: ヒゲゴケ処理実験

先日、シュリンプさんや横海老屋さんから各プランクトンを購入・導入して、約2週間が経過しました。またその間、僕自身もワラワラ採集に勤しみ、何度か水槽に導入してきました。

今回のワラワラ追加の第一の目標は、最近手が付けられなくなったヒゲゴケの抑制です。

リンは測ってませんが、現在の水槽では数匹のヤドカリを維持しているだけで、給餌も週に1~2度もあるかないかの状態ですので、恐らくほぼ皆無と見ています。硝酸もホビー試薬でゼロを推移しています。

しかしそれでもヒゲゴケは出ます。
多くの場合、皆さんは栄養塩ばかりに目を奪われがちだと思いますが、実はヒゲゴケ蔓延の一番の原因は、栄養塩以上に「天敵の欠如」に起因していると僕は考えています。ですから、比較的低栄養塩の水槽でも、ヒゲゴケの蔓延と言うのは、ある程度時間が経過した水槽では見られがちな現象なのです。ヒゲゴケに限らず、単一種の蔓延の原因は、ほぼこのような抑制要因の欠落が関係していると思われます。

例えば昔から、ライブロックを追加したらヒゲゴケが消えていった、と言う現象も良く体験されてきたと思いますが、実はこの微生物源の追加により、水槽に欠如していたコケの天敵が持ち込まれ、それが作用したと考えられます。

勿論、コケの天敵は微生物に限りません。草食魚やウニ、ヤドカリなんかも非常に有効です。彼らの日々の気質走査により、コケは育つ間もなく抑制されるでしょう。しかし、全ての種のヤドカリが岩を磨くわけではなく、ましてやワラワラのような規模で実装することはとても困難です。

化学の実験のような面白味には欠けるかも知れませんけど、水槽に負担を与えない仕組みとしては、僕は安心して勧められる方法だと思います。
特に現在リフジウムを設置されている方は、その本来の機能をより強化すべく、もっとワラワラに目を向けて欲しいなと思います。

長くなりましたが、結果報告です。

ヒゲゴケだらけの水槽

写真は6/13現在のもので、判りづらいですが、ヒゲゴケ天国になったライブロックと、砂にまでヒゲゴケが広がっていた状態です。この実験のために敢えてヒゲゴケを栽培しておきました(嘘)

今回はとりあえず、ライブロックと砂の一部を取り出し、ここへワラワラを追加しました。併せてガラス面を掃除して、コケの取れない砂はなるべく砂に埋めるか砂を掛けるようにして、人為的にも抑制を加えました。(時間が掛かるので、予め可能な限りヒゲゴケは駆除してからワラワラを投入すると吉です)

ヒゲゴケの抑制された水槽

これが今日(6/30)時点での状態です。砂に残っていたヒゲゴケは、綺麗サッパリ消滅しました。とりあえずワラワラ追加によるヒゲゴケ抑制は大成功です。(ま、判ってはいましたがネタとして公開したかったので)

実は以前からも気になる度にヒゲゴケを刈ったり砂に埋めたりしてましたが、すぐに再発して手が付けられませんでした。これは、どんなに低栄養だろうと、山羊がいなければ雑草は伸びると言う良い例です。
今後もなるべくワラワラを維持するよう、注意していこうと改めて思いました。

尚、ライブロックの方は、現在もバケツでキュアリングしながら、併せて大量のワラワラを投入してヒゲゴケの消滅を期待しています。かなり分解されて半分くらいはデトリタス化して沈殿しましたが、まだ半分は残っている状態です。また、ワラワラも目に見えて減少しているようなので、何度か追加した方が良さそうです。ちなみにこのバケツはエアレーションと室内光のみで回しています。光が弱いことも、ヒゲゴケの消滅に繋がると考えています。
このバケツの方はまた結果を報告しようと思います。

みなさんもまだワラワラの恩恵を体験していない人は、どうか一度騙されたと思ってお試しください。
ワラワラの販売ショップは、ワラワランド微生物の購入のページでご紹介しています。
また、これからは良い季節なので、是非海に行ってワラワラをゲットしてみてください。

おまけ

こないだ採集してきた砂依存型のヨコエビの画像です。
どこにいるでしょう? 判るかな?

20090630-sand-upper-gammaridea

こうすると判るかも(笑)

20090630-sand-side-gammaridea

砂で半身浴しながら4本の触手でアンテナを張ってるのがそうです。
この子らはメチャンコ砂を撹拌してくれます。

今度はスナホリガニも採ってこよう♪

こちらのエントリーもどうぞ♪

水槽照明にLEDはありか?

この記事を含むタグの全記事リスト: LED

水槽照明にLEDはありか?

結論、

eco-lamps × BlueHarbor × 1.023world により実現!
サンゴの光合成色素と蛍光タンパクを考慮したスペクトル設計!
“太陽”の白chと“深度”の青chによる自由な水深スペクトルと
調光タイマーによる一日の日周変化をリアルに再現します!

浅場サンゴから深場サンゴまで飼育可能な唯一の水槽LEDライト

ソフトコーラルから深場サンゴまで飼育可能な水槽LEDライト

関連記事は当ブログのeco-lampsタグをご覧ください。
その他、ブログ記事リストから関連タグが簡単に辿れます♪

2012/06


先日の東芝ライテック株式会社のプレリリース。

60W形相当と40W形相当の明るさで、従来価格の約半額のLED電球
「一般電球形6.9W」「一般電球形4.1W」発売について

ほう。いつの間にか電球替わりのLEDランプが供給される時代になっていたのですね。
この辺の情報には最近とんと疎かったので、他社も含め最近のLED照明についてネットを徘徊してみました。

うーん。いくら時代が進んだと言っても、やはりLEDランプは暗いですね。判っては居たけど。とても水槽で使える代物ではありません。常夜灯ならいざしらず(汗)

でも、今回の東芝ライテックの60W型LED電球なら、そこそこ明るいのかしら?
そこで、僕が今ミニ水槽に使ってる東芝ネオボールのスペックと比較してみました。
(いずれも東芝ライテックのサイトから)

ネオボールZ D形 蛍光ランプ (100W相当) ネオボールZ D形 蛍光ランプ (60W相当) 「E-CORE」LED電球シリーズ
形名 EFD21ED EFD15ED/13-Z LEL-AW6N/2
価格 約 1,000円 約 1,000円 約 5,000円?
光源色 3波長形昼光色 3波長形昼光色 白色相当
質量(g) 90 g 63 g 140 g
口金 E26 E26 E26
定格消費電力(W) 21 W 13 W 6.9 W
定格入力電流(A) 0.35 A 0.22 A 0.12 A
全光束(lm) 1370 lm 730 lm 565 lm
下方光度(cd) 66 cd 36 cd 133 cd (最大光度)
平均演色評価数(Ra) 84 Ra 84 Ra 70 Ra
定格寿命(H) 8000 h 8000 h 40000 h

尚、僕が主に使っているネオボール21Wタイプは電球換算で100W型に相当するので、今度のLED電球に合わせてネオボール60W型のデータも併記しました。

さすがLEDは、省エネと寿命がダントツですね。本当にこの寿命なら、水槽で一日9時間点灯するとしても、余裕で10年は持つ計算です。しかも電気代は半分以下。

最大光度という表記が気になりますが、これはやはりLEDの特性によるものかな?
全光束値も演色値もやはり蛍光灯には負けますが、しかしこれは過去のLEDの印象から比べれば凄い躍進ですね。LEDもやればできるじゃん!

でも、単に明るいだけで良いなら選択肢はいくらでもあるので、やはり気になるのは水槽照明としてどうなの?と言う部分です。
以下は、東芝ライテックで公開されているランプの分光分布データを元に、見やすく整形し直した図です。

東芝ランプ分光分布

左が僕が使ってるネオボール昼光色のもの、右が東芝E-CORE LED電球シリーズの現行の白色型の分光分布スペックです。(今度出る60W型も大差ないと思う)
LED電球の分光分布は少し特異な形に見えますが、白色LEDの場合、青色発光と黄色の蛍光体で白を作り出しているので、おおかたこのようなグラフになるようです。

これだけ見てもピンと来ないと思うので、岩崎の各種ランプの分光分布もどうぞ。
(いずれも岩崎のサイトから)

20090623-graph-iwasaki

左は、普段我々が水槽で推奨しているメタハラの分光分布です。やはり太陽光に近い理想的な分光分布ですね。ランプはハイラックスより。

中央は先のネオボールとの比較のため用意した岩崎の蛍光ランプのグラフです。同じ色温度帯ですし、分光分布も似たような形ですね。

右は参考までにハロゲンランプの分光分布です。一見全域をカバーして見えますが、とんでもなく赤外線が放出されている点、熱の問題からも水槽には不向きです。但しこのクールハロゲンはまだマシな方で、他のハロゲンランプだと見事に右肩上がりになるので、とてもじゃないけど水槽では使えませんね。

さて、この東芝のLED電球は7月15日発売なので、店頭で見かけたら買ってみようかな。ちょっと高いけど、これでネオボールの代替えが可能なら、熱の問題やランニングコストの点でかなりのメリットですね。一般の水槽サイズでは役に立ちませんが、僕のようなミニ水槽に対しては十分選択肢に入りそうです。ミドリイシとか厳しいだろうけど(笑)

もし買ったら、照度とか実用度を調べて、またご報告します。

こちらのエントリーもどうぞ♪